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Trademark Appeal Case

品質表示と識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2011−22103(T2011−22103/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、黒塗りの円の中に白抜きで「牛乳」及び「焼酎」の漢字を並べて縦書きしてなり、第33類「しょうちゅう」を指定商品として、平成22年10月1日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は、「本願商標は、黒く塗り潰された円の中に『牛乳』『焼酎』の各文字を二列に白抜きしてなるところ、『牛乳を使用した焼酎』程の意味合いを記述したにすぎないものであるから、これをその指定商品中、前記文字に照応する商品について使用しても、単に商品の品質(原材料)を表示したものであって、自他商品の識別機能を果たさないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、別掲2記載の事実を発見したので、平成24年7月6日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、これを請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

4 証拠調べ通知に対する意見の要旨

請求人は、前記3の証拠調べ通知に対して、平成24年8月15日受付けの意見書において、以下のように意見を述べている。

(1)新聞記事情報、インターネット情報及び辞書等の各証拠は、いずれも「牛乳焼酎」の文字に関するものであり、円形の図形内に纏まりよく一体的に「牛乳」と「焼酎」との文字を配し全体として1つの図形としての有機性を有している本願商標の記載があるものではない。したがって、本件商標に関する登録可否の判断という本質から乖離した、単なる「牛乳焼酎」の文字に関する審理をしているから、その審理は不適当なものである。

(2)新聞記事情報及びインターネット情報の「伊都物語」について、当該商品は、請求人の業務に係る商品であって、これこそ本願商標が地方自治体の町起こし活動、地域ブランド振興活動に利用される商品のOEM生産を請け負うまでの自他商品識別力及び顧客吸引力を獲得していることの確たる証拠である。実際に当該商品に貼付するラベルには、請求人が製造元として記載されている。

(3)インターネット情報の「小国ジャージー牛乳焼酎」についても、請求人がOEM生産を請け負う商品であり、これに貼付するラベルには、請求人が製造者として記載されており、本願商標について請求人の使用による自他商品識別力の獲得(商標法第3条第2項該当性)を裏付けるものである。

(4)以上のとおり、本件商標は、本件商標の指定商品を取扱う需要者、取引者をして、即座に商品の品質(原材料)を表示したものとは認識されない商標である上、事実上、出願人以外の第三者が「取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲する」というものでもないから、商標法第3条第1項第3号の趣旨からすれば、商標登録されるべきものである。そして、出願人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であることが立証されているから、本願商標は商標法第3条第2項の規定により、商標登録されるべきものである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号について

本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、黒塗りの円の中に白抜きで「牛乳」及び「焼酎」の漢字を並べて縦書きしてなるところ、別掲の証拠調べ通知のとおり、「牛乳焼酎」の文字が、本願指定商品「しょうちゅう」の品質、原材料を表す「牛乳を使用した焼酎」という程の意味合いの語として普通に使用されている実情が見られるものである。

してみれば、「牛乳」及び「焼酎」の文字からなる本願商標を、その指定商品中「牛乳を使用した焼酎」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、本願商標について、上記意味合いを表す語として、単に、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというべきものであるといわなければならない。

また、これを前記「牛乳を使用した焼酎」以外の「しょうちゅう」について使用するときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

よって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当する。

(2)商標法第3条第2項について

請求人は、本願商標は、その指定商品「しょうちゅう」について使用をされた結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識できるものになっているから、商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証を提出している。

請求人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下のとおり認められる。

ア 甲第1号証は、本願商標が表示されているラベルの写真であり、これには大きく「牧場の夢」の商標も表示されている。

イ 甲第2号証は、「牛乳焼酎の各年出荷数量(4月〜3月)」の表である。これには、全国で、平成14年から平成21年までの累計が、「1.8L」は195,559本、「720ml」は729,881本の記載がある。

ウ 甲第3号証は、本願商標を使用した商品の出荷先一覧である。これには、各都道府県に全部で579カ所の出荷先の記載がある。

エ 甲第4号証ないし甲第16号証は、新聞、雑誌等の記事であって、これには本件商標が表示された商品が紹介されている。

オ 甲第17号証は、「牛乳焼酎広告宣伝費」の表である。これには、平成14年から平成22年までの累計額が、「ラジオ」は、RKKラジオで放送し、11,182,500円、「テレビ」は、RKK熊本放送でCM放送し、28,226,500円、「インターネット」は4,143,300円の記載がある。

カ 甲第18号証ないし甲第23号証は、本願商標が周知性を獲得し、請求人の業務に係る商品であることを認識することができる商標となっていることを証明する内容の「証明書」である。

