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Trademark Appeal Case

結合商標の要部抽出と称呼類似

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第35014号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4107643号商標(以下、「本件商標」という。)は、「PALMER’S SKIN SUCCESS」の欧文字を横書きしてなり、平成1年7月21日に登録出願、第4類「せっけん類 歯みがき 化粧品 香料類」を指定商品として、同10年1月30日に設定登録されたものである。

2.引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第605236号商標は、「サクセス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和36年11月20日登録出願、同38年2月13日設定登録、同じく登録第1481812号商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和51年6月17日登録出願、同56年9月30日設定登録、同じく登録第2138742号商標は、「サクセス」の片仮名文字と「SUCCESS」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、昭和61年11月20日登録出願、平成1年5月30日設定登録、同じく登録第2251709号商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和62年2月4日登録出願、平成2年7月30日設定登録、同じく登録第2560301号商標は、「SUCCESS」の欧文字を横書きしてなり、平成3年3月25日登録出願、同5年7月30日設定登録されたものであって、いずれも、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品とし、現に有効に存続するものである(以下、前記5件の引用登録商標をまとめて「引用各商標」という。)。

3.請求人の主張

請求人は、「登録第4107643号商標の登録は、これを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証乃至同第44号証(枝番を含む)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標からは、字面上は「パーマーズスキンサクセス」の称呼を、引用各商標からは、いずれも「サクセス」の称呼を生じる。しかしながら、本件商標からは「サクセス」の称呼も生じる。

本件商標は、「PALMER′S」「SKIN」「SUCCESS」の三語から形成されている。このうち「SKIN」の文字は、本件商標の権利者が本件商標の出願中に係属した審判請求事件において、「肌」の意味を有するが故に自他商品識別機能を有さない部分であることを認めている。

この事実を踏まえて考察してみると、本件商標は、「パーマーの肌用のサクセス」という意味合いを有する。これをたとえるならば「花王の肌用のサクセス」という表現と全く同じである。そうすると、かかる意味合いにおいて「パーマーの」といい、「花王の」といい、該部分、特に「パーマー」「花王」は所謂「カサブランド」としての機能を有し、「サクセス」は商品毎の個別名として理解される。商品に特別顕著性を有する個別名が付されている場合には、その個別名をもって取引されるのが普通である。そのうえ本件商標の構成は、自他商品識別機能を有さない語をはさんでそれぞれ特別顕著性を有する語を位置させてなるものであるから全体としての結合度は極めて弱い。

しかも、本件商標は、全体として「パーマーズスキンサクセス」という12音からなる極めて冗長な称呼を有している。商標審査基準によれば、長い称呼を有するため、または結語商標の一部が特に顕著であるため、その一部分によって簡略化される可能性がある商標は、原則として、簡略化される可能性がある部分のみからなる商標と類似するとされている。

したがって、本件商標は、自他商品識別機能を有さない語をはさむことによる結合の弱さ、また全体として冗長であるところから、簡易迅速を尊ぶ商取引の実際から、特別顕著性を有する「SUCCESS」より生じる「サクセス」の称呼をもって取引されることの多いことは論をまたない。

なお、被請求人は、本件商標の出願中に係属した審判請求事件において、自他商品識別機能を有さない語を共にする称呼において、請求人の商品を引き合いに出して、「メリットシャンプー」は「メリットシャンプー」と称呼され、「メリットシャンプーリンス」は「メリットシャンプーリンス」と称呼され、これにより、商品を区別しているではないかとの趣旨の陳述をしているが、これらが全体として称呼されたとしても商標の要部は自他商品識別機能を有する「メリット」であって、両者は「メリット」の称呼において類似するのである。決して「シャンプー」や「シャンプーリンス」が付加されることによって両商標が非類似となるのではない。けだし、「シャンプー」や「シャンプーリンス」は自他商品識別力を有さないからである。同様に本件商標中「SKIN」の文字は「肌」を表示するだけのものであって、商標としての機能である自他商品識別機能を有さないこと極めて自明である。さらに、同じく審判請求事件において、「SUCCESS」は品質の誇称的な意味があると述べているが、商品の品質を誇称する意味で「SUCCESS」が用いられるという経験則は存在しない。そればかりか「SUCCESS」は後述するように、甲第41号証乃至甲第43号証のとおり、本件商標に係る指定商品において、需要者に広く知られた商標なのである。

以上のことから、本件商標は、その要部である「SUCCESS」から当然に「サクセス」の称呼も生じる。

そこで、本件商標から生ずる称呼「サクセス」と引用各商標から生ずる称呼「サクセス」を比較すると同一又は類似であること疑う余地はなく、本件商標と引用各商標とは、称呼上類似の商標である。

