Trademark Appeal Case
要部抽出と称呼・観念類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2012−10826(T2012−10826/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第16類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品とし、平成23年5月11日に登録出願された商願2011−32007に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年11月7日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同24年1月16日付け手続補正書により、第16類「印刷物」と補正されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第5433128号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成22年11月29日に登録出願、第35類「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」その他商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同23年8月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、黒色の横長四角形中に、左側にいわゆるミルククラウンとおぼしき図形を描き、その右に「Milk Crown」のローマ字を横書きし、当該文字の下に、当該文字列の幅にそろえるように当該文字よりも小さな文字・記号にて「〜ミルククラウン 薔薇を愛するすべての腐女子へ〜」と表記してなるものである。
そして、本願商標中の「薔薇を愛するすべての腐女子へ」の部分は、「薔薇」について「『薔薇(ばら)』とは、いわゆるゲイ(Gay/カミングアウトした同性愛者)の事です。」(http://www.paradisearmy.com/doujin/pasok2o.htm)との記載及び「腐女子」の用語説明として「やおいやボーイズ・ラブ(BL)など、男性の同性愛を扱った小説やマンガを好む趣味をもつ女性のことを腐女子と呼ぶ。」との記載(現代用語の基礎知識2011年1月1日発行、同旨、読売新聞2008年4月23日付け東京夕刊5頁)からすれば、本願の指定商品「印刷物」の主題、内容を記述し、ひいては、そのような内容を愛好する者向けの書籍ほどの意味合いを認識させるにすぎず、この文字部分が商品の出所識別標識として機能するものとはいえない。
そうすると、本願商標は、その構成中の図形及びローマ字並びに「ミルククラウン」の片仮名に相応して「ミルククラウン」の称呼及び観念(ミルクの表面にミルクを一滴落としたときに出現する王冠状の形状)を生ずるものというのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「MilkCrown」のローマ字を同じ書体、同じ大きさ、等間隔に横書きし、「Milk」と「Crown」の間に「心斎橋」の文字と王冠状の図形とを二段に表してなるものである。
しかして、引用商標構成中の「心斎橋」の文字は、大阪市中央区にある繁華街の名称として知られている地名を認識させ、当該文字は、商品の販売場所などを表すものとして、把握、認識されるから、当該文字部分から商品の出所識別標識として称呼、観念を生ずるものではない。
そうすると、引用商標は、その構成中の図形及び「MilkCrown」の文字部分に相応して「ミルククラウン」の称呼及び観念(ミルクの表面にミルクを一滴落としたときに出現する王冠状の形状)を生ずるものというのが相当である。
(3)本願商標と引用商標との類否
ア 外観の対比
本願商標と引用商標とは、その全体を観察するならば、外観における差異を有するものである。しかしながら、本願商標と引用商標を構成する「MilkCrown」の文字は、書体及び色彩の相違があるとしても、そのつづりを共通にするものである。加えて、本願商標の図形部分も引用商標の図形部分も、王冠状の図形であることを共通にするものである。さらに、前記(1)のとおり、本願商標中の「薔薇を愛するすべての腐女子へ」の部分は、商品の出所識別標識として機能する部分とはいえず、この部分を引用商標と対比するのは適切なものとはいえない。
イ 称呼の対比
本願商標と引用商標の称呼を対比すると、両商標は、「ミルククラウン」の称呼を共通にするから両商標は、称呼上類似する。
ウ 観念の対比
本願商標と引用各商標の観念を対比すると、両商標は、「ミルククラウン」(ミルクの表面にミルクを一滴落としたときに出現する王冠状の形状)の観念を共通にするものであるから、両商標は、観念上類似する。
エ 類否判断
本願商標と引用商標とは、両商標の全体の外観に差異を有するとしても、「MilkCrown」の文字と王冠状の図形から構成されている商標であるとの共通性もある。そして、両商標の称呼及び観念が共通であることをも考慮して両商標を全体的に考察すれば、本願商標は出所の混同を生じるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。そして、前記の判断を左右するに足りる取引の実情も本件については見当たらない。
以上からすれば、本願商標と引用商標とは、類似の商標というべきであって、かつ、本願商標の指定商品は、引用商標の指定役務と類似のものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
請求人は、引用商標は、左側の「Milk」と、中央部の王冠図形及びその上部の「心斎橋」と、右側の「Crown」から構成される一体的な結合商標である。他方、本願商標は、「MilkCrown」を一連に横書き(但し、大文字の「M」及び「C」は黄色で強調した)しているものである。したがって、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念の何れにおいても相異なるものであって、需要者に対して明らかに異なる印象を与える。その上、本願商標と引用商標とでは、各々の図形部分の形態及び着色態様においても著しい差異がある。したがって、本願商標は、引用商標とはその外観・称呼・観念の何れにおいても需要者が出所混同を生じるほどに相紛らわしいものではなく、引用商標とは非類似である旨、また、本願商標中には、「ミルククラウン 薔薇を愛するすべての腐女子へ」という呼びかけ部分が存在し、本願商標の特別顕著性を更に強調する旨主張する。
しかしながら、引用商標が中央部に王冠状の図形と「心斎橋」の文字を有するとしても、「心斎橋」は、前記(2)のとおり、商標として機能する部分ではなく、王冠状図形も「MilkCrown」の文字とあいまって、「ミルクの表面にミルクを一滴落としたときに出現する王冠状の形状」と把握、認識されるものというのが相当である。加えて、引用商標は同一の色彩で表され、かつ、「MilkCrown」の文字も前記2のとおり、同じ書体、同じ大きさで表されているものである。したがって、「心斎橋」や王冠状の図形部分が中央に配されているからといって、引用商標を殊更、「ミルクシンサイバシクラウン」と称呼するとか、「Milk」と「Crown」のつながりが希薄であるとの請求人の主張は、あまりにも形式的かつ不自然なものというべきである。むしろ、引用商標からは、自然に「ミルククラウン」の称呼と観念が生ずるものというべきである。
また、本願商標を構成する「MilkCrown」については、「M」と「C」の文字は他の文字よりやや濃いめに黄色の色彩が付加されているものの、全体としても黄色がかった着色がされているとみるのが自然であって、格別特異な着色態様であるとも言い難い。さらに、本願商標の図形部分も引用商標の図形部分とは描き方は相違するものの、いずれも王冠の形状を描いたものであると看取され、本願商標、引用商標のそれぞれの「MilkCrown」の文字部分とあいまって、「ミルククラウン」を表した図形と認識されるというのが相当である。
そうすると、本願商標と引用商標とを特異な図形、着色態様による相違から類似しないものであるということはできない。
さらに、本願商標中に「ミルククラウン 薔薇を愛するすべての腐女子へ」が存し、引用商標には存しない、と請求人は主張するが、前記(1)のとおり、当該文字中の「薔薇を愛するすべての腐女子へ」は、商品の出所識別標識として機能するものではないから、当該文字部分の存在により、本願商標と引用商標の類否判断が左右されるものではない。
したがって、前記の請求人の主張は、いずれも理由がなく採用することはできない。
(5)結語
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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