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Trademark Appeal Case

記述的商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−14280(T2011−14280/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「あたたか」の平仮名を標準文字により表してなり、第11類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成22年2月9日に登録出願されたものである。

その後、本願の指定商品については、原審における同年9月14日受付の手続補正書により、「家庭用電気式床暖房装置」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由

原査定は、「本願商標は、『暖か・温か』を認識させる『あたたか』の文字を標準文字にて書してなるところ、これをその指定商品に使用するときは、単に商品の品質、機能を表示するものと認められるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、本願商標が長年使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っている旨主張するが、その主張に係る証拠によっては、本願商標と同一の商標が使用されているとは認められず、かつ、その指定商品に使用しているか否か不明確であるから、本願商標が同法第3条第2項の要件を具備するとする出願人の主張は採用できない。」旨判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした審尋

審判長は、平成24年10月19日付けで、請求人に対し、別掲のとおりの審尋を発し、意見を述べる機会を与えた。

第4 審尋に対する回答の要旨

請求人(出願人)は、本願の指定商品において、「あたたか」の語が、商品の品質、機能を表すものとして、一般に広く使用されているとはいい難いものであり、また、本件商標は、長年の使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標となっている旨主張し、原審及び当審において提出した書面(乙第1号証ないし乙第13号証)に加えて、乙第14号証ないし乙第17号証を提出している。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、「あたたか」の文字を標準文字で表してなるところ、商品「床暖房装置」との関係においては、別掲1に示すとおり、「あたたか」の語が、商品の品質、機能を表すものとして、一般に広く使用されているというのが実情であるから、本願商標をその指定商品について使用するときは、単に商品の品質、機能を表示してなるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認める。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第3条第2項該当性について

(1)請求人(出願人)は、本願商標が商標法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、その証拠方法として、乙第1号証ないし乙第17号証を提出しているので、以下検討する。

ア 乙第1号証は、請求人(出願人)が所有する商標登録第4886053号(商標:あたたか、指定商品:第11類「電気式床面暖房装置」)に係る平成13年1月10日付け意見書及び商品カタログや雑誌等の写しであるところ、これよりは、以下の事実が認められる。

(ア)請求人(出願人)の発行に係る「大建工業’86総合カタログ」、「’90→’91/3大建工業住宅用総合カタログ」、「’91→’92.3住宅用総合カタログ」、「設計事務所様・工務店様・販売店様用総合カタログ’92−’93/3」、「設計事務所様・工務店様・販売店様用総合カタログ’93−’94/3」、「’94〜’95/3総合カタログ」、「’95〜’96/3総合カタログ」、「’96〜’98/3総合カタログ」、「’97/8〜’99/8総合カタログ」、「床・壁・天井/建築音響/’99/1999.8〜2000.8」及び「住まいづくりの/床・壁・天井/建築音響・気密関連製品/2000.8〜2001.8」には、例えば、「暖房床・あたたか」、「WPC暖房床あたたか(R)26」((R)は、○の中に「R」の表示のある記号。以下同様。)及び「あたたか26/サイズ(厚さ×幅×長さ)mm/26×303×1,818」、「WPC暖房床あたたか(R)15」及び「あたたか15/サイズ(厚さ×幅×長さ)mm/15×303×909」、「暖房床あたたか(R)ツイン12」及び「あたたかツイン12/サイズ/12×303×1,515mm」並びに「暖房床/あたたかツイン12−VC/捨張 仕上げ材分離型床暖房 12mm厚」等の記載があるほか、「暖房床あたたか(R)シリーズ」の見出しに係る説明として、「3機種揃ったダイケン暖房床あたたかシリーズ/あたたかシリーズは、それぞれのスペースに最適なものをお選びいただけるよう、タイプの異なる3機種を用意しています。『あたたか26』は、一般木造住宅の新築時に最適な根太直付け工法の暖房床。『あたたか15』は、RC造住宅や木造住宅の新築・改装におすすめする合板捨て張り工法の暖房床。(中略)『あたたかツイン12』は、仕上げ材と発熱パネルが分離した、仕上げ材分離タイプの暖房床。」の記載がある。

(イ)請求人(出願人)の広告等として、「月刊ハウジング」(抜粋)とされるもの(1997年ないし2000年)には、「寒い冬を家族揃って快適に過ごすには/DAIKENの電気式・仕上げ材一体型床暖房〈あたたか12〉をおすすめします。」、「『新居につけたい!』人気の電気式床暖房/今選ぶならDAIKEN『あたたか12』」及び「DAIKEN床暖房システム『あたたか12』は、健康的で快適。」等の記載があり、同じく、「新住設」(抜粋)とされるもの、「住宅ジャーナル」(抜粋)とされるもの、「東洋経済」(抜粋)とされるもの及び「ニューハウス」(抜粋)とされるもの(いずれも2000年)には、「からだの芯から、ぽかぽか暖か。DAIKENの電気式床暖房。」、「WPC暖房床/あたたか12−VW」及び「暖房床/あたたか12−VT」等の記載がある。

イ 乙第2号証は、請求人(出願人)が所有する商標登録第4886053号に係る平成13年8月1日付けの意見書の写しであるところ、同書には、同年7月27日付けの大阪商工会議所会頭名による証明書であって、同月24日付けで請求人(出願人)がした「商標『あたたか』(第11類 指定商品:電気式床面暖房装置)が、申請者の商品『電気式床面暖房装置』の商標として周知である事をご証明ください。」との商標周知証明願に対し、同会頭が、それについて相違ない事を証明する旨を内容とするものが添付されている。

