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Trademark Appeal Case

不使用取消の証拠評価

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2011−300878(T2011−300878/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5167773号商標(以下「本件商標」という。)は、「HOT FEVER」の欧文字と「ホットフィーバー」の片仮名を二段に書してなり、平成20年3月25日に登録出願、第3類「石けん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同年9月19日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。

1 請求の理由

本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人(商標権者)は、平成23年11月30日付け答弁書において、本件商標は本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定商品「第3類 化粧品」について使用されているから、本件商標の登録は取消されるべきでないと主張する。

しかしながら、このような被請求人の主張は、以下のとおり、成り立たないというべきであるから、本件商標の登録は取消されるべきである。

(1)乙第1号証は販促用品のA5版スタンドポップ表面のコピーであるが、その製作日は不明であり、本件審判の請求の登録前に製作され頒布されているものであるか不明である。

(2)乙第2号証及び乙第3号証は、販促用品のボード表面の写真及び販促用品の定番トレーの写真であり、その撮影日は本件審判の請求の登録日以後の平成23年11月22日となっているものであり、本件審判の請求の登録日前3年以内の使用を立証するものであるか定かでない。

(3)被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証により、乙第1号証の販促用品のA5版スタンドポップ、乙第3号証に示す販促用品の定番トレー及び乙第2号証に示す販促用品のボードが本件審判の請求の登録日前に製造され、使用されていたことを間接的に立証した旨主張している。

しかしながら、乙第7号証には、単に「ソンブレロUVカットスプレーA5POP」「ソンブレロUVカットスプレー販促BOX」及び「ソンブレロUVカットスプレー定番トレー」と記載されているのみであって、これらが、乙第1号証及び乙第3号証に示されている販促用品を指すものであるかは、明らかでない。

さらに、乙第8号証には、単に「ソンブレロ900ボード」「ソンブレロ600ボード」「ソンブレロハッソウバコ(900)」「ソンブレロハッソウバコ(600)」及び「ソンブレロUVカットスプレーイロコウ」と記載されているのみであって、これらが、乙第2号証に示されている販促用品を指すものであるかは、明らかでない。

(4)被請求人は、乙第5号証及び乙第6号証により、日焼け止め用スプレー(UVカットスプレー)(以下「本件商品」という。)が本件審判の請求の登録日前に納品ないしは販売されていたと主張している。

しかしながら、乙第1号証にかんがみれば、本件商品自体には、本件商標が付されていないから、本件商品が販売されたとしても、本件商標が使用されていたことを立証することにはならない。

(5)乙第4号証の写真は、本件商標の使用が明確には見ることができず、本件商標の使用を立証しているものではない。仮に使用を立証しているとしても、撮影の日付けが平成23年4月22日であり、本件審判の請求の登録日前の本件商標の使用を立証するものではない。

(6)なお、本件商品の商品名は「SOMBRERO UV spray」であり、本件商標は販促用品において使用されているキャラクターのマントに表記されているものであり、いわゆる商品識別標識として使用されているものではなく、商標としての使用を構成せず、係る使用をもって、本件商標の指定商品についての使用とはいい難いものである。確かに、本件商標が販促用品におけるキャラクターのマントには表記されているが、本件商標が本件商品に関する出所表示として使用されているとはいい難いものである。

3 口頭審理陳述要領書における主張

(1)乙第9号証は、単に「ID.BEAU」が被請求人所有の登録商標であることを示すにすぎない。

(2)乙第10号証は、その印刷日等が不明であり、何ら乙第1号証ないし乙第3号証が本件審判の請求の登録日前の本件商標の使用を立証するものではない。

(3)乙第11号証は、乙第4号証を補強するものであるが、乙第4号証の写真からは本件商標の使用が明確に認識することはできないものであり、この点は乙第11号証によって何ら変更するものではない。

(4)乙第12号証及び乙第13号証は、その日付けが本件審判の請求の登録日前であるが、本件商品の商品名は「SOMBRERO UV Spray」であり、また、本件商標は販促用品において使用されているキャラクターのマントに表記されているものであるから、本件商標が本件商品に関する出所表示として使用されているとはいい難く、本件商標の使用を構成しない。

