sokuhyo

Trademark Appeal Case

結合商標の称呼観念の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900232(T2012−900232/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5498637号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5498637号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「Asahi」の欧文字とその下に、2本の並行線に挟まれた「アサヒグループ」の片仮名を表してなり、平成23年8月31日に登録出願、第16類「紙製包装用容器,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,印刷物,写真,写真立て」及び第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,アイスペール,泡立て器,こし器,こしょう入れ,砂糖入れ,塩振り出し容器,卵立て,ナプキンホルダー,ナプキンリング,盆,ようじ入れ,ざる,シェーカー,しゃもじ,手動式のコーヒー豆ひき器及びこしょうひき,じょうご,すりこぎ,すりばち,ぜん,栓抜,大根卸し,タルト取り分け用へら,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,まな板,麺棒,焼き網,ようじ,レモン絞り器,ワッフル焼き型(電気式のものを除く。),清掃用具及び洗濯用具,植木鉢,家庭園芸用の水耕式植物栽培器,じょうろ,貯金箱(金属製のものを除く。),化粧用具」並びに第1類、第18類、第24類、第25類、第28類、第31類、第35類、第37類及び第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品又は指定役務として、同24年4月13日に登録査定、同年6月8日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要点)

(1)登録異議申立人「アサヒ軽金属工業株式会社」(以下「申立人1」という。)の異議申立ての理由

申立人1は、本件商標はその指定商品中、第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶」について、その登録が取り消されるべきものであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。

ア 申立人1の引用する商標

申立人1が引用する登録商標は、以下の(ア)及び(イ)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

なお、以下の(ア)及び(イ)の登録商標をまとめていうときは「引用商標A」という。

(ア)登録第5508659号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2に示す構成のとおり、「アサヒ」の片仮名を書してなり、平成22年12月20日に登録出願、第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶」を指定商品として、同24年7月20日に設定登録されたものである。

(イ)登録第5508660号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ASAHI」の欧文字を書してなり、平成22年12月20日に登録出願、第21類「なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。),鉄瓶,やかん,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶」を指定商品として、同24年7月20日に設定登録されたものである。

イ 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、取引上、商標権者の名称の一部と目されるところの「Asahi」の文字の下段に二本の直線に挟まれた「アサヒグループ」の片仮名を左横書きしたものであって、本件商標は、明らかに一連不可分とは言えず、独立して出所表示機能を有するこれらの2つの構成要件を有しており、「Asahi」からは「アサヒ」の称呼、観念が、また下段の片仮名を併記した部分の後半の「グループ」は「〜の一員」、「関連会社」等を意味する接尾語であることから、こちらからも「アサヒ」の称呼、観念が生じることが明らかである。

これに対し、引用商標1は、別掲2のとおり、「アサヒ」であるから、これよりも上記と同様、「アサヒ」の称呼、観念を生ずるものとするのが取引の実情に即して妥当である。

また、引用商標2は、「ASAHI」よりなること明らかであるから、これより「アサヒ」の称呼、観念を生ずるものとするのが取引の実情に即して妥当である。

してみると、本件商標と引用商標Aとは、共に「アサヒ」の称呼、観念を共通にするものである。そして、本件商標と引用商標Aの指定商品のうち、異議申立てに係る指定商品は、同一である。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

ウ 商標法第4条第1項第15号について

申立人1は、その会社案内(甲第10号証)のように、1944年創業(アサヒ軽金属工業所)以来、商品「なべ」及び「釜」、「やかん」等をコアにして、「アサヒ」と明らかに認識しうる図形若しくは「アサヒ」と容易に称呼しうる文字からなる商標又はこれらの結合からなる商標を広く使用し今日に至っており、商品「なべ」及び「釜」、「やかん」等をコアとして我が国における市場認知度も極めて大きい(甲第11号証)。

したがって、本件指定商品の分野の需要者は、「アサヒグループ」と「Asahi」のロゴからなる本件商標が、本件指定商品について使用された場合には、申立人1の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

また、本件商標と引用商標Aとは、本件商標の下段に併記された「アサヒグループ」のうち、「グループ」は、一般的に「〜の一員」とか、「関連会社」等を意味する接尾語であって、そこに特徴は希薄であり、その前の「Asahi」或いは「アサヒ」が主要部であることは疑う余地がなく、本件商標よりも先の出願日である「ASAHI」或いは「アサヒ」の登録(甲第3号証、甲第4号証)がある以上、その指定商品が同一又は類似のものについては、使用されると、両者の出所に混同が生じるおそれが極めて高い。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

