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Trademark Appeal Case

伝統工芸品名称の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2012−900354(T2012−900354/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5531394号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

登録第5531394号商標(以下「本件商標」という。)は、「Sailors’ Valentine」の欧文字及び「セーラーズバレンタイン」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成24年5月14日に登録出願、第20類「家具,額縁,貝殻を用いた美術品・置物」及び第41類「技芸の教授,美術品・工芸品の展示」を指定商品及び指定役務として、同年10月2日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、以下の理由により、本件商標が商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号及び同第7号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、甲第1号証ないし同第10号証を提出した。

(1)本件商標は、アメリカ東海岸からカリブ海周辺に古くから伝わる、貝殻を用いた伝統工芸品の名称を普通に示した商標に過ぎず、指定商品及び指定役務との関係では、自他商品役務識別性を果たし得ないものである。また、本件商標を、上記貝殻を用いた伝統工芸品以外に使用するときは、品質の誤認を生ずるものである。

(2)本件商標は、アメリカ東海岸からカリブ海周辺に古くから伝わる伝統工芸品の名称を普通に示した商標に過ぎないにもかかわらず、商標権者はこれを認識したうえで、国内において上記伝統工芸品の他人による製作や上記伝統工芸の他人による教授を不当に制限する目的をもって商標登録を行おうとするものである。

(3)したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号及び同第7号に該当するものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

本件商標は、「Sailors’ Valentine」の欧文字及び「セーラーズバレンタイン」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、「Sailors’ Valentine」及び「セーラーズバレンタイン」のいずれについてみても、特定の具体的な意味合いを表す成語であることを示す客観的な資料(辞書等)は見いだせない。

また、申立人提出の証拠中には、アメリカ東海岸からカリブ海周辺に古くから伝わる貝殻を用いた工芸品に関して、「Sailors’ Valentine」と称している事例が示されているが、日本における紹介記事(甲第2号証)が1例示されているほかは、外国語による工芸品の紹介や同語の由来等が記載されているもの(甲第1号証、甲第3号証ないし同第9号証)である。

そして、その中には、掲載した工芸品の価格を表記したもの(甲第4号証)が1例、木製箱の価格を表示したもの(甲第6号証)が1例及びキットの価格を表示したもの(甲第7号証)が1例あるほかは、いずれも、WEBページにおいて貝殻を用いた工芸品を紹介するものであって、これらをもって、「Sailors’ Valentine」及び「セーラーズバレンタイン」の文字が、本件商標の指定商品中「貝殻を用いた美術品・置物」について、特定の商品の品質を表示する文字として取引上一般に使用されているものとはいい難く、さらに、これらの文字が取引上一般に使用されている事実は見いだせない。

また、本件商標の指定役務「技芸の教授,美術品・工芸品の展示」についても、本件商標が役務の質を表示するものとして取引上一般に使用されている事実は見いだせない。

以上よりすれば、本件商標は、その指定商品中「貝殻を用いた美術品・置物」及び指定役務「技芸の教授,美術品・工芸品の展示」について、特定の商品の品質や役務の質を表示するものとして認識されるとまではいえない。

してみれば、本件商標の指定商品中「貝殻を用いた美術品・置物」及び指定役務「技芸の教授,美術品・工芸品の展示」について、本件商標を使用しても、自他商品役務の識別標識としての機能を果たし得るものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号には該当しない。

さらに、本件商標は、特定の商品の具体的な品質や特定の役務の具体的な質を表示するものとはいえないから、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、商品の品質及び役務の質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、その構成自体において公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標でないことは明らかである。

申立人は、日本セーラーズバレンタイン協会のホームページ(甲第10号証)の記載を引用して、本件商標登録に不正の目的があった旨主張している。

しかしながら、申立人の主張及び申立人提出の全証拠を総合しても、本件商標が、その商標登録に至る出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くものがあったと認めることはできず、また、日本セーラーズバレンタイン協会のホームページの記載から直ちに、不正の目的のもと、本件商標の登録を受けたと断ずることは困難といわざるを得ない。

さらに、本件商標登録自体が国際取引、国際文化交流の秩序を乱す可能性があるとする申立人の主張は、これを首肯するに足りる的確な理由及び証左は見いだせない。

したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とは認められないから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第16号及び同第7号に違反して登録されたものではないから、その登録は維持すべきものである。

よって、商標法第43条の3第4項の規定に基づき、結論のとおり決定する。

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