してみると、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。

(2)商標法第4条第1項第15号について

請求人は、甲第7号証乃至甲第11号証に示すように「サクセス」及び「SUCCESS」の文字を本件商標の出願前よりずっと「シャンプー」「リンス」「ヘアフォーム」「ローション」「コロン」等に表示して継続して販売をしており、多くの広告媒体を利用して広告宣伝に努めている。広告宣伝は主としてテレビ、雑誌を通して行っている。 広告宣伝の具体的な幾つかを甲第12号証乃至甲第29号証により示す。

このようにして請求人は、テレビや雑誌を媒体として多量の「サクセス」「SUCCESS」の広告宣伝を行っている。その結果「サクセス」「SUCCESS」は使用商品について、需要者や取引者に周知著名なものとなった。

請求人は、甲第40号証に示す概要のもとにベンチマーク調査を行っている。調査によると発売間もない昭和62年9月でも38,6%の人が、昭和63年4月には46,9%の人が、平成元年5月には52,2%の人が、平成2年5月には53%の人が、そしてごく最近の平成9年6月には78,3%の人が「サクセス」を知っていると答えている。以上の調査の結果、知名率は非常に高率を示し、「サクセス」商品の市場占有率も相当程度になっていることから判断して、「サクセス」「SUCCESS」は使用商品について一般の需要者、取引者に広く知られており、すでに著名商標となっていることは明白である。

請求人の使用している「サクセス」「SUCCESS」の商標は、前述のように本件商標に係る指定商品に使用し、著名となっているから、本件商標をその指定商品に使用すると、一般の需要者、取引者は、該商標の結合の弱さとその冗長さに鑑みて、請求人の業務に係る商品を表示するものとして有名な「サクセス」「SUCCESS」と同一の称呼部分に注意を引かれ、その商品の出所を請求人あるいはそれらと何らかの関係にあるものと誤認混同するおそれがある。

してみると、本件商標は、その指定商品に使用すると他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。

(3)被請求人の答弁に対する弁駁

本件商標は、拒絶査定不服の審判を経て登録され、また、商標登録異議の申立ての審理においても登録を維持するとの判断が示されたものであることはそのとおりではある。しかしながら、かかる事実をもって、あたかも本件商標には無効理由は存在しないとするような被請求人の主張は相当ではない。けだし、かかる事実によって無効理由を主張する妨げとなったり、無効理由が存在しなくなったりするものではない。

被請求人が答弁書で述べていることは、特許庁における審査及び審理についての事実の羅列のみであって、請求人が無効審判請求書において述べたことに対しては、何ら具体的な答弁をしたことにはならない。

被請求人の提出した乙第1号証に示されている「ナチュラルサクセス」は、同書同大同間隔をもって、一連不可分に書されていて、他に「ナチュラル」と「サクセス」とに分離して称呼しなければならない理由を見出せないため一連の称呼を生ずる構成なのに比し、本件商標は、カサブランドとしての機能を有する「PALMER’S」と「肌」を意味する特別顕著性を有さない「SKIN」と化粧品等において請求人を出所するものとして広く需要者に知られている「SUCCESS」をスペースを設けて冗長に書してなるものであるため、一連不可分のものであると認識しなければならない理由は存在せず、「サクセス」のみの称呼も生じる構成なのである。したがって、乙第1号証に示された「ナチュラルサクセス」と「SUCCESS」とが類似しないものであったとしても、本件商標から「サクセス」の称呼が生じないという証拠とはならない。

乙第2号証に示されている「RUREED LOTIONFOUNDA」は、「LOTIONFOUNDA」の部分が同書同大同間隔をもって一連に書記され、その振り仮名である「ルリード ローシヨンファンデ」においても「ローションファンデ」の部分が一連不可分に書されている。そのため、「ローションファンデ/LOTIONFOUNDA」は、全体を同書同大同間隔で書記され、格別冗長でもなく、発音が困難であることもないことを理由に全体を一体として観察するのが自然であるとしている。

一方、本件商標は、明らかに「SKIN」と「SUCCESS」との間が分離し、決して造語としては捉えることができず、「SKIN」は明らかに用途等を表示する自他商品識別力を有さない表示となっている。したがって、本件商標のような構成の商標には、乙第2号証に示された判示は何の参考にもならない。

4.被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証を提出した。

本件商標の登録出願は、引用各商標のうち、登録第2138742号の商標に類似するとの理由で拒絶査定されたが、これに対して不服の審判を請求し、本件商標から「SUCCESS」だけが抽出されて、「SUCCESS」だけによって略称されることは有り得ない、と主張したところ、請求は認容されて登録されたものである。

その後、請求人は本件商標に対して本件無効審判請求の理由と同じ理由で異議を申し立てたが、「本件商標と申立人の引用各商標とは、その外観、称呼および観念のいずれからしても類似しないものであり、他に混同を生ずるとすべき格別の事情も見出し得ないから、引用各商標が本件商標の商標登録出願時には申立人の業務に係る商品「シャンプー、リンス」等の商標として取引者・需要者の間において広く認識されていた事実を考慮しても、本件商標を指定商品に使用した場合、その商品が申立人または申立人との関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について、取引者・需要者に誤認混同させるおそれのないものである。」との判断が下されて、本件の登録は維持されたのである。

