結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2012−300259(T2012−300259/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第1789696号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和58年2月5日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和60年7月29日に設定登録されたものであり、平成18年1月25日に指定商品の書換登録がされたことにより、第14類「貴金属製のがま口及び財布」及び第18類「かばん類,袋物」を含む、第3類、第6類、第8類、第10類、第14類、第18類、第21類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とするものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は昭和60年7月29日に登録されたものであり、登録後3年を経過している。
請求人は、被請求人が本件商標を指定商品「貴金属製のがま口及び財布,かばん類,袋物」について使用しているか否か調査したが使用の事実を発見できなかった。また、商標登録原簿に専用使用権者、通常使用権者の登録もなかった(甲1)。
したがって、本件商標は、商標法第50条1項の「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていない商標」に該当すると推量し得るものである。
(2)弁駁
被請求人が使用していると主張する本件商標及び指定商品「買物袋」のいずれについても、明らかに本件商標の使用とは認識しえないものである。
ア 使用商品について
(ア)被請求人は、顧客の求めに応じて「ワイン」「洋菓子」などを販売し、その際に使用される「袋」を無償サービスの他、一般的な買物用の「買物袋」として有償で頒布しているとのことである。
そこで、一般的な「買物袋」とは、いかなる概念の「袋」であるかを考察する。
一般的な「買物袋」としての「袋」は、商品を購入して持ち帰るための容器であり、したがって、「買物袋」と称されるためには、少なくとも例えば、耐久性があり、耐重性があり、破れにくいというような条件を備えている堅牢な「袋物」であることを要求され、数回の使用で破れたり、底が抜けたりするような袋物は、一般的な「買物袋」の範ちゅうには入らない。
「買物袋」という商品が第18類「かばん類,袋物」の概念に含まれ、「21C01」の類似群コードが付与されていること、並びに、「買物袋」の材質が特定されていないこと自体は、請求人も是認するところであるが、前述の条件から考えるに、「買物袋」と称される「袋物」は、材質を問わないとはいえ、少なくとも通常目にする「紙製の紙袋」を「買物袋」とは称していない。
特許電子図書館の「商品・役務名リスト」において買物袋の検索を行った結果でも、「かばん類・袋物」に付されている類似群コード(「21C01」)と同じコードが付されている買物袋には、「皮製」・「布製」・「網製」の買物袋の例があがったものの、同類似群コードを付された「紙製」の買物袋は一件の例も見当たらなかった(甲1の2)。
こうした視点であらためて「買物袋」をとらえると、一定程度の強度を要する「買った物を入れ、運搬の利用に供する袋物」と、なろう。
これは、前述の一般的な「買物袋」の概念とも一致するところである。
(イ)なお、「類似商品・役務審査基準」において、「紙製の袋」は、「第16類 紙製包装用容器(18C04)」の概念に含まれることが明確に示されている(甲2)。
(ウ)ここで、被請求人が、第18類の範ちゅうに含まれる「買物袋」の証拠として提出した乙第3号証ないし乙第6号証について検証する。
乙第3号証は、赤地に白い文字で「PATISSERIE/L’ecrin/GINZA」(「L’ecrin」の文字中の「e」の文字にはアクサンテギュがある。なお、本件審決においては、本件商標及び使用に係る商標の「L’ecrin」の文字部分については、アクサンテギュを省略して記載する。)と印刷された紙の袋で、乙第5号証は、白地に黒で「PATISSERIE/L’ecrin/GINZA」と印刷された紙の袋である。なお、これらは一見したところ、薄く、強度は殆どなさそうである。
乙第4号証は光沢感のある白地の袋の中央に、何かの図形とともに「PATISSERIE/L’ecrin/GINZA」と書された赤く四角いシールを貼った紙の袋であり、乙第6号証は、同様に、光沢感のある赤茶色と思しき縦長の袋の上部に、「L’ecrin/GINZA」と書された金色のシールを貼ったものであり、これらはいくらか厚手の紙袋のように見える。
上記の証拠として提出された写真に示す紙製の袋は、いずれも前記の一般的な「買物袋」の概念とは認められず、商標法上の商品の所属としては、甲第3号証に例示される第16類「紙製包装用容器」に含まれる「さげ紐付角底型包装用紙袋」(類似群コード「18C04」)に該当する。
