Trademark Appeal Case
「OXY」称呼類似と混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900160(T2012−900160/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5477187号商標(以下「本件商標」という。)は,「オキシトップ」と「OXYTOP」の各文字を上下二段に書してなり,平成23年9月22日に登録出願,第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,創傷被覆材,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳幼児用粉乳」を指定商品として,同24年2月21日に登録査定,同年3月9日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであると申立て,証拠方法として,甲1ないし甲92号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は,以下のアないしエのとおりであり,いずれも有効に存続しているものである。
ア 登録第3124429号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:「OXYCONTIN」
登録出願日:平成 5年 3月26日
設定登録日:平成 8年 2月29日
指定商品 :第5類「薬剤」
イ 登録第3167162号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「オキシコンチン」
登録出願日:平成 5年 7月 8日
設定登録日:平成 8年 6月28日
指定商品 :第5類「薬剤」
ウ 登録第4502485号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:「OxyContin」(標準文字)
登録出願日:平成12年 9月11日
設定登録日:平成13年 8月31日
指定商品 :第5類「薬剤」
エ 登録第4503914号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:「オキシコンチン」(標準文字)
登録出願日:平成12年 9月11日
設定登録日:平成13年 9月 7日
指定商品 :第5類「薬剤」
以下,引用商標1ないし引用商標4を併せて「引用商標」という。
(2)理由の要点
本件商標と引用商標は,いずれも「OXY(オキシ)」と「Oxy」の文字部分を特徴的部分として捉えることができ,称呼において共通し,「OXY(オキシ)」と「Oxy」がほぼ同一の文字構成からなる点で外観においても共通し,仮に「OXY(オキシ)」と「Oxy」から,ある特定の観念が生ずる場合にはその限度において観念においても共通する。
また,本件商標に使用される指定商品中の「薬剤」は,引用商標の指定商品と同一の商品である。
してみると,本件商標がその指定商品に使用された場合,引用商標と商品の出所について誤認・混同を生じさせるおそれが極めて高いものであり,両商標は類似するといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,本件商標の出願時及び登録時において,申立人とその使用権者である塩野義製薬株式会社(以下「塩野義製薬」という。)の業務に係る「薬剤(鎮痛剤)」に使用される商標として周知又は著名であった。
よって,本件商標がその指定商品に使用された場合,取引者・需要者をして,その商品が申立人の提供に係るものであるかの如く誤認をし,あるいは,申立人による技術供与,又は,使用許諾を受けた商品であるかの如く商品の出所について混同を生じ,ひいてはその品質についても誤認を生ぜしめる蓋然性が極めて高いといわざるを得ない。
しかも,本件商標に係る指定商品中の「薬剤」に含まれる「鎮痛剤」は,申立人の所有に係る周知・著名商標「オキシコンチン(OxyContin)」に係る商品であり,特に,引用商標が使用されている「オキシコドン鎮痛剤」は,医療用麻薬の一種であって,とり違えて投与すると人間の命に関わる商品である。
よって,商標法第4条第1項第11号における判断で用いられる類似の概念にとらわれず,医療事故を未然に防ぐ観点から,本件商標を紛らわしい商標として,使用を禁止する必要があると考える。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,「オキシトップ」と「OXYTOP」の各文字を上下二段に書してなるものであるところ,「オキシトップ」と「OXYTOP」を構成する各文字は,それぞれ同じ書体,同じ大きさ,等間隔によりまとまりよく一体に表され,それぞれの文字に相応して生ずる「オキシトップ」の称呼も格別冗長とはいえず,無理なく一連に称呼し得るものであることから,本件商標は,「オキシトップ」の称呼のみを生ずるものとみるのが自然であり,また,これは,特定の語義を有する既成の語ではないから,観念は生じないものである。
