Trademark Appeal Case
すしざんまいの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900327(T2012−900327/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5511447号商標(以下「本件商標」という。)は、「すしざんまい」の文字を標準文字で表してなり、平成22年4月9日に登録出願され、第30類「すし,すしを主とするべんとう」及び第43類「すしを主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成24年6月5日に登録審決、同年8月3日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第3条第1項第6号について
本件商標からは、前段の「すし」の語の持つ意味と、後段の「ざんまい」の語の持つ意味とから、「心ゆくまで鮨(すし)を食べるさま」や「鮨(すし)がふんだんに提供されるさま」といった意味合いが容易に想起される。
そして、本件商標に係る指定商品・役務を取り扱う業界では、商習慣上、需要者の購買意欲を高めるため、「心ゆくまで鮨(すし)を食することができる」又は「鮨(すし)がふんだんに提供される」といった意味合いを有する標語として、「すしざんまい」、「すし三昧」、「鮨三昧」など「スシザンマイ」と読まれる語句が、商品名、店舗名、メニュー名及び宣伝広告において、ごく一般的に使用されているという事実がある(甲2ないし甲13)。
また、鮨を取り扱う業界では、鮨の種類(鮨種の名称)と「三昧」とを結合させた語句(例えば、「まぐろ三昧」、「海老三昧」、「軍艦三昧」等)が、「心ゆくまで特定の鮨(鮨種)を食することができる」こと、又は「特定の鮨(鮨種)がふんだんに提供される」ことを、需要者に対し知らしめるために、メニュー名として使用されている事実もある(甲14ないし甲18)。
さらに、「[食品名]十[ざんまい(三昧)]」という語句は、広く一般的に使用されている事実もあり、鮨を取り扱う業界ばかりでなく、食品を取り扱う業界全般において、商習慣上、需要者の購買意欲を高めるため、「心ゆくまで[食品]を食することができる」又は「[食品]がふんだんに提供される」といった意味合いを有する標語として、商品名、店舗名、メニュー名及び宣伝広告に慣用されているということができる(甲19ないし甲61)。
以上のような実情を鑑みれば、本件商標「すしざんまい」をその指定商品・役務に使用した場合、それに接した需要者は、単に、当該商品・役務が、「鮨(すし)を心ゆくまで食することができる商品」又は「鮨(すし)がふんだんに提供される役務」である程度の認識を持つにとどまるというべきであって、本件商標は、自他商品・役務の出所識別標識として何ら機能し得るものではないといえる。
なお、その構成中に「すしざんまい」及び「SUSHIZANMAI」の文字を有する登録商標(別掲1)について、その査定不服審判(不服2005−5313)の審決は、「本願商標をその指定商品又は役務について使用する場合、その構成中の『すしざんまい』及び『SUSHIZANMAI』の文字部分は、自他商品・役務の識別力を有しないか極めて弱いものであるというのが自然であり、それ自体が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものといえず」と説示している(甲62)。
(2)商標法第4条第1項第11号について
仮に万が一、本件商標「すしざんまい」が、標語等に相当する語ではなく、自他商品・役務の識別標識として機能し得るものであって、商標法第3条第1項第6号に該当するものではなかったとしても、下記ア(ア)及び(イ)に示す登録商標(以下まとめて「引用商標」という。)により、商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかである。
ア 引用商標
(ア)登録第4361034号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成11年2月2日に登録出願され、第30類「すし」を指定商品として、平成12年2月10日に設定登録されたものである(甲63)。
(イ)登録第4381641号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、平成11年2月2日に登録出願され、第42類「すしの提供」を指定役務として、平成12年5月12日に設定登録されたものである(甲64)。
イ 本件商標と引用商標の類否
引用商標は、別掲2のとおり、「すし三昧」の文字部分と、その他の文字部分とは、異なる書体及び大きさで表されており、両者を一体不可分のものとして観察しなければならない特段の事情もないことからすれば、「すし三昧」の文字部分が、他の文字部分から分離して観察され得るといえる。
してみると、仮に、本件商標「すしざんまい」が、自他商品・役務の識別標識として機能し得るものであるとすれば、当然に、引用商標においても、「すし三昧」という文字部分からも、「スシザンマイ」という称呼が生じるといえる。
したがって、本件商標と引用商標とは、「スシザンマイ」という称呼及びその観念において共通する類似の商標であって、互いの指定商品及び指定役務も同一又は類似するものである。
