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Trademark Appeal Case

DBシリーズの周知性と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900176(T2012−900176/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5480240号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5480240号商標(以下「本件商標」という。)は、「dbx」の文字を横書きしてなり、平成23年8月5日に登録出願、第12類「二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び付属品,自動車並びにその部品及び付属品」を指定商品として、同24年1月10日に登録査定、同年3月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第815173号商標(以下「引用商標」という。)は、「DB9」の欧文字及び数字を横書きしてなり、2002年12月16日にUnited Kingdomにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張して、2003年(平成15年)5月23日に国際商標登録出願、第12類「Automobiles, bicycles, motorcycles and parts and fittings therefor.」及び第37類「Repair, restoration, maintenance, reconditioning, diagnostic tuning, cleaning, painting and polishing services of land vehicles and parts and fittings therefor.」を指定商品及び指定役務として、平成20年4月18日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第55号証(枝番号を含む。)を提出した。

(1)申立人によるDBシリーズの製造の歴史及び引用商標の周知・著名性について

ア 申立人は、1914年創業の主にスポーツカーを製造する自動車メーカーである。申立人は、実業家デヴィッド・ブラウンのグループ傘下に入った1940年代以降、同人のイニシャルである「DB」を車名の頭文字に付すようになり、1940年代に英国で上市された初代DB(後にDB1と呼ばれる)及びDB2からDB9に至るまで一貫して用いられた結果、「DBシリーズ」は、世界有数の車名ブランドの一つに数えられる程になった。

なお、DB6の生産終了後、一旦、車種のラインナップから消えた時期があったが、1987年にアメリカのフォード・モーター傘下に納まることとなり、同社がデヴィッド・ブラウンを役員として迎えたことをきっかけに、「DB7」として復活し、それ以降の車種でも再び「DB」の車名を用いるようになった(甲第5号証及び甲第6号証)。

イ 「DB1」は1948年から1950年まで、「DB2」は1950年から1959年まで、「DB3」は1951年から1953年まで、「DB4」は1958年から1963年まで、「DB5」は1963年から1965年まで、「DB6」は1965年から1970年まで、「DB7」は1994年から2003年まで、それぞれ申立人が生産したスポーツカーであり、そのうちの「DB5」は、映画007シリーズの「ゴールドフィンガー」及び「サンダーボール作戦」において主人公が操る「ボンドカー」に使用されたことが話題となり、同じく、「DB6」は、2011年4月29日に行われた英国王子の結婚披露の移動の際に使用されたことが話題となった(甲第7号証ないし甲第21号証)。

ウ 「DB9」は、上記「DB7」の後継車種として、2003年のフランクフルトショーで発表され、2004年から発売されたものであり、数々のインターネット記事や自動車雑誌の記事として特集され(甲第22号証ないし甲第30号証)、また、我が国の正規代理店を通じて広告が行われている(甲第31号証ないし甲第33号証)。

さらに、「DB9」は、「あこがれの車」としても評価される程人気を博しており(甲第29号証及び甲第30号証)、引用商標に係る商標登録に至るまでの過程で、我が国の取引者、需要者間において広く認識されるに至っている事実が認められている(甲第34号証)。

エ 申立人は、既述のとおり、1940年代以来、自己の生産に係るスポーツカーの車名として、「DB」の文字に数を表す文字1文字(1から9)を加えた標章を一貫して用いており、その結果、数々のインターネット記事や書籍等(甲第35号証ないし甲第43号証)で「DBシリーズ」と指称されている事実からもうかがえるように、「DBシリーズ」は、世界有数の車名ブランドの一つとして、取引者、需要者の間で広く認識されるに至っている。

また、「DBシリーズ」は、過去に生産されたモデルについても、往年の名車として、クラシックカー愛好家から絶大な支持を得ており、このような特集が新聞記事として度々取り上げられている(甲第44号証ないし甲第49号証)。

オ 以上によれば、引用商標を含む「DBシリーズ」とも呼ばれる、DBとシリーズ番号からなる標章は、本件商標の出願時(平成23年8月5日)のみならず、登録時(同24年3月23日)においても、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者間において広く認知されるに至っていたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 引用商標及び「DBシリーズ」とも呼ばれる、DBとシリーズ番号からなる標章が、申立人の商標として、我が国において広く認知されている事実は、既述のとおりである。

また、上記申立人の商標に含まれる「DB」の文字は、1940年代当時の申立人のオーナーであったデヴィッド・ブラウンの頭文字に由来するものであって、歴代の「DBシリーズ」のうちの一車種であることを明確に誇示するために用いられているものであり、欧文字「D」と「B」との単なる結合文字ではない。

