Trademark Appeal Case
商標の称呼・外観類似と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900159(T2012−900159/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5476661号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおり,「エファージュ」の片仮名と「F.A.G.E.」の欧文字及びピリオドを二段に併記してなり,平成21年6月25日に登録出願,第3類「香料類」を指定商品として,平成24年2月7日に審決,同年3月9日に設定登録されたものである。
2 引用商標
商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下の(1)ないし(5)のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5086597号商標(以下「引用商標1」という。)は,「FAGE」の文字を標準文字により表してなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」及び第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー及びココア,氷,菓子及びパン,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン」を指定商品として,平成19年10月26日に設定登録されたものである。その後,商標登録の一部取消し審判において指定商品中,第30類「食品香料(精油のものを除く。)」についての登録を取り消す旨の審決がなされ,その審判の確定登録が同24年1月13日になされているものである。
(2)登録第5086596号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第30類「食品香料(精油のものを除く。)」ほか,第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,平成19年10月26日に設定登録されたものである。
(3)登録第5203373号商標(以下「引用商標3」という。)は,別掲3のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「ヨーグルト」を指定商品として,平成21年2月6日に設定登録されたものである。
(4)登録第5105890号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲4のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「チーズ」を指定商品として,平成20年1月18日に設定登録されたものである。
(5)登録第5105889号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲5のとおりの構成からなり,平成19年2月13日に登録出願,第29類「ニンニクで風味を付けたヨーグルト」を指定商品として,平成20年1月18日に設定登録されたものである。(以下,引用商標1ないし5を一括していうときは,単に「引用商標」という。)
3 登録異議の申立ての理由の要点
申立人は,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第8号に該当するから,取り消されるべきである旨申立て,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)申立人会社及び引用商標の著名性について
ア 申立人会社の著名性について
申立人会社「フェージ デアリ プロセッシング インダストリー エス.エー.」(以下「FAGE」という。)は,1926年にギリシャのアテネにヨーグルト(以下「FAGE製品」という。)を製造販売するお店として設立され,現在,ギリシャ国内に3工場があり,ギリシャではFAGEは,ヨーグルトのシェアで1位を占めている。2009年には3億ユーロ以上の利益をあげている。FAGEは,乳製品の分野でギリシャの他,80年代にはヨーロッパ市場に進出,2000年にアメリカに子会社を設立,さらに,2005年にイギリスに子会社を設立している。また,FAGEはヨーロッパ,アメリカでFAGE及びFAGEを冠した商標の登録を確保し,これらの商標の使用により,「FAGE」の信用を「FAGE」商標に化体,蓄積することに成功している。
現在,FAGE製品はヨーロッパ全体及びアメリカに加え,日本,中国,オーストラリア,ホンコンやシンガポールにまで輸出されるようになった。
イ 引用商標の著名性について
上記のとおり,FAGE製品は,80年以上にもわたり,ヨーロッパを中心に世界各国で愛用されている。ハウスマークである「FAGE」商標が付されたFAGE製品は,世界の広い範囲に行き渡り,また,新聞,雑誌等様々な媒体を通じて紹介されており,世界の主要国の取引者・需要者において周知著名となっている。
また,FAGE製品は,日本にも輸出されており,ネット通販でも販売されている。そして,最近のダイエットブームの高まりのなかで,乳脂肪分ゼロで,高タンパクなFAGE製品は,ネットや口コミを通じて,我が国の需要者に,かなりの知名度を有している。
このように,我が国の取引者・需要者間において,「FAGE」商標は,広く認識されていることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
引用商標の周知,著名性を考慮すると,本件商標は,引用商標1と外観及び称呼が類似する商標である。また,本件商標の指定商品「香料類」は,引用商標1の指定商品「食品香料(精油のものを除く。)」と類似する商品である。したがって,本件商標は,引用商標1と抵触関係にあるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,前記のとおり,世界的な著名商標であり,また,我が国でも周知性を獲得している商標であるから,その周知著名性及び商品間の密接な関係を考慮した場合,本件商標が使用された場合には,需要者は引用商標と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し,引用商標とその商品の出所について混同が生じるおそれがある。
(4)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は,前記のとおり,他人の名称の著名な略称を含む商標である。そして,該他人の承諾を得ているものではない。したがって,本件商標は,該他人の人格権を毀損するおそれのある商標である。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
申立人は,本件商標の指定商品,第3類「香料類」は,引用商標1の指定商品中「食品香料(精油のものを除く。)」と類似すると主張している。
しかしながら,引用商標1の商標権は,前記2のとおり,商標登録の一部取消し審判において指定商品中,第30類「食品香料(精油のものを除く。)」について,商標登録を取り消すべき旨の審決が確定し,その確定審決の登録が同24年1月13日になされているものであるから,本件商標の指定商品は,引用商標1の指定商品と類似しない商品となったものである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第15号及び同第8号について
申立人は,引用商標を含む「FAGE」商標が申立人の業務に係る乳製品を表示するものとして,我が国における需要者の間において広く認識されているものであり,かつ,申立人の略称としても著名である旨主張し,証拠として,甲第3号証,甲第5号証,甲第6号証及び甲第8号証を提出しているので,以下検討する。
ア 「FAGE」商標の周知著名性について
申立人の提出に係る甲第3号証,甲第5号証及び甲第6号証によれば,「FAGE」の文字が申立人の略称として,あるいは乳製品の商標として,使用されている事実を確認することができる。
しかしながら,日本語で記載されているものは,甲第5号証及び甲第6号証のみであって,しかも,甲第5号証は,わずか2か所のウェブサイトにおけるヨーグルト「FAGE」の販売を証明するものであり,甲第6号証は,googleにおいて「fage ヨーグルト」をキーとしてウエブ全体を検索した結果であり,そのヒット件数も約3050件にすぎないものである。また,甲第3号証及び甲第8号証は,その証拠のほとんどが,英文(一部にギリシャ語を含む)で記載された新聞記事,雑誌等であり,それらの日本における頒布の状況等も確認できない
そうすると,申立人の提出した証拠からは,「FAGE」商標が申立人の商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,わが国の需要者の間に広く認識されているものであって,かつ,申立人の略称として著名であるということはできない。
イ 商標法第4条第1項第15号及び同第8号該当性について
上記アのとおり,「FAGE」商標が申立人製品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,わが国の需要者の間に広く認識されているものであって,かつ,申立人の略称として著名であるということはできない。
そうとすれば,本件商標は,これを登録異議の申立てに係る指定商品について使用しても,これに接する者に「FAGE」商標を想起,連想させるものではなく,該商品が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
また,上記アのとおり,「FAGE」商標が申立人の略称として,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,著名であるということはできないから,本件商標は,他人の名称の著名な略称を含む商標とはいえない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第8号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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