Trademark Appeal Case
商標要部認定と周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900279(T2012−900279/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
登録第5502728号商標(以下「本件商標」という。)は、「サボン マリティーム」の文字を標準文字で表してなり、平成24年1月18日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成24年6月22日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第932369号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成19年7月11日(国際登録の日)に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成24年2月10日に設定登録されたものである。
(2)理由の要点
本件商標は、その構成中の「サボン」の部分が出所表示として強く支配的な印象を与えるものであり、申立人の周知・著名な引用商標と称呼を同一にする類似の商標であって、その指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に係る取消理由を有する。
また、引用商標は、申立人の業務に係る商品「せっけん類」を始めとし、化粧品や香料類(以下「申立人の商品」という。)を表示するものとして需要者の間で広く認識されており、本件商標は、これに類似する商標であって、当該商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に係る取消理由を有する。
さらに、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に係る取消理由を有する。
以上により、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
申立人提出の証拠によれば、外国(米国、ポーランド、カナダ、イスラエル、オランダ、ルーマニア)で本件商標の出願日前に発行された複数の雑誌に、引用商標を表示した申立人の商品が紹介され、その広告が掲載されていることが認められる(甲第5号証の1ないし102)。また、我が国において、2008年に、申立人の商品を取り扱う日本での第1号店が東京・表参道にオープンしたこと、その後六本木ヒルズ店等の店舗ができたことが紹介され(甲第7号証ないし同第12号証等)、2008年に我が国で発行された複数の雑誌において、引用商標を表示した申立人の商品が紹介されていることが認められる(甲第45号証ないし同第71号証)。その後も、新聞や雑誌の記事中で、申立人の商品やそれを取り扱う店舗が、「サボン」の呼び名(表示)や「サボン」の店名をもって紹介され(甲第13号証ないし同第35号証)、さらに、放送内容は定かではないが、申立人の商品がテレビ番組の中で紹介されたことが認められ(甲第72号証)、「SABON(サボン)」について「2010年及び2011年@cosmeベストコスメ大賞石けん・ボディ洗浄料部門第2位」との記載がウェブサイトに掲載されたことが認められる(甲第73号証)。
以上によれば、本件商標の出願前に我が国において、引用商標を表示した商品が、2008年以降、販売されてきたことが窺われ、また、申立人に係る商品あるいは同商品を取り扱う店舗が、「SABON」「サボン」として、新聞や雑誌において紹介されてきたことが認められる。
しかしながら、全証拠(甲第1号証ないし同第74号証)を総合してみても、引用商標を表示した商品に関する我が国における取引実績等については、客観的・具体的に把握することができないといわざるを得ないし、また、当該商品に係る広告宣伝活動についても、2008年以降継続的に行われていたことを把握できないものであるから、本件商標の出願時において、引用商標及びこれから生ずる「サボン」の称呼が、申立人の商品を表示する商標として需要者の間で広く認識され、かつ著名になっていたということは認めることができないものである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「サボン マリティーム」の文字からなるものであるところ、その構成各文字は、「サボン」の文字と「マリティーム」の文字との間に1文字分の空白があるとしても、同じ大きさ、同じ書体をもって表されており、両文字は、纏まり良く構成されているものである。そして、かかる構成の本件商標において、「サボン」の文字部分のみが支配的印象を与えるものであるとすべき特段の事情は見いだせないから、構成各文字全体をもって一体不可分のものとして看取されるというのが相当である。
また、構成文字に相応した「サボンマリティーム」の称呼も、格別冗長でなく、一気に称呼し得るものである。
してみると、本件商標は、「サボンマリティーム」の称呼のみを生じるものであり、また、構成文字より特定の観念は生じないものと認められる。
他方、引用商標は、別掲のとおり、二重に表された手書き風横長楕円の内側に「SABON」の欧文字を配したものであるところ、当該欧文字に相応して「サボン」の称呼が生じるものであるが、特定の観念は生じないものというべきである。
しかして、本件商標と引用商標とを比較すると、両者はその外観において明らかな相違を有するものであるから、全体から受ける印象が異なり、外観上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標の称呼「サボンマリティーム」と引用商標の称呼「サボン」とを比較すると、語頭部で「サボン」の音を共通にするものの、その後に続く「マリティーム」の音の有無という明らかな差異を有するから、両者は、称呼上相紛れるおそれはないというべきである。
さらに、両商標は、観念について比較し得ないものであるから、観念上相紛れる余地はないものである。
してみると、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標に類似する商標と判断することはできないものである。
したがって、本件商標は、引用商標をもって、商標法第4条第1項第11号に該当するものとは認められない。
(3)商標法第4条第1項第10号について
上記(1)のとおり、申立人提出の全証拠によってみても、本件商標の出願時において、引用商標及びこれから生ずる「サボン」の称呼が、申立人の商品を表示する商標として需要者の間で広く認識されるに至っていたと認めることができないものである。
そして、上記(2)のとおり、本件商標が引用商標に類似するものと認められないものである。
したがって、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品との類否について論及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、本件商標の出願時において、引用商標及びこれから生ずる「サボン」の称呼が、申立人の商品を表示する商標として需要者の間で広く認識され、かつ著名になっていたということは認めることができないものである。
そして、上記(2)のとおり、本件商標が引用商標に類似するものと認められないものである。
そうとすれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、その登録は維持すべきものである。
よって、同法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。
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