(5)したがって、被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第13号証(枝番号を含む。)により、被請求人は、本件請求の登録前3年以内に本件商標が請求に係る指定商品に本件商標が使用されていることを立証していない。

4 平成24年8月24日付け上申書における主張

(1)被請求人は、JAN企業コードをよりどころとして「ID.BEAU」が被請求人である旨主張しているが、被請求人が本件商標の使用を立証すべく提出している乙第1号証ないし乙第3号証、乙第10号証及び乙第12号証のいずれにも、被請求人のJAN企業コードは表記されていない。

(2)被請求人は、プレスリリース(乙第12号証の1)の送付先を明らかにすべく、その配信を担当した株式会社井之上パブリックリレーションズに所属すると考えられる小島数世氏による2012年8月6日付けの被請求人あての報告書を乙第20号証として提出しているが、該小島氏の役職も明記されておらず、株式会社井之上パブリックリレーションズのウェブサイトに掲載の主要役員の名簿にも、同氏は掲載されていない(http://www.inoue-pr.com/company/outline. html)。しかも、送付先を395社と主張立証しているが、その全てが当該報告書には明記されていないから、乙第20号証により、送付先の詳細及び数が特定されたとはいい難い。

(3)被請求人の提出した証拠、特に本件商標が表記されているものとして提出された乙第1号証ないし乙第3号証、乙第10号証及び乙第12号証には、本件商標は販促用品において使用されているキャラクターのマントに表記されているものであり、該キャラクターと欧文宇「Hot Fever」との結合標章を構成し、需要者にもかかる結合標章として認識されるものであるから、上記乙各号証に表記されている標章は、本件商標と社会通念上同一と認められるものではない。

(4)また、上記プレスリリース(乙第12号証の1)によれば、その2ページ目に「ソンブレロUVカットスプレーの商品パッケージには、太陽をノックアウトするために現れたNewヒーローソンブレロマスクマンと、彼の闘いを陽気に応援するサボテンたちからなるユニットHotFever’sをデザイン。太陽の下で陽気に笑うメキシカンのように、日差しを気にせず楽しみたいという元気な女性を応援するパッケージとなっています。」との記載があり、ソンブレロマスクマンとそのマントに表記されている欧文字「Hot Fever」とは一体となって一つの標章を構成するものであり、一体不可分のものとして認識されることは明白である。

したがって、かかる使用をもって、本件商標の使用は構成しないと考える。商標法50条に規定の不使用取消審判の制度趣旨が「商標法上の保護は商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であるから、一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないかあるいは発生した信用も消滅してその保護対象がなくなる」(逐条解説(第18版)第1378頁)ことにあるとすれば、信用が蓄積されるような態様での使用、即ち商標としての使用がなされていなければならないと考えられる。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第21号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 答弁の理由

(1)被請求人は、本件商標を平成23年4月頃から、請求に係る指定商品中、化粧品に属する日焼け止め用スプレー(UVカットスプレー)(本件商品)に使用している。

(2)乙第1号証は、販促用品の一つであるスタンドポップの表面をコピーしたものであるが、本件商品の現物の正面図はそこに表わされているとおりであり、その本体にはメキシコをイメージした図形が表されており、スプレーにはメキシカンマンゴーの香りを持たせている。

(3)乙第2号証の1及び2は、販促用品の一つであるボードを撮影した写真であるが、中央に位置するキャラクターが着用するマントには「Hot Fever」の文字が赤色で、帽子には「SOMBRERO」の文字が白色で、それぞれ表わされている。これらは、いずれも被請求人が所有している登録商標で、前者が本件商標、後者が登録第5307012号商標である。

(4)乙第3号証は、販促用品の定番トレーの写真で、そこにも、メキシコをイメージした図柄や文字が表わされている。

(5)乙第4号証は、被請求人の社員が、本件商品の販売店の一つである株式会社ロフト船橋店で平成23年4月22日にその店内の様子を撮影した写真であり、本件商品や上述の販促用品のボード等を撮っている。

(6)乙第5号証は、本件商品を株式会社井田両国堂船橋店に納品した際の売上伝票であり、本件商品が遅くとも平成23年4月6日には納品されていた事実を証するものである。

