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Trademark Appeal Case

著名商標と結合商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−22666(T2011−22666/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「江頭エーザイ」の文字を標準文字で表してなり、第44類「調剤,健康診断,栄養の指導,介護,医療用機械器具の貸与,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,美容,理容,入浴施設の提供」を指定役務として、平成23年3月11日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、医療品メーカーである『エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社』(東京都文京区小石川4−6−10)の著名な略称である『エーザイ』の文字を有してなるものであり、また、『江頭』がありふれた氏の一つであることからすると、本願商標は称呼上も外観上も『江頭』と『エーザイ』との間で自然に区切って称呼、認識されると認められるため、取引者、需要者が本願商標に接すれば、本願商標から、前記会社の略称としての『エーザイ』を連想するというべきであるから、出願人が本願商標をその指定役務について使用するときには、それが恰も前記会社、或いはこれと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について誤認を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯

当審判体は、平成24年6月13日付けの証拠調べ通知書により、請求人に対し、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かについて、別掲のとおり、本願商標を構成する「エーザイ」の文字がエーザイ株式会社(東京都文京区小石川4−6−10)の著名な略称である事実、並びに、同社の子会社・関連会社の名称中に「エーザイ」の文字が使用されている事実を挙げて、意見を求めたところ、請求人は、平成24年7月17日付けの意見書を提出した。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第15号の該当性について

商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」については、判例(平成12年7月11日最高裁判所第三小法廷判決、平成10年(行ヒ)第85号)が、「『混同を生ずるおそれ』の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。」と判示しているところである。

これを本件についてみると、次のとおりである。

ア 「エーザイ」の文字の周知、著名性について

「エーザイ」の文字(以下「引用商標」という。)については、別掲の証拠調べ通知において示した事実より、エーザイ株式会社の略称であって、同社の業務に係る「薬剤」の分野で、相当程度の売上高があり、同社の商標として使用され、高い認知度を得ていることから、我が国の取引者、需要者一般に広く親しまれたものということができる。

イ エーザイ株式会社のグループ会社による引用商標の使用について

引用商標は、別掲の証拠調べ通知において示したとおり、エーザイ株式会社の複数の子会社・関連会社の名称中に使用されている。

ウ 本願商標と引用商標の類似性の程度

本願商標は、前記1のとおり、「江頭エーザイ」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標を構成する「江頭」の文字は氏を表すものであって、自他役務の識別標識としての機能はないか又は極めて弱いものといえる一方、「エーザイ」の文字は、前記アで説示したとおり、周知著名性を有する商標であるから、本願商標は、強く支配的な印象を与える「エーザイ」の文字部分をもって取引に当たることも決して少なくないものというのが相当である。

そうすると、本願商標は、当該「エーザイ」の文字部分に相応して「エーザイ」の称呼をも生じ、エーザイ株式会社の著名なブランドとしての「エーザイ」の観念をも生ずるものというのが相当である。

他方、引用商標は、その構成に相応して「エーザイ」の称呼、エーザイ株式会社の著名なブランドとしての「エーザイ」の観念を生ずるものである。

してみれば、本願商標と引用商標とは、「エーザイ」の綴りを同じくする点で外観上も近似するものであり、「エーザイ」の称呼及びエーザイ株式会社の著名なブランドとしての「エーザイ」の観念を共通にするものである。

よって、本願商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしい類似の商標であるというのが相当である。

エ 商品と役務の関連性及び取引者、需要者の共通性について

本願の指定役務は、前記1のとおり、「調剤」を含むものであるところ、「調剤」については、エーザイ株式会社の業務に係る商品である「薬剤」とその提供場所(調剤薬局)を共通にするものである。

また、本願の指定役務の提供を受ける最終消費者は、一般的な消費者ということができ、エーザイ株式会社の業務に係る「薬剤」の最終消費者も、一般的な消費者であるということができるから、その需要者も共通であるということができるものである。

そうとすると、本願の指定役務とエーザイ株式会社の業務及び同社の業務に係る商品は、販売・提供場所、取引者、需要者の範囲が一致し、極めて密接な関連性を有するものというべきである。

オ 小括

本願の指定役務の取引者、需要者において普通に払われる注意力を基準として、以上のアないしウを総合的に判断するならば、本願商標を請求人がその指定役務について使用するときは、これに接する取引者、需要者が、周知著名性を有する引用商標を想起、連想し、同社の子会社・関連会社には、その名称中に「エーザイ」の文字を使用する会社が複数あることも相まって、その役務が、あたかもエーザイ株式会社又は同社と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、自身の名称の由来を述べつつ、「エーザイ」の文字はそもそも「衛生材料」なる文字の略称「衛材」を片仮名化したに過ぎず、本来的に識別力が弱いから、「エーザイ」の文字部分が要部になることはあり得ない旨を主張する。

しかしながら、上記(1)のとおり、本願商標は、強く支配的な印象を与える「エーザイ」の文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないものとみるのが相当であるから、当該文字部分を引用商標との類否の対象とすることも本件においては適切なものというべきである。

また、本願の出願時及び審決時において、「エーザイ」が「衛生材料」の略称「衛材」の片仮名表記として、取引上一般に使用されている証拠は見出せない。

イ 請求人は、過去の登録例を挙げ、本願も同様に取り扱われるべきである旨を主張する。

しかしながら、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かの判断要素である対比される引用商標との類否については、本願商標の具体的な構成態様とその指定役務に基づいて個別かつ具体的に判断をなすべきものであるから、他の事例が本件の判断に影響を与えるものではない。

したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第15号に該当するとした原査定の拒絶の理由は妥当なものであって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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