結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2012−300404(T2012−300404/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
登録第1368459号商標(以下「本件商標」という。)は,「エービーシー」の片仮名と「ABC」の欧文字とを上下2段に書してなり,昭和50年4月15日に登録出願,第30類「菓子、パン」を指定商品として,同54年1月30日に設定登録され,その後,平成21年3月25日に,指定商品を第30類「菓子,パン」とする書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判請求の登録日は,平成24年6月4日である。
請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,その理由及び弁駁の理由を次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は,その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)弁駁の理由
被請求人の提出した以下のアないしウの資料は,取消し請求に係る商標「エービーシー\ABC」とは社会通念上同一と認められない標章の使用を示すものである。
ア 乙第2ないし7号証及び検乙第1号証に掲載の包装箱側面には,黒色で「ミッフィーのABC」と黄色で「ビスケット」が縦一行に表記されている。包装箱正面には黒色で「ミッフィーのABC」と赤色で「ビスケット」の表記と共に,3文字「A」「C」「B」を象ったビスケットが描かれている。
イ 乙第5号証は,製品に付属する景品が「ABC表」であることを示している。
ウ 検乙第1号証には,『この製品は「ミッフィーのABC」の内容をもとにしています。ブルーナのアイデアブック「ミッフィーのABC」,「ミッフィーのあいうえお」発行元:講談社』の説明書きがあると共に著作物「ミッフィーのABC」及び「ミッフィーのあいうえお」の表紙が描かれている。
つまり,被請求人が使用証拠として提出した通常使用権者の製品は,文字の学習を目的とした「ミッフィーのABC」という題号の著作物に依拠する,標章「ミッフィーのABC」が付された,「ABC表」の景品付きの,個々の商品(ビスケット)の形状が英字を象ったビスケットである。
上記製品に表記された「ミッフィーのABC」は一連で著作物の題号として認識されるものであるから,その一部である「ミッフィーの」が副題で,「ABC」があたかも主題であるかのように独立して捉えられることはない。また,形状が英字を象った商品(ビスケット)であるから,「ABC」は商品の具体的な品質表示に該当し,この部分が出所標識として認識されることはない。
よって,これらの証拠はいずれも,商品「英字の形に形成されたビスケット」に,取消し請求に係る商標とは社会通念上同一とは言えない標章「ミッフィーのABC」が付された製品が発売されたことを示すに過ぎない。
したがって,被請求人の提出資料はいずれも,請求人の取り消し請求に係る「菓子,パン」について本件商標が,本件審判の登録前3年以内に使用されたことを示す証拠とは認められない。
よって,請求人の請求どおり本件商標権は取り消されるべきである。
被請求人は,結論と同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし同第7号証(枝番号を含む。)及び検乙第1号証を提出した。
答弁の理由
(1)本件商標の使用の事実
本件商標は,本件商標に係る通常使用権者である森永製菓株式会社(以下「森永製菓」という。)が,商品「ビスケット」について少なくとも平成21年(2009年)6月から同22年(2010年)2月まで継続して日本国内において使用をしていたものである。
ア 通常使用権
被請求人(商標権者)は,平成19年(2007年)10月1日付けで,東京都港区芝5丁目33番1号,森永製菓との間に,本件商標に基づいて,「対象商品/ビスケット製品」「使用態様/ミッフィーのABCビスケット」「地域/全国」「使用期間/2008年2月1日から1年間」(ただし期間については自動更新とする(第7条))を内容とする通常使用権設定契約を締結した(乙第1号証)。
イ 本件商標の使用
(ア)通常使用権者による本件商標の使用事実
森永製菓は,当該通常使用権の設定契約後,2008年(平成20年)2月26日から「ミッフィーの/ABC/ビスケット」として商品の包装に表示して(乙第1号証,乙第2〜7号証),これを全国に向けて出荷を開始し(乙第4号証,乙第6号証の1及び2,乙第7号証),特に2009年度(平成21年度)には4月から翌2010年(平成22年)2月まで,自動更新により有効に継続していた当該通常使用権に基づいて,継続して同商品を出荷した(乙第2号証)。この間,同社は,同社のカタログに当該商品を掲載して配布をし(乙第3号証),また店頭のPOP(乙第5号証)や同社のWebサイト(乙第6号証)を通して当該商品の紹介,広告をすると共に,他社のWebサイト(乙第7号証)においても,係る商品を掲載して広告活動が行われた。
したがって,本件商標は,その指定商品中「ビスケット」について,本件取消し審判の予告登録日である平成24年6月4日より前3年以内,すなわち平成21年(2009年)6月4日以後に継続して日本国内において通常使用権者により使用されていた。
