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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号判定2012−600001(T2012−600001/J6)
審判種別記載はありません。
結論other

結論テキスト

商品「洗顔料」に使用するイ号標章は、登録第5021893号商標の商標権の効力の範囲に属しない。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5021893号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「エアリーホイップ」の片仮名と「AIRY WHIP」の欧文字とを二段に横書きしてなり、第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけまつ毛」を指定商品として、平成18年6月14日登録出願、同19年1月26日に設定登録されたものである。

第2 イ号標章

被請求人が商品「洗顔料」について使用する標章として、請求人が示すイ号標章は、別掲2のとおり、「Airy Whip」の欧文字からなるものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「商品『洗顔料』に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

(1)本件商標の使用状況

請求人は、本件商標を有していると共に、当該商標を「洗顔料」に使用している。

(2)イ号標章の使用状況

被請求人は、別掲3のとおり、イ号標章を「洗顔料」に使用している(甲第2号証)。

(3)イ号標章と本件商標の類否

イ号標章と本件商標は、いずれもその構成から「エアリーホイップ」の称呼を生ずるものであり、また、イ号標章が使用されている「洗顔料」は、本件商標の指定商品「化粧品,せっけん類」に包含されていることからすれば、イ号標章は本件商標に類似し、その使用商品と本件商標の指定商品も同一であるから、イ号標章が本件商標の商標権の効力範囲に属することは明らかであり、両者は、取引者・需要者間に誤認混同を生じさせるおそれがある。

2 被請求人の答弁に対する弁駁

(1)イ号標章と本件商標の類否

イ号標章と本件商標は、いずれも「エアリーホイップ」なる同一称呼をもって商取引される。また、被請求人の主張によれば、本件商標から「空気のような泡状のホイップ」のような観念が生じるのであるから、イ号標章からも同じく「空気のような泡状のホイップ」のような観念が生じることになる。さらに、本件商標は、片仮名文字「エアリーホイップ」を上に、欧文字「AIRY WHIP」を下に二段併記して構成されるところ、当該欧文字部分がイ号標章「Airy Whip」と実質的に同一であることからすれば、本件商標全体として対比した場合も外観上特に大きな相違を呈するものではなく、むしろ両者は外観上近似した印象を与えるものである。

以上のとおり、外観・称呼・観念を総合的に勘案すれば、本件商標と引用商標とは類似するものである。

(2)イ号標章の先使用権について

被請求人は、「Vita−nourish\Airy Whip」なる商標について先使用権を有している旨主張するが、該商標の使用事実が客観的に示されているのは乙第14及び15号証の2点のみであり、かかる2回の単なる広告掲載によって該商標が周知性を取得する余地がないことは極めて明らかである。

したがって、被請求人が使用する「Vita−nourish\Airy Whip」なる商標に先使用権は認められないから、被請求人にはイ号標章を使用する権原も認められない。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の判定を求めると答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として乙第1号証ないし乙第29号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 使用商標と本件商標の非類似性について

(1)使用商標

請求人は、イ号標章を「Airy Whip」と主張するのに対し、被請求人は、イ号標章を別掲3の商品に表示されている「Vita−nourish」と「Airy Whip」が二段書きされた部分である旨主張する。

そこで、判定では、被請求人が主張する上記部分を、以下「使用商標」と定義する。

使用商標は、「Vita−nourish」の欧文字と、「Airy Whip」の欧文字を等間隔で二段に横書きした態様からなるところ、その構成文字は同書同大で書されており、これらが二段にバランスよく配置され、全体として極めてまとまりのよい一体的な構成からなるものである。

また、その構成各文字に相応して生ずる「ビタナリッシュエアリーホイップ」の称呼も長音を含めて14音であって、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして、使用商標の構成中の「Vita」の文字は、「Vitamin」や「Vital」の語源である「命」、「生命」を意味するラテン語またはイタリア語であり、「nourish」の文字は、英語で「与える」の意味を有することからすれば、これらの2語を「−」(ハイフン)で結合した「Vita−nourish」の文字部分は、全体として「命を与える」程の意味合いが生ずるものである。また、「Airy」の文字は、「空気の」、「空気のような」の意味を有する英語であり、「Whip」の文字は、デザートなどの泡状の「ホイップ」を指称する語であることからすれば、「Airy Whip」の文字部分は、「空気のような泡状のホイップ」程の意味合いが生じるものである。

ところで、被請求人が使用商標を使用する商品は、泡状の洗顔料であり、泡を売りものとした商品であることからすれば、「Airy Whip」の文字は、自他商品の識別標識としての機能が極めて弱いものである。

そうとすれば、使用商標は、その構成全体で捉えられるものであるから、「ビタナリッシュエアリーホイップ」の一連の称呼及び「命を与える空気のような泡状のホイップ」の観念のみが生ずるものである。

(2)本件商標

本件商標は、「エアリーホイップ」の片仮名と「AIRY WHIP」の欧文字とを上下二段に横書きした構成からなるところ、上記(1)と同じく「AIRY WHIP」の文字及びその表音を片仮名表記した「エアリーホイップ」の文字より、「エアリーホイップ」の称呼及び「空気のような泡状のホイップ」の観念が生ずるものである。

(3)使用商標と本件商標の類否

使用商標と本件商標とを比較するに、両者は、「Vita−nourish」の欧文字の有無、片仮名文字の有無の差異を有するものであり、構成する文字数に著しい違いがあるから、外観上相紛れることはない。