なお、「すし」を指定商品とし、その構成を別掲3のとおりする出願商標について、その査定不服審判(不服2000−19540)の審決において、当該出願商標は、別掲2のとおりの構成からなる引用登録第4361034号商標と称呼において類似する商標であって、互いの指定商品も同一又は類似するといえることから、商標法第4条第1項第11号の商標に該当する旨説示されている(甲65)。
(3)むすび
以上のように、本件商標は、商標法第3条第1項第6号又は同法第4条第1項第11号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号について
本件商標は、「すしざんまい」の平仮名を標準文字で表してなるものである。
ところで、「三昧(ざんまい)」は、「そのことに熱中するという意を表す。心のままにするという意を表す。」等の意味合いで使用される接尾語(大辞林第3版 株式会社三省堂発行)であり、登録異議申立人の提出した証拠によれば、「紀州名産寿司三昧セット」、「〈すし清八 限定〉\すしざんまい」、「...、日本の米所新潟発すし三昧」、「寿司三昧コース」、「新潟すし三昧」、「鮨三昧コース」、「...亭の寿司三昧」、「寿司三昧」(店舗名)、「(宅配専門)寿司ざんまい」、「すし三昧 魚座」が、商品名(メニュー名)、店舗名及び宣伝語句として使用されていることは認められ(甲2ないし甲13)、このほか、本件指定役務に係る原材料(寿司ネタ)を使用した料理に係るメニュー名として原材料名と「三昧(ざんまい)」の語を結合して「○○(原材料名)三昧」等のように使用していることが認められ(甲14ないし甲18)、また、食品分野において商品名と「三昧(ざんまい)」の語を結合して「○○(原材料名)三昧」等のように使用していることが認められる(甲19ないし甲61)。
そうとすると、「○○三昧」は、上記「三昧」の意味合いから転じて、「心ゆくまで(食品を)食することができる」ほどの意味合いを想起させるものとして使用されていることからすれば、該文字を商標として、特定の商品・役務に使用するときには、自他商品・役務の識別力を有しないか、極めて弱いものとなる場合があることは否定できない。
しかしながら、「○○三昧」の文字が前記意味合いを想起させる場合があるとしても、これが直ちに本件商標の指定商品・役務の品質を表すものではなく、さらに「すしざんまい」の文字が広く一般に使用されているということはできないことからすると、「すしざんまい」の文字が自他商品の識別力を有しないものとまではいうことができない。
してみれば、本件商標は、その指定商品及び役務に使用しても、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たさないということはできないから、結局、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標と認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「すしざんまい」の平仮名を標準文字で表してなるところ、上記したように、本件商標の指定商品及び役務に使用するときは、「心ゆくまで鮨を食することができる」ほどの意味合いを想起させ、その観念を生じるものであり、また、「スシザンマイ」の称呼を生ずるものである。
他方、引用商標は、別掲のとおり、特異な筆書き風文字で「魚」と「坐」の漢字とを顕著に描き、その上段に当該漢字の読みを特定するがごときに「と」、「と」、「ざ」の平仮名を黒塗り円内に白抜き風に3個を配列し、そして、当該漢字の左側に普通に用いられる書体で小さく「すし三昧」の横書きした文字を配した構成よりなるものであるところ、その構成中の「すし三昧」の文字は、「鮨を心ゆくまで食することができる」ほどの意味合いで理解されるものであり、その自他商品・役務識別力は、強いものではなく、一方、「魚坐」「ととざ」の文字部分は、本件指定商品・役務との関係において、品質等を表す等の事情が認められないものであることからすると、引用商標のかかる構成にあっては、自他商品・役務の識別標識として機能するのは、顕著に描かれた「魚坐」と黒塗り円内に白抜き風に書された「ととざ」の文字部分であるというが自然であり、当該「すし三昧」の文字自体は、その使用に係る商品や役務についての特徴ないしセールスポイントを表したものと認識するに止まるというのが取引の実際に即するものである。
そうすると、引用商標をその指定商品又は役務について使用する場合、その構成中の「すし三昧」の文字部分は、自他商品・役務の識別力を有しないか極めて弱いものであるということができ、これが独立して自他商品・役務の識別標識として機能すると認められない以上、当該「すし三昧」の文字部分が要部となり得ることを前提に、両商標が類似するとの登録異議申立人の主張は採用できない。その他、本件商標と引用商標が互いに相紛れるおそれがあるとの点は見出せない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)審決例などについて
なお、登録異議申立人は、審決例を挙げて種々主張するが、本件にあっては前記認定を相当とするものであって、仮にその中に矛盾や誤りがあるとしても、過去にされた審決例の判断に拘束されることなく、審理し判断されるべきものであるから、これらの点に関する同人の主張を参酌しても、前記の認定を覆すことはできない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第6号、及び同法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
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