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Trademark Appeal Case

「METRO」商標と役務の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2012−890013(T2012−890013/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5426326号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成23年1月20日に登録出願,同23年6月8日に登録査定がなされ,第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,録音済みCD−ROM・DVD・ビデオディスク及びビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同23年7月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標は,以下の1ないし9のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。

1 登録第4286675号商標(以下「引用商標1」という。)

「メトロ」の文字を標準文字により表してなり,平成10年5月18日に登録出願,同11年5月19日に登録査定がなされ,第30類「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」及び第31類「ごま,そば,麦,飼料用たんぱく,種子類,飼料,木,草,芝,苗木,花,盆栽」を指定商品として,同11年6月25日に設定登録されたものである。

2 登録第5124733号商標(以下「引用商標2」という。)

「METRO」の文字を標準文字により表してなり,平成19年4月2日に登録出願,同20年2月18日に登録査定がなされ,第35類「せっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同20年4月4日に設定登録されたものである。

3 登録第5124736号商標(以下「引用商標3」という。)

「METRO」の文字を標準文字により表してなり,平成19年4月2日に登録出願,同20年2月18日に登録査定がなされ,第35類「たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同20年4月4日に設定登録されたものである。

4 登録第5136025号商標(以下「引用商標4」という。)

「METRO」の文字を標準文字により表してなり,平成19年4月2日に登録出願,同20年4月11日に登録査定がなされ,第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同20年5月23日に設定登録されたものである。

5 登録第5174539号商標(以下「引用商標5」という。)

「METRO」の文字を標準文字により表してなり,平成19年4月2日に登録出願,同20年9月9日に登録査定がなされ,第35類「合成材料製クリスマスツリー・クリスマスツリー用装飾品(イルミネーション用品・菓子類を除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花火おもちゃの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同20年10月17日に設定登録されたものである。

6 登録第5204837号商標(以下「引用商標6」という。)

「METRO」の文字を標準文字により表してなり,平成19年4月2日に登録出願,同20年12月24日に登録査定がなされ,第35類「紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙製又は段ボール製の包装用材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,書画・絵画・写真等の壁掛け用フレームの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同21年2月20日に設定登録されたものである。

7 登録第5352663号商標(以下「引用商標7」という。)

別掲(2)のとおりの構成からなり,平成19年4月2日に登録出願された商標登録願2007−31901号の商標法第10条第1項の規定に基づく同22年6月21日に登録出願,同22年7月12日に登録査定がなされ,第35類「酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同22年9月10日に設定登録されたものである。

8 登録第55406918号商標(以下「引用商標8」という。)

別掲(2)のとおりの構成からなり,平成19年4月2日に登録出願,同23年2月9日に登録審決がなされ,第35類「台所用器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,金銭登録機の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同23年4月15日に設定登録されたものである。

9 登録第5411452号商標(以下「引用商標9」という。)

別掲(2)のとおりの構成からなり,平成19年4月2日に登録出願された商標登録願2007−31904号の商標法第10条第1項の規定に基づく同22年6月21日に登録出願,同23年3月31日に登録査定がなされ,第35類「手動工具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品(野外バーベキュー用鉄板,バーベキューグリル,バーベキュー用トングを含む)・清掃用具・洗濯用具・紙製又は段ボール製食器・飲用コップの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同23年5月13日に設定登録されたものである。

以下,これらを総称するときは,単に「引用商標」という。

第3 請求人の主張

請求人は,本件商標の登録は無効とする,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号該当について

(1)商標の類否

本件商標は,白抜きにした欧文字「AUTO」と「METRO’S」を二段に書したものであるが,構成全体として特定の熟語的意味合いを形成するものではなく,上段と下段は,分離して観察することができる。

また,「AUTO」は,英語で「自動の」の意味合いを有するが,本件商標の指定役務との関係では,サービスの過程等を自動で行うことを感得させるため,当該部分は,出所識別標識としての機能が無いか極めて弱い。

さらに,「’S」は,「〜の」の意味合いを有する所有格を表す記号及び文字にすぎないから,本件商標の要部は,「METRO」であるといえる。 よって,本件商標からは,「メトロ」の称呼を生じる。

これに対し,引用商標からも「メトロ」の称呼を生じ,本件商標と引用商標とは,称呼が同一である。

また,本件商標の要部である「METRO」と,引用商標2ないし9は,外観が類似する。

さらに,本件商標の要部「METRO」からは,「地下鉄,市庁」の観念を生ずるが,引用商標からも「地下鉄,市庁」の観念が生じ,両者は,観念も類似する。

以上より,本件商標と引用商標は,類似する。

(2)指定商品・役務の類否

本件商標の指定役務中,「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標1の指定商品に類似する。

本件商標の指定役務中,「薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標2の指定役務に類似する。

本件商標の指定役務中,「たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標3の指定商品と同一である。

本件商標の指定役務中,「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標4の指定役務と同一又は類似である。

本件商標の指定役務中,「運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標5の指定商品に類似する。

本件商標の指定役務中,「印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標6の指定商品に類似する。

本件商標の指定役務中,「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標7の指定役務に類似する。

本件商標の指定役務中,「手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は,引用商標8及び9の指定役務に類似する。

(3)結論

したがって,本件商標と引用商標は,商標が類似し,その指定商品も同一又は類似である。

2 むすび

したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,同法第46条第1項の規定により,無効とすべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,かご字風にやや図案化された「AUTO」と「METRO’S」の欧文字を上下二段に表してなるものであるところ,下段の「METRO’S」の文字は,その構成及び後述する「METRO’S」商標の著名性などからみれば,独立して看者の注意を引き,かつ,自他役務の識別標識としての機能を果たすと認められるものである。