(7)乙第6号証は、本件商品を製造している下請け会社(エアウォーターゾル株式会社)からの平成23年4月27日付け請求書であり、本件商品が同年4月1日には、被請求人に納品されていた事実を証するものである。

(8)乙第7号証は、株式会社一九堂印刷所からの乙第1号証及び乙第3号証の販促用品の製版代ほかについての平成23年4月29日付け請求書であり、本件商品の販促用品の製版・校正等が、遅くとも同年4月1日には終了していた事実を証するものである。

(9)乙第8号証は、タイヨー株式会社からの乙第2号証の製造代金等についての平成23年4月30日締切分の請求書の内訳明細書であり、同年4月1日に乙第2号証に係るボードが引き渡された事実を証するものである。

(10)以上のとおり、被請求人は、遅くとも平成23年4月から本件商標を化粧品に使用している。そして、商品に関する広告等に標章を付して使用する行為は、商標法にいう「使用」に該当する。

2 口頭審理陳述要領書及び平成24年7月3日付け答弁書(第2回)における主張

(1)ロフト船橋店における使用事実

被請求人は、本件商標を販促用品に表示し、これらを各店舗に配送して平成23年4月に展示を開始した。この販促用品の展示は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。これら販促用品の展示を特定する日として、株式会社ロフト船橋店において展示されていた店内を撮影した日が明らかな平成23年4月22日を主張するものである。

乙第4号証の写真は、被請求人の社員が平成23年4月22日退社後、帰宅途次に株式会社ロフト船橋店に立ち寄り撮影した店内写真であり、商品と共に販促用品のボードが写っている。このボードには本件商標及び被請求人が株式会社井田両国堂の専売品としてバラエティショップ向け商品に限り発売元として表示している「ID.BEAU」の文字が表示されている。

被請求人は、一般の化粧品店、スーパー、ドラッグストア等で販売する通常の流通商品には薬事法上の製品責任の主体としての製造販売元である「ジュジユ化粧品株式会社」の表示をし、薬事法の製造販売元でない場合は、発売元として「ジュジユ化粧品」の表示をしている。一方、株式会社井田両国堂の専売品として、バラエティショップのみで販売する商品には発売元を「ID.BEAU」と表示して、通常流通商品と区別しているため、本件の販促用品に被請求人の商号或いは商号の略称が全く表れていない。ちなみに、被請求人は、「ID.BEAU」の欧文字を上段に「アイディービュー」の片仮名文字を下段に表した登録第4882927号の商標権を有している。

この販促用品のボードは、被請求人の注文により株式会社エルアンドシーデザインが制作し、タイヨー株式会社が製造したものである。タイヨー株式会社から被請求人に納品されたボードは、そのほとんどが株式会社ロフトや株式会社東急ハンズの各店舗に直接送付されたが、株式会社井田両国堂に送付したものもある。乙第8号証は、タイヨー株式会社から被請求人に対する平成23年4月30日付請求書である。これには、1行目に「ソンブレロ900ボード」30個、2行目に「ソンブレロ600ボード」42個の記載があり、これにより大小2種類のサイズの販促ボードが被請求人に同年4月1日に納品されていることがわかる。乙第2号証の写真は、そのうちの小さいサイズのものである。

(2)プレスリリースについて

乙第12号証の1は、被請求人が、株式会社井之上パブリックリレーションズを介して本件商品の発売に先立つ平成23年4月5日にマスコミ各社及び化粧品関係の業界紙各社にあてて発信した情報である。そこには、本件商品が4月14日から全国のロフトで発売される旨記載されており、1枚目には本件商標が表示されている乙第1号証と同一の販促スタンドポップが印刷されているほか、2枚目には、商品パッケージの説明として「太陽をノックアウトするために現れたNewヒーロー ソンブレロマスクマンと、彼の闘いを陽気に応援するサボテンたちからなるユニット『Hot Fever’s』をデザイン。」との記載、及びその左側にはその「サボテンたち」3人の様子がカラーで描かれている。その中の前面の人物のマントにも、本件商標が表示されている。

