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Trademark Appeal Case

代理人冒認出願の取消

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2010−301296(T2010−301296/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4973770号商標(以下「本件商標」という。)は、「RINSPEED」の欧文字及び「リンスピード」の片仮名を上下二段に表示してなり、平成17年12月27日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品として、平成18年7月28日に設定登録され、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第53条の2の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び上申の内容を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標(審決注:「引用商標」の誤記と認める。)は、2005年7月21日付(審決注:甲第3号証及び特許庁ホームページから確認できる商標関係の公報に掲載される書誌事項を識別するためのコードであるINIDコード(ST.60)によれば、[151]は、登録日を表すことから、ドイツ連邦共和国における登録日は、「2005年6月30日」の誤記と認める。)で、ドイツ連邦共和国にて登録番号30523891号のもとに登録され、さらに同商標はパリ条約の同盟国及び世界貿易機構(WTO)の加盟国であるスイス連邦において登録番号967534号(審決注:スイス連邦における登録番号は、「571386号」の誤記と認める。)のもとに登録されている。

ドイツ連邦共和国の商標登録権者は、リンスピード エージー(Rinspeed AG)(以下「RAG」という。)であり、国際登録での商標登録権者は、請求人リンスピード コレクション エージー(以下「コレクションAG」という。)であり、被請求人である株式会社ティーエスエムは、正当な理由がないにもかかわらず、平成17年(2005年)12月28日同一の商標を商標登録番号第4973770号のもとに日本で登録した。その登録は商標法第53条の2の規定により取り消されるべきである。

2 平成23年6月21日差出しの上申書の内容

現在当事者間で商標権の移転手続が開始されたので、本件取消審判の手続を一時中止するよう上申する。

3 平成24年3月14日差出しの上申書の内容

当事者間での商標権の移転手続を開始したが、当方の再三にわたる要請に対しても、被請求人の協力が得られない。よって、一時中止していた本件取消審判の手続を再開するよう上申する。

第3 被請求人の主張

被請求人は、要旨次のように述べる上申書のみを提出した。

1 平成23年2月14日付け上申書の内容

被請求人の代表者がヘルニア治療で海外長期療養中であったため、確認したのが、2月8日であった。ついては、誠に勝手ながら答弁書などの資料提出期限の一ヶ月の延期をお願いする。

2 平成23年6月21日差出しの上申書の内容

現在当事者間で商標権の移転手続が開始されたので、本件取消審判の手続を一時中止するよう上申する。

第4 当審の判断

1 商標法第53条の2は、「登録商標がパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締結国において商標に関する権利(商標権に相当する権利に限る。)を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務を指定商品又は指定役務とするものであり、かつ、その商標登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであるときは、その商標に関する権利を有する者は、当該商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定し、パリ条約6条の7の規定を実施するため、すなわち、他の同盟国等で商標に関する権利を有する者の保護を強化し、公正な国際的取引を確保するために設けられた規定と解される。

そこで、本件商標の登録が、上記条項の要件を満たすものであるか否かについて、以下検討する。

2 事実認定

(1)甲第1号証は、請求人「RAG」と被請求人(以下「TSM」ということがある。)との2006年9月9日付け「合意書」であるところ、その訳文には、「1 前文」の欄に、「・・・TSMはリンスピード(原文には、「Rinspeed」と記載されている。)という同語をデザインロゴ商標として使用することを欲し、そして、そのデザインの車輪を製造及び販売しようとしており、非専属的な使用許諾を取得したいと欲する。」、「2 許諾」の欄に、「1.RAGは、TSMに対し、デザイン及び商標を使用することを許諾し、最大3年間サイズとして16、17、18及び19及び15の車輪を製造し、販売することを認めた。2.許諾の期間は、2007年4月1日か、またはそれ以前から開始し、2010年3月31日までとする。」等の記載がある。

