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Trademark Appeal Case

図形商標の外観類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900289(T2012−900289/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5505947号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5505947号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成24年4月25日に登録出願、第25類「ゴルフ靴」を指定商品として、同年7月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4521160号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成13年2月19日に登録出願、「運動用特殊靴」を含む第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同年11月9日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要点)

(1)商標法第4条第1項第11号の該当性

本件商標と引用商標とは、いずれも一見して、傾斜させたローマ字「H」をモチーフとし、左右ステムとつながるバーの上下を孤状に形成し、あたかも上下を内包に向かってくりぬいた如き図形である点で共通するものであるところ、詳細に観察すれば、その傾斜の向き、また、本件商標においては、左ステムの下端を曲線状とし、右ステムの下端及び両ステムの上端を直線状とするのに対して、引用商標においては、両ステムの下端及び右ステムの上端を直線状とし、左ステムの上端を曲線状であるという点など、異なる点があるものの、その外観上の差異は微差にすぎない。

また、靴の外側側面にデザイン的に表示された商標をもって、商品の取引に当たる場合も少なくないところ、両商標は、いずれも靴の外側側面にデザイン的に使用されるものであり、靴の外側側面における形状としてみた場合には、傾斜させたローマ文字「H」をモチーフとし、左右ステムとつながるバーの上下を孤状に形成し、あたかも上下を内包に向かってくりぬいた如き図形であり、それから受ける印象を同じくし、構成の軌を一にするから、需要者に外観上酷似した印象を与えるものであって、両商標を時と所を異にして、離隔的に観察した場合、互いに相紛れるおそれのあるものというのが相当である。

さらに、本件商標の指定商品「ゴルフ靴」は、引用商標の指定商品「運動用特殊靴」に含まれる「ゴルフ靴」と同一の商品である。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号の該当性

申立人は、引用商標を靴の外側側面に使用した商品について、本件商標の出願日前である平成18年春から全国的に販売開始し、今なお盛大に継続して販売及び宣伝広告活動した結果、引用商標は、申立人の商標として、一般世人に広く知られ、著名となっているから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定によって、取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標と引用商標との類否について検討するに、別掲(1)及び(2)のとおり、両商標はいずれもローマ字「H」をモチーフとして、籠字風に輪郭線で図案化したものといえる。

しかしながら、本件商標は、その上部をやや右方に傾けて描かれ、左側のステムが右側のそれよりも長く、そして、左右のステムの外側を湾曲線、左ステムの下端を曲線とし、それ以外の右ステムの下端及び左右のステムの上端を直線とし、しかも、左右のステム下端は、ほぼ水平に描かれ、また、左右ステムとつながるバーの上下にくり抜かれた如き開口部分の横幅は、ほぼ同じであって、さらに、左右ステムの幅が下方に向かって広がって描かれているところから、構成全体が、曲線をもって末広がりに、柔らかな安定した印象の図形として、看者に印象づけられるといえる。

これに対し、引用商標は、その上部をやや左方に傾けて描かれ、右側のステムが左側のそれよりも長く、左右ステムの外側、下端及び上端を直線とし、しかも、左ステム下端は水平なのに対し、右ステム下端は、左ステムの延長線上よりやや上方に鋭角をもって描かれ、また、左右ステムとつながるバーの上下にくり抜かれた如き開口部分の横幅は、下方が上方に比して約2倍ほどあり、さらに、左右ステムの幅は、ほぼ同じように描かれているところから、構成全体が、直線をもって、かつ、右ステムが宙に浮いたように、固い不安定な印象の図形として、看者に印象づけられるといえる。

そうとすると、本件商標と引用商標とは、いずれもローマ字「H」をモチーフとしたものといえるとしても、上記の相違点により、両商標は、全体から受ける印象が著しく異なるものであって、それぞれを時と所を異にして観察した場合、外観上相紛れることなく別異のものとして認識し把握されるというべきである。

また、両商標は、いずれも親しまれた既成の観念を有する事物事象を表したものともいえないから、特定の称呼及び観念を生じないものである。

してみると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。

なお、申立人は、要するに、両商標は、いずれも靴の外側側面にデザイン的に使用されるものであり、靴の外側側面における形状としてみた場合を前提とし、両商標を時と所を異にして、離隔的に観察した場合、互いに相紛れるおそれのある旨主張する。

しかしながら、商標法第27条において「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。」とされているとおり、商標の類否は、願書に記載した商標に基づいて判断すべきであって、使用の状況によって変化する登録商標の態様を参酌する必要はないことから、かかる申立人の主張は、その前提において採用の限りでない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人は、引用商標を「靴」について使用して著名になっている旨主張しているところ、申立人の提出に係る証拠は、申立人会社のホームページに表示された会社概要(甲16)と店舗リスト(甲17)のみであって、我が国における引用商標を使用した「靴」の販売数量、売上高、広告宣伝の状況等、引用商標の著名性を具体的に裏付ける証拠は何ら提出されていない。

そうとすると、申立人の提出に係る証拠のみをもってしては、本件商標の登録出願時において、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国における取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

しかも、前記したとおり、本件商標と引用商標とは、十分に区別し得る別異の商標というべきものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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