強いて「買物袋」という文言を含ませるとしても、それは「紙製簡易買物袋」(類似群コード「19B99」)であるが、証拠として示される「紙袋」は、買物用の袋として製造されたとはうかがえず、「簡易買物袋」と称する商品とも言い難い。要するに、乙第3号証ないし乙第6号証に示される「紙袋」は、第18類の「買物袋」(類似群コード「21C01」)に該当する商品ではない。
被請求人によれば、証拠に示す「買物袋」は、単なる包装用の紙袋ではなく、専ら買物用に供される商品の一面もあるのであって、「買物」の際に使用される、いわゆる「買物袋」としても取り扱われているのであるとのことであるが、被請求人が現実にこれら紙製の袋を、独立して商取引の対象としているのであれば、これらを販売した取引の実情を示す取引伝票があるはずであるが、そのような事実を示す証拠の提出は見当たらない。
(エ)また、被請求人は「ワイン」、「洋菓子」など商品の料金込みで「買物袋」を販売する場合もあるとも述べている。「買物袋の料金込み」ではなく、「ワイン」などの商品の料金込みとあるので、主たる商品は買物袋になろうが、証拠に示される袋は、一見したところ、ワイン等を脇役にするほどの高級感は看取できない。
結局のところ、証拠に示す「紙製の袋」の例は、何らかの商品を販売した際に、そのものを入れて持って帰る際に、サービスとして頒布された「袋」であろうと思料する。
仮にその袋を、後日「買物袋」代わりに使用したとしても、「買物袋」という商品を販売しているのではない。
イ 商標の同一性
(ア)本件商標は、最上段に欧文字「L’ecrin」が書され、中段に片仮名で「レカン」、再下段に平仮名で「れかん」と書してなる。
このうち、欧文字「L’ecrin」が、ややデザイン化された独特な文字で書されているのに対し、片仮名「レカン」と平仮名「れかん」は同書体であり、これらは欧文字の「L’ecrin」よりも、一、二回りほど大きな文字で書されている為、全体的なー体感はさほど感じられず、むしろ、欧文字「L’ecrin」は乗せもので、片仮名「レカン」及び平仮名「れかん」部分が強調された印象を与えるものである。
(イ)これに対し、被請求人により提出された証拠写真において、実際に使用されているのは、本件商標の最上段の従たる要素と見受けられる「L’ecrin」部分のみである。
当該部分について被請求人は、直ちに特定の意味合いを認識させないとしても、一見して明らかにフランス語を表したと理解されるものと述べる。
しかしながら、特定の意味合いが認識できない場合には、どこの国の言語であるか、または、造語であるのか、特定することはできない。
(ウ)不可解ながらも、使用商標をフランス語であると断定したのち、被請求人は、「L’ecrin」の文字からは、フランス語読みに「レカン」と発音され、「レカン」「れかん」の振り仮名部分と称呼を共通にし、よって、当該振り仮名の文字部分を省略しても、社会通念上同一の商標ということができる旨、主張する。
しかしながら、本件商標中の「レカン」又は「れかん」の仮名文字部分は、欧文字「L’ecrin」の自然の称呼を無理なく認識しうるものであると、ただちには言えないものである。
すなわち、本件商標中の「L’ecrin」は、被請求人が指摘するように、直ちに特定の意味合いを認識するものではないから、英語に慣れ親しんだ多くの日本人が当該欧文字部分に接した際には、「レクリン」と称呼するのが自然である。
フランス語を母国語とする人が「L’ecrin」を一気に称呼した場合、多くの日本人には「c」の音が脱落して聞こえ(又は、かすかにしか聞こえず)、「レカン」と聞こえる可能性がないこともないが、日本国内にそのような人が多くいるとは思えず、せいぜい、フランス語を大学の授業で少し学んだ程度のものがいるくらいであり、そうした人たちが当該欧文字「L’ecrin」に接し、片仮名表示を試みたとすれば、通常は「レクリン」か「レクラン」くらいになるであろう。
本件商標は「レカン」と称呼してほしいが故に、「レカン」「れかん」の文字をあえて欧文字部分より大きく表したと解される。
(エ)なお、被請求人は商標「L’ecrin」に関し、いくつもの商標登録を有している。
多くが本件のように「L’ecrin/レカン/れかん」を三段に書したものであるが、同じく三段に書した登録商標に、「L’ecrin/レクラン/れくらん」というものも複数あり、さらには「L’ecrin/レクラン」又は、「レクラン/L’ecrin」の二段書きの登録商標もあり、「れくらん」という単独の登録も所有している(甲5)。
このように、被請求人自ら、「L’ecrin」について、「レカン」やれかん」以外の読み仮名を想起させる複数の登録を所有していることは、本件商標にいう「レカン(れかん)」の仮名文字部分が、当然に欧文字部分の唯一の自然称呼となるわけではないことの証左である。
これらを鑑みるに、本件商標「L’ecrin/レカン/れかん」について、「L’ecrin」部分のみを使用した場合、その使用は、社会通念上同一の商標を使用するものとは到底認められるところではない。