乙第12号証の2は、株式会社井之上パブリックリレーションズの担当者である同社社員小島氏が、平成24年6月18日に被請求人社員にあてたメールであり、被請求人の求めに応じて、報道関係各社にプレスリリースした際の発信履歴を送付してきたものである。これによると、報道関係各社に発信したのは、平成23年4月5日午後1時4分であることが解る。これに発信先の宛名として個々の報道関係者の名が無いのは、メールのBCC機能を使用したことによる。

乙第12号証の1及び2により、新商品発売のプレスリリース情報が平成23年4月5日に発信されたこと、同日、本件商標が商品「日焼け止め用スプレー」の広告に使用されたことの事実を証する。

そして、この書面は商品の発売を予告する書面であるから広告の一つであり、本件商標を表示したこの書面を発信する行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当する。当該情報がプレスリリースされたのは平成23年4月5日であるから、この日をもって、商標使用日であることを主張する。

(3)被請求人が本件商標を本件審判の請求の登録前に販促用品に使用していたことは、乙第13号証の1ないし3によっても推認される。乙第13号証の1ないし3は、オーシャンライフ株式会社が平成23年5月5日に発行した雑誌「OCEAN life」の2011年6月号であるが、その114ページ及び115ページには、本件商品の使用体験等を含めた記事が掲載されているので、雑誌が発行された平成23年5月5日以前に既に本件商品が販売されていた事実が明らかである。このことから、この日以前にロフトの各店舗で本件商標を付した販促用品が展示されていた事実を容易に推認することができる。

(4)請求人は、販促用品に表示されている「Hot Fever」は商標としての使用ではないと主張する。しかし、「Hot Fever」の語は、それ自体、識別力を備えているので、識別力を有する語を販促用品に付して展示する行為は商標の使用以外の何ものでもない。乙第1号証ないし乙第3号証の各販促用品の写真には、被請求人所有の登録第5307012号商標「SOMBRERO」が黒色の帽子に白抜きで表されているが、請求人の主張によれば、このような表示は何れも商標の使用ではないということになる。

3 平成24年8月10日付け上申書及び証拠説明書における主張

(1)被請求人と「ID.BEAU」との関係

「ID.BEAU」は、被請求人(ジュジュ化粧品株式会社)そのものである。ジュジュ化粧品株式会社として一般に流通させている商品には「ジュジュ化粧品株式会社」の表示をするが、株式会社井田両国堂の専売品としてバラエティショップのみで販売する商品に限って「ID.BEAU」の表示をし、通常商品と区別している。

一般に、商品には「JAN企業コード(JANメーカーコード)」というコードが表示される。これは、日本の共通商品コードとして流通情報システムの重要な基礎となっており、このコードの付与・管理等は、財団法人 流通システム開発センターが行っているが、付与されたコードは付与された事業者以外の者は使用することができないことになっている。被請求人が付与されているコードは「4901727」(乙第14号証)であり、個々の商品には、これに続けて商品アイテムコード及びチェックデジットを加え、全体が13桁で表示されている。一例を挙げると、最近の被請求人の人気商品「ジュジュ アクアモイスト」シリーズの保湿メイク落としには「

4901727

202141」のコードが付されている(乙第15号証の2)。一方、本件商品には「

4901727

601777」のコードが付されている(乙第16号証及び乙第17号証の1)。上記のとおり、付与されたコードは付与された事業者以外の者は使用することができないから、同じコードが付されているということは、同一事業者の商品であることを意味する。

また、本件商品には、商品についての意見やクレームの受理を目的として「商品のお問い合わせ先」として、通話料無料の電話番号「0800−1110103」が表示されているが(乙第17号証の2)、これは、被請求人がバラエティショップ向けの商品のみに使用するため取得した電話番号である(乙第18号証の1及び2)。このことによっても、「ID.BEAU」=「ジュジュ化粧品株式会社」であることが理解できる。

そのほか、社内のりん議書(乙第19号証の1ないし6)によっても、この事実は明かである。

(2)プレスリリースの送付先

2011年(平成23年)4月5日に株式会社井之上パブリックリレーションズが発信したプレスリリースの送付先は、同社に照会したところ、全体で395社ということであり、回答書を乙第20号証として提出する。

