Trademark Appeal Case
論点抽出失敗
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−19718(T2011−19718/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類「衛生マスク」、第9類「防じんマスク,保護用マスク」及び第10類「医療用マスク」を指定商品として、平成22年3月9日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、薄いピンク色地の横長長方形の内部に、濃いピンク色のリボン様の図形及び該図形に一部重なるように、黒色の『Pink Ribbon』及び『MASK』の欧文字を上下2段に配した構成よりなるところ、その構成中、上段の『Pink Ribbon』の文字は、乳がんの撲滅、検診の早期受診を啓蒙、推進するために行われている世界規模の運動の名称として広く一般に認識されているものであり、また、ピンク色のリボン様の図形も、同運動のシンボルマークとして用いられている図形を想起させるものといえる。そして、我が国においては、そのようなピンクリボン運動が、NPO法人などを中心に推進され、同運動に協賛する企業、市民団体などは年々増加しているところである。そうとすれば、本願商標は、前記ピンクリボン運動の名称又はそのシンボルマークを容易に認識させる文字及び図形を有するものであるから、本願商標を出願人の商標として登録することは、公正な取引秩序を害するおそれがあり、社会公共の利益及び一般的道徳観念に反するものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲2記載の事実を発見したので、請求人に対し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えたが、請求人は、何ら意見を述べていない。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第7号の趣旨について
商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(ア)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(イ)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(ウ)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(エ)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(オ)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)第10349号 平成18年9月20日判決言渡)。
以下、この趣旨にそって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについて検討する。
2 本願商標の商標法第4条第1項第7号該当性
本願商標は、別掲1のとおり、薄いピンク色の横長長方形内に、濃いピンク色のリボンが一重の輪を描き交差してなる図形と、「Pink Ribbon」及び「MASK」の欧文字を上下2段に表した文字部分とを配した構成からなるものである。
そして、本願商標は、その構成中の「MASK」の文字部分が本願の指定商品そのものを表す語であることから、自他商品の識別標識として機能する部分は、上記リボンの図形部分と「Pink Ribbon」の文字部分にあるといえる。
ところで、別掲2記載の事実によれば、「ピンクリボン(pink ribbon)」とは、乳がんの早期発見の重要性と乳がん検診の必要性を啓蒙する、世界的な運動の名称・シンボルであって、ピンクリボン運動(ピンクリボン活動又はピンクリボンキャンペーンとも呼ばれる。)は、1980年代の米国で始まり、日本では、2000年頃から始まり、その後全国各地に広がり、2007年以降から官民を巻き込んだイベント等の開催によって活発化し、現在では、自治体、NPO、企業及び任意団体等によって全国において行われているものである。
そして、ピンクリボン運動においては、同運動を主催する様々な団体等が、個々のデザインは多少異なるものの、ピンク色のリボンが一重の輪を描き交差してなる構成を同一とする図形を掲げたり、また、同運動の協賛企業が協賛商品に該図形を付していることが認められる。
そうすると、「ピンクリボン」及び「pink ribbon」の文字並びに「ピンク色のリボンが一重の輪を描き交差してなる図形」は、我が国においては、ピンクリボン運動を表すものとして広く一般に知られており、自治体、NPO、企業等様々な団体が同運動を推進するために広く使用しているものと認められる。
してみれば、構成中に「濃いピンク色のリボンが一重の輪を描き交差してなる図形」及び「Pink Ribbon」の欧文字を有する本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、これらの図形及び文字部分がピンクリボン運動を認識させるというべきであるから、このような商標について一私人たる請求人が商標登録を得ることは、公正な取引秩序を乱すおそれがあるばかりでなく、社会の公共の利益に反し、また社会の一般的道徳観念にも反するというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。
3 請求人の主張について
請求人は、商標法第4条第1項第7号は、きわめて厳格に解釈すべきであって、また、「ピンクリボン運動」は、「著名」といえるほど十分に広く一般に認識されているとはいい難く、本願商標が同号に該当するとの認定は不合理である旨主張する。
しかしながら、本願商標の同号該当性については、上記1の同号の趣旨にそって判断すべきものであって、本願商標は、上記1の趣旨の(イ)にあたるものであることは、上記2に述べたとおりである。
また、「ピンクリボン運動」が、我が国において、乳がんの早期発見の重要性と乳がん検診の必要性を啓蒙する運動として極めて著名になっており、「ピンク色のリボンが一重の輪を描き交差してなる図形」及び「Pink Ribbon」等の文字が、同運動を表すものとして広く使用されていることは、別掲2記載の事実からも明らかである。
してみれば、このようなものを一私人たる請求人が商標登録を得た場合、同運動を行う商品「マスク」に係る業界の者が使用することができなくなるおそれがあり、ひいては、公正な取引秩序を乱すばかりでなく、社会運動としての意義が大きい同運動が阻害されるおそれもあるから、請求人による独占使用を許すことは、社会公共の利益に反し、また、社会の一般的道徳観念にも反するといわなければならない。
したがって、上記請求人の主張は、理由がなく採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本願商標を商標法第4条第1項第7号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。