また、使用商標から生ずる「ビタナリッシュエアリーホイップ」の称呼と本件商標から生ずる「エアリーホイップ」の称呼とは音数が異なるものであり、また、「ビタナリッシュ」の音の有無の差異という明らかな違いがある。

さらに、観念についても、本件商標からは「命を与える」のような観念を生じさせないから、使用商標と本件商標に接する需要者・取引者は、両者を全く別異のものとして認識するから、観念上も相紛れることはない。

したがって、両者は外観、称呼及び観念が明らかに異なるものであるから、両者に接する需要者・取引者が、出所の混同を生ずるおそれはない。

2 使用商標の先使用権について

被請求人は、本件商標の出願前の平成15年8月から、使用商標「Vita−nourish\Airy Whip」を商品「洗顔料」について使用を開始し、現在も継続的に使用している。

他方、被請求人が使用商標を洗顔料に使用する以前に、請求人が本件商標を使用し、周知で顧客吸引力を有するような状態になっていた事実は認められない。

そうとすれば、被請求人は、請求人による商標登録出願前から、使用商標を商品「洗顔料」について使用し、使用を継続しているものであるから、不正競争の目的は一切存在しない。

また、使用商標は、被請求人によって、長期間に亘って広告がなされ、販売が継続されており、その結果、本件商標の出願前には既に、商品「洗顔料」に使用される商標として需要者・取引者の間で周知になっていた。

これは、東京商工会議所の作成した先使用権の存在の証明書によっても裏付けられる。

以上によれば、被請求人は、使用商標を本件商標の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなく、商品「洗顔料」に使用をしていた結果、相当程度、需要者・取引者の間で周知になっていたといえるから、被請求人は使用商標の使用にあたり先使用権を有するものである。

第5 当審の判断

1 本件商標

本件商標は、前記第1のとおり、「エアリーホイップ」の片仮名と「AIRY WHIP」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ、その構成中の上段の「エアリーホイップ」の片仮名は、下段に表された「AIRY WHIP」の欧文字から生ずる読みを特定したものと無理なく認識できるものである。

そして、本件商標の構成中の「AIRY」の文字は、「空気の」、「空気のような」の意味を有する英語であり、「WHIP」の欧文字は、「ホイップ《クリーム・卵などを泡だててつくる》」の意味をそれぞれ有する英語であることからすれば(「講談社英和中辞典」株式会社講談社 1994年11月28日発行)、「AIRY WHIP」の文字は、「空気のような泡状のホイップ」程の意味合いを生ずるものである。

そうとすれば、本件商標は、「エアリーホイップ」の称呼及び「空気のような泡状のホイップ」程の観念が生ずるものとみるのが相当である。

2 使用商標

請求人は、被請求人が使用するイ号標章の使用例として、商品「洗顔料」の包装容器の中央部分に、「Vita−nourish」の欧文字とその下段にイ号標章である「Airy Whip」の欧文字が表されているものを甲第3号証として提出する。

上述した構成からなる使用商標は、同じ書体、同じ大きさで上下二段にバランスよく配置されているばかりでなく、これ以外に表示されている文字等と比べてみても大きく、濃く表されていることからすれば、視覚的にまとまりよく一体的な構成からなるものとして看取されるものとみるのが相当である。

そして、使用商標の構成中、上段の「Vita−nourish」の欧文字部分についてみると、その「Vita」の文字がイタリア語で「命」の意味を、「nourish」文字が英語で「与える」の意味をそれぞれ有するとしても、なじみの薄いイタリア語と英語をハイフンで結合した構成からなる「Vita−nourish」の欧文字部分からは、直ちに特定の観念を生ずることのない造語として認識し把握されるとみるのが相当である。

次に、下段の「Airy Whip」の欧文字部分についてみると、前記1と同様に、「空気のような泡状のホイップ」の意味合いを理解させるものであるところ、使用商標が用いられている洗顔料においては、泡立ちの質は商品の品質として重要な要素であり、泡立ちの質として、別掲4に示すように「空気を含んだ」「ホイップ状の」のような表現が普通に使用されていることからすれば、商品の形状、品質との関連を容易に想起させる語といい得るものであるから、該文字部分の商標としての自他商品の識別力はさほど強いものということはできない。

3 本件商標とイ号標章の類否

使用商標においては、前記2のとおり、まとまりよく一体的な印象を与える構成からなるものであるから、その構成中の「Airy Whip」の欧文字部分のみが看者の注意を強く引くとはいい難く、使用商標から該文字部分を殊更抽出して、これのみをもって取引に資されるとみるべき格別の理由はないというのが相当である。

してみれば、使用商標の「Airy Whip」の文字部分から「エアリーホイップ」の称呼及び「空気のような泡状のホイップ」の観念をも生じることを前提として、使用商標と「Airy Whip」からなるイ号標章とが称呼及び観念において類似するということはできない。

そして、ほかに、使用商標とイ号標章とが類似するものであるとすべき理由は見いだせない。

そうとすれば、使用商標と「Airy Whip」とは非類似の商標ということができる。

しかして、請求人が主張するイ号標章は、被請求人が使用する洗顔料に表示された使用商標に含まれた「Airy Whip」を指すものであるから、かかる使用商標の構成からみれば、該「Airy Whip」の文字に自他商品の識別力があるとはいえない。

したがって、本件商標は、「Airy Whip」と類似するとしても、使用商標中に表示されたイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない。

4 まとめ

以上によれば、本件商標とイ号標章とが抵触しないものであると認められる以上、被請求人の使用商標の先使用権の有無について論ずるまでもなく、

本件判定請求に係る商品「洗顔料」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものといわざるを得ない。

よって、結論のとおり判定する。

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