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Trademark Appeal Case

周知商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900333(T2012−900333/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5513905号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

登録第5513905号商標(以下「本件商標」という。)は、「講師塾」の漢字を標準文字で表してなり、平成23年12月28日に登録出願、「技芸・スポーツ又は知識の教授」を含む第41類のほか、第9類、第16類及び第35類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同24年6月18日に登録査定、同年8月10日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人「有限会社志縁塾」(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番を含む。ただし、枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略することがある。)を提出した。

1 引用商標

申立人が引用する商標は、「講師塾」の文字からなる標章(以下「引用商標」という。)であり、同人の代表取締役である大谷由里子氏が講師となるセミナーに使用されているものである。

2 具体的理由(要旨)

(1)使用時期・使用期間

引用商標は、平成17年9月23日時点で、同年11月13日付のセミナー(初回講師塾)の名称として使用されてから、本件商標の出願日である平成23年12月28日まで継続的に大谷由里子氏を講師とするセミナーの名称として使用されており、また、現在も引き続き使用されている(甲第3号証、甲第6号証ないし甲第9号証)。

なお、「講師塾」の受講者名簿(甲第11号証)及びその受講者より回収したアンケート(抜粋)(甲第12号証)からも、継続的に上記セミナーの名称として使用されていたことは明らかである。

(2)営業規模

当該セミナーは、少なくとも、平成18年11月26日に開催されたセミナー「【6名様限定】指名される講師になる!!『講師塾』」から本件商標の出願日(同23年12月28日)前までに開催されたセミナー「【限定6名】忘れられない講師になる!!『講師塾』in九州」に延べ874人が受講している(甲第11号証)。

なお、これらのセミナーの受講生は主に東京都及び東京都近隣都道府県から集まっているが、例えば、北海道、沖縄県など、全国各地から集っている。

(3)広告宣伝の実績

引用商標を使用した大谷由里子氏が講師となるセミナーについては、甲第3号証及び甲第6号証ないし甲第8号証に示すように、インターネットを通じての広告宣伝が行われている。

なお、甲第3号証の申立人のウェブページには、平成17年11月から同23年12月にかけて総計31万4951回のアクセスがあった。

また、当該セミナーの広告宣伝用チラシ(甲第10号証)は、チラシ一覧(甲第13号証)に示すように、平成19年7月29日に開催されたセミナー「大谷由里子の講師塾in大阪[特別編]」から同24年8月18日に開催されたセミナー「【限定20名】企業研修ができる講師になる講師塾」まで合計2万3100枚印刷され、配布されている。

(4)書籍及び記事掲載

大谷由里子氏は、その著書「はじめて講師を頼まれたら読む本」(甲第14号証)、「DVD付 講師を頼まれたら読む『台本づくり』の本」(甲第15号証)及び「話し上手な人のアドリブの技術」(甲第16号証)の各々のカバーに記載の著者紹介や「はじめに」において「講師塾」を主催している旨を記載している。

また、「Fuji Sankei Business i.」平成23年1月17日発行(甲第17号証)には、大谷由里子氏が代表取締役を勤める申立人が「講師塾」を運営している旨の記事が記載されている。さらに、「TSUTAYA CLUB MAGAZINE」2011 2 vol.181(甲第18号証)には、大谷由里子氏が「講師塾」の主宰者である旨の記事が掲載されている。

(5)まとめ

引用商標は、平成17年11月13日の初回セミナー以来今日まで、大谷由里子氏が講師となるセミナーの名称として継続して使用されており、引用商標「講師塾」は日本国内において、これに接する取引者・需要者が直ちに大谷由里子氏によるセミナー、すなわち、役務「知識の教授」を表示するものとして広く認識されており、その周知性は現在においても継続していることは明らかである。

そして、前記第1のとおり、本件商標は「講師塾」の漢字を標準文字で表した構成からなるところ、引用商標「講師塾」と同一又は類似のものであり、本件商標の指定役務「技芸・スポーツ又は知識の教授」は、大谷由里子氏が引用商標を使用する役務「知識の教授」と同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その指定商品及び指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」についての登録は取り消されるべきである。