(2)登録異議申立人「株式会社朝日新聞社」(以下「申立人2」という。)の異議申立ての理由

申立人2は、本件商標はその指定商品中、第16類「印刷物」について、その登録が取り消されるべきものであるとし、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。

ア 申立人2の引用する商標

申立人2が引用する登録商標は、以下の(ア)ないし(エ)のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。

なお、以下の(ア)ないし(エ)の登録商標をまとめていうときは「引用商標B」という。

(ア)登録第1620651号商標(以下「引用商標3」という。)は、「アサヒ」の片仮名を書してなり、昭和56年3月3日に登録出願、第26類「印刷物、その他本類に属する商品(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く)」を指定商品として、同58年9月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりされ、さらに、平成17年4月13日付けで、第9類「映写フィルム(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),スライドフィルム(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),電子出版物(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く)」及び第16類「印刷物(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),書画,写真,写真立て」を指定商品とする指定商品の書換登録がなされているものである。

(イ)登録第1620652号商標(以下「引用商標4」という。)は、「あさひ」の平仮名を書してなり、昭和56年3月3日に登録出願、第26類「印刷物、その他本類に属する商品(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く)」を指定商品として、同58年9月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりされ、さらに、平成17年4月13日付けで、第9類「映写フィルム(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),スライドフィルム(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),電子出版物(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く)」及び第16類「印刷物(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),書画,写真,写真立て」を指定商品とする指定商品の書換登録がなされているものである。

(ウ)登録第1620653号商標(以下「引用商標5」という。)は、「ASAHI」の欧文字を書してなり、昭和56年3月3日に登録出願、第26類「印刷物、その他本類に属する商品(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く)」を指定商品として、同58年9月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりされ、さらに、平成17年4月13日付けで、第9類「映写フィルム(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),スライドフィルム(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),電子出版物(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く)」及び第16類「印刷物(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く),書画,写真,写真立て」を指定商品とする指定商品の書換登録がなされているものである。

(エ)登録第1634131号商標(以下「引用商標6」という。)は、「朝日」の漢字を書してなり、昭和56年3月3日に登録出願、第26類「印刷物、その他本類に属する商品(但し、この商標を表題とする特定の著作物を除く)」を指定商品として、同58年11月25日設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が2回にわたりされ、さらに、同18年3月1日付けで第9類「映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品とする指定商品の書換登録がなされているものである。

イ 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、別掲1のとおり、「Asahi」の文字をデザイン化してなる欧文字、及び二本の直線に挟まれた「アサヒグループ」なる片仮名を二段に書したものである。

そして、「Asahi」の文字と「アサヒグループ」の文字が二段に配置されていること、「Asahi」の文字が「アサヒグループ」の文字よりも格段に大きいこと、「アサヒグループ」の文字が二本の直線に挟まれ、「Asahi」の文字とは隔離されていること、「Asahi」の文字と、二本の直線に挟まれた「アサヒグループ」の文字との間には、わずかではあるがスペースが空いていること、からして、本件商標に接した取引者・需要者は、「Asahi」の文字と「アサヒグループ」の文字を別々に看取すると判断するのが妥当である。

したがって、本件商標から「アサヒ」の称呼を生ずることは明らかである。

他方、引用商標Bから「アサヒ」の称呼が生ずることは明らかである。

してみると、本件商標と引用商標Bは、その称呼において類似の商標である。

また、本件商標の指定商品「印刷物」に限って言えば、本件商標の「アサヒグループ」の部分からは「アサヒグループ」の観念が生ずるが、「Asahi」の部分からは「朝のぼる太陽」等の「アサヒ」が通常有する観念が生ずると判断するのが妥当である。

他方、引用商標Bから「朝のぼる太陽」等の「アサヒ」が有する通常の観念が生ずることは明らかである。

してみると、本件商標と引用商標Bは、その観念においても類似の商標である。

そして、本件商標と引用商標Bの指定商品は、前記1及び2(2)アとおりであるから、同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

