Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2011−18988(T2011−18988/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「オールinワン」の文字を標準文字で表してなり、第7類、第9類及び第37類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成21年2月24日に登録出願、その後、本願の指定商品及び指定役務については、原審における同22年4月27日受付及び当審における同23年9月2日受付の手続補正書により、最終的に、第7類「薬液注入用ポンプ(工業用)」、第11類「浄水装置,汚泥処理用機械器具」及び第37類「薬液注入用ポンプ(工業用)の修理又は保守,その他のポンプの修理又は保守,風水力機械器具の修理又は保守,充填機の修理又は保守,塗布機の修理又は保守,汲み出し機の修理又は保守,浄水装置の修理又は保守,汚泥処理用機械器具の修理又は保守」と補正されたものである。
第2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4250400号商標(以下「引用商標1」という。)は、「オール・イン・ワン・フィルター」の文字を横書きしてなり、平成8年1月6日に登録出願、第7類「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気・油分・不純物を除去するためのフィルター」を指定商品として、同11年3月12日に設定登録され、その後、同20年10月14日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第4924390号商標(以下「引用商標2」という。)は、「オールインワン」の文字を標準文字で表してなり、平成16年10月1日に登録出願、第7類及び第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同18年1月27日に設定登録されたものである。
第3 当審の判断
1 本願商標と引用商標2との類否について
本願商標は、その指定商品及び指定役務について、前記第1のとおり補正された結果、引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品がすべて削除されたものと認められる。
してみれば、本願商標と引用商標2とは、商標の類否について論ずるまでもなく、その指定商品及び指定役務において互いに抵触しないものとなったから、本願商標が引用商標2との関係において商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。
2 本願商標と引用商標1との類否について
(1)商標の類否について
本願商標は、「オールinワン」の文字を標準文字で表してなるところ、該構成文字に相応して、「オールインワン」の称呼及び「必要な全ての要素を含んでいる」程の観念を生ずるものである。
他方、引用商標1は、前記第2の(1)のとおり、「オール」、「イン」、「ワン」及び「フィルター」の各文字を中点(「・」)を介して「オール・イン・ワン・フィルター」と横書きしてなるところ、その構成中の「フィルター」の文字は、「気体・液体・光線・電波・音などのうち、特定の物だけを通過(分離)させるための装置」(「新明解国語辞典 第六版」、株式会社三省堂発行)の意味を有する語として、一般に広く知られているものであるから、引用商標1をその指定商品「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気・油分・不純物を除去するためのフィルター」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「フィルター」の文字部分は、該商品が上記のように特定のものだけを通過(分離)させるための装置であること、すなわち、商品の品質を表したものとして理解するとみるのが相当である。
そうとすると、引用商標1は、その構成中の「フィルター」の文字部分が商品の品質を表したものであって、自他商品の識別標識としての称呼、観念を生じないものといえるから、その余の「オール・イン・ワン」の文字部分が、商品の出所識別にあたり、取引者、需要者に対し、強く支配的な印象を与えるというべきである。
してみれば、引用商標1は、その構成中の「オール・イン・ワン」の文字部分を分離抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものであって、該文字部分が、自他商品の識別標識としての要部たり得るものであるから、その「オール・イン・ワン」の文字に相応する「オールインワン」の称呼をも生ずるものであり、かつ、本願商標における場合と同様に、「必要な全ての要素を含んでいる」程の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標1との類否を検討するに、両商標は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、外観においては、区別し得る差異を有するものの、「オールインワン」の称呼及び「必要な全ての要素を含んでいる」程の観念を生ずる点において共通するものであるから、これらを総合勘案すれば、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
なお、請求人は、引用商標1は、一体不可分の商標としてとらえるべきものであり、該「オールインワン」の語が、「オールインワン化粧品」、「オールインワンサウンドシステム」などのように、他の語と結合し、当該他の語を修飾する形容詞として使用される語であるから、引用商標1に接する取引者、需要者は、その構成中の「オール・イン・ワン」の文字部分のみを分離抽出し、これをもって指定商品の取引に当たることはない旨主張する。
しかしながら、引用商標1は、その構成中の「フィルター」の文字部分が、指定商品との関係において、取引者、需要者をして、商品の品質を表したものと理解されるものであって、その構成中の「オール・イン・ワン」の文字部分が、自他商品の識別標識としての要部たり得ることは、上述のとおりであり、これが、引用商標1と文字構成を異にする「オールインワン化粧品」等の語の用例が存することをもって覆るともいい得ない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(2)商品の類否について
本願の指定商品中の「薬液注入用ポンプ(工業用)」とは、各種薬液を定量注入(吐出)するための「ポンプ」の一種であるところ、その用途は、請求人が主張する浄水場における薬液の注入に用いられるほか、例えば、「食品添加剤・着色剤・防腐剤」、「ボイラー水処理剤」、「凝集剤」、「漂白剤」の注入やプリント配線基板のエッチング・クリーニングなど多岐にわたるものである(別掲1参照)。
他方、引用商標1の指定商品は、「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気・油分・不純物を除去するためのフィルター」であるところ、圧縮空気には大気中の水分、油分及び不純物が含まれるため、食品工場や精密機器工場等において圧縮空気を用いる場合には、「圧縮機」とともに、それから排出される圧縮空気中の不純物等を分離するための「フィルター」が必要であり、これらは、同一の事業者により製造、販売されるものである(別掲2参照)。
また、「薬液注入用ポンプ」等の「ポンプ」と「圧縮機」とは、同じ事業者により製造、販売されるものであり、さらに、そのような事業者が、「フィルター」をも製造、販売する実情も見受けられる(別掲3及び4参照)。
してみれば、本願の指定商品中の「薬液注入用ポンプ(工業用)」と引用商標1の指定商品「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気・油分・不純物を除去するためのフィルター」とは、その生産部門及び販売部門を同じくし、かつ、同じ流通過程で取引されることのある商品というのが相当であり、さらに、ともに食品工場や精密機器工場において用いられることがある商品であり、その需要者も共通にする場合があるものであるから、両商品は、類似する商品と判断すべきものである。
なお、請求人は、本願の指定商品中の「薬液注入用ポンプ(工業用)」と引用商標1の指定商品「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気・油分・不純物を除去するためのフィルター」とは需要者が異なり、同一事業者により製造・販売されている事実も見いだせないことから、非類似の商品である旨主張する。
しかしながら、本願商標の指定商品中の「薬液注入用ポンプ(工業用)」と引用商標1の指定商品「圧縮機より排出される圧縮空気中の水蒸気・油分・不純物を除去するためのフィルター」とが、取引の実情に照らし、類似する商品であることは、上述のとおりである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することはできない。
3 まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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