(3)乙第21号証の1及び2

乙第21号証の1は、タイヨー株式会社から被請求人に送られてきた販促用品のボードが収められている段ボール容器の上面写真である。乙第21号証の2は、その一部の拡大写真であり、そこには段ボール上面に貼付された運送業者、福山通運の荷札に、希望配達日として3月16日の文字が確認できる。したがって、乙第2号証の1及び2の写真に見られる販促ボードは、平成23年3月中旬頃には完成していたことが認められ、同年4月中には、各小売店舗に配送され展示されていたであろうことが推認される。

第4 当審の判断

1 被請求人提出の乙各号証によれば、次のとおりである。

(1)乙第12号証の1は、「ID.BEAU アイディービュー」の2011年4月5日付け「PRESS RELEASE」(以下「本件プレスリリース」という。)であり、そこには「今年の夏は『太陽と闘え!』」「ID.BEAU(アイディー ビュー)、楽しさはじけるメキシカンマンゴーの香りの日焼け止め『ソンブレロ UVカットスプレー』を新発売」の見出しの下「バラエティショップ向けコスメの商品企画・開発および販売を行うID.BEAU(アイディービュー)は、スプレータイプの日焼け止め『ソンブレロ UVカットスプレー』を、4月14日から全国のロフトにて先行発売いたします。」の記載があり、商品の正面下方に「ID.BEAU」の表示がある「ソンブレロ UVカットスプレー」(以下「使用商品」という。)の写真が掲載され、別掲1のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標1」という。)及び別掲2のとおりの構成からなる商標(以下「使用商標2」といい、使用商標1とあわせて「使用各商標」という。)が表示されている。

また、「【お客様お問い合わせ先】」として「ID.BEAU(アイディービュー)」、「【報道関係者お問い合わせ先】」として「株式会社井之上パブリックリレーションズ」「ID.BEAU(アイディービュー)広報担当:服部 ●●/天坊 ●●」及び「Email:...@inoue-pr.com /...@inoue-pr.com」の記載がある。

(2)乙第12号証の2は、「差出人」のアドレスを「...@inoue-pr.com」とする小島氏から商標権者の社員とする者あての、4月5日にメディア向けに配信したID.BEAUソンブレロの配信メールを転送する旨の2012年6月18日付けメールの打ち出しである。

そして、転送されたメールは、送信者を「... HATTORI」、送信日を2011年4月5日とし、件名を「【プレスリリース】ID.BEAU、メキシカンマンゴーの香りの日焼け止め『ソンブレロUVカットスプレー』を新発売」とするものであり、その本文は「報道関係者各位」として、表題を「『ソンブレロUVカットスプレー』プレスリリースのご送付および、読者プレゼント用商品提供キャンペーンのご案内」とするものであり、その内容は「ID.BEAU(アイディービュー)」が新発売するソンブレロUVカットスプレーのプレスリリースを配信したこと、当該プレスリリースをメールに添付したことを知らせるとともに、その商品について掲載の検討を依頼するものであり、その文末に、乙第12号証の1の記事と同じ内容が記載されている。

なお、乙第12号証の2から、送信先の具体的な報道関係者を確認することはできない。

(3)乙第14号証は、財団法人流通システム開発センター発行の2009年9月10日付け「JAN企業コード(JANメーカーコード)更新通知書」の写しであり、登録事業者「ジュジュ化粧品(株)」(神奈川県厚木市戸室5−31−2)のJAN企業コードは「4901727」が付与されたこと、当該通知書に記載されたJAN企業コードの有効期限は2012年9月末までであること、及び付与されたJAN企業コードは登録事業者のみが使用できることが記載されている。

(4)乙第15号証の1は、商標権者が2011年に発行した「春の総合カタログ」の表紙の写しであり、乙第15号証の2は、その2ページの写しであって「ジュジュ アクアモイスト」の各種商品が紹介され、それぞれの「JANコード」の欄にバーコードとともに上7桁「4901727」の数字が記載されている。