ウ 乙第5号証ないし乙第8号証は、請求人(出願人)の発行に係る商品カタログ「DAIKENの床暖房/2010」、「2006→2007/床・壁・天井・ダイライト」、「DAIKEN2009/床・壁・ダイライト/住機製品」及び「2010/床・壁・ダイライト/住機製品」であって、これらには、例えば、「仕上げ材一体型 床暖房ラインナップ」の見出しの下、「大理石柄+耐傷性/Aシリーズ/電気式 あたたか12−A」、「天然木+WPC/Wシリーズ/電気式 あたたか12−W」、「天然銘木+耐傷性/XDシリーズ/電気式 あたたか12−XD」、「天然木+耐傷性/Dシリーズ/電気式 あたたか12−D」及び「天然木/Tシリーズ/電気式 あたたか12−T」の記載があり、また、「仕上げ材分離型 床暖房ラインナップ」の見出しの下、「電気式床暖房 あたたかツイン12−FS」の記載がある。

エ 乙第9号証は、「電気床暖房工業会(JEF)」のウェブサイトを2010年8月25日に紙出力したものであって、「電気式床暖房『S−JEF』認証取得製品一覧(登録順)」の表中に、請求人(出願人)に係る製品名として、「あたたか12−T,D,W,J,A」及び「あたたか12−T,D,W,J,A/LA,XD,U,VA」の記載がある。

オ 乙第10号証及び乙第11号証は、「株式会社矢野経済研究所」の発行に係る「住宅産業白書」の「2006年版」及び「2009年版」(いずれも抜粋)であり、前者には、「電気ヒーター式床暖房市場では松下電工、大建工業の実績が高く、松下電工がトップメーカーと見られる。」の記載とともに、「2005年度住宅用電気式床暖房メーカーシェア」として、請求人(出願人)について、松下電工(20.3%)に次ぐもの(15.8%)としての記載があり、加えて、「大建工業では電気式一体型の『あたたか12シリーズ』、温水式の『はるびよりシリーズ』などをラインアップしている。床暖房事業(床材含む)の売上約60%強が『あたたか12シリーズ』の実績、温水型の『はるびよりシリーズ』が30%の割合で、残り 10%がその他の製品の実績。」の記載がある。また、後者には、「電気ヒーター式床暖房市場への参入メーカーはパナソニック電工、大建工業など建材メーカーと新日本石油やサンサニー工業といった企業も実績が高い。・・・大建工業も温水式、電気式いずれも上市。品揃えは豊富で、電気式一体型の『あたたか12シリーズ』、温水式の『はるびよりシリーズ』などをラインアップしている。」の記載がある。

カ 乙第14号証及び乙第15号証は、「株式会社富士経済/東京マーケティング本部」の制作に係る「2010 電力・エネルギーシステム新市場(下巻)」及び「2012 電力・エネルギーシステム新市場(下巻)〈省/活エネ関連システム編〉」(いずれも抜粋)であって、調査対象を「家庭用の電気式床暖房(電熱式・PTC式・蓄熱式)」とするものであり、前者には、「大建工業は電熱式でトップシェアである。『電気式』『温水式』『電気温水式』の3方式を販売し、幅広い商品ラインナップを有する。電気式は『あたたか12シリーズ』、温水式は『はるびよりシリーズ』をラインナップしている。」の記載とともに、2009年実績のマーケットシェア(国内)として、数量(24.3%)及び金額(26.7%)のいずれも第1位である旨の記載がある。また、後者には、「市場シェアの大きい電熱式を展開する大建工業、永大産業、パナソニックがメーカーシェアの上位である。」の記載とともに、2011年実績のメーカーシェア(国内)として、数量(23.5%)で第1位である旨の記載があり、加えて、「主要参入企業事業戦略」の項には、「大建工業は電熱式でトップシェアである。『電熱式』『温水式』『電気温水式』の3方式を販売し、幅広い商品ラインナップを有する。」の記載がある。

キ 乙第16号証は、「Mpac/エムパック」のウェブサイトを2012年11月16日に紙出力したものであって、「富士経済」に係る「住設建材マーケティング便覧」の2007年版ないし2012年版を出典とする「床暖房(電気式:非蓄熱式)」に関する市場調査データであり、請求人(出願人)のメーカーシェアは、2006年(31.7%)、2007年(31.7%)、2008年(30.5%)、2009年(29.0%)、2010年(28.9%)、2011年(29.0%)といずれも第1位である旨の記載がある。

(2)上記(1)において認定した事実によれば、請求人(出願人)は、1986年頃から、主に一般住宅向けの電気式床暖房装置について、「あたたか」の文字からなる商標及び該文字に板厚を示す数字や板材の種類を示す欧文字1字又は2字を付記してなる商標を継続的に使用しており、これらの商標の使用に係る電気式床暖房装置のシェアは、遅くとも2006年以降、2011年に至るまでの間、第1位を占めているものと認められる。

また、本願商標は、前記第1のとおり、「あたたか」の平仮名を標準文字で表してなるところ、請求人(出願人)による上記使用に係る商標は、「あたたか」の文字からなるもの又は「あたたか」の文字が、自他商品の識別にあたり、要部として機能するといえるものであるから、本願商標と上記使用に係る商標は、実質的に同視し得るものである。

してみれば、本願商標は、その指定商品「家庭用電気式床暖房装置」について、請求人(出願人)により、長年にわたり継続的に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっているというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。

3 むすび

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同条第2項により商標登録を受けることができるものであるから、本願商標が商標登録を受けることができないとした原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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