(2)甲第2号証は、請求人「RAG」と被請求人との2008年4月3日付け「合意書」であるところ、その訳文には、「1 前文」の欄に、「RAGは、車輪の製造並びに『リンスピード』(原文には、「Rinspeed」と記載されている。)という商標の使用に関して2006年9月9日にTSMとのライセンス契約に署名した。」、「3 本題」の欄に「2006年12月27日、TSMはRAGに知らせることもその同意もなしに、『リンスピード』(原文には、「Rinspeed」と記載されている。)を日本で分類12類に商標登録をした。その登録は2006年7月28日に確認された。TSMは、この商標登録の取消を直ちに行うか、あるいは、制限をつけたり費用請求したりすることなしに、速やかにそれをRAGに譲渡することをここに宣言する。」等の記載がある。

(3)甲第3号証は、ドイツ連邦共和国の登録証明書であるところ、その訳文には、「登録番号 30523891」、「登録日 2005年6月30日」、「商標 リンスピード」(原文には、「Rinspeed」と記載されている。)、「現在の商標権者の名前と住所/リンスピードAG、スイス連邦ツォミコン」及び「商品/役務の種類12 陸上、空中、又は水上の移動用の装置、乗り物及びそれらの部品(本類に属するもの)」等の記載がある。

(4)甲第4号証は、世界知的所有権機関の登録証明書であるところ、その訳文には、「世界知的所有権機関の国際事務所は、この証明書に記載されている情報は、マドリッド協定議定書にしたがって為された国際登録に登録されていることを証する。」、「967534」、「登録日 2008年5月6日」、「リンスピードコレクションAG」、「スイス連邦 ツォリコン 8126 ストラベナシェール 2−4」、「Rinspeed」、「銘柄の性質や商標のクラス:9 科学用・航海用・測量用・写真用・映画用・光学用・計量用・測定用・信号用・検査(監視)用・救命用及び教育用の機器、伝導用・配電用・変圧用、蓄電用・調節用又は制御用の電気機器、音響又は映像の記録用・送信用及び再生用の装置、磁気記録媒体、記録用のディスク、自動販売機及び硬貨作動式機械用の始動装置、金銭登録機、計算機、データ処理装置及びコンピュータ装置、消火器/12 陸上、空中、又は水上の移動用の乗物及びそれらの部品(本類に属するもの)/14 貴金属及びその合金並びにこれらの材料よりなる又はこれらで被覆した製品であって他の類に属しないもの、宝飾品、宝玉、宝玉の原石、計時用具」、「スイス連邦における基本登録 2008年3月28日 571386」、「パリ条約における優先権に関する情報/スイス連邦 2008年3月28日 571386」及び「マドリッド協定における呼称(審決注:マドリッド協定議定書による領域指定」の誤記と認める。)ヨーロッパ連合、アメリカ(原文には、「Etats−Unis d’Amerique(Etatsとd’Ameriqueの最初のeには、アクサン記号が付されている。)」と記載され、英語訳文には、「United States of America」と記載されている。)、日本」等の記載がある。

3 判断

(1)請求人はパリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有するか否か

請求人が提出した証拠(甲第3号証)によれば、請求人「RAG」は、パリ条約の同盟国等と認められるドイツ連邦共和国において、登録番号30523891号(以下「引用商標1」という。)について商標権を有している者である。

請求人が提出した証拠(甲第4号証)によれば、請求人「コレクションAG」は、パリ条約の同盟国等と認められるスイス連邦において、登録番号571386号について商標権を有している者である。

そして、請求人「コレクションAG」は、スイス連邦における上記の登録(登録番号571386号)を基礎としたマドリッド協定議定書に基づく国際登録出願(国際登録番号967534号)(以下「引用商標2」という。)を行って、アメリカ合衆国等を領域指定している。

してみれば、上記の両請求人は、いずれもパリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者である。

以下、引用商標1及び2を併せていうときは、「引用各商標」という。

(2)本件商標と引用各商標との類否について

ア 本件商標について

本件商標は、上記第1のとおり、「RINSPEED」の欧文字及び「リンスピード」の片仮名を上下二段に表示してなり、平成17年12月27日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品とするものである。

イ 引用各商標について

引用商標1は、「Rinspeed」の欧文字を表示してなり、第12類「陸上、空中、又は水上の移動用の装置、乗り物及びそれらの部品(本類に属するもの)」を指定商品とするものである。