(5)乙第17号証の1は、「UV Spray」及び「日焼け止め」の文字が表示された商品の写真であり、商品の正面上部に「太陽と闘え!」の文字(プレスリリースの見出しにも記載がある。)が表示されたシールが貼付されているが、他のデザイン及び表示内容は乙第12号証の1に表示された使用商品の写真と同一であることから、乙第17号証の1は使用商品の正面及び側面の写真であると見て差し支えない。

そして、側面の写真には、バーコードとともに上7桁「4901727」の数字が記載されている。

また、乙第17号証の2は、使用商品の側面の拡大写真と認められるものであり、「ID.BEAU アイディービュー」及び「ジュジュ化粧品株式会社」の表示がある。

(6)乙第20号証は、商標権者あての2012年8月6日付けの書面であり、「当社は、2011年4月5日に、貴社ブランドID.BEAU ソンブレロの新発売プレスリリースを配信したことは、2011年6月18日にメールでお知らせしておりますが、その際の配信先は下記のとおりです。」の記載と、その下に「株式会社井之上パブリックリレーションズ」の記載及び「小島●●」の記名、押印がある。

そして、「記」として、「〔雑誌〕」の項に「主婦の友社」「小学館」「宝島社」「学研パブリッシング」「ダイバー 他」「計 338件」の記載、「〔テレビ〕」の項に「日本テレビ スッキリ!!」「TBS 王様のブランチ」「フジテレビ めざましテレビ」「テレビ東京 ワールドビジネスサテライト 他」「計 28件」の記載、「〔その他オンライン、ライターなど〕」の項に「日刊工業新聞 Business Line」「ELLE Online」「日経WOMAN オンライン」「asahi.com 他」「計 29件」の記載、及び「合計 395件」の記載がある。

2 前記1によれば、次の事実を認めることができる。

(1)本件プレスリリースに記載された株式会社井之上パブリックリレーションズ(以下「井之上パブリックリレーションズ」という。)の広報担当者2名のメールアドレスのドメイン名と、乙第12号証の2のEメールの差出人である小島氏のメールアドレスのドメイン名は、いずれも「inoue-pr.com」で同一(上記1(1)及び(2))であることから、小島氏は、井之上パブリックリレーションズの社員と認められる。

(2)また、上記のEメール差出人、小島氏のメールアドレスのローカル部におけるユーザ名と、本件プレスリリースの配信先を回答した乙第20号証(上記1(6))に記載された井之上パブリックリレーションズの「小島●●」氏の欧文字表記とが合致するといえるから、両者は同一人と推認し得るものである。

そして、小島氏は、メールで本件プレスリリースの問い合わせに対する回答を行った者である(乙第12号証の2)ことからすれば、井之上パブリックリレーションズの本件プレスリリースの担当社員とみることができる。

(3)また、自社の商品のPRを他社に依頼して行うことは一般に行われているから、「ID.BEAU アイディビュー」に係る本件プレスリリースを井之上パブリックリレーションズが配信したとしても不自然なところはない。

(4)そうすると、乙第20号証(上記1(6))の書面は、井之上パブリックリレーションズ(の小島●●氏)からの書面というべきであり、また、本件プレスリリースの担当社員といえる小島氏の記名、押印がなされていること(上記(2))から、その内容の信ぴょう性を認めて差し支えない。

(5)してみれば、本件プレスリリースは、2011年4月5日に井之上パブリックリレーションズを通じて、乙第20号証に記載された報道関係者に、電子メールで配信されたというべきである。

(6)したがって、「ID.BEAU アイディビュー」は、「UVカットスプレー」(使用商品)の発売に係るプレスリリースに使用各商標を付し、当該プレスリリース(本件プレスリリース)を2011年4月5日に井之上パブリックリレーションズを通じて、395の報道関係者に電子メールで配信したと認めることができる。

3 判断

(1)使用者について

上記2(6)の「ID.BEAU アイディービュー」は、商標権者のJAN企業コードと使用商品に表示されたJAN企業コードが「4901727」で一致していること(上記1(3)及び(4))、使用商品は当該コード有効期間内に発売される商品であること(上記1(1))、及び使用商品の側面に「ID.BEAU アイディービュー」の表示とともに商標権者の名称といえる「ジュジュ化粧品株式会社」の表示がある(上記1(5))ことからすれば、商標権者であると認めることができる。

