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Trademark Appeal Case

結合商標の要部認定

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900222(T2012−900222/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5490266号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5490266号商標(以下「本件商標」という。)は、「Cashe`e petite」の欧文字を横書きしてなり、平成24年1月19日に登録出願され、第44類「美容」を指定役務として、同年4月12日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 本件商標について

本件商標は、上記第1のとおりの構成からなるところ、その構成文字中、「petite」の文字部分は、「プチ」と読まれ、「小さい」、「かわいい」等の意を有し、我が国において親しまれた語であるとともに、多くの商品・サービス分野において、既成の商品やサービスに比して小振りな商品や小規模のサービスなどを指称する語として、例えば、「プチトマト」、「プチケーキ」、「プチメニュー」、「プチ整形」、「プチ美容」、「プチホテル」、「プチサロン」等と使用されていることは顕著な事実である。

そうすると、本件商標の「petite」の文字部分は、「Cashe`e」に対し、「小さな、かわいい」との意味を付与するものにすぎず、熟語的な意味をもって使用されるものではないから、「petite」の文字部分は、自他役務の識別機能を有しないか、有していたとしても、極めてその機能が乏しいものである。

したがって、本件商標の要部は、「Cashe`e」の文字部分である。

2 引用する商標について

(1)美容室での使用商標

申立人が引用する商標は、甲第8号証(1)として示された商標(以下「使用商標」という。)であって、「Cache」の欧文字及び「カシェ」の片仮名を上下二段に書してなり(決定註:「Cache」の欧文字には、語尾の「e」においてアクサン記号(アクサングラーヴ)が付してある。以下、アクサン記号が付された文字については括弧で括り、「(e)」のように表す。)、「美容」を使用役務として、平成13年8月から現在に至るまで、大阪市で経営する美容室において使用しているものである。

(2)引用する登録商標

登録第5441186号商標(以下「引用商標」という。)は、「Cache」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年6月21日に登録出願され、第44類「美容,理容」を指定役務として、同年9月30日に設定登録されたものである。

3 商標法第4条第1項10号について

(1)本件商標と使用商標との対比

ア 外観

前記1のとおり、本件商標の要部は「Cashe`e」の部分であり、この部分と使用商標とを対比すると、両者の差異は、中間にあって見すごしやすい3文字目が「s」か「c」かという差と、後半部分が「e`e」か「(e)」かという差にすぎない。

さらに、商標権者に係るウェブページ(甲第9号証)においても、「Cache`e」を仏語であるとはっきり記述した上、アクサン記号は文字化けを起こしやすいことからの「e`e」と表記する処置と思料するが、仏和辞典(甲11号証)には、「Cach(e)、(e)e」との記載があり、「Cach(e)」と「Cach(e)e」とは、仏語においても特段使い分けられることのない一つの単語として扱われており、本件商標の「`」と使用商標における「(e)」のアクサン記号とは相紛らわしく、ほかの欧文字部分や配列については共通性が存在しているのであるから、本件商標の「Cashe`e」と使用商標とは、外観において類似するといえる。

そして、本件商標の「petite」の文字部分は、自他役務の識別機能を有しないから、本件商標と使用商標とは、外観において類似する。

イ 称呼

本件商標の「Cashe`e」の部分は、造語の一種であり、これに接する取引者、需要者は、ローマ字読みで「カシェ」と読むと解される。そして、商標権者に係るウェブページ(甲第9号証)によれば、本件商標の「Cashe`e」の部分は、取引者、需要者に対し、「カシェ」と称呼させることを予定しているものといえる。

他方、使用商標「Cach(e)」は、アクサン記号付きの「(e)」を使用することにより、仏語であることを需要者にしっかりと認識させており、仏語として解した場合には、「カシェ」との称呼を生じるものであり、また、その使用に際しては、説明等の文章の中で店名の称呼が「カシェ」であることを表記しているから、本件商標の「Cashe`e」の部分と使用商標とは、同一の称呼を生ずる。

そして、本件商標の「petite」の文字部分は、自他役務の識別機能を有しないのであるから、需要者においては、本件商標を「カシェ」と省略して称呼することもあると解される。