使用証拠に示す商標の使用は、指定商品・役務についてはさておき、被請求人が所有する登録第3066143号「PATISSERIE/L’ecrin」または、登録第1279873号などの欧文字のみが示された商標「L’ecrin」の使用であろう(甲6)。
(オ)なお、被請求人は「エクラン/ECRIN」(「E」にはアクサンテギュがある。)という登録も有している。
商標を構成する片仮名部分が、必ずしも、欧文字部分の振り仮名を意図して書したものではないことは理解できるが、「ECRIN」が、「L’ecrin」の「ecrin」部分と同じ綴りであること、また、1974年から続く老舗店である被請求人により、「L’ecrin」の自然称呼が「レカン」であるというのならば、権利者において振るべき仮名部分は「エカン」となるのではあるまいか。
以上の検討によれば、被請求人においては、本件商標を、本件審判請求の登録日前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品、第14類「貴金属製のがま口及び財布」第18類「かばん類,袋物」のいずれについても使用がされているものではない。
なお、上記結論に何ら影響するものではないが、被請求人は答弁書において、紙製の袋に貼り付けているという、シールの発注書面(見積及び請求書)を提出している(乙10、乙11)。
しかしながら、これらの書面によっては、当該シールが、いかなる用途の為に発注されたものであるのか、判断することはできないもので、本件について使用の事実を示す証拠とはなっていない。
よって、本件商標は、商標法第50条の規定により登録が取り消されるべきであると思料する。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
(1)被請求人について
被請求人は、1974年に主としてフランス料理を提供する本格的レストランとして銀座に開業し、ビル再開発の建替移転立ち退き(2014年再入居予定)が行われる2011年8月31日まで、「ROTISSERIE L’ecrin(ロテスリーレカン)」を、また、銀座のほか現在でも上野に「Brasserie L’ecrin(ブラッスリーレカン)」なども展開しているところである。
また、洋菓子店である「パテスリーレカン」は、1981年より開店して都内を中心に10数店舗の店を構え、2008年に閉店した。
(2)「買物袋」についての本件商標の使用について
被請求人は、銀座レカン、ロテスリーレカン、上野ブラッスリーレカンなどに来店する客に対し、フランス料理など食事を提供することを主な業務としているが、その一方、店内において「ワイン」、「洋菓子」なども客の求めに応じて販売している。
そして、その際に使用される「袋」を「買物袋」としてこれを頒布している。
すなわち、上記「買物袋」は無償サービスとして提供されることもあるが、その一方、一般的な買物用の「買物袋」として、客の要望により有償で頒布したり、或いは「ワイン」、「洋菓子」など商品の料金込みで「買物袋」を販売する場合もあるのである。
したがって、上記「買物袋」は、単なる包装用の紙袋ではなく、専ら買物用に供される商品の一面もあるのであって、「買物」の際に使用される、いわゆる「買物袋」としても取扱われているものである。
そして、当該「買物袋」は、「類似商品・役務審査基準」〔国際分類第10版対応〕の第18類「かばん類,袋物」のうち、「袋物」の範ちゅうに「買物袋(車付きのものを含む)」と記載されていることから(乙2)、本件審判請求に係る指定商品中の一であるということができる。
一方、「買物袋」とは、その材質を問わず、皮製・布製・紙製・網製の買物袋が含まれると解されるところ、被請求人が要証期間内に頒布した「買物袋」は、第18類の「袋物」の範疇に含まれる「買物袋」に該当することは明らかである。
なお、本件商標が付された「買物袋」には、大型の買物袋(乙3)、箱型の買物袋(乙4)、小型の買物袋(乙5)、縦長箱型の買物袋(乙6)がある。
(3)本件商標の使用について
上記「買物袋」の前面に、「L’ecrin」のシールを貼付して頒布している。
本件商標は、「L’ecrin」「レカン」「れかん」の各文字を三段に横書きしてなるところ、使用に係る商標は、「L’ecrin」のみである。
しかしながら、「L’ecrin」は、大文字の「L」に次いで、定冠詞「le」の母音字省略(リエゾン)を表すアポストロフィ「’」が続き、小文字で「e」「c」「r」「i」「n」と続くのであるが、これからは、直ちに特定の意味合いを認識させないとしても、一見して明らかにフランス語を表したと理解されるものである。
そうすると、「L’ecrin」の文字からは、フランス語読みに「レカン」と発音され、「レカン」「れかん」の振り仮名部分と称呼を共通にし、よって、当該振り仮名の文字部分を省略しても社会通念上同一の商標ということができるものである。
なお、本件商標のように欧文字と仮名文字との二段書きであっても、それぞれが称呼、観念を同一にする場合は、その一方を使用していれば、登録商標の使用と認められる審決例が多数存在する(乙7ないし乙9)
