Trademark Appeal Case
効能表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2012−7782(T2012−7782/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「オリーブのチカラ」の文字を標準文字で表してなり、第29類に属する商品を指定商品として、平成22年10月19日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、原審における同23年7月25日受付の手続補正書により、別掲1に記載のとおりの商品に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『オリーブの効能』ほどの意味合いを認識させる『オリーブのチカラ』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『オリーブ』の文字が『モクセイ科の常緑小高木。果実は楕円形の核果で、青いうちに採取し塩漬にして食用とし、熟果からオリーブ油を採る。』を意味する語であって、これが食品をはじめ、いろいろな商品の原材料として使用されていることが一般に広く知られており、同じく、『チカラ』の文字は、『ききめ、効能』等を意味する語である『力』の片仮名表記と認められ、飲食料品の分野において、商品の主原材料名と『力(チカラ、ちから)』の文字とを格助詞『の』を介して『○○○の力(チカラ、ちから)』と表して、その主原材料の効能を宣伝することが一般に行われていることから、これをその指定商品中、例えば、『オリーブ油,オリーブを原材料とする商品』に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、主原材料であるオリーブの有する優れた効能を端的に表した惹句の類と連想・認識するにとどまり、結局、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成24年9月19日付けで、別掲2のとおりの内容を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである旨の審尋をし、期間を指定して、これに対する意見を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対して、要旨次のように意見を述べている。
(1)本願商標は、直接的・具体的にオリーブの有する効能を説明するとまではいいがたく、商品の品質・効能について漠然とした暗示を与えるにとどまるものである。
(2)本願商標の構成文字に「力」「ちから」ではなく片仮名の「チカラ」を用いたことは、違和感を生じさせて看者の注意を引きつけ、意味を考えさせて印象づける効果をねらったものであり、単に商品の原材料や効能を記述的・説明的に述べたものではない造語的な表現である。
(3)審尋に挙げられたわずか一例の「オリーブのチカラ」の使用例をもってしては、本願商標がその指定商品分野における効能表示とは認められない。
(4)「○○のチカラ」の構成の多数の登録例が存在することからすれば、本願商標は、登録されるべきものである。
5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「オリーブのチカラ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「オリーブ」の文字は、「モクセイ科の常緑小高木。果実は楕円形の核果で、青いうちに採取し塩漬にして食用とし、熟果からオリーブ油を採る。」を意味する語であり、同じく「チカラ」の文字は、「効能」等を意味する「力」の語(いずれも「広辞苑 第六版」、株式会社岩波書店発行)を片仮名で表したものと容易に認識させるものであるから、構成全体として「オリーブの効能」程の意味合いを理解させるものである。
そして、オリーブの葉や実は、ポリフェノールや不飽和脂肪酸の一種であるオレイン酸等を豊富に含み、悪玉コレステロールを減らし、生活習慣病の予防、免疫力アップ、感染症の予防効果等があることが知られている(別掲2の(1))。
また、上記効能を有することを表すために「オリーブのチカラ(ちから、力)」の文字が使用されている(別掲2の(2))。
さらに、本願の指定商品を取り扱う業界において、「健康増進、健康維持等に効果があるとされる植物等」の名称と「チカラ(ちから、力)」の語を組み合わせた「○○のチカラ(ちから、力)」の文字が、「○○」の有する効能を活用した商品の品質(効能)を表すものとして広く普通に使用されている(別掲2の(3)及び別掲3)。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品中、オリーブを原材料として用いた商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が「オリーブの有する効能を活用した商品」であること、すなわち、商品の品質、原材料、効能を表示したものと認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
また、請求人は、審尋において示した「オリーブのチカラ」の文字の使用例が一例にすぎず、「○○のチカラ」の構成からなる登録商標が多数あることから、本願商標も同様に登録すべきである旨主張する。
しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号の品質表示に該当するというためには、取引者、需要者が品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるのであって、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必ずしも必要としないと判示されている(平成13年(行ケ)第207号 東京高裁平成13年12月26日判決言渡参照)。
そうすると、たとえ、「オリーブのチカラ」の文字が商品の品質等を表すものとして多数使用されていないとしても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質等を表示するものとして認識し得るものであることは上記の認定、判断のとおりである。
そして、請求人の挙げた過去の登録例は、「オリーブ」の文字を含まないものであって、その構成態様が本願商標と異なるものであり、登録出願に係る商標が商標登録の要件を具備しているか否かは当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるべきものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるから、他の登録例の存在によって、別掲2及び3に示した本願の指定商品分野における「○○のチカラ(ちから、力)」の文字の使用の事実を否定することはできないから、上記判断は何ら左右されるものではない。
以上のとおりであるから、請求人の上記主張は、採用することができない。
なお、原査定においては、商標法第3条第1項に係る拒絶の理由について、本願商標が同項第6号に該当するとして本願を拒絶したものであるが、本願商標は、上記のとおり、その指定商品との関係において、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない商標であり、この認定において原査定と実質的に相違するものではないから、結局、本願を拒絶した原査定は、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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