したがって、上記2(6)のプレスリリースは商標権者が行ったものといえる。

(2)使用商品について

使用商品である「UVカットスプレー」は日焼け止め用スプレーである(上記1(1))から、請求に係る指定商品中「化粧品」の範ちゅうに属する商品である。

(3)使用時期について

上記2(6)の電子メールの配信日2011年(平成23年)4月5日は、本件審判の請求の登録(登録日は平成23年10月18日)前3年以内である。

(4)使用各商標について

ア 使用商標1及び使用商標2は、別掲1及び別掲2のとおりの構成からなり、いずれも、その構成中に「Hot Fever」の文字を有すものであり、使用商品に係るプレスリリース(本件プレスリリース)に表示されているものである。

そして、一般に、図形と文字から構成される商標にあっては、構成中の文字部分のみをもって取引に資される場合が決して少なくないことからすれば、使用各商標は、それらの構成中「Hot Fever」の文字部分をもって取引に資され、該文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るとみるのが自然である。

なお、請求人は、使用各商標の構成中「Hot Fever」の文字は、キャラクターのマントに表記されたものであり、該キャラクターとそのマントに表示された「Hot Fever」とは一体となって一つの標章を構成し、一体不可分のものとして認識されるものであり、また、本件商品に関する出所表示として、商標として使用されているとはいえない旨主張している。

しかしながら、使用各商標は、上記のとおり、使用商品のプレスリリースに表示されているものであり、また、図形と文字からなる結合商標においては、文字部分をもって取引に資されることが一般的であって、両商標がそれには該当しないというべき事情も見いだせないから、使用各商標の構成中「Hot Fever」の文字は、使用商品の出所を表示するものとしての機能を果たし得るものというのが相当である。

したがって、請求人の上記主張は採用できない。

してみれば、使用各商標は、それらの構成中「Hot Fever」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。

イ 使用各商標と本件商標について

上記アのとおり、使用各商標は「Hot Fever」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものであるから、該文字部分と本件商標の同一性について検討する。

「Hot Fever」の文字と、上記第1のとおり「HOT FEVER」及び「ホットフィーバー」の文字からなる本件商標とは、片仮名の有無及び欧文字部分の大文字と小文字の差異を有するものの、欧文字の構成文字を共通にしており、本件商標の片仮名部分は欧文字部分の読みを表すものといえるから、「Hot Fever」の文字は本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。

(5)したがって、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内においてその請求に係る指定商品中「第3類 化粧品」の範ちゅうに属する商品「UVカットスプレー(日焼け止め用スプレー)」に関する広告を内容とする情報に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号)ということができる。

(6)請求人の主張について

請求人は、乙第1号証ないし乙第3号証、乙第10号証及び乙第12号証のいずれにも、被請求人のJAN企業コードは表記されていないから、JAN企業コードをよりどころとして「ID.BEAU」が被請求人であるということはできないし、また、プレスリリースの配信を担当した井之上パブリックリレーションズに所属すると考えられる小島●●氏の役職も明記されておらず、同社のウェブサイトに掲載の主要役員の名簿にも同氏は掲載されていないものであり、さらに、プレスリリースの送付先を395社と主張立証しているが、その全てが乙第20号証には明記されていないから、該乙号証によって、送付先の詳細及び数が特定されたとはいい難い旨主張している。

しかしながら、乙第12号証の1及び2、乙第17号証の1及び2をあわせみれば、上記(1)のとおり、「ID.BEAU アイディービュー」は商標権者とみるのが相当であり、また、乙第20号証の小島氏の肩書きがなく、かつ、役員でないとしても、企業間の業務の連絡を役員によらず実務担当者間で行うことは不自然なことではないし、さらに、乙第20号証の書面にプレスリリースの送付先395件の全てが明記されていないとしても、少なくとも当該書面に記載された各報道関係者に配信されたといえるから、当該プレスリリースは電磁的方法により提供されたと認め得るものである。

したがって、上記請求人の主張はいずれも採用できない。

4 まとめ

以上のとおりであるから、被請求人(商標権者)は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内においてその請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。

したがって、本件商標の登録は、請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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