Trademark Appeal Case
用途表示の識別力と使用
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−18923(T2011−18923/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「GX形管用栓」の文字を標準文字で表してなり、第6類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年8月20日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同23年3月28日受付けの手続補正書により、第6類「金属製栓」と補正されたものである。
第2 当審における審尋の拒絶理由
当審において請求人に対し、平成24年5月16日付けの審尋により通知した拒絶の理由は、別掲のとおりである。
第3 拒絶の理由に対する請求人の意見
請求人は、前記第2の拒絶の理由に対し、要旨以下のように回答している。
1 本願商標は、標準文字で横書きしてなるところ、外観上まとまりよく一体的に把握し得ることから、商標全体として「ジーエックスカンヨウセン」の称呼をもって取引に資される商標である。
2 請求人は、「GX形管用栓」を指定商品に継続して使用を行なっており、審判請求後の継続的な使用の実績として、「水道公論」、「水道産業新聞」、「日本水道新聞」、「日本下水道新聞」、「水道協会雑誌」、「Water&Life」において宣伝広告を行っている。
3 請求人は、昭和16年4月15日に創業された上下水道・ガス管用特殊継手並びに機械器具などの製造・販売等の業務を行なう専門メーカーで、近年、上海万博への出展やキッザニアに出展する等、知名度のアップやブランド力の強化に取り組んでいる。
4 請求人の知名度及び本願商標の使用実績に鑑みると、本願商標は、請求人の商品を表すネーミングとして、一定の指標性及び業務上の信用を獲得している。
5 インターネット検索サイトを使用しキーワード検索を行ったところ、本願商標は、請求人に関する使用のみがヒットし、同業他社の使用は一切なく、取引上普通に使用されているという事実を見出すこともでないことからも、本願商標は、識別力を有するものである。
第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、前記第1のとおり、「GX形管用栓」の文字よりなるところ、その構成中、「GX形」あるいは「GX形管」の文字は、別掲の審尋で示したとおり、「ダクタイル鋳鉄管」の規格の一つを表示するものである。
また、「用」の文字は、「もちいること。つかうこと。」の意味合いを有する語であり、「栓」の文字は、「管や容器などの口をふさぎ、中のものが漏れ出ないようにするもの。」の意味合いを有する語として、それぞれ一般に親しまれるものである。
そして、これらの意味を有する語を組み合わせてなる本願商標は、「GX形管(GX形ダクタイル鋳鉄管)に用いられる栓」の意味合いを認識させるものである。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品「金属製栓」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「GX形管(GX形ダクタイル鋳鉄管)に用いられる金属製栓」「GX形管(GX形ダクタイル鋳鉄管)専用の金属製栓」であるという意味合いを理解、把握するにすぎないものであるから、その商品の品質、用途等を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識とは理解し得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
2 使用による自他商品識別力の獲得について
請求人は、「請求人の知名度及び本願商標の使用実績に鑑みると、本願商標は、請求人の商品を表すネーミングとして、一定の指標性及び業務上の信用を獲得している。」旨主張しているところ、これは、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものである旨の主張をしているものと解することができるので、以下、同条項に該当するか検討する。
なお、請求人は、原審において資料1及び2、並びに当審において甲第1号証ないし甲第44号証を提出している。
(1)本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて
請求人が提出した本願商標に係る業界紙等(甲4ないし甲9、甲11ないし甲15、甲17及び甲18、甲23ないし甲41)は、本願商標と外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものが表示されているとは認められるものの、その掲載期間は、2011年3月31日から2012年3月26日までのおよそ一年という短期間である。
また、請求人が提出した甲第42号証ないし甲第44号証によれば、請求人が、上海万博及びキッザニアに出展したという事実は確認できるが、ここで、本願商標が大々的に宣伝広告された事実は認められず、これらは請求人自身の企業名等の「知名度のアップやブランド力の強化」のためのものであって、これをもって本願商標が、我が国において使用され一般に知られるものとなっているとは直ちに認めることはできない。
他方、一般の需要者が接する機会が多いと認められるテレビやラジオにおいて、請求人が、本願を商標として使用し、テレビCM等の宣伝広告を広く行っていることが分かるような証拠は確認できない。
