Trademark Appeal Case
称呼類似と指定商品類似
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900040(T2012−900040/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5452021号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、平成23年5月27日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、同年10月11日に登録査定、同年11月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4736462号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、2000年4月26日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成12年6月30日に登録出願、第25類「ジーンズ製の被服,ジーンズ製のガーター,ジーンズ製の靴下止め,ジーンズ製のズボンつり,ジーンズ製のバンド,ジーンズ製のベルト,ジーンズ製の履物,ジーンズ製の仮装用衣服,ジーンズ製の運動用特殊衣服,ジーンズ製の運動用特殊靴」ほか、第18類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品・役務を指定商品・指定役務として、平成15年12月26日に設定登録されたものである。
同じく国際登録第834108号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、平成16年7月7日に登録出願、第3類、第9類、第14類、第16類、第24類及び第26類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年7月9日に設定登録されたものである。
同じく登録第2613061号商標(以下「引用商標3」という。)は、「AX ARMANI EXCHANGE」の欧文字を表してなり、1991年7月26日にイタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成3年11月19日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年12月24日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がされ,さらに、指定商品については、平成17年1月19日、第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
同じく登録第2588489号商標(以下「引用商標4」という。)は、「AX ARMANI EXCHANGE」の欧文字を表してなり、1991年7月26日にイタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成3年11月19日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年10月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに,指定商品については、平成17年2月16日、第9類、第20類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
同じく登録第2583989号商標(以下「引用商標5」という。)は、「AX ARMANI EXCHANGE」の欧文字を表してなり、1991年7月26日にイタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成3年11月19日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成5年10月29日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに,指定商品については、平成17年1月19日、第6類、第14類、第18類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
(2)理由の要点
本件商標は、下記ア及びイの理由により、その登録を取り消されるべきものである。
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標の文字部分は「A」及び「J」のみであるから、本件商標からは「エイジェイ」の称呼を、引用商標1からは「エイジェイ」及び「アルマーニジーンズ」の称呼をそれぞれ生ずるものである。したがって、本件商標と引用商標1とは、「エイジェイ」の称呼を共通にするものである。また、本件商標の指定商品「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」は、引用商標1の指定商品中、第25類「ジーンズ製の被服,ジーンズ製のガーター,ジーンズ製の靴下止め,ジーンズ製のズボンつり,ジーンズ製のバンド,ジーンズ製のベルト,ジーンズ製の履物,ジーンズ製の仮装用衣服,ジーンズ製の運動用特殊衣服,ジーンズ製の運動用特殊靴」に類似する。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、1934年にイタリアに生まれたジョルジオ・アルマーニ氏が、1975年に設立した法人である。同氏のデザインは映画の衣装にも採用され、有名な賞も多数獲得している、世界的に著名なデザイナーである。申立人の事業は、紳士服、婦人服、子供服、服飾品、宝飾品等のファッション関連製品に留まらず、化粧品、インテリア、菓子、レストラン、ホテル・リゾート事業等にまで展開している(甲第9号証)。かかる事実から、申立人のブランド、すなわち「アルマーニ」ブランドが世界的に著名であることが認められる。
申立人は、1981年に「アルマーニ」ブランドのカジュアルラインである 「アルマーニジーンズ」を発表し、引用商標1及び2に係る商品の販売を開始した。現在では、北海道から沖縄まで日本中に少なくとも22店舗を展開している(甲第11号証)。また、大都市のランドマークであるような商業施設にも出店している(甲第12号証)。さらに、「アルマーニジーンズ」に関する情報は、日本においても有名ファッション誌に取り上げられている(甲第13号証)。
このような全国的な販売網及びファッション業界における注目度から、特に衣類及び服飾品の取引者及び消費者において、本件商標の出願時にはすでに引用商標1及び2は著名であったものと考えられる。
また、申立人は、1991年に「アルマーニ」ブランドのカジュアルラインである「アルマーニエクスチェンジ」を発表し、引用商標3ないし5に係る商品の販売を開始した。出願時には、日本中に少なくとも7店舗を展開しており、その後も都内に次々に路面店を開店している(甲第14号証)。このような全国的な販売網及びファッション業界における注目度から、特に衣類及び服飾品の取引者及び消費者において、本件商標の出願時にはすでに引用商標3ないし5は著名であったものと考えられる。
加えて、「アルマーニジーンズ」及び「アルマーニエクスチェンジ」は、「アルマーニ」ブランドの一部として認識されているから、「アルマーニ」の著名性が、引用商標1ないし5の著名性に大きく寄与していると考えられる。
引用商標1ないし5は、申立人の商標として広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)本件商標
本件商標は、別掲(1)に示すとおりの構成からなるところ、語頭にアルファベット文字の「A」及び語尾に同じく「J」の文字を配し、そして、その間に位置する図案化した部分は、その前後の「A」及び「J」の文字と比して、高さは同じであるものの、約2倍ほどの幅で白抜きの小さな平行四辺形と台形をアルファベット文字の「X」様に積み重ねたものである。しかして、該図案化した部分は、その前後に構成されている「A」と「J」の文字がアルファベット文字であり、それぞれの文字と高さを揃えてバランス良く構成されているものであるから、アルファベット文字「X」を図案化して表したものと容易に認識させるものである。
