Trademark Appeal Case
称呼類似と周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900220(T2012−900220/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5490078号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成23年10月19日に登録出願され、第7類「有機廃棄物処理装置」を指定商品として、同24年4月9日に登録査定、同月27日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立て理由
本件商標は、以下のとおり、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は、取り消されるべきである。
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
登録異議申立人(easyGroup IP Licensing Limited 以下「申立人」という。なお、下記申立人航空会社を含めて「申立人」という場合がある。)は、イギリスの企業であり、1995年に航空会社「easyJet」(イージージェット)(以下「申立人航空会社」という。)を設立した。
申立人航空会社は、1995年に設立されて以来、「easyJet」(以下「引用商標1」という。)をそのビジネス、サービスとしての格安航空、航空機による旅客の輸送について継続して使用してきた(甲2)。また、「イージージェット」(以下「引用商標2」という。また、引用商標1及び2をまとめて「引用商標」という場合がある。)も申立人のビジネス、サービスについて使用されている。
申立人の格安航空サービスは、申立人航空会社が設立されたイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、その他のヨーロッパ諸国において提供され、引用商標は、申立人が1995年以来、継続的に使用してきた結果、イギリスをはじめヨーロッパ諸国において周知・著名である。また、引用商標が、申立人のビジネス及び役務を表示するものとして、日本においても広く認識されるに至っていることは、新聞やインターネットで提供されるニュースの記事、日本の需要者向きに紹介されている格安航空券に関するウェブサイト、日本人の旅行者間による情報交換のサイト等で引用商標1が引用商標2とともに申立人のビジネス及び役務が広く紹介されていることからみて明らかである(甲7ないし甲32)。
そして、引用商標は、造語であって、十分に識別力を有するものであり、さらに、本件商標は、その構成態様に照らして、「Easy」及び「Jet」の部分が本件商標の主要な部分と認識されるものであるから、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標である。
また、申立人は、幅広い事業を展開する多角的経営企業であり、新しい分野の事業に進出している。
以上のことにかんがみると、本件商標に接する取引者・需要者は、本件商標を付した商品があたかも申立人やその関連会社がその業務や商品に関連して提供した商品であるかのごとく誤って認識され、あるいは申立人と経済的又は組織的・人的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく誤認される可能性が極めて高い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、外国において周知著名であったことは明らかであり、また、我が国の取引者・需要者にも十分に知られるに至っていたというべきであり、本件商標は引用商標と極めて類似する商標である。
そして、上記のとおり、引用商標が周知・著名であり、本件商標は引用商標と極めて類似するものであること及び引用商標は造語であることから、本件商標は、本件商標の出願人により不正の目的をもって使用するものと推認することができる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(3)むすび
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知・著名性について
申立人の提出した証拠によれば、申立人は、1995年にイギリスで申立人航空会社(easyJet)を設立して、ヨーロッパにおいて、航空機による旅客の輸送を行い、ヨーロッパ有数の格安航空会社となっている(甲11ほか)。そして、申立人は、引用商標1を使用して当該役務を行ってきたことは認められるから、引用商標1は、申立人の行う航空機による旅客の輸送を表示するものとして、本件商標の出願時及び登録査定時において、イギリスを始めとするヨーロッパにおける需要者の間に広く認識されていたものということができる。
しかしながら、申立人航空会社は、我が国において、いまだ就航しておらず、我が国での広告の事実は何ら立証されていない。また、申立人航空会社について、我が国の新聞、雑誌等において記載されていることは認められるものの、その多くは、企業経営の観点や航空業界の動向の観点からのものが多く、必ずしも申立人航空会社の提供している役務についてその需要者を対象として報道されたものではなく、更に、その掲載は、年間10ないし30回程度であり、しかも海外経済情報などに係る経済誌(紙)を多く含むものである。また、世界の格安航空会社の運行状況等に係るガイド又はチケット予約のインターネットのウエブサイトがあることは認められるものの、申立人航空会社の提供する役務に係る我が国国民の利用状況等は明らかではなく、これらのウェブサイトの存在をもって、直ちに引用商標が我が国において、需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
以上によれば、引用商標は、我が国において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標との類似性について
本件商標は、別掲のとおり、図形の左右に「Easy」及び「Jet Jr.」の文字を同色で表してなるものであり、また、「Easy」と「Jet」とは、同じ書体及び同じ大きさの文字からなることから、その構成中の文字部分は「Easy Jet Jr.」として認識され、当該文字部分は自他商品の識別標識としての機能を有するものであり、更に「Jr.」は、「下級の」等を意味する「junior」の略語であり、商品等の品質を表示する語として使用される語であり、かつ、「Easy Jet」と比較して小さな文字で表されているものであるから、本件商標は、「Easy Jet」の文字部分も自他商品の識別標識としての機能を有するものといえる。
他方、引用商標1は、「easyJet」の文字からなるものであり、引用商標2は、「イージージェット」の文字よりなるものである。
ところで、「easy」(イージー)は、「手軽。たやすいこと。」を意味する語として、「jet」(ジェット)は、「孔口から流体が連続的に噴出する形態。噴流。ジェット機の略。」(いずれも広辞苑第6版)を意味する語として、いずれも親しまれているものである。
そうすると、本件商標及び引用商標は、それぞれの構成文字に相応していずれも「イージージェット」の称呼を生じ、「手軽に流体が連続して噴出する」「手軽なジェット機」ほどの意味合いを想起させるものであるから、称呼及び観念を共通にする類似の商標と認められる。
ウ 本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る役務との関連性の程度並びに取引者及び需要者の関連性について
本件商標の指定商品は、「有機廃棄物処理装置」であり、引用商標の使用に係る役務は「航空機による旅客の輸送」であるが、これら商品、役務の性質、用途及び目的において両者の関連性は希薄である。したがって、取引者及び需要者の関連性も希薄というべきものである。
エ 混同を生ずるおそれの有無について
以上を総合すると、本件商標は、引用商標とその類似性が高いとしても、引用商標は我が国において周知性を有しないものであり、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る役務との関連性は希薄であり、また取引者及び需要者の関連性も希薄であるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、取引者・需要者において、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるとはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号該当性について
前記(1)のとおり、引用商標(特に引用商標1)が、ヨーロッパにおいて、申立人の業務に係る役務を表示するものとして知られているものであること及び本件商標と引用商標が類似することは認められる。
しかしながら、本件商標及び引用商標を構成する「easy」(イージー)は、「手軽。たやすいこと。」を意味する語として、「jet」(ジェット)は、「孔口から流体が連続的に噴出する形態。噴流。ジェット機の略。」を意味する語として、いずれも親しまれているものであり、これらを組み合わせてなる商標が、「手軽に流体が連続して噴出する」「手軽なジェット機」ほどの一体とした意味合いを想起させるものであるから、その組合せは、特異であるとまではいえず比較的容易といえるものである。更に「jet」の語は「有機廃棄物処理装置」の分野においては「噴出」の意味合いを想起、連想させ易いのに対し、「航空機による旅客の輸送」業務の分野おいては「ジェット機」の意味合いを想起、連想させ易い点において相違があり、また、本件商標と引用商標1とは全く同一の構成とはいえないものであるから、両者の文字部分が偶然に一致したことを否定できないものである。
加えて、本件商標が、不正の目的をもって使用するものであることを客観的に示す証拠の提出もなく、ほかにこれを認める事情は、全証拠によってもも見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反してされたとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持されるべきものである。
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