Trademark Appeal Case
著名商標の混同と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900331(T2012−900331/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5513297号商標(以下「本件商標」という。)は、「スーパーロフト」の片仮名を標準文字で表してなり、平成24年3月9日に登録出願、第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の有効活用に関する企画・助言又はこれらに関する情報の提供,建物又は土地の売買・貸与又は管理に関する助言,建物又は土地の情報の提供」及び第37類「建設工事,建築工事に関する助言又は情報の提供,建築設備の運転・点検・整備及びこれらに関する情報の提供,家具の修理及びこれらに関する助言又は情報の提供,錠前の取付け又は修理及びこれらに関する助言又は情報の提供,照明用器具の修理又は保守及びこれらに関する助言又は情報の提供,エレベーター及び階段昇降機の修理又は保守及びこれらに関する助言又は情報の提供」を指定役務として、同年7月23日に登録査定がなされ、同年8月10日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)である「株式会社ロフト」の著名な略称であり、又は、申立人の経営する雑貨専門店の店舗名称の著名な略称である「ロフト」の文字を含んでいる。しかも本件商標の出願書類等には申立人の承諾書が提出されていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標中の「ロフト」の部分は、申立人の業務(いわゆる小売り)に係る商標として広く一般に知られている(甲2ないし甲19)。しかも本件商標の構成中「スーパー」の部分は、自他商品・役務の識別力は弱く、商標の要部は「ロフト」の部分にあるといえる。
よって、本件商標がその指定役務に使用された場合、申立人と何らかの関係がある者の提供に係る役務であるかのごとく、役務の提供主体について混同を生じるおそれがあるといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標中の「スーパー」の文字は、「より優れた」、「上の」等の意味を有し、建築物件のグレードを表示する語として普通に使用されている(甲20−2、甲21)。一方、本件商標中の「ロフト」の文字は、「屋根裏部屋」を表す欧文字「LOFT」の字音と認められる(甲20−3)。本件商標を例えば、「一つ上のグレードの屋根裏部屋付きの建物の売買」に使用するときには、提供する役務の対象物を普通に用いられる方法で表示しただけにすぎないため、本件商標は、「建物の売買」等の役務について役務の質を表示する商標にすぎない商標と認められる。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
一方、本件商標を、例えば「屋根裏部屋の付いていない建物の売買」について使用するときには、提供する役務の対象物を誤認させる表示と認められ、結果として、提供する役務の質を誤認させる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 当審の判断
(1)「ロフト」の周知性について
ア 申立人の提出した証拠によれば以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、西武百貨店の「ロフト事業」として1987年に「渋谷ロフト」が雑貨専門店としてスタートし、その後、1996年8月に西武百貨店の「ロフト事業」を独立分社化して設立されたものである(甲2、甲4、甲5)。
(イ)申立人の2010年度の売上高は、約844億円であり、同年度の小売業売上高ランキングにおいて113位であることが認められ(平成23年6月29日付け日経MJ新聞 甲6)、専門店調査では、生活雑貨部門で第2位であることが認められ(平成23年7月13日付け日経MJ新聞 甲7)、2012年2月期の総取扱高は1010億円である。そして、本件商標の登録出願日である平成24(2012)年3月9日頃には、70数店舗を有し、店舗名は、いずれも地名等と「ロフト」の文字からなるものである(甲2、甲4、甲5)。
(ウ)NetIB−NEWSの福岡市の「天神ロフト」開業に関する2007年12月13日付け記事に、当該店舗の出足が好調であることの要因について「ロフトの知名度と商品が九州で浸透していること」などと記載されている(甲11)。
また、当該記事中の天神ロフト店の写真によると、店舗ビルの壁面に「LoFt」の文字をデザインしたロゴ商標が大きく表示されていることが認められる。
(エ)マイボイスコムが2009年8月21日に行った、インテリアショップに関する調査結果では、「ロフト」について知っていると回答した者が有効回答数1万3752人中、74.4%であった(甲12)。
(オ)上記ロゴ商標は、AIPPI・JAPANが2004年ころに発行した「日本有名商標集」に掲載されている(甲3)。
(カ)提出された証拠中、申立人の略称として「ロフト」が使用されていると認められるものは、小売業界(生活雑貨業界を含む。)に関する記事(甲6、甲7)及び天神ロフトの開業に関連した申立人の経営計画に関する記事(甲11)のみであり、「LOFT」の文字が同人の略称として使用されている証拠はない。
イ そこで、まず、申立人の略称の著名性についてみるに、「ロフト」の文字が申立人の略称として使用されていることが認められるのは、上記ア(カ)のとおり、わずか3件にすぎない。したがって、「ロフト」が申立人の略称として著名であるとは認めることができない。
