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Trademark Appeal Case

商標不使用取消と使用の定義

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2011−300996(T2011−300996/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5143496号商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5143496号商標(以下「本件商標」という。)は、「KENGINE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年7月31日に登録出願、第9類「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,作業記録機」及び第42類「コンピュータならびにコンピュータプログラムの脆弱性に関する情報の提供,電子計算機用プログラムの故障診断ならびに保守に関する情報の提供」を指定商品及び指定役務として、同20年6月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

そして、本件審判の請求の登録は、平成23年11月14日にされたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品及び指定役務のうち、第9類「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、上記指定商品についての登録を取り消されるべきものである。

本件商標の商標権者は、そのホームページ(http://www.jpcert.or.jp/index.html)において、「KENGINE:VRDAフィードを活用し脆弱性対応のための意志決定支援を行う試行運用中のシステム」と記載しているが、このシステムは、2007年に開発されたことが記載されているものの、このシステムを譲渡・提供する窓口に関してはなんら記載がなく、譲渡・提供を行う意思が見られない。このことから本件商標は、継続して3年以上日本国内において使用されたことがないものと考えられる。

また、ホームページ中の「KENGINE」を表示する行為は、このシステムの譲渡・提供がなされていないので、単に「KENGINE」という表記がなされているにすぎず、商標法第2条第3項第1号、同第2号又は同第8号のいずれにも該当せず、ホームページ中の「KENGINE」は、商標として使われているものではない。

2 弁駁の理由

(1)被請求人は、乙第1号証から第3号証を提出して請求人の主張が事実に反していると主張している。しかしながら、被請求人のこの主張が事実に反しているものである。

(2)被請求人は、答弁書において本件審判の請求の登録前3年以内に登録商標を使用しているという説明は行っておらず、単に提出書類の説明と、「KENGINEの利用を継続している」という主張を行っているだけである。

(3)被請求人は、乙第1号証として事業説明書を、乙第3号証として納品書を提出している。乙第1号証の最終ページの右下に「KENGINE」という表示がある。

しかしながら、この表示は、商標法第2条第3項第1号ないし第7号に掲げられた使用の定義に該当しないことは明白であると共に、同項第8号の使用の定義にも該当しない。同法第2条第1項第1号において、商標とは業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの、と定義されているが、乙第1号証の「KENGINE」との表示の下側に記載された文章では、ナレッジエンジンの説明がなされているのみであり、この文章からは生産・証明・譲渡する商品が存することは理解できない。

そして、乙第1号証は、被請求人の事業説明書であるところ、事業内容は、「脆弱性情報のハンドリング(提供)、インターネット定点観測システムの運用、インシデントハンドリング(連絡・依頼)、早期警戒情報提供、海外CSIRT構築支援、アーティファクト分析」と明記されており、電子計算機用プログラムを生産・譲渡する事業はない。すなわち、この事業説明書は、「商品に関する広告」ではなく、「商品の取引書類」でもないから、商標法第2条第3項第8号に掲げられた使用の定義に該当しない。

また、「KENGINE」は、その直上の黒い正方形の図形と一体に表されており、「KENGINE」のみが独立して表示されているとは見えない。このことは、上下の“4つの三角形とWAISEとの組合せ”、“白い球に青い帯が巻き付いた図形とCyber Clean Center”という表示と比べても明らかなことである。つまり、この表示は、登録商標と社会通念上同一と認められる商標表示ではない。

乙第3号証には、「KENGINE」の表記自体がないので、商標の使用は、全く認められない。

(4)乙第2号証には、「KENGINE(TM)(上付き文字のTMを「(TM)」と表記する。以下同様。)試用版の利用に関する同意書(以下「同意書」という。)」と「KENGINE利用確認書(以下「確認書」という。)」が納められている。

同意書には、「KENGINE(TM)試用版を受領します」との記載と「2010年6月1日」との手書きの日付がある。しかしながら、この書類が実際に2010年6月1日に作成されたという証拠はない。また、「KENGINE(TM)試用版」が何であるか、すなわち、「電子計算機用プログラム、その他の電子応用機械器具及びその部品」に該当するのか否かも、この同意書からは判断できない。したがって、この同意書は、3年以内の登録商標の使用を証明していない。

確認書には、「KENGINE(ケンジン)を利用しております」との記載と「2011/12/19」との手書きの日付があります。しかしながら、「KENGINE(ケンジン)を利用しております」というのは、商標の使用には当たらない。また、「2011/12/19」との日付は、本件審判の請求の予告登録日よりも後である。したがって、この確認書は、3年以内の登録商標の使用を証明していない。

(5)上述のとおり、乙第1号証から第3号証には、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を第9類「電子計算機用プログラム、その他の電子応用機械器具及びその部品」に使用していることが示されていない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、その審判の請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、上記指定商品についての登録は取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

1 被請求人は、事業説明書を毎年度約1000部作成しており、ほぼ同数を年度内に事業関係者へ配布している。本説明書にはKENGINE(マルR)(○の中にRを表したものを「(マルR)」と表記する。以下同様。)と記載し、標章として使用しており必要に応じてその内容の説明をしている(乙第1号証)。

また、乙第3号証は、本説明書の作成に当たっての納品書(写し)である。

2 被請求人は、KENGINEについて、利用希望者の求めに応じて、KENGINEを配布している。利用開始に当たっては、同意書を取り付けている。また、今回の審判に際して、利用の確認を「KENGINE利用確認書」として改めて実施した(乙第2号証)。