第3 当審の判断

1 引用商標の周知性

申立人は、引用商標「講師塾」が大谷由里子氏が講師となるセミナーの名称として継続して使用され、大谷由里子氏のセミナー、すなわち、役務「知識の教授」を表示するものとして広く認識されている旨主張し、証拠方法として甲各号証を提出しているので、以下検討する。

(1)申立人提出の甲各号証について

ア 申立人のウェブサイト上のトップページには、「イベント情報」の下に「・05年11月13日 明日の大谷由里子になる講師塾」(甲第3号証の1ないし3)との記載のほか、「カリスマ講師になる!!講師塾」(甲第3号証の4)や「指名される講師になる!!講師塾」、「指名される講師になる!!『講師塾』」ないし「指名される講師になる!! 大谷由里子の講師塾」(甲第3号証の5ないし24、27、28、31)、「忘れられない講師になる!『講師塾』」ないし「忘れられない講師になる!! 大谷由里子の講師塾」(甲第3号証の12ないし31)、「売れる講師になる!『講師塾』」(甲第3号証の13)及び「目の前の人を引き付ける講師になる講師塾!」(甲第3号証の30)などのセミナーが見出しやイベント情報などに、他の研修や講演、セミナーの紹介と共に記載され、さらに「講師塾」と記載されたメニュー項目がある。

また、大谷由里子氏のウェブサイト上にも、上記同様に当該セミナーの名称として、「忘れられない講師になる!『講師塾』」などが、見出しやイベント情報などに、他の研修や講演、セミナーなどと共に掲載され、さらに「講師塾」と記載されたメニュー項目がある(甲第6号証の1、4〜28)。

イ そして、「講師塾」関連の宣伝用チラシ(甲第10号証)とするものにも、「指名される講師になる!『講師塾』」などのセミナーが紹介されており、このセミナーを含め「講師塾・関連のチラシ一覧」(甲第13号証)には、平成19年7月29日から同24年8月18日の間に開催された当該セミナーなどについて、合計2万3100枚のチラシが印刷されたとする記載がある。

ウ また、申立人が引用商標の使用時期などを示すものとして、大谷由里子氏に係るウェブサイト上での「スケジュールカレンダー」(甲第9号証)、「指名される講師になる!!講師塾」や「忘れられない講師になる!『講師塾』」などをセミナー名とする「受講者名簿」(甲第11号証)及びこれらセミナーのアンケート(抜粋)(甲第12号証)を提出している。

エ そのほか、大谷由里子氏の著書3冊(甲第14号証ないし甲第16号証)のカバーの著者紹介や「はじめに」において、大谷由里子氏が「講師塾」を主催している旨の記載、また、総合ビジネス金融紙「Fuji Sankei Business i.」(甲第17号証)に大谷由里子氏が代表取締役を勤める申立人が「講師塾」を運営している旨の紹介記事及び会員が約3千万人のDVDやCDのレンタル会社「TSUTAYA」各店舗にて配布されているとする「TSUTAYA CLUB MAGAZINE」(甲第18号証)に、大谷由里子氏が「講師塾」の主宰者である旨の紹介記事が掲載されている。

(2)甲各号証によっては、引用商標の周知性は認められない。その理由は次のとおりである。

ア 申立人のウェブサイトには、平成17年11月ないし同23年12月の間に総計31万4951回のアクセスがされた(甲第5号証)こと、また、申立人のウェブサイトのトップページに大谷由里子氏を講師とする「指名される講師になる!!講師塾」や「忘れられない講師になる!『講師塾』」などを名称とするセミナーの紹介が掲載されている(甲第3号証)ことは認められる。

しかしながら、申立人のウェブサイトへのアクセスは、ユーザーが任意のキーワードなどを入力して行うものであり、また、申立人のウェブサイトのページビュー数は本件商標の出願時である平成23年において、僅かに、月平均4,750回程であって、必ずしも、検索ページなどに掲載されて繰り返し目にするようなバナー広告とは異なり、不特定多数のユーザーに幅広く閲覧されるものということはできない。

