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Trademark Appeal Case

論点抽出失敗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2012−3275(T2012−3275/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第16類に属する願書に記載されたとおりの商品を指定商品として、平成23年4月5日に立体商標として登録出願、その後、指定商品については、同年10月4日付けの手続補正書により、第16類「あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,名刺裁断機,事務用紙裁断機,郵便料金計器,硬貨の選別用及び計数用のトレイ,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,塗装工用ブラシ,筆記用具,絵画用材料,印章入れ,鉛筆削り(電気式のものを除く。),クリップ,消しゴム,定規,状差し,書類挟み,接着テープディスペンサー,筆立て,ホッチキス(電気式のものを除く。),事務用パンチ,ブックエンド,名刺を整理保存するホルダー,その他の文房具類,卓上式カレンダー,写真立て」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その指定商品中『鉛筆削り(電気式のものを除く。)』との関係において、該商品の正面上部(鉛筆固定用の部分)の形状を立体的に表したといえるものであって、同種の商品が上記部分の形状として採用し得る立体的形状の範囲を超えているとはいえないものであるから、これを前記指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品の上記部分の形状を表示したものと認識するにとどまるというのが相当である。そうとすれば、本願商標をその指定商品中『鉛筆削り(電気式のものを除く。)』に使用するときは、単に商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示するものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるところ、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品の出所を表示する自他商品の識別標識として採択されるものではない。

そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するにとどまり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。

また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。

そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。

(2)これを本願についてみれば、本願商標は、別掲のとおり、「鉛筆削り」の一部分の形状を表した立体的形状といえるものであるところ、本願指定商品中の「鉛筆削り(電気式のものを除く。)」についていえば、基本的な構成は、同様の形状であっても、その用途、機能によって、様々な形態の商品が作られ、販売されている実情にあるといえるものである。

ところで、請求人の主張によれば、請求人が製造販売している「鉛筆削り」の正面部分上部(鉛筆固定用の部分)の形状を立体的に表した形状であるとのことであるが、そうであるならば、本願商標の立体的形状は、請求人の鉛筆削りの部品の形状であって、鉛筆削りという商品の一部分であり、商品には、「部品及びその付属品」が含まれるというのが相当であるから、これが、鉛筆削りという商品に含まれていないということにはならないものである。

そして、商品には、「部品及びその付属品」が含まれるというのが相当であるから、鉛筆削りの一部分であるとされる本願商標は、鉛筆削りという商品の一部分の立体的形状といわざるを得ないものである。

そうすると、本願商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであって、手動式の鉛筆削りのチャックカバーとして使用される立体的形状であるとしても、このような鉛筆削りについての、中央に鉛筆差込み穴を有し、鉛筆を収容し固定するためのカバーであり、上端に2つの摘み部を突出させたものが基本的な構成で、商品の機能又はそれに伴う形状は、多少特異なものであっても、未だ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解することは、前記(1)のとおりであるから、これはその商品の機能を発揮させるものの範囲というべきであり、また、本願商標と同一形状の本体部分の一部品を有する商品を他の同業者が製造販売していないとしても、同様に、その商品の機能を発揮させるための範囲内というべきであって、これに接する需要者は、当該商品の一部分の形状を表示したものと認識するにとどまり、未だ商品の一部分の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないといえるものである。

なお、請求人は、上記「チャックカバー」について、「チャック機構(即ち、鉛筆を削り刃に押し付けた状態で鉛筆を固定するための機械構造)を収容するためのカバーであり、中央に鉛筆差込み穴を有し、上端に2つの摘み部を突出させたものが基本的な構成である。」旨の説明をしている。

したがって、本願商標は、その指定商品中「鉛筆削り(電気式のものを除く。)」について使用しても、商品の一部分の形状を表示するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(3)請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標に係るチャックカバーを有する鉛筆削器は、昭和38年に海外向け鉛筆削器のデザインとして出願人によって創作され、以来、アジアにおいて広く販売され、出願人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されるに至ったものであるから、本願商標は、海外における長年の販売によって、使用による識別性を取得し、商標法第3条第2項に該当するものである、旨主張し、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。)を提出している。