引用商標2は、「Rinspeed」の欧文字を表示してなり、第9類「科学用・航海用・測量用・写真用・映画用・光学用・計量用・測定用・信号用・検査(監視)用・救命用及び教育用の機器、伝導用・配電用・変圧用、蓄電用・調節用又は制御用の電気機器、音響又は映像の記録用・送信用及び再生用の装置、磁気記録媒体、記録用のディスク、自動販売機及び硬貨作動式機械用の始動装置、金銭登録機、計算機、データ処理装置及びコンピュータ装置、消火器」、第12類「陸上、空中、又は水上の移動用の装置、乗り物及びそれらの部品(本類に属するもの)」及び第14類「貴金属及びその合金並びにこれらの材料よりなる又はこれらで被覆した製品であって他の類に属しないもの、宝飾品、宝玉、宝玉の原石、計時用具」を指定商品とするものである。

ウ 類否について

本件商標は、「RINSPEED」の欧文字及び「リンスピード」の片仮名を上下二段に表示した構成であるのに対し、引用各商標は、いずれも「Rinspeed」の欧文字を表示した構成よりなるものであるところ、本件商標の欧文字部分と引用各商標とは、大文字と小文字の違いはあるものの、綴り文字を共通にする商標である。

また、本件商標と引用各商標とは、いずれも「リンスピード」と称呼され得るものである。

してみると、本件商標は、引用各商標と外観上「RINSPEED」又は「Rinspeed」の綴り文字を共通にするだけではなく、本件商標及び引用各商標の構成から生ずる「リンスピード」の称呼を共通にする類似の商標と認められる。

そして、本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品及び引用商標2の指定商品中、第12類「陸上、空中、又は水上の移動用の装置、乗り物及びそれらの部品(本類に属するもの)」を包含している。

(3)代理人又は代表者について

ア 代表者について

請求人の主張及びその提出した証拠によれば、被請求人は、請求人「RAG」及び請求人「コレクションAG」の代表者ではないことが明らかである。

その他、被請求人が、本件商標の登録出願の日又はその登録出願の日前1年以内に請求人「RAG」及び請求人「コレクションAG」の代表者であった者と認めるに足りる証拠の提出はない。

したがって、本件商標の登録出願は、その商標に関する権利を有する者(上記の両請求人)の代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代表者であった者によってされたものであるということはできない。

イ 代理人について

本件商標は、平成17年(2005年)12月27日に登録出願されたものである。

(ア)請求人「RAG」と被請求人との代理関係

請求人「RAG」と被請求人との「デザイン及び商標を使用することを許諾し、最大3年間、車輪を製造し、販売することを認めた。」旨の合意は、本件商標の登録出願の日より後の2006年9月9日になされているものであるから、請求人RAGと被請求人との間には、本件商標の登録出願の日又はその登録出願の日前1年以内において、商標の使用を許諾する旨の合意が存在しなかったものというのが相当である。

したがって、本件商標の登録出願は、請求人「RAG」の代理人又は本件商標の登録出願の日前1年以内に代理人であった者によってされたものであるということはできない。

(イ)請求人「コレクションAG」と被請求人との代理関係

請求人が提出した証拠によれば、被請求人が、本件商標の登録出願の日又はその登録出願の日前1年以内に請求人「コレクションAG」の代理人であった者と認めるに足りる証拠の提出はない。

加えて、請求人「コレクションAG」がアメリカ合衆国において有する商標に関する権利(引用商標2)は、2008年3月28日をパリ条約における優先権主張の日として、スイス連邦における登録(登録番号571386号)を基礎として、2008年5月6日に登録されたものであるところ、これらの日付は、いずれも本件商標の登録出願の日より後の日付であるから、この点からみても、被請求人が本件商標の登録出願の日又はその登録出願の日前1年以内に請求人「コレクションAG」の代理人であった者と認めることはできない。

ウ 小活

したがって、本件商標の登録出願は、商標に関する権利を有する者(請求人「RAG」及び請求人「コレクションAG」)の代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであるということはできない。

3 まとめ

以上のとおり、本件商標は、パリ条約の同盟国等において登録されている引用各商標と類似する商標であって、その指定商品において、引用各商標に係る商品と同一又は類似する商品を包含しているとしても、本件商標の登録出願は、商標に関する権利を有する者(上記の両請求人)の代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであるということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第53条の2第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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