また、過去の大谷由里子氏に係るウェブサイト(甲第6号証)についても、不特定多数のユーザーに幅広く閲覧されたものということはできない。

ところで、「講師塾」の文字は、「講師のための塾」程の意味合いを暗示させる場合があるとしても、役務「知識の教授」に使用するときは、自他役務識別標識としての機能を有しないとまではいえないところ、申立人のウェブサイトのトップページや大谷由里子氏に係るウェブサイトでの「指名される講師になる!!講師塾」や「忘れられない講師になる!『講師塾』」などにおける「講師塾」の文字は、一体的な構成からなるセミナー名の一部としての使用といえるものである。

そして、メニュー項目での「講師塾」の記載は、特定役務についての商標としての使用ということもできない。

そうすると、これらのウェブサイトに係る情報からは、大谷由里子氏を講師とする「指名される講師になる!!講師塾」や「忘れられない講師になる!『講師塾』」などを名称とするセミナーに係る宣伝、広告の掲載が認められるとしても、本件商標の出願時に引用商標が「技芸・スポーツ又は知識の教授」に係る需要者間に広く宣伝された事実とするのは困難である。

イ そして、「講師塾」関連の宣伝用チラシ(甲第10号証)での「指名される講師になる!『講師塾』」などのセミナーの紹介においても、「講師塾」の文字は、一体的な構成からなるセミナー名の一部としての使用といえるものである。

また、セミナー名を「講師塾(ふらっと回数券)」(印刷枚数 5,000)、同「講師塾(ふらっと祭り)」(印刷枚数 5,000)、及び同「講師塾(出版記念「特別講演」2011)」(印刷枚数 3,000)とするチラシについては、引用商標に係る広告内容は不明である。そのほかの「指名される講師になる!『講師塾』」などをセミナー名とするチラシは、その印刷枚数は各開催につき僅か500枚であり、これがすべて配布されたとしても、不特定多数の需要者を対象とする宣伝効果が高いものと評価することはできない。

ウ また、大谷由里子氏に係るウェブサイト上での「スケジュールカレンダー」は、自ずと目にするものは限られ、まして、平成18年11月26日に開催された「【6名様限定】指名される講師になる!!『講師塾』」以降、各セミナーが本件商標の出願時までの5年にわたる期間において97回開催され、その受講者数は延べ874人である(甲第11号証)としても、当該セミナーの開催やその受講者数によって、大谷由里子氏に係る当該セミナーが不特定多数の需要者間に広く知られているとはいえないし、まして、引用商標の周知性を直ちに裏付けることはできないものである。

エ そのほか、書籍における大谷由里子氏が「講師塾」を主催している旨、総合ビジネス金融紙における申立人が「講師塾」を運営している旨、及び「TSUTAYA CLUB MAGAZINE」における大谷由里子氏が「講師塾」の主宰者である旨の各記載については、単に「講師塾」の文字の掲載であるとしても、これらの書籍や新聞記事等によって、その読者などが「講師塾」の文字を大谷由里子氏によるセミナー、すなわち、役務「知識の教授」を表示する商標であると理解し、認識するということはできない。

オ 小括

してみると、申立人提出に係る甲各号証によっては、本件商標の出願時において、引用商標が大谷由里子氏によるセミナー、すなわち、役務「知識の教授」を表示する商標として、その需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

そのほか、引用商標が本件商標の出願時及び登録査定時において、大谷由里子氏ないし申立人の業務に係る役務「知識の教授」に使用する商標として、需要者の間に広く認識されていたものと認めるに足る証拠はない。

2 商標法第4条第1項第10号について

本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するというためには、要件の一つとして、引用商標が他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間において広く認識されていることが必要であるところ、前記1のとおり、引用商標は、大谷由里子氏ないし申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の出願前より、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

そうすると、本件商標は、商標において引用商標と同一又は類似のものであり、また、本件商標の指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授」が大谷由里子氏に係る当該セミナーでの役務「知識の教授」と同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第10号に該当するものということはできない。

3 結論

以上のとおり、本件商標の指定商品及び指定役務中、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」についての登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものとは認められないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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