Trademark Appeal Case
周知商標と称呼の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900286(T2012−900286/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5505522号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,平成24年1月16日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料,薫料」を指定商品として,同年5月23日に登録査定,同年7月6日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は,以下の(1)〜(11)のとおりであり,その商標権は,いずれも現に有効に存続している。以下,これらをまとめては「引用商標」という。
(1)登録第2581626号商標
商標の構成:別掲(2)
登録出願日:平成 1年 3月 2日
設定登録日:平成 5年 9月30日
書換登録日:平成15年 8月13日
指定商品 :第3類「シャンプー,頭髪用化粧品」
(2)登録第652502号商標
商標の構成:別掲(3)
登録出願日:昭和35年 7月19日
設定登録日:昭和39年 9月10日
書換登録日:平成17年 4月 6日
指定商品 :第3類「調髪用および頭皮用クリームならびに頭髪用化粧品」
(3)登録第1172228号商標
商標の構成:別掲(4)
登録出願日:昭和43年 3月27日
設定登録日:昭和50年12月 1日
書換登録日:平成17年11月30日
指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」
(4)登録第699506号
商標の構成:別掲(5)
登録出願日:昭和38年12月13日
設定登録日:昭和41年 2月18日
書換登録日:平成18年 1月 4日
指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き」
(5)登録第1318055号商標
商標の構成:別掲(6)
登録出願日:昭和44年11月25日
設定登録日:昭和53年 1月10日
書換登録日:平成20年 2月20日
指定商品 :第3類「ヘアースプレー」
(6)登録第2088823号商標
商標の構成:別掲(7)
登録出願日:昭和51年11月25日
設定登録日:昭和63年10月26日
書換登録日:平成20年10月 8日
指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」
(7)登録第1400291号商標
商標の構成:別掲(8)
登録出願日:昭和48年 2月 9日
設定登録日:昭和54年11月30日
書換登録日:平成21年 8月19日
指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」
(8)登録第866694号商標
商標の構成:別掲(9)
登録出願日:昭和42年12月 1日
設定登録日:昭和45年 7月27日
書換登録日:平成22年 4月14日
指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」
(9)登録第2284652号商標
商標の構成:別掲(10)
登録出願日:昭和53年 9月12日
設定登録日:平成 2年11月30日
書換登録日:平成14年 5月 8日
指定商品 :第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」
(10)登録第2284651号商標
商標の構成:別掲(11)
登録出願日:昭和53年 9月12日
設定登録日:平成 2年11月30日
書換登録日:平成14年 5月 8日
指定商品 :第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」
(11)登録第2366024号商標
商標の構成:別掲(12)
登録出願日:平成 1年 3月 2日
設定登録日:平成 3年12月25日
書換登録日:平成14年10月30日
指定商品 :第3類「男性用化粧品,男性用シャンプー」
3 登録異議申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第10号について
申立人は,50年近く,多数かつ継続的にヘアケア商品(頭髪用化粧品・シャンプー)を中心に,商標「VO5」及びこれを種々にロゴ化した商標を使用している(以下,まとめて「VO5」商標という。)。そして,多数の商品開発を行い,大々的に宣伝販売し,高い評価を獲得し,売上はこの10年,約30億円から40億円で推移している(甲4〜甲12:枝番を含む)。したがって,申立人の「VO5」商標は,周知著名なものとなっている。
そして,「VO5」商標は,事業開始以来「ブイオーファイブ」と称呼されてきた。また,最近の10年では,別掲(13)のロゴも使用してきている。そもそも,「VO5」の「VO」と「5」はローマ字と数字という異種のもので構成されていて,分離して観察されやすいところ,最近の「VO5」のロゴでは,はっきりと「VO」と「5」を区分している。そうすると,本件商標と「VO5」商標は,3文字中頭2文字の「VO」を共通にし,語尾の1文字が「V」か「5」である点で相違しているが,本件商標の最後の「V」をローマ数字の5として認識し,「ファイブ」と称呼することも大いにあることとなる。この点は,たとえば,既登録商標の「FJQUE−V」,「MARK V」,「TOYO KING MARK V」,「Pojiti v」,「マスターV」,「救急戦隊ゴーゴーV」,及び「大戦隊ゴーグルV」などがそうである(甲13の1〜7)。