したがって、本件商標と使用商標とは、称呼において共通する。

ウ 観念

本件商標は造語と解されるが、商標権者に係るウェブページ(甲第9号証(2))に、「Cache'e=仏語で『隠れ家』を意味します。(中略)Cache'eをCashe'eの綴りに変えたのは、Cache'e(隠れ家)の中にshe(彼女)が隠れてる、秘かにそんな意味も込められています。」のような記述があった(現在は削除)。

そして、その由来であるとする「Cache'e」は、仏和辞典(甲第11号証)には、「Cach(e)、(e)e」との記載があり、「Cach(e)」と「Cach(e)e」とは、仏語においても意味を特段使い分けられることのない単語として扱われている。

また、本件商標の「petite」の文字部分からは、「Cashe`e」に対し、「小さな、かわいい」との観念が生じるから、本件商標は、全体としては、「小さな、かわいい」、「隠れ家」等の観念が生じ得る。

他方、使用商標は、「Cach(e)」の文字を仏語として認識した場合には、「隠れ家」、「隠し場所」、「隠れ場所」などの観念を生じる。また、2001年の創業において「Cach(e)」と命名して以来、店名の由来は、仏語の「隠れ家」であり、美容室のイメージ・テーマとしても「隠れ家」であることを主張し続けてきた。

以上により、本件商標は、「隠れ家」等の意味を有する仏語の「Cach(e)e」と相紛らわしい結果、全体として、「小さな、かわいい」、「隠れ家」等の観念が生じ得る一方、使用商標においては「隠れ家」等の観念を生じるのであるから、本件商標と使用商標とは、観念において類似する。

(2)取引の実情

ア 使用商標は、申立人のハウスマークを表示するものであり、2001年8月の美容室の創業以来、途切れることなく美容の役務において使用している(甲第5号証ないし甲第7号証)。

そして、美容室Cach(e)は、ファッション・美容における中心地である大阪ミナミと呼ばれるエリアで、約11年の長期にわたり営業している。また、数多くのテレビ、ラジオ等のメディア出演、雑誌広告媒体に出稿してきたが、その中でも特に、関西・西日本で約8万部ないし15万部の発行(甲第4号証)をほこる雑誌「カジカジH」に年3回の発行ごとに広告を掲載(甲第5号証)、さらには関西・西日本で約15万部の発行(甲第4号証)をほこる雑誌「関西ガールズスタイルエクスプレス」に年4回の発行ごとに広告を掲載してきた(甲第6号証及び甲第7号証)。

両誌の共通した特徴は、三重県を含む関西・西日本を中心に販売され、年齢性別を問わず、髪型に興味のあるものや美容師・美容学生は必ず毎号、目を通す著名な雑誌であり、広告会社においても発行部数以上に集客・ブランディング等の面でこれだけは外せない、信頼ある雑誌であるとの位置づけである。

それらの事実からも、使用商標は、美容室Cach(e)及びカシェの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているといえる。

イ 美容室の経営にとって、ハウスマークやブランド名の重要性は非常に高い。昔からよくある一般的な命名方法として、地域名又は住所地を付けた「ブランド名+○○店」という店名の付けかただけではなく、近年の美容業界では、「ブランド名+コンセプト等のサブタイトル」のような名前の付け方がかなり多くなってきている。

美容室の業界において、美容室名にサブタイトルとしてコンセプトや何かしらのイメージさせる名称を付けただけでは、需要者は、一体の美容室とのイメージを持つことが明白であるといえる。

また、前出雑誌「カジカジH」の1ページ掲載の美容室広告(甲第10号証)を調査した結果によれば、業界別の店舗数でも理美容はどの業種よりも多いといわれている上、中小規模のブランドが乱立している中、この業界がいかに「ブランド名」が重要であるか、また「ブランド名」+「サブタイトル」で命名することがすでに一般的であり、業界の共通の認識であることは明白な事実である。

ところで、使用商標は、申立人が経営する美容室のブランド名(メインタイトル)であって、ハウスマークであり、長年の使用と広範囲への継続的な宣伝を行い、現在も使用されている商標である。そして、美容室Cach(e)は、現在は既に閉店しているが(甲第8号証(2))、サブタイトルとして、Cach(e)に「PRIV(E)E(プリヴェ)」、「Yaneura(ヤネウラ)」をつけた美容室を展開していた。