以上のとおりであるから、本件の使用に係る商標「L’ecrin」は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であることは明らかである。
(4)要証期間について
被請求人は、「買物袋」に「L’ecrin」の文字が付された「レカンシール」を貼って頒布しているところ、当該「レカンシール」は、平成22年5月1日付けで有限会社武士雅子企画室(以下「武士雅子企画室」という。)から被請求人宛に「御見積書」が送付された事実(乙10)、及び実際に発注し納品後に、平成22年7月25日付けで「武士雅子企画室」から被請求人宛に「御請求書」が送付されている事実を提出する(乙11)。
要するに、上記事実により、要証期間(平成21年4月12日〜同24年4月11日)内の平成22年7月以降に「レカンシール」を購入し、これを貼付した買物袋を要証期間内の平成24年4月11日までの間に頒布されたことは容易に推認できるものである。
以上のとおりであるから、被請求人は、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を請求に係る指定商品中の「買物袋」に付して使用していたことが証明されるものである。
(5)まとめ
以上、提出された乙第1号証ないし乙第11号証を総合的にみれば、被請求人は、日本国内において要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判請求に係る商品に包含される「買物袋」について、使用していたことは明らかである。
(1)被請求人の提出した乙第3号証ないし乙第6号証、乙第10号証及び乙第11号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第3号証は、紙ひもの持ち手の付いたやや縦長の紙袋であるところ、その正面は全体がオレンジ色であり、その下部部分に本件商標の欧文字部分と同一態様の「L’ecrin」の文字を大きく表し、その末尾の「n」の文字と右端をそろえるようにして、「L」の文字の上部右側に「PATISSERIE」の文字を、また、「L」の文字の下部右側に「GINZA」の文字を配した商標(以下、これらの文字部分を「使用商標1」という。)が白抜きに表示されている。
イ 乙第4号証は、繊維製のひもの持ち手の付いた縦横同程度の長さの紙袋であるところ、正面の白色地の中央に、オレンジ色に彩色された正方形を配し、その正方形部分の下部に、使用商標1が金色で表示されている。
ウ 乙第5号証は、紙ひもの持ち手の付いたやや縦長の紙袋であるところ、その正面は全体が生成り色であり、その下部部分に使用商標1が黒色で表示されている。
エ 乙第6号証は、繊維製のひもの持ち手の付いた縦長の紙袋であるところ、正面のぶどう色地の中央に、光沢のある薄黄色に彩色された正方形を配し、その正方形部分の中央に使用商標1と比較して「PATISSERIE」の文字部分が無い態様の商標(以下「使用商標2」という。また、使用商標1及び2をまとめていうときは「使用商標」という。)が表示されている。
以下、乙第3号証ないし乙第6号証の写真の袋をまとめて「本件袋」という。
オ 乙第10号証は、武士雅子企画室が商標権者にあてた平成22年5月1日付け見積書であり、「レカンシール」について、デザイン制作費及び「横75mm×縦35」のもの100部の印刷費及びPP加工費を見積もったものである。また、乙第11号証は、株式会社武士企画室(なお、該会社は、武子雅子企画室が組織変更したものと推認できるので、これらの会社について、以下「武士企画室」という。)が商標権者にあてた同年7月25日付け請求書であり、上記見積書の見積り内容による費用が請求されているものである。
(2)上記(1)の事実に基づいて以下検討する。
ア 使用商標について
本件商標は、前記1のとおり、欧文字「L’ecrin」、片仮名「レカン」及び平仮名「れかん」を3段に表してなるものであり、該欧文字は、「宝石箱」を意味するフランス語であって、我が国において「レカン」と称呼されて使用されているものであるから、「レカン」の称呼のみを生ずるというのが相当であり、上記片仮名及び平仮名の文字は、該欧文字の称呼を片仮名及び平仮名で表したものというのが相当である。
使用商標は、中央に本件商標の欧文字部分と同一態様の「L’ecrin」の文字を表し、上部に「PATISSERIE」の文字を配し、下部に「GINZA」の文字を配してなるものであるが、「PATISSERIE」は、「パイ・ケーキの店」を意味するものとして使用されているものであり、「GINZA」の文字は、我が国有数の繁華街である「銀座」を欧文字で表したものであるから、「L’ecrin」の文字部分が独立して認識され、使用商標の要部といえる部分である。
そうとすると、使用商標の要部である「L’ecrin」の文字は、本件商標の欧文字部分と同一であり、片仮名及び平仮名部分とは、「レカン」の称呼及び「宝石箱」の観念が同一であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