(イ)本件商標と使用商標の同一性
なお,本件商標は,片仮名「エービーシー」とローマ文字「ABC」との二段横書きの構成であるところ,通常使用権者の商品では,黒色で「ミッフイーの」の下に「ABC」とし,さらにその下に赤色で「ビスケット」と三段表記されている。
本件商標における上段の片仮名「エービーシー」はローマ文字の「ABC」の発音を表したものであり,本件商標は「ABC」をその主題として構成されているものであるから,「ABC」のみの表示であっても,本件商標の同一性の範囲内にあると言える。
然るに,使用商標では,うさぎのキャラクターとして著名な「ミッフィーの」を副題として(いわばアイキャッチャーとして)表示し,また「ビスケット」は商品の普通名称であるから,結局「ABC」を商品識別のための標識(商標)として独立して認識されることにより,この「ABC」は本件商標の使用となる。
(2)結論
以上のとおり,通常使用権者は,本件審判請求の予告登録日の前3年以内において継続して日本国内において指定商品「ビスケット」について本件商標の使用をしていたものであるから,商標法第50条第1項により本件商標を取消すべきとの請求人の主張には根拠がない。
(1)被請求人提出の乙各号証及び主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は,平成19年10月1日付けの商標権者と森永製菓との間で締結された「商標使用許諾契約書」の写しである。これには,商標権者が,森永製菓に対し,本件商標について,「対象商品/ビスケット製品」「使用態様/ミッフィーのABCビスケット」「地域/日本全国」「期間/2008年2月1日から1年間」等の範囲内で通常使用権を許諾した(第1条)旨と,いずれかの当事者により本契約の更新をしない旨の書面による意思表示がない場合には,自動更新とする(第7条)旨の記載及び両者の記名,押印がされている。
イ 乙第2号証は,森永製菓から商標権者に宛てた平成24年7月18日付けの「証明書」であり,これには,森永製菓の人事総務部作成に係る「2009年度ミッフィーのABCビスケット月別売上実績表」(以下「実績表という。」)が添付され,森永製菓は,商標権者との本件商標に関する通常使用権許諾契約に基づき,2009年(平成21年)4月から2010年(平成22年)2月まで,実績表に添付の当該製品画像,すなわち,後述の検乙第1号証と同一の包装箱とするビスケット(以下「使用商品」という。)を,合計1,794ケース(143,520箱)販売した旨記載されている。
ウ 乙第3号証は,森永製菓のカタログに掲載されたとする「2009年秋 森永の菓子 商品一覧表」であり,この「ファンタジー」の項目中には,使用商品の写真とこれを紹介する「47g ABCビスケット」(以下「使用商標1」という。)などの記載がある。
エ 乙第4号証は,森永製菓のチラシであり,この上段に,「森永ビスケット」の文字とその右に「46gあいうえおビスケット」と「47g ABCビスケット」とを上下2段に書し,その下に,これら2つの商品の写真が「新製品」として紹介されている。そして,この2つの新製品のうち右側には,使用商品が掲載されている。
また,チラシ中段には,「商品特長/品質」及び「キャラクター」の項目中に「ABCビスケット」の文字とその商品説明などが記載されている。
さらに,チラシ下段右側には,2007年12月制作などの記載がある。
オ 乙第6号証は,2012年6月11日にプリントアウトされた森永製菓のウェブサイトであり,これには,2008年2月のニュースリリースとして,乙第4号証で紹介された2つの新製品が,2008年2月26日(火)に発売される旨,また,発売地区が「北海道,東北,首都圏関東,中部(コンビニエンスストア除く)」である旨及び乙第4号証と同じく,「商品特長」欄に,「ABCビスケット」の文字(以下「使用商標2」)とその商品説明などが記載されている。
カ 検乙第1号証は,「ビスケット」の包装箱であり,その正面には,「ミッフィーの」「ABC」「ビスケット」(「ビスケット」の文字のみ赤字で,他の文字は黒字で書されている。)の各文字が3段に書され(以下「使用商標3という。」),その下には,「ミッフィー」としてよく知られているうさぎのキャラクターの図形が配されている。
同じく,その裏面には,「この製品は『ミッフィーのABC』の内容をもとにしています。」「ブルーナのアイデアブック/好評発売中/ミッフィーのABC,・・・/発行元:講談社」の記載と共に,「ミッフィーの/ABC」などの本の表紙が描かれ,また,販売者が森永製菓である旨記載されている。
(2)前記(1)で認定した事実によれば,商標権者から本件商標に関する通常使用権の許諾を受けた,すなわち,通常使用権者と認められる森永製菓は,「ミッフィーのABC」などの本とのコラボレーションしたビスケットを新製品として発売する旨のチラシを2007年(平成19年)12月に制作し,2008年(平成20年)2月26日から使用商品の出荷を開始したこと,そして,本件審判の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)である2009年度(平成21年度)には4月から2010年(平成22年)2月まで,森永製菓は,継続して使用商標1を付した使用商品を出荷し,販売していたことを推認することができる。
また,森永製菓は,同社のカタログに「2009年秋 森永の菓子 商品一覧表」を掲載し,そして当該商品一覧表に使用商品とこれを説明する使用商標1を表示して,これを,2009年(平成21年)頃に配布をしたものと推認することができる。