サブタイトルがついたからといって、美容室の需要者に全く別のブランドであると識別させるほどのことができないことは、美容業界においては既に共通の認識であり、他者が使用するブランドにサブタイトル的な単語を加えて使用することは、他者のブランドへのただ乗りというだけでなく、築いてきた信頼を損なうものである。

さらに、そのサブタイトルが、「Petite」(プチ/小さい)のようなその前後にあるブランドの小型版のようなイメージをさせるような商標は特に、使用商標との間で役務の出所に誤認混同を生じさせるおそれがあるといえる。

(3)小括

以上によれば、使用商標は、関西を中心に、少なくとも三重県などを含む近隣の県において、申立人の業務に係る役務「美容」を表示するものとして周知である。

そして、本件商標は、使用商標と類似のものであるから、本件商標をその指定役務について使用した場合には、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項10号に違反して登録されたものである。

4 商標法第4条第1項11号について

(1)本件商標と引用商標との対比

ア 外観

前記1のとおり、本件商標の要部は「Cashe`e」の文字部分であり、この部分と引用商標とを対比すると、両者の差異は、中間にあって見すごしやすい3文字目が「s」か「c」という差と、後半部分における「`e」の有無にすぎない。また、本件商標の「petite」の文字部分は、自他役務の識別機能を有しないのであるから、本件商標と引用商標とは、外観において類似する。

イ 称呼

本件商標の「Cashe`e」の部分は、造語の一種であり、これに接する取引者、需要者は、ローマ字読みで「カシェ」と読むと解される。そして、商標権者は、「Cashe`e」について、「カシェ」と称呼させることを予定しているものといえる。

他方、引用商標は、「Cache」の欧文字を標準文字で表したものであり、該欧文字を仏語として解した場合には、「カシェ」の称呼が生じ、該欧文字を英語と解した場合には、「キャッシュ」と称呼することも可能である。しかしながら、「Cache」を英語と解した場合の意味は、コンピュータ・IT分野において専門用語として用いられる「キャッシュメモリー」となり、その指定役務である美容等における取引者、需要者とは馴染みの浅いものとなる一方、指定役務の美容等においては、その役務の提供に際して用いられる化粧品等と同様にファッション性が重視され、その主要な需要者も女性であることから、仏語をもって商標等が採択されている傾向にあるといえる。

そうすると、引用商標の「Cache」については、「隠れ場」等の意味を表す仏語と理解し、「カシェ」と称呼すると解するのが自然である。

そして、本件商標の「petite」の文字部分は、自他役務の識別機能を有しないのであるから、需要者においては、本件商標を「カシェ」と省略して称呼することもあると解される。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において共通する。

ウ 観念

本件商標は造語と解されるが、商標権者が由来であるとする「Cache'e」は、「隠れ家」等の意味を有する仏語の「Cach(e)e」と相紛らわしい結果、全体として、「小さな、かわいい」、「隠れ家」等の観念が生じ得る。

他方、引用商標においては「隠れ家」等の観念を生じるものであるから、本件商標と引用商標とは、観念において類似する。

(2)取引の実情

ア 引用商標及び使用商標は、2001年8月の美容室の創業以来、途切れることなく美容の役務において使用している事実(甲第5号証ないし甲第7号証)からも、美容室Cach(e)及びカシェの業務に係る商品又は役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているといえる。

イ 美容業界においては、美容室名にサブタイトルがついたからといって、美容室の需要者に全く別のブランドであると識別させるほどのことができないことは、既に共通の認識であり、他者が使用するブランドにサブタイトル的な単語を加えて使用することは、他者のブランドへのただ乗りというだけでなく、築いてきた信頼を損なうものである。

さらに、そのサブタイトルが、「Petite」(プチ/小さい)のようなその前後にあるブランドの小型版のようなイメージをさせるような商標は特に、引用商標及び使用商標との間で役務の出所に誤認混同を生じさせるおそれがあるといえる。

(3)小括

以上によれば、本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定役務も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

