Trademark Appeal Case
「フワフワ」の識別力と類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2011−900452(T2011−900452/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5441132号商標(以下「本件商標」という。)は、「フワフワ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成22年9月1日に登録出願され、第3類「靴クリーム,靴墨,せっけん類,香料類,消臭芳香剤」及び第5類「薬剤,歯科用材料,はえ取り紙,芳香消臭剤」を指定商品として、同23年8月25日に登録査定、同年9月30日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は、「フワフワ」の片仮名を普通に用いられる方法で表示した標章のみから構成される商標であり、その指定商品中「せっけん類」との関係において、「(フワフワと)泡立ちの良いせっけん」、「仕上がりが(フワフワと)やわらかな洗濯せっけん」程の意味合いを容易に想起させるものであり、単に商品の品質・内容等を表したものと認められるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、かかる商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標
申立人が引用する登録第5380244号商標(以下「引用商標」という。)は、「ふ泡ふ泡石鹸」、「ふわふわせっけん」及び「フワフワセッケン」の各文字を3段に横書きなり、平成22年3月4日に登録出願され、第3類「化粧せっけん」を指定商品として、同23年1月7日に設定登録されたものである。
(2)本件商標と引用商標との類否
本件商標の指定商品には「せっけん類」が含まれるところ、同商品は、引用商標の指定商品「化粧せっけん」と類似するものである。
また、本件商標は、「フワフワ」の片仮名からなり、「フワフワ」の称呼が生ずる。
これに対して、引用商標は、その構成中の後半の文字部分「石鹸(せっけん、セッケン)」が指定商品をそのまま表しており、当該部分が自他商品の識別標識としての機能を備えていないことは明らかであるから、識別標識としての機能を備えた前半の文字部分「ふ泡ふ泡(ふわふわ、フワフワ)」のみをもって認識され、この部分より生ずる「フワフワ」の称呼をもって取引される場合もあるというべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において相紛れるおそれのある類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきものである。
また、本件商標が上記に該当しない商標であったとしても、この場合には、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたことになるから、同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきものである。
第3 取消理由通知
当審において、平成24年8月23日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
1 申立人の提出に係る証拠及び当審における職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(1)「ふわふわ」の語の意味等について
ア 「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店、2008年1月11日第6版発行)において、「ふわふわ」の見出し語で「(1)多量の空気を含んで押しても抵抗がないほど柔らかくふくらんでいるさま。(2)物が空中や水中を軽やかに漂っているさま。(3)行動や考えがうわついているさま。つかみどころのないさま。」との記載がある。
イ 「大辞泉 増補・新装版」(株式会社小学館、1998年11月20日第1版<増補・新装版>発行)において、「ふわふわ」の見出し語で「(1)軽いものが揺れ動いたり、浮いて漂ったりするさま。(2)心が落ち着かないで、うわついているさま。(3)柔らかくふくらんでいるさま。」との記載がある(甲第4号証)。
ウ 「現代擬音語擬態語用法辞典」(株式会社東京堂出版、平成19年4月10日再版発行)において、「ふわふわ(っ)」の見出し語で「【解説】(1)非常に軽くて柔らかいものがふくらんでいる様子を表す。プラスイメージの語。」との記載がある(甲第3号証)。
(2)商品「せっけん類」に係る「ふわふわ」及び「フワフワ」の語の使用状況について
ア 「アテニア マイルドクリーミィウォッシュ」のウェブページにおいて、「《フワフワの泡でやさしく洗う》」及び「上質なふわふわ泡の洗顔」との記載がある(甲第5号証)。
イ 「花王 ソフィーナ ボーテ ミルク洗顔料」のウェブページにおいて、「ふわふわの泡で、うるおいを守りながら、角質や汚れをしっかり落とし上げる洗顔料。」との記載がある(甲第6号証)。