また,「VO5」商標は,ヘアケア商品で周知著名性を獲得しており,ヘアケア製品である「頭髪用化粧品」「シャンプー」は,本件商標の指定商品中,「せっけん類,化粧品」と類似している。
以上のとおり,本件商標と「VO5」商標とは,「ブイオーファイブ」の称呼を共通にする類似の商標であり,また,その指定商品中「せっけん類,化粧品」も「VO5」商標に係る商品と同一又は類似のものを含んでいる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
引用商標は「VO5」ないしこれを含む商標であり,「ブイオーファイブ」の称呼が生じる。
他方,本件商標は,上記のとおり,アルファベット「V」とローマ数字「V」とは外観上極めて紛らわしく,加えて,「VO5」商標が周知著名であることに鑑みると,「ブイオーファイブ」の称呼を生じる。また,引用商標の指定商品は,本件商標の指定商品と同一又は類似している。
そうすると,本件商標と引用商標とは,「ブイオーファイブ」の称呼を共通にする類似の商標であり,また,その指定商品も同一又は類似である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人の使用に係る「VO5」商標が本件商標の出願日において周知著名であったことは,前記のとおりであり,これが使用される化粧品等の分野では,必ずしも商標に関する知識が十分でない者をも需要者としているから,それを前提に「混同のおそれ」の有無を判断する必要がある。
そして,アルファベット「V」とローマ数字「V」とは外観上区別し難いし,また,「VO5」商標は,「VO」と「5」が分離して観察されることがあるから,本件商標に接する需要者が,「VO5」商標の「5」が何らかの理由でローマ数字に置き換えられたと誤認し,あるいは,このような商品が,「VO」というシリーズにおいて共通するなどとして誤解し,申立人と経済的ないし組織的な関連性がある者の製造販売に係るものであると混同を生じるおそれがあるというべきである。
そうすると,本件商標が指定商品に使用された場合は,その商品の需要者・取引者が申立人の業務に係る商品と出所の混同を生じるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,別掲(1)のとおり,黒塗り正方形内に白抜きの「V」,正方形輪郭線内に「O」及び黒塗り正方形内に白抜きの「V」の,内部に同じ大きさのローマ字1文字を有する同じ大きさの正方形3個をわずかな隙間を空けて,横一列に配列したものであり,視覚上全体としてまとまりのある印象を与えるものである。
そして,正方形内に配置された「V」,「O」及び「V」を一連とした場合の「VOV」は,既成の単語には見られない綴り字の構成からなり,単に3個のローマ字を羅列したものと理解・認識されることから,これからは「ブイオーブイ」の称呼を生ずるとみるのが自然であり,また,特定の観念を生じない。
なお,申立人は,「VO5」商標の周知著名性や「V」の文字を末尾に有する登録例などを挙げて,本件商標の最後の「V」をローマ数字の「5」として認識し,「ファイブ」と称呼することも大いにある旨主張する。
しかしながら,たとえ「V」の文字がローマ数字の「5」を表すものとして「ファイブ」と称呼されて使用されることがあるとしても,普通一般に,ローマ数字を表すものとして使用される場合には,需要者に対し,これを「ファイブ」と読ませ,その意味合いを認識させるべき合理的理由を伴うのが通例とみられるところ,本件商標中の第3字目の「V」は,上記のとおり,他の文字と同じ書体・同じ大きさで,同じ形状の図形を伴うものであり,かかる構成態様からして,本件商標において,これを「ファイブ」と読ませる合理的理由はない。
してみれば,本件商標は,「ブイオーブイ」の称呼のみを生ずるものというのが相当であるから,本件商標から「ブイオーファイブ」の称呼が生ずることを前提に,本件商標と引用商標との類似を述べる申立人の主張は妥当でなく,その理由をもって,両商標を類似のものとすることはできない。その他,両商標を類似とすべき事由は見出せない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は,「ブイオーブイ」の称呼のみを生ずるものであって,その他,「VO5」商標に類似するものと認められないことは,上記認定と同様であるから,その余の要件について判断するまでもなく,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当するものとはいえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
「VO5」商標が,ヘアケア商品(頭髪用化粧品・シャンプー)を中心に継続的に使用され,本件商標の登録出願時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして取引者,需要者の間に広く認識されていたものであるとしても,前記認定のとおり,本件商標は,「ブイオーファイブ」の称呼を生ずるものでなく,ほかに「VO5」商標と本件商標が相紛れるとする事由は見出せない。
してみれば,本件商標をその指定商品について使用した場合,これに接する需要者が,直ちに「VO5」商標又は申立人を連想,想起するようなことはなく,該商品が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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