Trademark Appeal Case
地名と伝承の結合識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2012−9058(T2012−9058/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「播磨伝承」の文字を標準文字で表してなり、第30類「穀物の加工品」を指定商品として、平成23年6月23日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『播磨伝承』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中『播磨』は『今の兵庫県の南西。』を指称する旧国名であり、また、『伝承』は『伝え受けつぐこと。』等を意味し、本願商標全体として『兵庫県で伝え受けつぐこと』程の意味合いを把握、理解することから、本願商標をその指定商品中前記文字に照応する商品について使用しても、本願商標に接する取引者、需要者は、『兵庫県で伝え受けつがれた穀物の加工品』程の意味合いを認識するにすぎず、結局、本願商標は、単に商品の品質(産地)を表示したもので自他商品識別機能を果たさないものと言わなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり「播磨伝承」の文字からなるものであり、その構成から「播磨」及び「伝承」の文字(語)を結合してなるものと容易に認識し得るものである。
そして、その前半部の「播磨」の文字(語)は、「旧国名。今の兵庫県の南西部。」の意味を有する(広辞苑第六版)。
また、後半部の「伝承」の文字(語)は、「伝え受けつぐこと。また、その伝えられた事柄。」などの意味を有し(広辞苑第六版)、食品を取り扱う業界においても、「伝承の味」、「伝承の製法」、「伝承料理」のように、「味や製法を伝え受けつぐこと。その伝えられた味や製法」を意味するものとして一般に使用されているものであり、本願指定商品の分野においても別掲1のとおり、前記意味合いで使用されているものである。
さらに、別掲2のとおり、本願指定商品及びその他の食品の分野において、「その地方で伝え受けつがれた味や製法」について記述する際に、「○○伝承」(「○○」は地名。以下、同じ。)、「○○の伝承」のように「地名」及び「伝承」の文字(語)が共に使用されている実情がある。
そうとすれば、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、これを「播磨地方で伝え受けつがれた味や製法による穀物の加工品」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、産地を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
(2)なお、請求人は、本来「伝承」の語は、生来的な性質として、物、特に市場において売買される商品とは馴染みにくい語であり、本願指定商品「穀物の加工品」の品質を表現する語として通常用いられるものではない。ましてや、単なる地名ではなく旧国名である「播磨」を「伝承」に付加してなる本願商標「播磨伝承」を、本願指定商品「穀物の加工品」との関係で用いることは、極めて特異なことであり独自性を有するものであるとして、本願商標は、指定商品の品質の間接的な表示に該当し、また、取引上一般的に使用されている事実も認められないため、自他商品識別力を有するものである旨、及び、この主張が妥当であることは、本願商標と同様に地名と「伝承」の文字を結合してなる複数の商標に係る登録例によって裏付けられる旨主張している。
また、請求人は、過去と現在とで出願商標を取り巻く状況に何ら変化がないのであれば、本願商標の登録の可否の判断は過去の登録例の判断と同一のものとなって然るべきである旨主張している。
しかしながら、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるところ、上記のとおり、本願指定商品及びその他の食品の分野において、「その地方で伝え受けつがれた味や製法」について記述する際に「地名」及び「伝承」の文字(語)が共に使用されている取引の実情があり、さらに、当該分野の商品は、味や製法が商品の品質において重要な要素であることからすれば、「播磨」及び「伝承」の文字(語)を単に結合してなる本願商標は、「播磨地方で伝え受け継がれた味や製法」であることを表すものとして、取引者、需要者に認識されるものと判断するのが相当であり、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべきである。
さらに、近年、地域産業の活性化や地域おこしの観点から、地域の農林水産物や食品などの特産品に対する注目が高まっており、原材料や製法等の特性がその地域に起因するものであるとの情報を需要者に示すことにより、他の地域の商品との差別化を図り、その付加価値を高めていこうとする取組みが各地で行われている実情があるから、前述のとおり判断するのが相当であって、他の登録例の存在によってこの判断は何ら左右されるものではない。 したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)してみれば、「播磨伝承」の文字を標準文字で表してなる本願商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は「播磨地方で伝え受け継がれた味や製法による穀物の加工品」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、産地を表示したものと認識するにとどまるものであるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
以上のとおりであるから、本願商標が同法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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