3 被請求人は、KENGINEを被請求人が所有する技術を表す開発成果として認識している。KENGINEは、汎用性のある商品ではなく、情報セキュリティに関する脆弱性判断をサポートする専門家向けに開発されたプログラムである。よって、KENGINEの利用者は、数的に限定されたものとなるが、技術力を示すものとしての価値は有しており、KENGINE自体の利用者数の多寡がKENGINEの利用状況を表すものではないと考えており、利用を継続していることは、上記のとおり、明らかである。

4 まとめ

以上のとおり、請求人の主張は、事実に反しているものである。

第4 当審の判断

1 本件審判の請求について

商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては、その第2項において、その審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。

本件審判は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第9類「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」についての登録の取消しを請求されたものであり、これに対し、被請求人は、本件審判の請求は成り立たない旨答弁し、乙各号証を提出しているので、以下検討する。

2 乙各号証について

乙第1号証ないし乙第3号証によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証

乙第1号証は、被請求人(商標権者)自身の「事業説明書」とするものであるところ、その表紙には、「事業説明書」のタイトルとともに、右上方に「JPCERT CC」のロゴの記載、下方に「一般社団法人 JPCERT コーディネーションセンター」の記載がある。裏表紙には、「JPCERT CC」のロゴ及び「一般社団法人 JPCERT コーディネーションセンター」等の記載のほかに、「Copyright(マルC)(○の中にCを表したものを「(マルC)」と表記する。)2010 JPCERT/CC All rights reserved.」及び「JPCERT/CCおよびKENGINEロゴはJPCERTコーディネーションセンターの登録商標です。その他記載の社名、製品名は各社の商標または登録商標です。」の記載がある。

乙第1号証の最終ページの右下方には、「KENGINE」の文字が表示されており、その真上に黒い正方形の図形が表されている。その横に書された「脆弱性対策の意思決定支援システム」の項目名の下、「各組織における脆弱性関連情報への対策意思決定ルールや脅威分析評価基準に基づいて、その組織にとって最適な対策アクションを提示するナレッジ・エンジン。組織として一貫性のある脆弱性マネジメントの実施と効率化を支援します。」と記載されている。そして、このページの前のページからこのページにかけて「JPCERT/CCのさまざまな活動は、予防から事後対応に至る過程で必要となる具体的な対応に直結。先進の分析で、企業や組織の対策活動を支えます。」の表題の下、「脆弱性情報ハンドリング」、「インターネット定点観測システム」、「インシデントハンドリング」、「早期警戒情報提供」、「海外CSIRT構築支援」及び「アーティファクト分析」の項目名とその説明が記載されている。

(2)乙第2号証

乙第2号証中の「KENGINE(TM)試用版の利用に関する同意書」には、「私は、別紙『KENGINE(TM)試用版の利用に関する合意事項』記載の内容に同意し、KENGINE(TM)試用版を受領します。」の記載とともに、「日付:2010年6月1日」、「会社名:日本電信電話株式会社」及び「担当者:住本順一」の記載がある。同じく「KENGINE利用確認書」には、該表題の左上方に「JPCERTコーディネーションセンター 代表理事 歌代和正殿」の記載があり、本文として「当社は、脆弱性対応のための意思決定支援システムであるKENGINE(ケンジン)を利用しております。」と記載され、その下に「会社名 日本電信電話株式会社」、「所属部署 情報流通プラットフォーム研究所」、「氏名 住本順一」及び「(日付:2011/12/19)」が記載されている。

(3)乙第3号証

乙第3号証は、「事業説明書」(乙第1号証)を作成するに当たっての納品書(写し)とするものであるところ、「株式会社アデイ」から「商標権者(被請求人)」への納品書(写し)であると認められ、2010年11月16日付けのものには、業務欄に「事業説明書改訂版」、数量欄に「700部」の記載、2010年8月26日付けのものには、業務欄に「事業説明書(日本語)増刷」、数量欄に「300部」の記載、2009年11月13日付けのものには、業務欄に「事業説明書 改訂版」、数量欄に「500部」の記載がそれぞれされている。

3 本件商標の使用について

(1)上記2の事実からすると、以下のとおり判断するのが相当である。

ア 使用商標について

乙第1号証の最終ページの右下方には、「KENGINE(マルR)」の文字が表示されている。「KENGINE」の文字は、その直上に黒い正方形の図形が表されているものの、該文字のみが独立して認識され得ることも否定できないことから、「KENGINE」の文字部分を使用商標であるとみることができる。

してみれば、使用商標と標準文字により「KENGINE」と表された本件商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標ということができるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。

イ 使用商品及び使用商品と使用商標との関係について

乙第1号証において、使用商標に係る「脆弱性対策の意思決定支援システム」の項目における記載からは、該商標がいかなる商品又は役務への使用であるのか明確でなく、また、その関連の記載によっても同様であり、使用商標が請求に係る指定商品である「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」に使用していると認めることはできない。

そして、乙第1号証において、使用商標の請求に係る指定商品に使用していることが認められない以上、乙第2号証及び乙第3号証を併せみても、本件商標が請求に係る指定商品に使用されたということはできない。

(2)請求人は、「乙第1号証から第3号証には、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を請求に係る指定商品に使用していることが示されていない。」旨主張しているところ、被請求人は、請求人による当該主張に対して何らの具体的な答弁をせず、追加の証拠も提出していない。

(3)以上を踏まえれば、被請求人の提出に係る上記乙各号証によっては、本件審判の請求に係る指定商品である「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」について、商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を要証期間に日本国内において使用していたとはいえない。

4 まとめ

以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品である「電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品」について、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品について使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中「結論掲記の商品」について、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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