以上によれば、請求人に係る「牛乳焼酎」は、平成14年から平成21年までの8年間に総累計が92万5千本程であって、年間11万6千本程の出荷数である。そして、全国の579カ所に出荷先があるとしても、焼酎の販売数量、販売額におけるどの程度のシェアを有するのか不明であって、また、当該商品が新聞及び雑誌に取り上げられたものは、さほど多いといえるものではなく、さらに、広告、宣伝に関しては、地方のラジオ及びテレビ放送でCMがなされたにすぎないものである。

加えて、本願商標は、商品の品質を表示し、識別力がないといえるものであるところ、当該商品に使用されているラベルには、誰がみても出所識別標識として認識される「牧場の夢」の商標が同時に表示されているものであることから、取引者、需要者は、出所識別標識として強い識別力を有する「牧場の夢」に注目することとなり、それゆえ、本願商標部分は、なおさら商標として認識、理解することを困難ならしめているものというのが相当である。

また、証明書については、内容に形式的な差があるものもあるが、いずれも定型的な文章に記名押印されているものであって、かつ、本願商標が本願の指定商品について、需要者間に広く認識されていることを証明者がいかなる根拠に基づき証明をなしたのか、その証明の判断の客観的な過程が明らかでないことに照らし、これらの証明書の証拠価値を高く評価することはでき

ないといわざるを得ない。

そうとすれば、前述の本件商品の取引の実情等からすれば、本願商標は、熊本県を中心に各都道府県の取引者、需要者の間で、ある程度その存在が知られるようになっているといえるとしても、その指定商品「しょうちゅう」について使用をされた結果、全国的に広く、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものになっていると認めることはできない。

(3)請求人の主張について

ア 請求人は、新聞記事情報、インターネット情報及び辞書等の証拠は、いずれも円形の図形内に纏まりよく一体的に「牛乳」と「焼酎」との文字を配し全体として1つの図形としての本願商標ではなく、「牛乳焼酎」の文字に関する審理をしているから、その審理は不適当なものである旨の主張をしている。

しかしながら、本願商標の黒塗りの円形の図形部分は、極めてありふれた図形であって、この図形部分には、自他商品の識別標識としての機能はないものであるから、これ以外の「牛乳」及び「焼酎」の文字について、その識別性の有無を判断するために証拠調べをしたものである。よって、請求人の主張は適当でないものである。

イ 請求人は、新聞記事情報及びインターネット情報の「伊都物語」及び「小国ジャージー牛乳焼酎」について、当該商品は、請求人の業務に係る商品であって、本願商標が地方自治体の町起こし活動、地域ブランド振興活動に利用される商品のOEM生産を請け負うまでの自他商品識別力及び顧客吸引力を獲得していることの確たる証拠であって、実際に当該商品に貼付するラベルには、請求人が製造元として記載されており、本願商標について請求人の使用による自他商品識別力の獲得(商標法第3条第2項該当性)を裏付けるものである旨の主張をしている。

しかしながら、本願商標が地方自治体の町起こし活動、地域ブランド振興活動に利用される商品のOEM生産を請け負うまでの自他商品識別力及び顧客吸引力を獲得していることの確たる証拠というには、当該商品に貼付するラベルに、請求人が製造元として記載されているというだけでは到底認められないものであり、また、その他、本願商標について、大量に広告、宣伝などがされているとの証拠も見いだせないから、本願商標が使用された結果、自他商品の識別力を獲得したものということができない。

ウ その他、請求人は、牛乳を原料とする焼酎の開発に酒造業界で初めて成功したものであり、その発売以来、本願商標と全く同一の標章を実際の商品のラベルに記載して広く一般に販売している旨の主張をしている。

しかしながら、平成11年当時、請求人のほかに牛乳を利用した焼酎を製造販売する者が存在せず、同人が初めてそのような焼酎を開発し製造販売したとしても(甲4)、その後、証拠調べ通知のとおり、牛乳を使用した焼酎が製造販売された結果、前記平成11年から10余年を経過した審決時点においては、「牛乳」が焼酎の原材料として一般的に知られるに至っており、また、「牛乳焼酎」について、請求人以外にも複数の焼酎製造販売業者が使用した結果、「牛乳を使用した焼酎」を表す語として理解されるに至ったものと認められるから、審決時点においては、本願商標が、全国的にみて専ら原告の業務に係る商品であることを表すものとまで認めることはできず、商品の品質、原材料を表示したものとして認識されるに止まるものというべきである。

したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

(4)むすび

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同第3条第2項の要件を具備しないものであるから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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