Trademark Appeal Case
書体と文字飾りの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−14252(T2011−14252/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第9類「デジタルカメラ,カメラ用ストラップ,カメラ用ケース,その他の写真機械器具及びその附属品」を指定商品とし、2007年8月23日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成20年2月21日に登録出願されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要旨
原審においては、本願を拒絶すべき旨の理由として、以下の(1)及び(2)を通知した後、本願商標は、その(2)に係る国際登録第947312号商標との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、商品の型式・品番・種別等を表すための記号・符号として広範かつ類型的に使用されている、数字と欧文字1字を組み合わせたものと認められる「D3」を、特異とはいえない態様で表してなるにすぎず、極めて簡単かつありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)本願商標は、登録第4495006号商標及び国際登録第947312号商標と同一又は類似の商標であって、それらの商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成24年7月13日付けでした審尋の内容は、別掲2のとおりである。
4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対して、要旨次のように意見を述べている。
(1)本願商標は、極めて特徴的な独自の書体で表されており、楷書体・行書体・草書体・明朝体・ゴシック体等の広く一般的に用いられる書体とは顕著に相違するものである。
(2)商品の型式又は規格等を表示するための記号として用いられる表示にレタリング等のデザインを施した場合、商品の管理又は取引の便宜性等に支障をきたすことから、特徴的なデザインを施すことは極めて稀であり、本願商標のように全体としてまとまった印象を与えるデザインが施され図案化された標章は、取引上普通に用いられる態様をはるかに超えるものであり、本願商標は、全体として十分に自他商品識別機能を発揮し得る商標である。
(3)本件は、商標法第4条第1項第11号に基づいて原査定がなされており、該査定の下、本願商標について使用を希望する場合には拒絶査定不服審判を請求せざるを得ず、更に該審判において改めて同法第3条第1項第5号に該当する旨の判断(審尋)がなされるということは、本願商標が自他商品識別機能を発揮するものと判断されたと信ずる請求人に不要な審判請求を課したことを意味するにほかならず、信頼の原則に反する。
(4)以上により、本願商標は、商標法第3条第2項の適用の可否を問題とすることなく、登録を認められて当然と思料する。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、別掲1に記載のとおりの構成態様からなるものであって、これに接する者をして、容易に欧文字「D」の1字と数字の「3」とを組み合わせてなるものと看取、理解されるものであるところ、このように欧文字と数字との組合せからなる標章自体は、機械器具等を取り扱う業界において、商品管理の便宜のための型式、規格等を表す記号、符号などとして、取引上、普通に採用されている実情に照らせば、何ら特徴のあるものではなく、極めて簡単で、かつ、ありふれたものといえる。
そして、本願商標は、「D3」の欧文字及び数字の組合せからなる標章について、ゴシック体等とは異なる書体により表され、かつ、文字飾りが施されているものではあるが、その書体は、レタリング手法の一であるエジプシャン・エクスパンデットと称するものに近似するものであり、また、その文字飾りも、単に文字を輪郭線のみで表す、いわゆる袋文字などと称されるものであって、文字飾りの手法の一として、広く一般に用いられているものであるから、近年、商品の広告宣伝等を行う際に、視覚的効果の向上などのために文字や数字を装飾的に図案化して表現する手法が広く採用されている実状を考慮すれば、本願商標に接する取引者、需要者が、上記書体や文字飾りにより強く印象づけられ、極めて簡単で、かつ、ありふれた欧文字及び数字のみからなる標章「D3」とは別異の際立った特徴を備えたものとして看取、認識するとまではいい難い。
そうとすると、本願商標は、別掲1のとおりの構成態様からなるものであるとしても、これに接する取引者、需要者をして、特異な態様とはいえない「D3」の欧文字及び数字のみからなるものとして認識されるとみるのが相当であるから、本願商標は、いまだ極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものの範ちゅうに属するものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)商標法第3条第2項に係る主張について
請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備すると主張し、証拠方法として、原審ないし当審において、甲第1号証ないし甲第18号証を提出している。
しかしながら、請求人の提出に係る甲各号証によれば、本願商標及び別掲3に示す標章が、本願の指定商品中に含まれる商品「デジタル一眼レフカメラ」の筐体及び該商品の広告(該商品の発表会、請求人のウェブサイトにおける商品紹介、新聞及び雑誌の掲載広告)において使用されたことは認められるが、該商品は、2007年(平成19年)8月に発表、同年11月に発売された後、2009年(平成21年)10月頃には製造が中止となっていたものである。
また、該商品についての新聞及び雑誌による広告も、その発表から2008年(平成20年)6月頃までの間は行われていたといえるものの、それ以後、同様の広告がなされた事実は見いだせない。
さらに、該商品は、2007年(平成19年)11月の発売から数か月間は1,000個を超える売上げがあったものの、その後、その販売数は大幅に減少していることに加え、該商品は、請求人のウェブサイトにおいて、「旧製品」のうちの一として取り扱われ、かつ、既に後継機とされる「D4」と称する商品「デジタル一眼レフカメラ」の販売も始まっている。
そして、請求人は、本願の指定商品中、「デジタル一眼レフカメラ」以外の商品について、本願商標の使用を立証していない。
以上を踏まえれば、本願商標をその指定商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったと認めることはできない。
(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標が極めて特徴的な独自の書体をもって表したものであって、商品の型式や品番等を表すための記号・符号として取引上普通に用いられる態様をはるかに超える特異なものであることから、全体として十分に自他商品識別機能を発揮するものである旨主張している。
しかしながら、本願商標が、いまだ極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものの範ちゅうに属するものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであることは、上記認定、判断のとおりである。
また、請求人は、当審において、原査定と異なる拒絶の理由(商標法第3条第1項第5号)に該当すると判断することは、本願商標が自他商品識別機能を発揮するものと判断されたと信ずる請求人に不要な審判請求を課したことになり、信頼の原則に反する旨主張している。
しかしながら、商標法第56条第1項で準用する特許法第158条の規定によれば、「審査においてした手続は、拒絶査定に対する審判においても、その効力を有する。」のであるから、たとえ本願に係る拒絶査定の理由が商標法第4条第1項第11号に該当するとするものであったとしても、原審においてした同法第3条第1項第5号に該当するとする拒絶の理由の通知は、審判においてもその効力を有するというべきである。
そして、拒絶査定に対する審判は、審査手続の続行として、商標登録出願について更に審理を行い、事実の認定及び法令の解釈適用をやり直すことによって、原査定の当否を判断するとともに、該商標登録出願についての最終的な結論を導くものであるから、たとえ拒絶査定の理由と異なり、かつ、該査定において否定ないし撤回された理由であるとしても、既に通知してある拒絶の理由については、これを更に審理した上で、改めて拒絶の理由を通知することなく、この理由により審決することができるものと解するのが相当である。
してみれば、当審における審理の結果、本願商標が、原審において既に通知してある拒絶理由のうち、原査定と異なるもの(商標法第3条第1項第5号)に該当すると判断することに何ら違法性はない。
なお、請求人は、当審において、甲第17号証及び同第18号証を提出しているが、これらは、甲第3号証における「D3」と称する商品の写真を拡大したものと認められるから、これらをもって上記(2)においてした判断が覆るものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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