5 むすび

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項10号について

(1)使用商標の周知性

申立人は、使用商標が、関西を中心に、少なくとも三重県等を含む近隣の県において、申立人の業務に係る役務「美容」を表示するものとして、需要者間に周知である旨述べているので、以下検討する。

ア 申立人は、2001年8月に大阪市西区に開業した(甲第7号証(1))ことが認められる。

イ 申立人は、使用商標が「カジカジH」、「関西girl’s style exp」、そのほか2001年以降のカシェの雑誌掲載や広告物の保存用スクラップファイルより抜粋の申立人の店舗を紹介する記事中に多数掲載されている旨主張する。

しかしながら、雑誌「カジカジH」(2002年ないし2012年発行:甲第5号証(1)ないし(10)、甲第5号証(12)、甲第5号証(14)、甲第5号証(17)、甲第5号証(19)及び甲第5号証(25)ないし(33))は、地区(エリア)別関西サロンガイドとするものであって、222店掲載(甲第5号証(1))を含む100店以上の店舗について掲載されている雑誌であり、申立人店舗は、そのうちの一店舗として紹介されている。

また、「関西girl’s style exp」(2009年ないし2011年発行:甲第6号証(1)ないし(5))は、例えば、「関西おしゃれガールズ 冬の着こなし240」(甲第6号証(1))及び「『大阪 京都 神戸』人気138ショップの春アイテム&着こなし大特集」(甲第6号証(2))等の文字で表紙を飾り、ヘアスタイル、着こなしや小物等ファッション全般に関して紹介されている雑誌であって、その中において申立人店舗が紹介されている。

さらに、2001年以降のカシェの雑誌掲載や広告物の保存用スクラップファイルより抜粋の申立人の店舗を紹介する記事には、ヘアデザインやスタイリストの紹介が記載されているが、その発行日や発行元は、不明である。 そうすると、申立人は、開業以来、自己の店舗について広告していることがうかがえるものの、上記の各雑誌には、営業地域を明示した申立人以外の多数の店舗も広告ないし紹介されていることからすれば、その読者は、自ずと自己に必要な情報のみに着目するとみるのが相当であり、掲載された申立人の店舗名を記憶に留めるとは必ずしもいい難い。

してみれば、申立人の店舗は、大阪市西区ないし近隣の在住者、あるいは勤務先等がある者には、その存在が一定程度知られているとはいえるとしても、使用商標「Cach(e)/カシェ」が、申立人の業務に係る役務「美容」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている商標と認めることはできない。

(2)小括

以上によれば、使用商標は、本件商標の登録出願時において、需要者の間に広く認識されている商標とはいえないから、その他の要件について判断するまでもなく、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。

2 商標法第4条第1項11号について

(1)本件商標について

ア 本件商標は、前記第1のとおり、「Cashe`e petite」の欧文字からなるところ、「Cashe`e」と「petite」との間には1文字程度の間隔が設けられているものの、その構成各文字は、同じ大きさ及び書体をもって表されてなることから、視覚上、一体的にまとまりのあるものとして看取、把握され得るものである。

そして、前半の「Cashe`e」の文字については、商標権者に係るウェブページ(甲第9号証)において、その由来として、仏語で「隠れ家」を意味する「Cache’e」の文字を「Cashe’e」の文字に変えた旨の記載がされており、その読みを「カシェ」としていることが認められ、その綴り字自体は、特定の意味合いを生じない造語というのが相当である。

また、後半の「petite」の文字は、「プチ」の読み及び「小さい」、「かわいい」等の意味を有するものであり、我が国において、比較的親しまれた仏語であるといえる。

そうすると、本件商標の構成文字全体からは、「カシェプチ」の称呼を生ずるものといえ、該称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。

イ 申立人の主張

申立人は、「petite」の文字について、「プチ/小さい、少しだけ」の意で複合語をつくり、多くの商品・サービス分野において、既成の商品やサービスに比して小振りな商品や小規模のサービスなどを指称する語として、例えば、「プチトマト」、「プチケーキ」、「プチメニュー」、「プチ整形」、「プチ美容」、「プチホテル」、「プチサロン」等と使用されていることは顕著な事実である旨述べている。