尚、本件事案に類似する平成10年異議第90986号において、「ナチュラルサクセス」と「SUCCESS/サクセス」は非類似として、登録第4111268号商標の登録を維持した。さらに、東京高等裁判所は平成10年(行ケ)第115号において、商標「FOUNDE」と商標「RUREEDLOTIONFOUNDA」が混同されるおそれは無いと判示している。請求人の引用各商標がある程度周知であるとしても、請求人の主張は不当である。

5.当審の判断

本件商標と引用各商標は、前記構成のとおりであるから、外観上、明瞭な差異を有するものであって、互いに紛れるおそれがないことは明らかである。

次に、両商標の称呼についてみるに、本件商標は、その構成文字全体に相応して「パーマーズスキンサクセス」の称呼を生ずるほか、該称呼が冗長でないとはいい難いことに加え、「PALMER’S」「SKIN」「SUCCESS」の各文字部分の間に、それぞれ半文字分ほどの空白があること及び前段の「PALMER’S」の文字における「’S」の部分が、英語で名詞の所有格を表すものであって、全体として「『PALMER』の『SKIN SUCCESS』」として理解されるといい得ることからみれば、これに接する取引者・需要者は、前半の「PALMER’S」と後半の「SKIN SUCCESS」の文字部分とを分離して認識し、それぞれの文字部分より生ずる「パーマーズ」及び「スキンサクセス」の各称呼をもって取引に当たる場合も決して少なくないと判断するのが相当である。

してみれば、本件商標からは、「パーマーズスキンサクセス」「パーマーズ」「スキンサクセス」の各称呼が生ずるものといわなければならない。

なお、この点に関して、請求人は、「本件商標は、その商標中の中段に、自他商品の識別力を有しない「SKIN」の文字を配した構成よりなるものであり、極めて冗長でもあるところから、後段の「SUCCESS」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものであって、これより「サクセス」の称呼も生ずる。」旨主張する。

そして、本件商標中の中段の「SKIN」の文字部分は、それだけを取り出せば、本件商標の指定商品との関係においては、「肌、皮膚」の意味を有する英語であって、商品の品質、用途を表すもの、即ち、自他商品の識別標識としての機能を有しないものということができる。しかしながら、本件商標は、前述のとおり、その構成態様により、「PALMER’S」と「SKIN SUCCESS」の文字部分とに分離して認識される場合があるとしても、この後半の「SKIN SUCCESS」の文字部分は、それぞれ同書体・同大の文字で、軽重の差なく外観上まとまりよく一体的に構成されているものであり、これより生ずる「スキンサクセス」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものであって、他にその構成中の「SUCCESS」の文字部分のみを更に分離抽出しなければならない格別の事情が存するとは認め難い。そうとすれば、本件商標中後半の「SKIN SUCCESS」の文字部分は、一体のものとしてみるのが自然であるから、前記請求人の主張は採用できない。

他方、引用各商標からは、それぞれその構成文字に相応して「サクセス」の称呼が生ずるものと認められる。

そこで、本件商標より生ずる前記各称呼と引用各商標より生ずる「サクセス」の称呼を比較するに、両称呼は、その音構成及び音数において、それぞれ顕著な差異を有するものであるから、両商標は、称呼においても相紛れるおそれのないものといわざるを得ない。

さらに、少なくとも本件商標が特定の意味合いをもつとの主張立証はなく、また特定の意味合いを持つものともいい難いから、本件商標と引用各商標の観念は、これを比較すべくもない。

したがって、本件商標と引用各商標は、その外観・称呼・観念のいずれの点よりみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。

さらに、本件商標は、その商標中後半の「SKIN SUCCESS」の文字部分が一体のものとしてのみ把握されること前記認定のとおりであるところ、その登録出願前から、請求人が「サクセス」「SUCCESS」の文字よりなる商標を「シャンプー,ヘアーリンス・ヘアートニック等の男性用化粧品」に使用し、テレビ・雑誌を通じてその商品の広告・宣伝をしてきた等(甲第7号証乃至同第40号証)の事実が存することを考慮しても、なお、本件商標に接する取引者・需要者が、その構成中の最後部の「SUCCESS」の文字のみを分離して認識し、請求人の前記引用商標を連想、想起するものとまでは認めることができない。

してみれば、本件商標は、その指定商品に使用しても、請求人若しくは同人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきであるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということもできない。

追って、請求人は、当庁における審査例(甲第41号証乃至同第43号証)を挙げて主張するところあるも、本件と事案を異にするものであるから、それに基づく主張は採用の限りでない。

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定のいずれにも違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効とすることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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