さらに,森永製菓のウェブサイトには,2008年(平成20年)2月において,使用商品が紹介,広告され,プリントアウトされた2012年(平成24年)6月11日の時点においても継続して閲覧可能な状態であったことが認められる。
ところで,請求人は,上記で示す使用商標3は,本件商標と社会通念上同一と認められない旨,争っているので,使用商標3を含む使用商標1ないし3について,この点につき,以下判断する。
ア 使用商標1ないし3は,本件商標と社会通念上同一か否かについて
(ア)使用商標1及び2と本件商標について
「47g ABCビスケット」の文字からなる使用商標1及び「ABCビスケット」の文字からなる使用商標2は,前者の構成中「47g」は商品の重量を表す語であり,また,両者の構成中の「ビスケット」の文字は,使用商品の普通名称を表す語であって,当該文字部分は出所識別標識としての機能を果たさない部分であるから,出所識別標識としての機能を果たす部分は,ともに「ABC」の欧文字部分にあり,これより「エービーシー」の称呼を生ずるといえる。
一方,本件商標は,前記1のとおり,「エービーシー」と「ABC」の文字からなり,これより,「エービーシー」の称呼を生ずるものである。
そうしてみると,本件商標と使用商標1及び2とは,「エービーシー」の称呼を共通にし,片仮名を欠くことによって観念上の変動があるとはいえないことから,使用商標1及び2は,本件商標と社会通念上同一の商標と認め得るものである。
(イ)使用商標3と本件商標について
使用商標3は,「ミッフィーの」「ABC」及び「ビスケット」(「ビスケット」の文字のみ赤字で,他の文字は黒字で書されている。)の各文字が3段に書された構成からなるところ,「ミッフィー」の文字部分は,使用商品に付されたうさぎのキャラクターの名前としてよく知られているものであって,森永製菓が販促ツールとして採用しているものと容易に認識させるものである。
そうすると,使用商標3は,その構成中「ミッフィーの」の文字部分は,取引者,需要者に対し、顧客吸引を図る部分として認識され,また,「ビスケット」の文字は,上記同様に出所識別標識としての機能を果たさない部分であって,「ABC」の欧文字部分が独立して出所識別標識としての機能を果たす部分として認識されるものであるから,これより「エービーシー」の称呼を生ずるといえる。
したがって,上記同様に,使用商標3は,本件商標と社会通念上同一の商標とみても差し支えないものと認め得るものである。
これに対し請求人は,使用商品に表記された「ミッフィーのABC」は一連で著作物の題号として認識されるものであること,形状が英字を象った商品(ビスケット)であるから,「ABC」は商品の具体的な品質表示に該当し,この部分が出所標識として認識されることはないことを前提に,使用商標3は,本件商標と社会通念上同一とは言えない旨,主張する。
しかし,「ミッフィーのABC」は本の題号であるから,絵本に精通した者にとっては,「ミッフィーのABC」は一連のものとして理解する場合があることは否定できないとしても,必ずしもそのような者がほとんどとは考えられないこと,使用商標3が段を違えて表示されていることから「ミッフィーの」と「ABC」との各文字に独立して捉えられる場合もあること,そもそも「ABC」とその片仮名表示からなる本件商標が,出所標識として機能し得る商標として登録されたものであること,などを考慮すれば,上記認定したとおり,使用商標3は,本件商標と社会通念上同一とみても差し支えないものと認め得るものであるから,かかる請求人の主張は採用できない。
以上によれば,要証期間内である平成21年4月から同22年2月頃に,通常使用権者である森永製菓は,請求に係る指定商品に含まれること明らかな「ビスケット」に,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標3を付して販売したこと,また,要証期間内である平成21年頃に,同人は,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標1を使用した「ビスケット」の掲載したカタログを,配布をしたこと,さらに,要証期間内である平成21年ないし同24年頃に,同人のウェブサイトにおいて,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標2を使用した「ビスケット」を広告したことを推認することができる。
そして,通常使用権者の上記行為は,「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為 」(商標法第2条第3項第2号)または「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
(3)むすび
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,通常使用権者が本件請求に係る指定商品中「ビスケット」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認め得るところである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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