イ 商標の使用時期及び本件袋について
(ア)被請求人は、使用商標の使用時期について、被請求人は本件袋に「L’ecrin」の文字が付された「レカンシール」を貼付して頒布しているのであり、レカンシールは、平成22年5月11日から同年7月25日の間に武士企画室に発注し納品されたものであるから、要証期間内の平成24年4月11日までの間に本件袋を頒布したことは容易に推認できると主張している。
しかしながら、本件袋は、乙第3号証ないし乙第6号証の写真からすると、被請求人も無償サービスとして提供されることもあると述べているように、商品の購入時にその商品の持ち運びの利便のために一般に無償でサービスされる(紙製の)袋と同等程度の材質、形状の袋と認められるものであり、しかも本件袋は、いずれも袋に使用商標又は正方形に彩色されている部分が直接印刷されているように見えるものである。一方、乙第10号証及び乙第11号証により納品されたとする「レカンシール」は、横75mm、縦35mmのシールであって、印刷された紙にポリプロピレンのフィルムを圧着させる加工(PP加工)が施されたものと認められるが、本件袋のいずれを見ても、このような形状・加工のシールを貼付しているといえるものは全く見当たらない。
加えて、シールを貼付することは袋のコストを増大させるものであり、また、使用商標は、その構成中の「PATISSERIE」の部分は洋菓子店を表すものとして一般に使用されているものであるから、「洋菓子店レカン」(なお、被請求人の主張によれば、被請求人は、洋菓子店である「パテスリーレカン」を2008年に閉店するまで経営していた。)を認識させるものであり、このような商標を業種の異なる店舗において使用する袋に、上記シールを作成して使用するとはにわかに信じがたい。
そうとすると、レカンシールが上記期間に納品されたことが認められるとしても、それをもって、使用商標を付された本件袋が、要証期間において使用されたものとは認めることはできない。
他に使用商標の使用時期に係る証拠は提出されていない。
したがって、提出された証拠によっては、被請求人が、要証期間内に使用商標を使用したものとは認められない。
(イ)本件袋の商品性について
被請求人は、本件袋を、被請求人の経営する飲食店内においてワインや洋菓子を客の求めに応じて販売する際に使用する袋として頒布するものであり、無償サービスとして提供することもあるが、買い物袋として客の要望により有償で販売したり、「ワイン」などの商品の料金込みで販売する場合もある、と主張し、本件袋は、単なる紙袋ではなく、専ら買物用に供される商品の一面もあるのであって、「買物」の際に使用される、いわゆる「買物袋」としても扱われていると主張している。
しかしながら、商品の販売の際に購入した商品を無償の袋に入れて購入者に引き渡す場合に使用される袋は、通常、それ自体を商品購入者に販売するのではなく、持ち運びの利便等のために、商品販売に付随する無償のサービスとして商品購入者に引き渡すものであるから、このような使用における本件袋は、商標法上の商品ということができない。
また、被請求人は、本件袋自体を販売した事実(「ワイン」等の商品の価格が本件袋の料金を含むことを明確にして商品を販売している場合も含む。)について、何ら立証していない。
なお、本件袋は、明らかに紙製のものであり、紙製の袋は、物の持ち運びに使用される袋として販売される場合があるが、一般には耐久性がなく、皮革などの強度のある材料の商品である、「袋物」(買物袋)の範ちゅうの商品とはいうことができない。また、第18類の商品は、「革及び人工皮革並びにこれらを材料とする商品であって他の類に属しないもの」(「商品及び役務の区分解説[国際分類第8版対応])とされているところ、本件袋は、前記のとおり、紙製と認められるものであり、第16類に属する商品と認め得るものであるから、この点からも第18類に属する商品とはいえない。
したがって、本件袋(使用商品)は、本件審判の請求に係る指定商品の範ちゅうの商品とはいうことができない。
ウ 以上によれば、商標権者が本件審判請求の登録前3年以内に、その請求に係る指定商品に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用したものとは認められない。
その他、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標が請求に係る指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることができない。また、被請求人は、請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第14類「貴金属製のがま口及び財布」及び第18類「かばん類,袋物」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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