Trademark Appeal Case
称呼観念の類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2012−650010(T2012−650010/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「SAPPHIRE」の欧文字を横書きしてなり、第9類「Computer software for use in the construction industry by engineers,builders,architects,manufacturers of building products,wholesalers of building products,and retailers of building products for computer−aided design (CAD) of building products,manufacture of building products,and invoicing,inventory control,and order processing in the manufacture and sale of building products.」を指定商品として、2009年11月18日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)11月30日に国際商標登録出願されたものである。
なお、原審において、平成22年10月18日付けで手続補正書が提出されたが、当該補正については、同23年4月15日付けをもって、願書に記載した指定商品の要旨変更を理由とする補正却下の決定がなされたものであり、当該決定は、既に確定している。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5069738号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に記載のとおりの構成よりなり、平成18年1月16日に登録出願され、第9類「コンピュータグラフィックスカード」を指定商品として、同19年8月10日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標と引用商標の類否について
本願商標は、前記1のとおり、「SAPPHIRE」の文字よりなるところ、該文字に相応し、「サファイア」の称呼を生ずるものであり、「サファイア,青玉」(ランダムハウス英和大辞典 第2版 小学館)の観念を生ずるものである。
引用商標は、別掲に示すとおり、青色の楕円状図形内に白抜きでデザイン化された欧文字の「S」と思しき文字を配してなる図形及び該図形の下にデザイン化された「SAPPHIRE」の欧文字を青色(「A」の文字は朱色)で横書きしてなるものである。
しかして、引用商標を構成する図形部分と「SAPPHIRE」の文字部分とは、これらが一体のものとして、特定の意味合いを看取させる等、常に不可分一体のものとして看取されなければならない特段の事情は認められないことから、引用商標の図形部分と文字部分については、視覚上、分離して看取され、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そうすると、引用商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「SAPPHIRE」の文字部分より生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであるから、引用商標からは、該文字部分に相応した「サファイア」の称呼及び「サファイア,青玉」の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標を比較するに、外観においては、それぞれの構成よりみて明らかな差異を有するものの、本願商標の構成文字と引用商標の文字部分とは、その構成文字を共通にするものであり、また、「サファイア」の称呼及び「サファイア,青玉」の観念を共通にするものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、称呼及び観念において、互いに紛らわしい類似の商標であるといわざるを得ないものであって、かつ、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品は、同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の指定商品における生産部門は建築材料の製造・販売・設計などを専門に行う者、販売部門は建築関連の販売業者、用途は建築部材の設計・見積もり・在庫管理・注文処理、また、需要者は建築製品の製造者等である。一方、引用商標の指定商品における生産部門は専門メーカー、販売部門はパソコンショップや家電量販店、用途はパソコンでゲームやアニメーションを見ること、また、需要者は一般消費者であり、生産部門、販売部門、用途及び需要者等が異なるため、互いに非類似の商品である旨主張している。
しかしながら、昨今、主に一般消費者を対象とする家電量販店等において、様々な専門分野に特化した商品が品揃えされ、販売されているところ、本願商標の指定商品との関係においては、CAD(コンピュータ支援設計)用、建築物の構造計算用、建築工事における原価管理用、建築用の見積書・発注書作成用といった用途に用いられるコンピュータソフトウェアが上記店舗において普通に取り扱われている実情がある。
このことは、例えば、以下(ア)ないし(オ)のウェブサイトからも明らかである。
(ア)「ビックカメラ.com」のウェブサイトにおいて、コンピュータソフトウェア「A&A/〔Win・Mac版〕VectorWorks Designer with Renderworks 2012J スタンドアロン版 基本」の商品説明に、「2D/3Dの高性能な汎用作図機能に専門分野別(建築、土木造園、舞台照明、機械)の設計支援機能、拡張機能、さらには膨大なデータライブラリやレンダリングプレゼンテーション機能を搭載したVectorworksシリーズ最上位のCADパッケージです。」の記載がある。(http://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/catalog/detail.jsp?JAN_CODE=4513825007599)
(イ)「ビックカメラ.com」のウェブサイトにおいて、コンピュータソフトウェア「建築ピボット/BUS−5 VER.1」の商品説明に、「直感的な操作による思い通りの作業、高度な計算を実現!改正された基準法に対応しRC/SRC/S造建物の構造計算をトータルにサポートするプログラム。」の記載がある。(http://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/catalog/detail.jsp?JAN_CODE=9760015825500)