一方,引用商標1は,「OXYCONTIN」の欧文字,引用商標2は「オキシコンチン」の片仮名,引用商標3は「OxyContin」の欧文字,引用商標4は「オキシコンチン」の片仮名からなるものであるところ,それぞれの構成文字は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔によりまとまりよく一体に表され,また,それぞれの文字に相応して生ずる「オキシコンチン」の称呼も格別冗長とはいえず,無理なく一連に称呼し得るものであるから,引用商標は,いずれも「オキシコンチン」の称呼のみを生ずるものとみるのが自然であり,また,これは,特定の語義を有する既成の語ではないから,観念は生じないものである。
そこで,本件商標と引用商標を比較すると,本件商標から生ずる「オキシトップ」の称呼と引用商標から生ずる「オキシコンチン」の称呼は,6音と7音という比較的短い音構成にあって,「トップ」と「コンチン」という明確な差異を有するものであるから,その構成音数の差,構成各音の音質の差等により,それぞれを一連に称呼しても,音感,音調が異なり明らかに聴別し得るものである。
また,本件商標と引用商標は,それぞれ特定の観念を生じないものであるから比較できないものであって,観念上紛れるものとはいえない。
さらに,本件商標が片仮名と欧文字の二段書きの構成からなるのに対し,引用商標は,それぞれ片仮名のみ,欧文字のみの構成からなるものであるから,外観上も判然と区別し得るものである。
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼,観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)「オキシコンチン(Oxycontin)」及び「オキシ(Oxy)」について
申立人の提出に係る甲第11号証ないし甲第92号証によれば,塩野義製薬が引用商標と同じ綴り文字からなる「オキシコンチン(Oxycontin)」の標章(以下「使用商標」という。)を表示した癌疼痛治療薬を2003年7月に発売したこと,その癌疼痛治療薬に関する記事が「薬事日報」や「日刊薬業」等の医薬関連の新聞や日経産業新聞,日刊工業新聞等に掲載されたこと,その癌疼痛治療薬を塩野義製薬が,2004年以降自社の主力商品の一つにあげていること等が認められ,使用商標は,少なくとも「癌疼痛治療薬」の需要者の間に広く認識されているものということができる。
しかしながら,申立人及び塩野義製薬が「オキシコンチン(Oxycontin)」を「オキシ(Oxy)」と略称し使用している事実はなく,使用商標中の「オキシ(Oxy)」の部分のみが,申立人又は塩野義製薬の取扱いに係る商品「癌疼痛治療薬」を表示するものとして,その需要者の間に広く認識され,かつ,著名となっているものと認めることはできない。
そして,「オキシ(Oxy)」は,酸素原子の存在を示す接頭語であって(「岩波理化学辞典 第3版増補版」岩波書店),例えば,「オキシフル(OXYFULL)液(販売名)/オキシドール(Oxydol)(一般名);第一三共株式会社」「オキシテトラコーン(OXYTETRA DENTAL CONE)(販売名)/オキシテトラサイクリン(Oxytetracycline)塩酸塩(一般名);昭和薬品化工株式会社」「オキシトシン(OXYTOCIN)注射液(販売名)/オキシトシン(OXYTOCIN)(一般名);富士製薬工業株式会社」等のように複数の医薬品の名称に使用されている語であることから,これを医薬品に使用した場合に「オキシ(Oxy)」部分に強い識別機能があるものということはできない。
よって,本件商標及び使用商標の構成中の「オキシ(Oxy)」の部分のみが独立して識別機能を発揮するものとはいない。
(2)商標法第4条第1項第15号に該当性について
前記のとおり,使用商標と綴り文字を同じくする引用商標と本件商標は,称呼,観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そして,本件商標の構成中の「オキシ(Oxy)」の部分が申立人又は塩野義製薬の取扱いに係る商品「癌疼痛治療薬」を表示するものとして需要者の間に広く認識され,かつ,著名となっているものとはいえず,また,当該部分のみが独立して識別機能を発揮するものともいえない。
そうすると,本件商標をその指定商品に使用した場合に,これに接する需要者が「オキシ(Oxy)」の文字部分に着目して,直ちに使用商標ないし申立人又は塩野義製薬を連想,想起するようなことはなく,該商品が申立人又は塩野義製薬,若しくは,同人らと経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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