しかしながら、「petite」の文字について、上記の用例が複合語としてあるとしても、その用例は、いずれも「プチ」と商品やサービスなどを指称する既成語とを結合したものであるのに対し、本件商標は、特定の意味合いを生じない造語である「Cashe`e」と「petite」との組み合わせからなるものであり、それらの用例と同様に理解されるというのは困難であるのみならず、「petite」の文字が「美容」に係る役務についての質や、その店舗での業態を表すものとして使用されている事実も見いだせない。

してみれば、「petite」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を有しないか、有していたとしても、極めてその機能が乏しいものであって、本件商標の要部が「Cashe`e」の文字部分である旨述べる申立人の主張は、採用できない。

また、申立人は、「ブランド名」+「サブタイトル」で命名することが既に一般的であり、業界の共通の認識であることは明白な事実であって、サブタイトルがついたからといって、美容室の需要者に全く別のブランドであると識別させるほどのことはできない旨述べている。

しかしながら、関西地区の美容室について掲載する雑誌「カジカジH」の掲載広告(甲第10号証)によれば、各店舗の差別化等やそれに伴う識別のために個別の名称を付加していることは認めることができるものの、これらの各店舗の多くは、同一市内及び隣接した地域内に展開しているものであって、その需要者も該地域内における者といえるものであり、個別の名称を付加したもの全てが、取引者、需要者をして、各店舗のチェーン店ないし姉妹店であると認識されるとまではいい難い。

また、「Cashe`e」と使用商標「Cach(e)」とは、その表示において相違があることから、役務の提供主体について、相互に関連あるものとして認識されるとはいい得ない。

ウ 小括

以上によれば、本件商標を構成する「Cashe`e」と「petite」の各文字については、主従、軽重の差があるとはいい難く、むしろその構成全体をもって一体不可分の造語を表したものとして認識されるとみるのが相当であり、その構成文字に相応する「カシェプチ」の称呼のみを生ずるものであるといわなければならない。

(2)本件商標と引用商標との対比

本件商標は、「Cashe`e petite」の欧文字からなるところ、該構成全体をもって一体不可分の造語を表したものとして認識されるものであり、その構成文字に相応する「カシェプチ」の称呼のみを生ずるものであって、その構成中の「Cashe`e」の文字部分のみが独立して取引に資されるものでないこと、上記(1)のとおりである。

他方、引用商標は、前記第2のとおり、「Cache」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該文字について、例えば「ベーシック ジーニアス英和辞典」(2009年4月1日 株式会社大修館書店発行)の「Cache」の項には、「隠し場(所)、貯蔵所、(コンピュータ)キャッシュ(ひんぱんに使うデータを一時的に蓄える高速メモリ)」の記載、「大辞林 第三版」(2006年10月27日 株式会社三省堂発行)の「キャッシュ【cache】」の項には、「(隠し場、貯蔵所の意)キャッシュメモリー。」の記載、「イミダス編集部編imidas現代人のカタカナ語欧文略語辞典」(2006年4月30日 株式会社集英社発行)の「キャッシュ【cache】」の項には、「一度アクセスしたデータを高速のメモリー(RAM)に記録しておく機能.貯蔵庫.隠し場所.」の記載があることから、該欧文字は、一般に知られている英語であるといい得る。

また、「Cache」の欧文字は、仏和大辞典(甲第11号証)に成語としての記載が認められるものの、我が国における仏語の普及の程度に照らし、該語が本件商標の指定役務に係る主たる需要者である一般成人女性を含め、広く一般に知られているとはいい難い。

そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「キャッシュ」の称呼を生じ、「隠し場所」の観念を生じるとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、特定の観念を生じない造語であり、引用商標は、「隠し場所」の観念を生じるといえるから、両商標は、観念において相違するといえる。

そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その構成文字において明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観において区別できるものであり、また、本件商標から生ずる「カシェプチ」の称呼と引用商標から生ずる「キャッシュ」の称呼とは、その音構成及び構成音数において明らかな差異があるから、それぞれを一連に称呼するときは、互いに聴き誤るおそれはなく、観念においても相違する。

したがって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念において相紛れるおそれはないものであるから、これらを総合勘案すれば、両商標は、非類似の商標といわなければならない。

(3)小括

以上によれば、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとする申立人の主張は、理由がない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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