その他の請求人の提出した証拠によるも、本願商標が、その指定商品について、使用開始された時期、使用された期間、使用された地域、当該商品の生産又は販売の数量、並びに宣伝広告の回数や広告費等が明確となるような証拠は確認できない。
そうとすると、請求人の提出した各号証によっては、審決時において、本願商標が使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるというまでの自他商品の識別力を有するに至ったものと認めることはできない。
したがって、仮に、請求人が商標法第3条第2項の適用を主張するものであるとしても、その使用に係る商標は、使用により自他商品の識別力を有するに至ったものとはいえないものであるから、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものではなく、同条項により商標登録を受けることはできないというのが相当である。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、「本願商標は、外観上まとまりよく一体的に把握し得るものであり、その構成全体から『ジーエックスガタカンヨウセン』の一連の称呼を生じるものでり、本願商標をその指定商品に使用した場合、全体として『ジーエックスガタカンヨウセン』の称呼をもって取引に資する固有の商標とみるのが相当である。また、本願商標は、インターネット検索サイトで検索しても(参考資料1及び2,甲1及び甲2)、請求人の使用のみがヒットし、該語が一般的に使用されていないものであるから、原審説示のごとき意味合いを直接的に想起することはない。さらに、審尋の理由で示すインターネット情報にも『GX形管用栓』の表示はない。」旨を主張している。
しかしながら、本願商標が、たとえ外観上まとまりよく、一連に称呼できるとしても、また、インターネット検索サイトにおいて請求人に係るウェブサイトがヒットするとしても、審尋で示したインターネット情報によれば、「GX形管」、「GX形」又は「GX管」などの語は、「GX形管(GX形ダクタイル鋳鉄管)」を意味する語として一般的に採択、使用されている取引の実情が認められるところである。
そして、「商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(平成12年(行ケ)第76号 東京高等裁判所 平成12年9月4日判決言渡)と判示されている。
そうすると、本願商標が登録されるべきであるかどうかは、本願指定商品の需要者等において、これがどのような意味を有するものとして認識され用いられるのかによって判断されなければならないというべきである。
そうとすれば、本願商標が、その指定商品を取り扱う需要者等において、指定商品の品質を示すものとして認識されるというに相当することは、上記1の認定のとおりであるから、かかる請求人の主張については採用することができない。
イ 請求人は、「本願商標の継続的な使用の実績として、『水道公論』、『水道産業新聞』、『日本水道新聞』、『日本下水道新聞』、『水道協会雑誌』、『Water&Life』において宣伝広告を行っている(甲23ないし甲41)ことを鑑みれば、本願の指定商品に実際に使用し、請求人の商品を表すネーミングとして、一定の指標性及び業務上の信用を獲得している。」旨を主張している。
しかしながら、請求人の提出にかかる業界紙等の記事(甲4ないし甲9、甲11ないし甲15、甲17及び甲18、甲23ないし甲41)を徴するも、その宣伝広告は、ほとんど同じものと認められるが、例えば、甲第4号証によれば、「GX形管用栓」の文字は確認できるものの、鉄管に矢印を付して「GX形ダクタイル鉄管」、切管(寸法切りされた管)の接続部に矢印を付して「切管ユニット」、鉄管の先端の白色の栓部分に矢印を付して「GX形管用栓」という表示がなされていることから、これらは各構成部品を表したものと理解するのが自然である。
また、例えば、甲第8号証によれば、甲第4号証と近似する写真部分と商品説明部分よりなるところ、商品説明部分の「特長」とある説明文には、「1 GX形配管後、管路の水圧試験を行う際、受口に取り付ける栓として使用できます。・・・6 栓本体は直管、異形管兼用で直管用にはアタッチメント(連結バンド)がつきます。」のように表示されていることからすれば、該「栓」部分は「GX形管」に用いられるものであると理解するのが自然である。
そうとすれば、請求人の提出に係る宣伝広告を検討するも、上記1で述べたとおり、本願商標からは、「GX形管(GX形ダクタイル鋳鉄管)に用いられる金属製栓」であるという程の意味合いを理解させるに止まるものというのが相当であるから、請求人の上記主張を採用することはできない。
ウ 請求人は、過去の商標登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張している。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標の構成態様と指定商品との関係における取引の実情を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるものであるから、請求人が挙げた商標登録例の存在によって、前記判断は左右されるものではない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、拒絶の理由を覆すに足りない。
(3)まとめ
以上によれば、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。