イ 本件商標は、「dbx」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の「x」の文字は、「10」を表すローマ数字として、我が国において馴染まれて知られているとみられるので(甲第50号証)、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、欧文字「db」と数を表す文字である「x(10)」との組み合わせに係るものと理解、把握される場合も少なくないといわざるを得ない。

そうとすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、申立人の製造に係る歴代の「DBシリーズ」のうちの一車種、特に、現行の「DB9」の後継車種であるかのように理解、認識される場合も少なくないものと思料する。

現に、ほかの自動車メーカーにおいても、アルファベットの1文字又は2文字と数字からなる標章を用いて車種を区別している例が多く見られ(甲第51号証及び甲第52号証)、このような自動車業界における取引の実情と、上述の申立人の業務に係る商品について固有の取引の事情を考慮すれば、本件商標「dbx」が「db10」のように理解され、あたかも申立人の「DBシリーズ」の「DB9」の後継車種を表す商標(標章)であると認識される可能性は十分にあるといわざるを得ない。

ウ 本件商標の指定商品及び引用商標の指定商品は、それぞれ前記1及び2に記載のとおりであるところ、両者は、同一の商品に係るものであり、極めて高い関連性があるというべきものである。

また、自動車産業と二輪自動車産業との関連性の高さから、自動車と二輪自動車の双方を取り扱う企業も多く存在し、さらに、自動車メーカーが、その技術力やブランドイメージを利用して、新たに自転車の製造に乗り出す場合も少なくない(甲第53号証ないし甲第55号証)。

したがって、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との間には、少なからぬ関連性があるというべきである。

エ 以上の事情を総合勘案すれば、本件商標は、これをその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、該商品が申立人又は同人と何らかの経済的若しくは組織的な関連を有する者の業務に係る商品であるかのように認識され、出所混同を生ぜしめる蓋然性が極めて高いといわざるを得ない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は、取り消されるべきものである。

4 当審の判断

(1)本件商標

本件商標は、前記1のとおり、「dbx」の文字を横書きしてなるところ、該文字は、同書、同大の文字をもって、等間隔にまとまりよく表されているものであるから、視覚的に一連一体のものとして看取、把握されるというのが自然である。

また、「x」の文字は、ローマ数字の「10」の意味を有するものではあるものの、英語アルファベットの24番目の文字として一般に広く知られているとみるのが相当である。

そうとすると、上記構成態様からなる本件商標について、これに接する取引者、需要者が、本件商標を構成する「dbx」の文字を「db」と「x」とに分離し、かつ、該「x」の文字部分がローマ数字の「10」を表したものとして認識するとはいい難く、むしろ「d」、「b」及び「x」のアルファベット文字を組み合わせてなるものとして認識するというべきである。

そして、「dbx」の文字は、辞書類に掲載されている既成の語とは認められず、特定の語義を有しない一種の造語として理解されるとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、その構成文字に相応する「ディービーエックス」の称呼を生ずるものであって、特定の観念を生ずることのないものである。

(2)引用商標

引用商標は、前記2のとおり、「DB9」の欧文字及び数字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応する「ディービーナイン」の称呼を生ずるものであり、また、申立人の提出に係る甲各号証によれば、引用商標は、その指定商品中の「automobiles」との関係において、「DBシリーズ」と称される申立人の製造に係る自動車のうちの一車種を表示するものとして、取引者、需要者に認識されているといえるから、これより、「申立人の製造に係るDB9という自動車」の観念を生ずるとみるのが相当である。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標は、アルファベットの小文字により「dbx」と書してなるものであるのに対し、引用商標は、アルファベットの大文字による「DB」と数字の「9」とを組み合わせて「DB9」と書してなるものであるから、両商標は、外観上、容易に区別し得るものである。

また、本件商標から生ずる「ディービーエックス」の称呼と引用商標から生ずる「ディービーナイン」の称呼とは、第5音以降において「エックス」と「ナイン」の音の差異を有するものであって、その音構成を明らかに異にするものであるから、両称呼は、明確に聴別し得るものである。

さらに、本件商標は、特定の観念を生ずることはないのに対し、引用商標は、その指定商品中の「automobiles」との関係において、「申立人の製造に係るDB9という自動車」の観念を生ずることから、観念において、これらが互いに紛れるおそれはない。

してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

(4)商標法第4条第1項第15号該当性について

本件商標と引用商標とは、たとえ引用商標が本件商標の登録出願時において、申立人の業務に係る商品「自動車(automobiles)」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、上記(3)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。

してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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