なお、申立人の店舗について、例えば、入居するビルの店舗案内図等に「ロフト」などと表示されることがあることは推認することができるとしても、その「ロフト」の表示が申立人の略称として使用しているものということはできない。
ウ 次に、申立人の使用する商標についてみるに、申立人は、地名等とロフトからなる店名を長年使用し、相当の売上げがあることが認められる。また、その店名中、「ロフト」の部分が要部であり、各店舗を総称して「ロフト」と称していることが認められる。そして、その店舗数、売上高からすると、「ロフト」(以下「引用商標」という。)は、生活雑貨用品の小売り分野において申立人の業務に係る役務を表示する商標として相当程度需要者の間に広く知られているものということができる。
(2)商標法第4条第1項第8号該当性について
前記(1)イのとおり、「ロフト」は、申立人の略称として著名なものとはいえないから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。
なお、申立人は、申立人が経営する専門店ビルの名称及び申立人の店舗名称の略称についても、商標法第4条第1項第8号にいう「他人」と解すべきであると主張している。
しかしながら、同号は、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標」と規定されており、店舗の名称やビルの名称が上記規定の範ちゅうに入るものと解することができない。なお、仮に店舗名で商取引上の取引が行われることがあるとしても、その場合は、営業を行う主体のごとく使用されているものであり、店舗自体に同号で保護すべき人格権を有しているものではない。したがって、申立人の主張は採用できない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、「スーパーロフト」の片仮名を書してなるところ、「スーパー」の文字が「超・・・」「上の」「より優れた」(広辞苑第6版 甲20−2)を意味する外来語として一般に知られているものであり、「ロフト」の文字が「屋根裏部屋。倉庫などの上階。」(広辞苑第6版 甲20−3)を意味する外来語として一般に知られているものであるから、本件商標は、「スーパー」と「ロフト」の語からなるものと理解されることからすると、本件商標の文字中には、引用商標の構成文字を含むものであるから、本件商標と引用商標の類似性はある程度高いものということができる。
一方、「ロフト」の文字は、上記のとおり、一般に知られた平易な語であり、その独創性は高いものではなく、さらに、本件商標の指定役務が第36類「建物の管理」、第37類「建設工事」などの建物に関連の深い役務であることからすると、「スーパーロフト」の文字は、「超屋根裏部屋」「より優れた屋根裏部屋」ほどの意味合いを容易に認識させるものである。
また、本件商標を使用する役務は、上記のとおり、不動産及び建物等の建築及び建設分野の役務であり、引用商標が使用されている役務は、生活雑貨の小売に係る役務であるところ、両役務は、その用途、需要者、役務の提供者等を異にするものであり、その関連性は低いものということができる。
そうとすると、前記(1)のとおり、引用商標は、生活雑貨の小売に係る役務の需要者の間に広く認識されているとしてみても、「ロフト」の語が「屋根裏部屋」などの意味をもって知られ、特に本件商標の指定役務の分野において深く関連する語であって、その独創性は高いとはいえず、また、本件商標の使用役務と申立人の業務に係る役務との関連が薄いことを総合して考慮するならば、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
(4)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
申立人は、前記2(3)のとおり、本件商標を例えば、「一つ上のグレードの屋根裏部屋付きの建物の売買に使用するときには、提供する役務の対象物を普通に用いられる方法で表示しただけにすぎないため、本件商標は、建物の売買等の役務について役務の質を表示する商標にすぎず、また、例えば「屋根裏部屋の付いていない建物の売買」について使用するときには、提供する役務の対象物を誤認させる表示と認められると主張し、証拠方法として、「スーパー」及び「ロフト」に係る国語辞典(広辞苑)(甲20−2及び3)及び「スーパー」に係る「3条拒絶例」のリスト(甲21)を提出している。
しかしながら、前記(3)のとおり、「スーパー」の文字が、「超・・・」「上の」「より優れた」を意味を有し、「ロフト」の文字が「屋根裏部屋」の意味を有することから、「スーパーロフト」の文字から、「超屋根裏部屋」「より優れた屋根裏部屋」ほどの意味合いを認識させるものであることは認められるものの、提出された甲第20号証及び甲第21号証によっては、本件商標をその指定役務に使用した場合に、提供する役務の対象物を普通に用いられる方法で表示したものと認識されるというには足りない。したがって、その役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるとも認められない。
してみれば、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
(5)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第8号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものということができないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する
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