3 当審の判断

(1)本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、濃紺色で大きく顕著に、図案化された「Asahi」の文字と、その下に、並行線に挟まれた中央に、ゴシック体の小さい文字で「アサヒグループ」の文字とを上下二段にまとまりよく表してなるものであるから、これらの文字に相応して「アサヒ」及び「アサヒグループ」の称呼を生ずるものと認められる。

そして、本件商標は、商標権者の傘下にあるアサヒビール株式会社などのグループ会社が取り扱うビール、清涼飲料、乳酸菌飲料などを表示する商標として統一的に使用し(http://www.asahigroup-holdings.com/company/history/)、周知著名な標章と認められるから、「アサヒグループのブランド」程の観念を生ずるものと認められる。

(2)引用商標A

引用商標Aは、前記2(1)アのとおり、「アサヒ」又は「ASAHI」の文字を書してなるから、該文字に相応して、「アサヒ」の称呼を生ずるものであるが、「アサヒ」の読みを同じくする語には、氏姓、地名に通ずる「旭」や、「朝昇る太陽」を意味する「朝日」、「旭」などがある(「広辞苑第六版」)から、引用商標Aからは、直ちに特定の観念を生ずるものとはいえない。

(3)引用商標B

引用商標3ないし5は、前記2(2)アのとおり、それぞれ「アサヒ」、「あさひ」、「ASAHI」の文字を書してなるから、該文字に相応して、「アサヒ」の称呼を生ずるものと認められる。また、観念については、前記(2)と同様の理由で、特定の観念を生ずるものとはいえない。

引用商標6は、「朝日」の文字を書してなるから、該文字に相応して「アサヒ」の称呼を生ずるものであり、該文字が「朝昇る太陽」の意味を有するから、「朝昇る太陽」の観念を生ずるものと認められる。

(4)商標法第4条第1項第11号該当性

ア 本件商標と引用商標A及びBとの類否

本件商標と引用商標A及びB(以下併せて「引用商標」という。)を比較すると、本件商標は、前記1のとおりであるのに対して、引用商標Aは前記2(1)アのとおりであり、引用商標Bは前記2(2)アのとおりであるから、本件商標と引用商標とは、全体の外観構成においては明らかに相違し、類似しないものである。

次に、本件商標からは、「アサヒ」又は「アサヒグループ」が生ずるものであるのに対して、引用商標からは、「アサヒ」の称呼を生ずるものであるから、両商標は、「アサヒ」の称呼を共通にする類似のものと認められる。

さらに、本件商標は、「アサヒグループのブランド」の観念を生ずるものであるのに対して、引用商標からは、特定の観念を生じないものであるか、又は観念を生じるとしても本件商標と相違するものであるから、観念において、本件商標は、引用商標と類似するものということはできない。

そうとすると、本件商標は、引用商標とは、「アサヒ」の称呼を共通にする場合があるとしても、外観及び観念において類似しないものであるから、両商標をそれぞれその指定商品に使用しても、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。

イ 小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(5)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 使用商標の周知著名性について

申立人1は、パンフレット(甲第10号証)及びホームページの写し(甲第11号証)を提出しているところ、当該パンフレットは、いつ作成されたか、日付がなく確認することができないが、これによれば、申立人1は、昭和19年に創業以来、商品「釜、鍋」等(以下「使用商品」という。)を製造、販売していたこと、「アサヒ」の文字を冠した商品名を創業から昭和49年頃まで使用していたが、それ以後、「アサヒ」の文字を使用した商品名の使用は認められないこと、当該パンフレットの表紙や裏表紙などに、別掲3に示すとおり、円輪郭内の下部に富士山と思しき図形とその図形内に「アサヒ」の文字及び上部に朝昇る太陽の如き図形からなる標章(以下「使用商標」という。)を使用していたことが認められる。

しかしながら、申立人1は、その使用商品についての新聞、雑誌、テレビ等における具体的な宣伝広告の事実やその販売実績等は一切明らかにしていない。

また、2012年8月3日打ち出しのホームページの写し(甲第11号証)によれば、申立人1は、業として、圧力鍋、フライパンなどを取り扱っていることは認められるが、使用商標の使用は見当たらない。

そうすると、申立人の提出に係る各証拠によっては、使用商標又は「アサヒ」の文字が申立人1の業務に係る商品の出所を表示する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されているものとは認められない。

イ 小括

以上のとおりであるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が、申立人1又は同人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(6)まとめ

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。