Trademark Appeal Case
氏名商標の承諾要件
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2012−15230(T2012−15230/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第3類及び第44類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成22年6月2日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、原審における同24年3月1日付け手続補正書により、第3類「シャンプー,頭髪用化粧品,つけづめ,つけづめ装飾用のシール」及び第44類「美容,リフレクソロジーの提供」と補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成中に、例えば『野沢道生、野沢道男、野沢見千夫』の欧文字表記である『Michio Nozawa』の文字を含むものであり、かつ、その者の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
商標法第4条第1項第8号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称」を含む商標について、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないとするものであるが、この規定の趣旨は、「人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されている」(最高裁平成16年(行ヒ)343号、判決日平成17年7月22日)と解されている。
(2)本願商標について
本願商標は、別掲のとおり、「Michio Nozawa」の文字を含むものであるところ、該文字は、氏名の一つを欧文字で表したものと認められる。そして、当該欧文字に照応する氏名の者として、「野沢見千夫(東京都葛飾区奥戸在住)」、「野沢道男(東京都大田区南馬込在住)」の存在が認められる(「ハローページ 東京都23区全区版 掲載情報2000年11月10日現在」、「同 東京都葛飾区版 掲載情報2011年11月18日現在」及び「同 東京都大田区版 掲載情報2011年11月18日現在」)。
したがって、本願商標の構成中の「Michio Nozawa」の文字は、上記「野沢見千夫」及び「野沢道男」の氏名を表したものといわざるを得ない。
そして、請求人は、本願商標を登録することについて、当該他人である者からの承諾を得ているものとは認められない。
そうとすれば、本願商標は、他人の氏名を含む商標であり、かつ、当該他人の承諾を得ているとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標は、その構成から「髪を創作するノザワミチオ」という者を特定しており、また、元祖カリスマヘアデザイナーとして知られる「野沢道生」が、本願の指定商品及び指定役務について使用し、全国的に広く知れ渡っている旨、主張し、さらに、本願商標は「Michio Nozawa」の文字と「Noz」「Hair Produce.」などの文字との組み合わせからなるものであって、これを大々的に宣伝、使用することにより、へアサロンNozとヘアメイクデザイナー「野沢道生」は広く知れ渡っていることから、本願商標に接した需要者等は、ヘアサロンNozの代表者である元祖カリスマヘアデザイナーの「野沢道生」のみを理解、認識する。したがって、本願商標が登録されたとしても、他人の人格権を毀損するおそれはない旨、主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第8号(以下「同号」という。)の適用に当たり、他人の人格的利益を保護するにあたっての周知性、著名性の存否ついては、「出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がない」(知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号判決(判決日 平成21年2月26日)旨判示しているとおり、たとえ、「野沢道生」が、ヘアデザイナーとして周知であるとしても、同号の適用にあたっては、他人の存在がある以上、これを考慮する必要がないと解すべきである。
また、同号の趣旨は、「人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されている」(最高裁判所平成16年(行ヒ)343号判決(判決日 平成17年7月22日))と判示されているとおり、その他人の人格権保護にあるから、請求人の主張する需要者等の認識の程度や出所の混同を生じるか否か等を考量することは、前記法趣旨に照らし、適切なものとはいえない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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