結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2011−900457(T2011−900457/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5443186号商標(以下「本件商標」という。)は、「SHELLAC」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年3月23日に登録出願、第3類「洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,せっけん類,化粧品,エッセンシャルオイル,その他の香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」ほか、第11類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、同23年8月22日に登録査定、同年10月7日に設定登録されたものである。
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号について
本件商標と同一綴りの「SHELLAC」は、「ラックカイガラムシ」の分泌液を精製したものであり、化粧品原料として使用されているほか、医薬品製剤の錠剤、丸剤、軟膏や工芸品の加工、電気絶縁物・ラック等の材料として古くから使用されているものである(甲1ないし甲5)。
さらに、本件指定商品中、「化粧品」等にあっては、日本、米国、欧州を始め、多くの国において全成分表示をすることが規制となっており、「SHELLAC」を化粧品等の原料として配合した際には、成分表示として欧米等では一般に「SHELLAC」の語が、また、我が国では一般に「セラック」の語が成分表示に用いられている。
化粧品の成分表示に用いる成分の名称は、米国等では「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」に掲載されているものを、我が国においては、日本化粧品工業連合会の作成する「化粧品の成分表示名称リスト」に掲載されている成分名称を使用することが一般的であり、実際、「SHELLAC」あるいは「セラック」の語は、爪強化液、マスカラ、アイライナー等の本件商標の指定商品の原材料を表す成分名称として普通に記載されている(甲6ないし甲16)。
すなわち、本件商標は、これをその指定商品に使用するときは、「セラック(SHELLAC)を原材料として配合した商品」を直感させ、単に商品の原材料、品質を表す標章に過ぎないものであることから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2) 商標第4条第1項第16号について
また、本件商標を「セラック(SHELLAC)を原材料として配合した商品」以外の指定商品に使用するときは、あたかもその商品が、「セラック(SHELLAC)を原材料として配合した商品」であるかの如く直感させ、その商品の品質について誤認を生ずるおそれがあることから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
商標権者に対して、平成24年6月8日付け取消理由通知書で通知した本件商標の取消理由は、別掲のとおりである。
(1)本件商標登録が維持されるべき理由
本件商標は、商標権者により大々的に使用された結果、同人の業務に係る商品であることを認識できるに至ったものであるから、指定商品中、「ヘアスプレー,ヘアラッカー,ヘアローション,まゆ墨,爪強化用化粧品,マスカラ,アイライナー」については、商標法第3条1項第3号、上記以外の「化粧品」については、同法第4条第1項第16号には該当しない。たとえ、本件商標が上記法条に該当するとしても、本件商標は、登録査定時において使用による識別力を獲得している。
ア 商標権者について
商標権者は、1979年に米国において設立された、プロ用ネイルケア商品、ハンド・フットの美容に用いる化粧品の業界における世界トップレベルの企業である(乙1)。
イ 本件商標が付された商品について
商標権者は、本件商標の付されたネイルカラーを2010年5月から米国で発売を開始した後、60力国で販売している(乙2)。
ウ 米国での周知度について
商標権者は、前記発売前の2009年より宣伝広告を開始し、非常に短期間でネイルケア商品についての本件商標の知名度を上げている。
具体的には、2010年には本件商標の付されたネイルケア商品の売り上げは15万ドル、翌年7月末迄では2,600万ドルを売り上げた一方、発売前年の2009年においても、50万ドルを本件商標の付された商品につぎこんでいる(乙3)。
宣伝には、広告、販売促進活動、カタログ配布、マスメディアでの報道などを用いており、業界関連誌への広告には18万ドルを費やし、複数の業界紙・一般雑誌に広告している。業界紙への広告については、2010年には30万ドル、2011年7月迄で200万ドルを費やしている。
一般雑誌へは、「inTouch」、「Star」、「ESSENCE」及び「People」のほか、4誌において、2010年5月ないし2011年1月の間、広告を行っており(乙4)、2011年以降も継続して広告を続けている。
また、本件商標は数々の賞を受賞し、多くの耳目を集める商品でもあり(乙5)、さらに、セレブといわれる人々の本件商標の付された商品の愛用をマスコミが報道するなどしたネット情報(乙6の1)により、多くの人々に本件商標が付された商品の出所を商標権者と関連づけて認識するようになっている。
具体的には、2011年12月に女性歌手リアーナが商標権者のネイルを愛用しているとする海外でのネット情報(乙6の1)のほか、同様の内容の情報が同時期に日本でのネット情報にも掲載されている(乙6の2)。
エ 日本での広告について
商標権者は、本件商標の付されたネイルエナメルを日本で2012年5月に本格的に発売開始したものであり、その証拠として2012年5月30日発行の「ブティック・ムックno.999」(乙7の1)及び同月発売の「CATALOG」(乙7の2)を提出する。
なお、美容に関する情報の特殊性として、日本で商品が未発売であるにもかかわらず、「セレブ愛用のコスメ」、「セレブが使用しているコスメ」といった形でブログやツィッターで情報を得ることが容易にでき(乙6の1及び2)、また、美容やファッションに関心の高い人ほど、日本国内や海外から発信される情報の取得に余念がないものであって、まして、それを職業とするプロのネイリスト等であれば、最新の情報を知っていることは当然のことといえ、発売前にその商品がよく知られたものとなっていることはあり得ることである。
オ 本件商標の各国における登録状況
商標権者は、香港、西インド諸島アンギラ、レバノン、ニュージーランド及びペルーにおいて、本件商標の登録を有しており(乙8)、米国においては補助登録簿に登録されている。