そうとすると、本件商標は、全体をして中黒を介した「A・X・J」の欧文字を表したものと看取されるものである。
してみると、本件商標は、その構成文字に相応して「エイエックスジェイ」の称呼のみを生じ、さほど冗長ではなく一気に称呼し得るものということができるものである。また、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標1
引用商標1は、別掲(2)に示すとおり、黒塗りの長方形の中に、その左側に「AJ」の欧文字を白抜きに表し、その右側に縦の白線をまたいで「ARMANI」及び「JEANS」の欧文字を上下二段に白抜きで表した構成からなるものである。
そして、その構成中に「ARMANI」の欧文字を含んでいることから、いわゆる「アルマーニ」ブランドとして認識されることがあるとしても、その左側に白線で区分けされた「AJ」の欧文字部分は、商品の品番、型式を表示するための記号、符号として、取引上普通一般に使用されているアルファベット文字2字の一類型であって、極めて簡単でありふれた標章と認められるものであるから、該文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認め難いものである。そうとすると、単に「エイジェイ」の称呼は生じないというべきである。
してみると、引用商標1は、その構成文字に相応して「エイジェイアルマーニジーンズ」、「アルマーニジーンズ」又は「アルマーニ」の称呼及び「アルマーニブランドのジーンズ」程の観念を生じるものである。
なお、申立人は、引用商標1が実際には「AJ」の略称をもって使用されている事実があるから(甲8)、本件商標とは「エイジェイ」の称呼を共通にする類似の商標である旨主張する。しかしながら、上記使用のみをもって、「AJ」の欧文字が独立して自他商品の識別機能を果たするに至ったと認め得ることはできないものであるから、上述した認定のとおり判断するのが相当である。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標と引用商標1との類否についてみると、両者は、その構成が明らかに相違するものであるから、外観上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標から生ずる「エイエックスジェイ」の称呼と引用商標1から生ずる「エイジェイアルマーニジーンズ」、「アルマーニ」又は「アルマーニジーンズ」の称呼とを対比しても、その構成音数が相違するなど称呼全体の音感が全く異なり、称呼上相紛れるおそれはないものである。
さらに、特定の観念を生じない本件商標と「アルマーニブランド」又は「アルマーニブランドのジーンズ」の観念を生じる引用商標1とは、観念について区別し得るものであるから、観念上相紛れる余地はない。
してみると、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標1とは非類似の商標であって、別異の商標である。
したがって、本件商標は、引用商標1をもって、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)本件商標と引用商標との類否
本件商標が引用商標1に類似しないことは、前記(3)のとおりである。 引用商標1と構成態様を同一にする引用商標2についても同様に判断するのが相当であるから、本件商標は、引用商標2と非類似の商標である。
さらに、引用商標3ないし5は、「AX ARMANI EXCHANGE」の欧文字を表してなるところ、その構成文字全体に相応して「エイエックスアルマーニエクスチェンジ」の称呼を生じるほか、その構成中に周知著名な「ARMANI」の欧文字を含むものであるから「アルマーニ」の称呼を及び「アルマーニブランド」程の観念を生じるものである。
なお、語頭の「AX」の欧文字部分については、商品の品番、型式を表示するための記号、符号として、取引上普通一般に使用されているアルファベット文字2字の一類型であって、極めて簡単でありふれた標章と認められるものであるから、該文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認め難いものである。そうとすると、引用商標3ないし5からは、単に「エイエックス」の称呼は生じないというべきである。
してみると、本件商標と引用商標3ないし5とは、その構成が明らかに相違するものであるから、外観上相紛れるおそれはない。また、両者から生じる称呼を対比しても、その構成音数が相違するなど称呼全体の音感が全く異なるものであるから、称呼上相紛れるおそれはない。さらに、観念についても区別し得るものであるから、観念上も相紛れるおそれはない。したがって、本件商標と引用商標3ないし5とは、非類似の商標というべきものである。
なお、申立人は、本件商標は「A」及び「J」の間に図形を配した結合商標であるから、著名な引用商標1及び2に図形を結合させたにすぎず、また、該図形部分が「X」と認識するような場合には、引用商標3ないし5に「J」を結合した商標であり、さらに、該図形部分は、申立人が所有する周知・著名商標「EMPORIO ARMANI」の図形部分の特徴が認められ(甲第7号証)、申立人の業務に係る商品であるかのように誤認を生じさせる旨主張する。
しかしながら、上述したとおり、本件商標と引用商標1ないし5とは別異の商標であり、また、本件商標中の図案化した部分と上記「EMPORIO ARMANI」商標中の図形部分とは、白抜きの小さな平行四辺形と台形を積み重ねた構成からなる点については同じ様な構成であるとしても、本件商標の方は、アルファベット文字の「X」様に積み重ねたものとみることができるのに対し、上記「EMPORIO ARMANI」商標の方は、やや不鮮明ではあるが鳥類を模したものと見て取れるものであるから、両者は十分に区別し得るものである。
(5)引用商標の周知著名性について
申立人の提出に係る甲第8号証ないし14号証によれば、我が国においても「ARMANI(アルマーニブランド)」が広く認識されていることが認められる。そして、そのアルマーニブランドの商品を取り扱う店舗として「アルマーニ・ジーンズ(ARMANI JEANS)」や「アルマーニエクスチェンジ」が紹介され、「アルマーニ・ジーンズ」や「アルマーニエクスチェンジ(A/X)」などの使用例が見受けられる。しかしながら、引用商標の使用は確認できない。
そうとすれば、引用商標は、その構成中に著名な「ARMANI」の欧文字が含まれていることから、該文字部分に着目して、申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知著名ということができるとしても、その構成中には他の構成要素があり、例えば、「AJ」又は「AX」の欧文字部分については、上記証拠から、周知著名性を認めることができない。したがって、「AJ」や「AX」の欧文字部分は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして周知著名ということができない。
(6)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標の構成中の「AJ」又は「AX」の欧文字部分は、前記(5)のとおり、周知著名ということができず、また、本件商標と引用商標とは、前記(4)のとおり、非類似の商標である。
そうとすれば、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が引用商標を想起し連想するようなことはないというべきであり、該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(7)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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