ところで、商標法第3条第2項に該当するものとして登録を認められる商標は、同法第3条第1項各号に掲げる商標は、自他商品の識別力がないものとされて商標登録を受けられないものであるが、第3号から第5号までのものは特定の者が長年その業務に係る商品について使用した結果、その商標がその商品と密接に結びついて出所表示機能をもつに至ることが経験的に認められるため、このような場合には特別顕著性が発生したと考えて商標登録をし得ることにしたものである。

そして、商品の形状に係る立体商標が、同法第3条第2項に該当するものとして登録を認められるのは、原則として使用に係る商標が出願に係る商標と同一の場合であって、かつ、使用に係る商品と出願に係る指定商品も同一のものに限られるものであると解される(東京高等裁判所平成14年(行ケ)第581号 平成15年8月29日判決言渡し)。

そこで、提出された証拠について検討する。

甲第1号証は、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りの開発コンセプトを示すパンフレットである。

甲第2号証は、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りが出品された2012年の「第23回国際文具・紙製品展」に関するインターネットの記事である。

甲第3号証は、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りが2011年に「第22回国際文具・紙製品展」において、「日本文具大賞2011」の「機能部門」を受賞したことを示すインターネットの記事である。

甲第4号証は、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りが上記の第22回展示会特設展示ブースにて展示されたことを示すインターネットの記事である。

甲第5号証は、2011年7月11日付けの上記の第22回展示会における「来場者数 公式発表」である。

甲第6号証は、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りが環境展示会「エコプロダクツ2010」に出品されたことを示すインターネットの記事である。

甲第7号証は、上記環境展示会の来場者数を示すインターネット記事である。

甲第8号証は、2011年1月現在とする本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りのリーフレットである。

甲第9号証は、甲第8号証のリーフレットに係る平成23年1月19日付け請求書(10,000部印刷)の写しである。

甲第10号証は、2011年10月現在とする本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りのリーフレットである。

甲第11号証は、甲第10号証のリーフレットに係る平成23年10月20日付け請求書(3,000部)の写しである。

甲第12号証は、甲第1号証の新商品カタログの平成23年7月4日付け納品書(3,000部)である。

甲第13号証は、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りを含む総合カタログ(vol.2)のリーフレットである。

甲第14号証は、総合カタログ(vol.2)の平成23年1月24日及び19日付け2枚の納品書(合計15,000部)である。

甲第15号証は、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りを含む総合カタログ(vol.3)のリーフレットである。

甲第16号証は、総合カタログ(vol.3)の2012年1月18日付け納品書(15,400部)である。

以上の証拠によれば、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りは、2011年及び2012年の「国際文具・紙製品展」に出品され、その鉛筆削りが2011年に「日本文具大賞2011」の「機能部門」において、優秀賞を受賞した1商品であることが認められ、また、同鉛筆削りは、環境展示会「エコプロダクツ2010」でも展示された(甲2ないし甲7)。

そして、請求人の主張によれば、同鉛筆削りに係るリーフレット及びカタログについては、2010年12月の国内販売開始にあたり、リーフレットを1万部配布し、2011年7月の文具大賞受賞にあたり、同様のリーフレットを3000部配布した。その他には、甲第1号証のパンフレットを3000部配布し、総合カタログvol.2は、2011年1月に計1万5000部配布し、総合カタログvol.3は、2012年1月に1万5400部配布したものである(甲8ないし甲16)。

しかしながら、本願商標に係る立体的形状が使用された鉛筆削りについて、2010年12月に国内販売が開始されたばかりであって、我が国における販売数量、販売額、市場占有率、リーフレット等以外の宣伝広告、宣伝広告費などについては一切不明であり、これらに関する証拠の提出はない。

したがって、請求人が提出した証拠によっては、本願商標が、その指定商品に使用された結果、請求人の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができない。

加えて、本願商標に係る立体的形状は、その使用に係る鉛筆削りの一部分の立体的形状であって、その一部分の立体的形状のみで使用されてきたということができないものであるから、本願商標は、使用に係る立体商標「鉛筆削り」の使用態様と相違するものであって、同一のものということはできないものである。

してみれば、本願商標が自他商品の識別力を獲得するに至ったものとは認め難く、また、本願商標は、上記のとおり、使用に係る商標とは、同一のものではないことから、結局、本願商標のみをもって、使用により識別力を有するに至った商標と認めることはできない。

したがって、本願商標が商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができない。

(4)以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできず、また、商標法第3条第2項の要件を具備するものとも認めることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。

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