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Trademark Appeal Case

造語の不正先取り

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900345(T2012−900345/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5520276号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5520276号商標(以下「本件商標」という。)は、「文字霊」及び「もじだま」の文字を二段に横書きしてなり、平成24年3月19日に登録出願、第45類「ファッション情報の提供,インターネットによる友人探し及び紹介のための情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,個人に関する情報の提供,個人の身元又は行動に関する調査,筆跡による性格判断,筆跡による占い,筆跡による身の上相談,占い,身の上相談」を指定役務として、平成24年8月3日に登録査定、同年9月7日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。

1 申立人の周知商標「もじだま」について

申立人は、筆跡診断士の団体である日本筆跡診断士協会に登録されている筆跡診断士であり、筆跡診断士として「筆跡による性格判断,筆跡による占い,筆跡による身の上相談」(以下「申立人役務」という。)等の役務に、申立人の創作に係る造語である「もじだま」(以下「引用商標」という。)を本件商標の登録出願前より使用して、需要者(筆跡診断に関心を有するものや筆跡診断を必要とする者)の間に広く認識されている。

2 商標法第4条第1項第10号について

本件商標は、その出願時において他人業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似する商標であって、その役務と同一又は類似する役務について使用するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

3 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について

商標権者は、本件商標の登録出願前に申立人が参加するセミナーで、申立人から「もじだま」について説明を受けている。

また、「もじだま」の語は、広辞苑にも掲載されていない造語であること、本件商標が引用商標と同一であること、指定役務も申立人役務とほとんど同じであることからかんがみると、商標権者と申立人がセミナーで面識があり、後に商標権者によりなされた本件商標の登録出願は、申立人が創作した引用商標に依拠して、これと実質的に同一の商標を作り出すことを目的として行われものである。

してみれば、筆跡診断士とは何の関係もない(カイロプラクティックドクターを営む)商標権者が、造語である「もじだま」を申立人役務と同じ役務を指定して、偶然に商標として採択することは考えがたく、商標権者は、本件商標が他人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であることを承知の上、引用商標が未だ登録されていないことを奇貨として、不当な利益を得る等の目的の下に出願し、権利を取得したものと推認せざるを得ない。

したがって、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標に該当するものと言わなければならないから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

また、本件商標は、他人が創作して普及した筆跡診断の方法に関する愛称について、それらの事実を知りながら剽窃的に先取りして商標登録を受けたものであって、条理上許されず、商標法の目的にも反し、公正な商業秩序を乱すものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 むすび

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第19号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

(1)申立人の商標「もじだま」の周知性について

申立人は、「『筆跡による性格判断,筆跡による占い』等の役務に、『引用商標』を本件商標の登録出願前より使用して、需要者(筆跡診断に関心を有するものや筆跡診断を必要とする者)の間に広く認識されている。」旨主張しているので、以下検討する。

申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。

ア 申立人は、筆跡診断士の団体である日本筆跡診断士協会に登録されている筆跡診断士であり、筆跡から書き手の行動傾向や心理状態を分析・診断をすることを業としていることが認められる(甲2、甲3)。

イ 平成24年1月10日に株式会社創発としまによって発行された刊行物「豊島の選択 第18・19合併号」(写し)には、筆跡診断士である申立人の紹介記事、「もじだま」とは「言霊」の文字バージョンであるとの記載、「もじだま解説」と称して「もじだま」の書き方が説明されている(甲2)。

なお、申立人は、当該刊行物の発行部数が約1万部であり東京都豊島区を中心に全国に頒布されていると主張している。

ウ 申立人の2011年発行のPDF頒布物「文字で出来る!なりたい自分になれる!成幸脳エクササイズ」(写し)には、グラフォロジー(筆跡心理学)に関する解説や「もじだまセッション」と称する「もじだま」の書き方を提案するセッション等に関する記載が認められる(甲3)。

なお、申立人は、当該PDF頒布物のダウンロード実績が300部以上であると主張している。

エ 申立人のメールマガジン「今こそ!手書き文字革命 H23.12.6 Vol.32」(写し)には、配信開始日2011年7月4日、配信数448、今回の配信数231回、「このメールマガジンは、ご登録いただいた方やレポートをお読みいただいた方/お名刺を交換させていただいた方にお送りしています。」の記載や個別対面でのグラフォロジーアドバイスである「もじだまセッション」の紹介記事などが掲載されている(甲4)。

オ 申立人の名刺4枚(写し)には、申立人の名前と写真入りで「〜あなたの『もじだま』こちらです〜」「【もじだまセッション】/(90分/15,000円)」「〜『もじだま』体験者の声〜」「もじだま解説」と称する「もじだま」の書き方の説明が記載されている(甲5)。

なお、申立人は、当該名刺を1000枚以上頒布したと主張している。

カ 「国際TOKA協会」のホームページ(写し)には、筆跡診断士の申立人の写真と名刺が掲載され、2011年11月10日に「もじだま」のセミナーを定員20名、参加費3000円で開催すること、「『もじだま』とは・・・言葉に魂が宿る『ことだま』のように、想いを込めた文字は魂が宿る『もじだま』です。」との記載が認められる(甲6)。

なお、申立人は、該ウェブページのアクセス数が336件あったと主張している。

(2)上記(1)において認定した事実によれば、以下のように判断することができる。

申立人は、刊行物、ダウンロードによる頒布物、メールマガジン等に「もじだま」、「もじだまセッション」又は「もじだま解説」に関する記事を掲載していることが認められるものの、これらの文字が申立人役務に使用していることを確認することができない。

また、申立人は、引用商標を申立人役務に使用開始した時期、使用地域、営業規模(売上高)等を示す証拠を提出していない。

してみれば、申立人提出に係る証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人役務を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。

(2)商標法第4条第1項第10号について

引用商標は、前記(1)のとおり、申立人の業務に係る役務を表すものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。

したがって、本件商標は、本件商標と引用商標の類否について論ずるまでもなく、商標法第4条第1項第10号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、その構成自体において、公序良俗を害するおそれがある商標に該当しないことは明らかである。

また、本件商標の出願が、引用商標の周知性や信用にフリーライドするひょう窃的な出願であること、公正な商業秩序を乱すものであることの証左は提出されていないし、かつ、他にこれを認めるに足る証拠は見いだせない。

したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第19号について

引用商標は、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることができない。

また、申立人提出の証拠によっては、商標権者が不当な利益などを得る等の目的の下に本件商標を出願をし、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものということができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(5)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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