ところで,「METRO’S」商標は,被請求人が運営する旅客鉄道事業における地下鉄路線各駅の構内で,そこに設置した一般売店に使用する商標として採択し,平成2年12月に使用を開始して以来,21年以上にわたり,一貫して「メトロス」の呼称をもって使用をしてきているものであり(乙1〜4),平成2年12月の使用開始時には,「METRO’S」商標を看板等に表示した売店が地下鉄各駅構内に172店舗(平成21年9月現在,193店舗)設置されていた。

そして,当該地下鉄路線は,東京23区及びその付近を走行区域としているが,路線数は,銀座線・日比谷線等の9路線に及び,その利用者は,平成20年度・延べ23億2100万人,平成19年度・延べ約22億7600万人に上るものである(乙5)。

そうとすると,前記の事情を総合して勘案すれば,「METRO’S」商標は,その登録出願時はもとより,それ以前から被請求人が運営する地下鉄各駅構内の売店を表示する商標として周知著名になっていたことは,顕著な事実といい得るものであり,当該「METRO’S」の文字からは,「メトロス」以外の称呼は生じ得ない。

3 本件商標と引用商標との類否について

本件商標は,その構成文字全体に相応して「オートメトロス」の称呼を生ずるほか,前記「2」の実情を踏まえれば,被請求人の著名商標たる下段の「METRO’S」の文字部分から,「メトロス」(被請求人が運営する地下鉄各駅の売店名)の称呼,観念を生ずるものである。

他方,引用商標は,前記のとおり,「メトロ」又は「METRO」の文字を表してなるものであるから,「メトロ」(地下鉄)の称呼,観念を生ずるものである。

そこで,本件商標より生ずる「メトロス」と引用商標より生ずる「メトロ」の称呼を比較すると,両称呼は,末尾における「ス」の音の有無に差異を有するものである。そして,該差異音の「ス」は,舌端を前硬口蓋に寄せて発する無声の歯音であって,比較的響きの弱い音であるとしても,前音の「ロ」が歯茎音の中では最も弱い音であるところから,その音に吸収されることなく明瞭に発音され,聴取されるといい得るものである。

そうとすると,当該「メトロス」と「メトロ」の称呼は,「ス」の音の有無が末尾における差異とはいえ,両称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえないから,前者が4音,後者が3音となる音数の差及び短い音構成であることも併せ考慮すれば,それぞれ一連に称呼しても,その語感,語調においてかなりの程度異なるものとなり,互いに聴き誤るおそれはない。

また,本件商標は,その構成中の「METRO’S」の文字が,被請求人が運営する地下鉄各駅の「売店名」として広く一般に親しまれているのに対して,引用商標は,「地下鉄」を意味する平易な外来語(英語)であるから,観念の点においては,明らかに相違するものであり,両商標は,それぞれの構成より見て,外観上も容易に区別し得るものである。

したがって,本件商標と引用商標とは,その称呼,観念及び外観のいずれの点よりみても,相紛れるおそれのない,非類似の商標というべきものである。

2 結論

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから,同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすべきでない。

第5 当審の判断

本件商標は,別掲(1)に示したとおり,上段に「A」,「U」,「T」のかご文字(AUは細字輪郭,Tは太字輪郭)と三重円を配し,下段に三重円とアポストロフィー「’」を含む「M」,「E」,「T」,「R」,「S」のかご文字(MRSは細字輪郭,ETは太字輪郭)を配した構成からなるところ,上下の三重円は,「自動の」の意味を有する親しまれた英語「AUTO」と「地下鉄」の意味を有する親しまれた英語「METRO」の「O」の位置に配されていることから,これらは,「AUTO」と「METRO’S」の文字からなるものと容易に認識し得るものである。

そして,その「AUTO」と「METRO’S」の各文字部分は,同様のかご文字と三重円の組み合わせからなり,上下段が僅かな隙間をもって,全体で台形を形成するかのように配置され,看者にまとまりよく一体的な印象を与えるものであり,また,その構成全体から生ずる「オートメトロ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

そうすると,本件商標は,全体をもって親しまれた意味合いが生ずるものではないとしても,外観の一体性及び称呼の簡潔さを考慮すれば,構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと把握,認識されるとみるのが相当であり,これからは,全体から生ずる「オートメトロス」の称呼のみを生じ,特に観念は生じないものとみるのが自然である。

他方,引用商標1は,「メトロ」の片仮名からなるものであり,引用商標2ないし6は,「METRO」の欧文字からなるものであり,また,引用商標7ないし9は,別掲(2)のとおり,紺色の横長長方形内に黄色の「METRO」の文字を配してなるものであるから,引用商標からは,それぞれの構成文字に相応して,「メトロ」の称呼及び「メトロ(地下鉄)」の観念を生ずるものである。

そこで,本件商標と引用商標を比較すると,両商標の外観は,それぞれの構成に照らし明らかに相違するものである。

次に,称呼についてみると,本件商標から生ずる「オートメトロス」の称呼と引用商標から生ずる「メトロ」の称呼とは,その構成音及び構成音数に明らかな差異が認められ,それぞれ一連に称呼した場合であっても,判然と聴別し得るものである。

さらに,観念においては,本件商標から格別の観念が生じないから,引用商標と比較すべきところがない。

してみれば,本件商標と引用商標とは,その外観,称呼及び観念のいずれからみても,何ら相紛れるおそれのない,非類似の商標である。

したがって,本件商標は,指定商品又は指定役務の類否について論及するまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 むすび

以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項の規定に違反して登録されたものでないから,同法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすべきでない。

よって,結論のとおり審決する。

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