(ウ)「Yamada−Denki WEB.com」のウェブサイトにおいて、コンピュータソフトウェア「AUTOD3DSMD12NSLM 商品番号:2043025019」の商品説明に、「〔デザイン ストーリーを伝えるための包括的な統合型レンダリング、3D モデリング、アニメーション ソリューション〕建築家、デザイナー、土木エンジニア、ビジュアライゼーションのスペシャリスト向けに開発されたソフト。」の記載がある。(http://www.yamada−denkiweb.com/item/detail.php/2043025019)
(エ)「Yamada−Denki WEB.com」のウェブサイトにおいて、コンピュータソフトウェア「ケンセツゲンカビ 商品番号:2038458013」の商品説明に、「業務フローに沿ったデータ入力で、原価管理に役立つ豊富な帳票出力が可能な原価管理システム 工事における煩雑な原価管理業務のIT化を可能にした原価管理ソフト。実行予算、仕入、支払、入金の各データ登録機能に加え、売上・請求処理機能が追加。」の記載がある。(http://www.yamada−denkiweb.com/item/detail.php/2038458013)
(オ)「Joshinネットショッピング」のウェブサイトにおいて、コンピュータソフトウェア「コベック/建築みつも郎9 導入ガイドCD付き/プレゼンボードデザイナーSPセット」の商品説明に、「丸め機能付き金額調整機能や歩掛けへの対応、隠れ階層を活用した代価表作成等、高機能を装備。見積書等の各形式で、エクセルへのデータ出力機能搭載。発注書の作成に便利な業者コード別自動分割機能を搭載。」の記載がある。(http://joshinweb.jp/pc/142/4532158631561.html)
一方、引用商標の指定商品は、請求人主張のとおり、主にパソコンショップや家電量販店等で販売されているものであるが、その用途は様々であり、建築設計に用いられる商品、例えば「CAD(コンピュータ支援設計)に最適化したグラフィックスカード」といった商品も含まれているものであり、このことは、以下(カ)ないし(ク)の事例からも明らかである。
(カ)株式会社エーキューブのウェブサイトにおいて、グラフィックボード「Fire GL V3400」の商品概要に「ATI社FireGLワークステーション・グラフィックス・アクセラレータは、CAD(Computer Aided design)およびDCC(Digital Content Creation)アプリケーションのほとんどの最先端アプリケーションソフトに対して最適化されており、また完全な認証が得られています。」との記載がある。(http://www.acube−corp.com/products/eol/firegl−v3400.html)
(キ)日本AMD株式会社のウェブサイトにおいて、グラフィックカード「AMD FirePro V7800プロフェッショナルグラフィックス」の商品概要に「単一の統合ドライバーを採用することにより、AMD FirePro V7800Pプロフェッショナルグラフィックスは、CADおよびDCC(デジタルコンテンツ制作)プロフェッショナル向けの従来のプロフェッショナルグラフィックス、リモート・グラフィックスおよび仮想デスクトップ・インフラストラクチャ(VDI)の展開環境、レンダリング企業、高性能コンピューティング実装環境をサポートする、柔軟性と拡張性の高いソリューションを提供します。」の記載がある。(http://www.amd.com/jp/products/workstation/graphics/ati−firepro−3d/v7800p/Pages/v7800p.aspx)
(ク)NVIDIAのウェブサイトにおいて、グラフィックカード「Quadro 600」の商品概要に「プロを対象に構築され、主要なCADおよびDCCアプリケーション用として公認されているNVIDIA Quadro 600は、このクラスでのワットあたりのパフォーマンスが最高です。」の記載がある。(http://www.nvidia.co.jp/object/product−quadro−600−jp.html)
そうすると、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、生産部門(コンピュータ関連業者)、販売部門(家電量販店等)、用途(建築設計等)及び需要者(建築関連業に従事する者)等を共通にする場合も多いものと認められることから、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似する商品といえるものである
よって、この請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は、引用商標中、図形の下の左端に書された文字が「S」であることは比較的容易に認識できるが、その右側に図案化された複数の文字と思しきものは、いかなる文字を図案化したものか理解できない旨主張している。
しかしながら、近年では、広告宣伝のために、需要者の注意を惹き、視覚的効果を担う手法として、文字で構成される商標の一部分を図案化したり、あるいは各種レタリングを施したりすることが広く行われているというのが実情である。
そして、かかる実情に照らして引用商標中、下段の文字部分の字形をみるに、左端の文字を欧文字の一である「S」を表したものとするところは請求人も特に否定しないところであり、そうすると、その余の部分も該文字と同様、欧文字を表したものとして把握、認識されるとみるのが自然である。
そうすると、その字体は文字の一部の線を省略して、未来的な印象を強調するかの如く描かれていることを特徴とした図案化された欧文字であるものと容易に理解させるといえる体裁であり、省略された線を補足してみれば、該文字部分は全体として「SAPPHIRE」を表したものと自ずと識別できるものであり、それ以外の文字として認識する余地はないとみて差し支えない。
そうとすれば、引用商標に接する取引者、需要者は、該文字部分に相応して、これを「SAPPHIRE」の欧文字からなるものと認識し、「サファイア」の称呼及び観念をもって取引にあたることも決して少なくないものといわなければならない。
よって、この請求人の主張も採用することができない。
4 結論
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、これを取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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