ウ 「花王 ピュアホイップ」のウェブページにおいて、「ホイップした泡をそのまま固めてつくった石けんです。いつでもふわふわの泡、おろしたての香り。」(甲第7号証)、「あなたも『新ホイップ泡』体験」の項目中に「手のひらで、くるくると石けんをこすり合わせるだけで、たちまち、ふわふわのホイップしたみたいな泡が育ちます。」(甲第8号証)、「泡が違う ホイップ製法」の見出しの下に「ホイップしたての泡をそのまま固めてつくった石けんです。だから、洗うたびにふんわり、ふわふわの泡。」(甲第9号証)との記載がある。
エ 「コーセー ピュールセンシア フォームウォッシュ」のウェブページにおいて、「ふわふわの泡でやさしく包み込み、いたわりながらよごれを落とす泡タイプの洗顔料。」との記載がある(甲第10号証)。
オ 「紫紺乃米 米ぬか石鹸」のウェブページにおいて、「ふわふわの泡で毛穴の奥の汚れや余分な皮脂を落としつつ、古代米や黒豆由来の天然成分で肌のうるおいもしっかりキープ。」との記載がある(甲第11号証)。
カ 「DHC 薬用ハンドソープ」のウェブページにおいて、「弾力のあるふわふわの泡で、手の汚れやバイ菌を落とす」との記載がある(甲第13号証)。
キ 「ドクターシーラボ ベビーソープ」のウェブページにおいて、「顔、身体、髪の毛まで洗える低刺激の全身ボディソープは、デリケートな肌をふわふわの泡でやさしく包んで洗いあげます。」との記載がある(甲第14号証)。
ク 「ナリス化粧品 acmedica」のウェブページにおいて、「アクメディカ 薬用 マイルド泡洗顔(医薬部外品)」の表示と共に「ふわふわの泡でやさしく洗う洗顔料。」と記載されている(甲第15号証)。
ケ 「ノエビア モイストコラーゲンソープ」のウェブページにおいて、「ふわふわと弾力のある泡が、お肌と手の間のクッションとなって刺激を与えません。」との記載がある(甲第16号証)。
コ 「万田のこだわり石鹸 肌ごころ」のウェブページにおいて、「ふわふわの柔らかい泡で肌のシワや乾燥、かさつきなどをケアしてしっとり洗い上げます。」との記載がある(甲第17号証)。
サ 「LASAS ウド石鹸」のウェブページにおいて、「ウド石鹸の弾力性があるフワフワの泡が毛穴の奥まで入り込み、超微粒子でキメ細かいウドの洗浄力で汚れをしっかり洗い流します。」との記載がある(甲第18号証)。
シ 「L’OCCITANE イモーテル」のウェブページにおいて、「洗顔フォーム」の説明として「ふわふわの泡がワンプッシュで。肌にやさしく汚れをクリア!」と記載されている(甲第19号証)。
ス 2010年6月8日付け毎日新聞(地方版/高知 26ページ)において、「四国見聞録:香川・小豆島 オリーブの恵み体感/上 /四国」の見出しの下、「せっけんには、葉のエキスと粉末状にした葉が入っている。葉に含まれるポリフェノールが老化の原因となる肌の細胞の酸化を防ぎ、美しく保つ効果があるという。(中略)使ってみると、ふわふわの泡で、洗った後もしっとりと水分が逃げない感じだ。」との記載がある。
(3)以上によれば、「ふわふわ」の語は、「柔らかくふくらんでいるさま。」の意味を有する擬態語として、一般に親しまれているということができる。
そして、本件登録異議の申立てに係る指定商品である「せっけん類」を取り扱う業界において、該商品から生じる泡の性状を表す語として、「ふわふわ」の平仮名及び「フワフワ」の片仮名が頻繁に使用されている実情が存在しているといえる。
2 本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「フワフワ」の片仮名を標準文字で表してなるものであるところ、「ふわふわ」の語の意味及び商品「せっけん類」に係る「ふわふわ」及び「フワフワ」の語の使用状況については、前記2のとおりであり、これらを総合してみれば、本件商標をその登録異議の申立てに係る指定商品である「せっけん類」に使用した場合、取引者、需要者をして、「フワフワ」の文字が「柔らかくふくらんでいるさま。」を意味する擬態語である「ふわふわ」と同様の意味を表したものであると直ちに看取させ、該商品の品質を表したものと理解、認識させるにすぎないものであるといわざるを得ない。
してみれば、本件商標は、その指定商品中の「せっけん類」について、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであって、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
第4 商標権者の意見
上記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。
第5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類」について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、その指定商品中「結論掲記の商品」について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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