(2)本件商標の自他商品識別性について
本件商標が自他商品識別力を有するか否かの判断においては、上記事情が参酌されるべきである。上記事情は、「SHELLAC」の文字が単なる「ヘアスプレー,ヘアラッカー,ヘアローション,まゆ墨,爪強化液(爪強化用化粧品),マスカラ,アイライナー」等の化粧品の成分を表示するものとして使用されているものではなく、「SHELLAC」として商標権者の商品「ネイルケア商品」を指称し、需要者間で広く認識されていることを如実に示している。
してみれば、本件商標は、商標権者の「ネイルケア商品」を指称する出所標識として機能するものといえる。
(3)本件商標の商標法第4条1項第16号該当性について
上述のとおり、本件商標は、これを「ヘアスプレー,ヘアラッカー,ヘアローション,まゆ墨,爪強化用化粧品,マスカラ,アイライナー」といった化粧品に使用しても、商標として自他商品の識別標識として機能している。
そうであれば、上記以外の化粧品に本件商標を使用したとしても、その品質等につき誤認を生ずるおそれはないものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第16号に該当するものではない。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は、「ヘアスプレー,ヘアラッカー,ヘアローション,まゆ墨,爪強化用化粧品,マスカラ,アイライナー」について商標法第3条第1項第3号に該当するものではなく、また、上記以外の化粧品に使用しても、その商品の品質等につき誤認を生ずるおそれはないものである。
(1)本件商標について通知した上記3(別掲)の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、登録査定時において、その指定商品中、第3類の「化粧品」に属する「ヘアスプレー,ヘアラッカー,ヘアローション,まゆ墨,爪強化用化粧品,マスカラ,アイライナー」について使用するときは、これら商品の一成分の「セラック(SHELLAC)」であるという商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示したにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものである。
しかしながら、申立てに係るその余の指定商品については、それらの商品の品質を表示したものと認めるに足る証拠は見いだせない。
また、本件商標は、その指定商品中、上記した「ヘアスプレー,ヘアラッカー,ヘアローション,まゆ墨,爪強化用化粧品,マスカラ,アイライナー」以外の「化粧品」について使用するときは、「セラック(SHELLAC)を一成分とする化粧品」であるかの如く、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
しかしながら、申立てに係るその余の指定商品については、それらの商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものと認めるに足る証拠は見いだせない。
(2)取消理由に対する商標権者の意見に対して
商標権者は、前記4において、「商標権者の意見」として具体的に記載したとおり、本件商標は、商標権者により大々的に使用された結果、同人の業務に係る商品であることを認識できるに至ったものであるから、たとえ、本件商標が商標法第3条1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとしても、登録査定時において使用による識別力を獲得している旨、主張している。
しかしながら、商標権者は、本件商標を付した商品を米国を始め、我が国を除く諸外国において、ある程度広告、宣伝しており、その販売額もある程度の額である旨の証拠として提出した乙第3号証は、1枚紙のみであり、これが如何なる出典に基づく証拠であるのか、また、その発行元等も不明であることに加え、上記4(1)ウの2,600万ドルの金額根拠も不明である。また、同様に同箇所の200万ドルの金額根拠も不明であり、その証拠力に乏しいものといわざるを得ない。
また、商標権者は、一般雑誌への広告の証拠として、乙第4号証を提出しているが、これは全て米国における雑誌広告であり、その掲載回数も各紙とも僅か1回のみである。
さらに、本件商標の受賞記事が、雑誌に掲載されているとして提出した乙第5号証もまた、1枚紙のみであり、乙第3号証と同様、証拠力に乏しいものといわざるを得ない。
仮に、商標権者の主張及び証拠が事実であるとしても、これらの事実は、いずれも米国を中心とする諸外国における実情であって、本件商標の識別性の認定にあたって、これを認めるに足る我が国における実情ではないものであるから、これらの点に関する商標権者の主張は、採用することができない。
そのほか、女性歌手による本件商標を付した商標権者にかかる商品の愛用の旨等を含むネット情報(乙6の1及び2)は、その発信日が、いずれも2011年12月であり、また、日本での商標権者の商品の発売も2012年5月であり、いずれも異議申立の審理における判断時期である登録査定時(本件商標の登録査定日は2011年8月22日)以降の証拠であることから、やはり、採用することができない。
加えて、商標権者は、本件商標と同一の商標を6件所有していることから、本件商標も登録されるべきである旨、主張しているが、海外で登録されていることが我が国における登録の可否を左右するものでないことは、明らかである。因みに米国においては、主登録簿ではなく、補助登録簿に登録されていることは、その識別力に疑問があるということの証と思われる。
(3)小括
したがって、前記(2)のとおり、商標権者の主張はいずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおりであるから、本件商標の指定商品中、第3類の「化粧品」に属する「ヘアスプレー,ヘアラッカー,ヘアローション,まゆ墨,爪強化用化粧品,マスカラ,アイライナー」についての登録は、商標法第3条第1項第3号に、また、これら以外の「化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから、結局、申立てに係る指定商品中、第3類「化粧品」については、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
ただし、申立てに係る指定商品中、第3類「化粧品」以外の指定商品についての登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定によりその登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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