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Trademark Appeal Case

形状商標の識別性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2012−24811(T2012−24811/J1)
審判種別不服
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

原査定を取り消す。
本願商標は、登録すべきものとする。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成23年8月29日に登録出願、その後、指定商品については、原審における同24年2月24日付け及び当審における同25年5月22日付け手続補正書により、第9類「警ら車・交通取締四輪車・その他の警察車両に用いられる散光式警光灯」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、その指定商品である『散光式警光灯用グローブ』の立体形状それ自体を表したと認識するものであるから、単に商品そのものの形状を、普通に用いられる方法で表示したにすぎないものと認める。また、本願商標は、その指定商品に使用された結果、需要者が出願人の業務に係る商品であると認識することができるものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、同法第3条第2項に該当するに至っていないものである。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における判断

(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について

ア 本願商標の構成について

本願商標は、別掲に示すとおり、その指定商品との関係においては、「散光式警光灯」の立体形状の一種と看取されるものであるところ、その形状は、一定の厚みをもち、左右がブーメラン状に折れ曲がり、その先端はやや丸みを帯びているものである。

しかして、本願商標の立体形状は、請求人の主張によれば、「・世界で初めての流線形ブーメラン型の美しいデザインで、斜め前方及び横方向より見た視認性が大幅に向上し、斜め前方からの積算光量は従来品に比べて50%アップした。また、正面から見た発光面積が38%増加して視認性がアップした。・空気抵抗を43%減少させた。・正面側にスピーカーホーンを設けることにより、正面音圧は、従来品に比べて3デシベルアップして103デシベルになった。/本件商品は、従来品の横棒型ではなく、ブーメラン型の斬新な形状を有する製品であります。機能面においても、発光面積の増大による『視認性アップ』を達成しています。また、流線型の形状より、『空気抵抗の減少』も達成し、さらに、従来品では、中央の正面から平面に掛けてスピーカーが設けられているので、音が拡散していたのに対して、本件商品では正面下部にスピーカーを集約することにより、『正面音圧の増大』を達成しています。」と述べているように、「散光式警光灯」の商品に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されたものである。

イ 本願商標の識別性について

本願の指定商品は、前記1のとおり「警ら車・交通取締四輪車・その他の警察車両に用いられる散光式警光灯」である。

そうすると、本願商標は、上記アのとおり、ブーメラン状に折れ曲がった形状(以下「ブーメラン形状」という。)という特徴を有しているものではあるが、本願商標の構成を全体としてみた場合、「散光式警光灯」の形状の一種と容易に看取、認識されるものであり、本願の指定商品の一形態と認識されるものといえる。

加えて、請求人の提出に係る証拠(資料18、32)によれば、本願の指定商品の分野において採択される商品の形状からみて、本願商標の形状は、散光式警光灯の形状と需要者に容易に認識されるものといわなければならない。

そうとすると、本願商標は、本件審決時を基準として、客観的に見れば、ブーメラン形状が特徴的なものであるとしても、いまだ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当であり、需要者が指定商品の形状として一般に認識し得るものというべきである。

ウ 小括

上記ア及びイからすると、本願商標は、その指定商品との関係において、単に「散光式警光灯」の商品の形状を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3項に該当する。

(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性について

ア 商標法第3条第2項の趣旨

商標法第3条第2項は、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として同条第1項第3号に該当する商標であっても、使用により自他商品識別力を獲得するに至った場合には、商標登録を受けることができることを規定している。

そして、立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、(ア)当該商標の形状及び当該形状に類似した他の商品等の存否、(イ)当該商標が使用された期間、商品の販売数量、広告宣伝がされた期間及び規模等の使用の事情を総合考慮して判断すべきである。なお、使用に係る商標ないし商品等の形状は、原則として、出願に係る商標と実質的に同一であり、指定商品に属する商品であることを要するが、機能を維持するため又は新商品の販売のため、商品等の形状を変更することもあり得ることに照らすと、使用に係る商品等の立体的形状が、出願に係る商標の形状と僅かな相違が存在しても、なお、立体的形状が需要者の目につきやすく、強い印象を与えるものであったか等を総合勘案した上で、立体的形状が独立して自他商品識別力を獲得するに至っているか否かを判断すべきである(知的財産高等裁判所 平成22年(行ケ)第10366号 平成23年4月21日判決参照)。

イ 本願商標の商標法第3条第2項該当性

以下、本願商標が上記アの観点に照らして、商標法第3条第2項に該当するか否か検討する。

(ア)本願商標の形状及び本願形状に類似した他の商品等の存否

上記(1)のとおり、本願商標は、その指定商品である「散光式警光灯」の立体形状に係るものであり、本願商標は、その指定商品の形状として通常採用されている範囲を大きく超えるものとまでは認められず、需要者において商品の形状として一般に認識されるものというべきである。

しかしながら、請求人から提出された証拠及び第三者による刊行物等提出書のカタログを徴するに、本願商標のブーメラン形状のような特徴を有する散光式警光灯は、同種の商品には見当たらないといえる程のものというべきである(資料18)。

してみれば、上記(1)アのとおりのブーメラン形状を有する本願商標は、ほかの同種商品と見分けられる一定の特異性を有しているということができるものである。

(イ)本願商標の使用の実情

a 請求人は、1996年(平成8年)に、「PATLITE(パトライト)」、「エアロブーメラン」等の商標の使用及び「AWS型」の品名で、本願商標に係る散光式警光灯を発売し、その後、一貫して本願商標と同一の形状の商品が継続して販売されているところ、その使用期間は、本件審決時まで17年以上にわたるものである(資料1、5、10、13、20)。

また、本願商標に係る商品は、平成8年10月1日付けでグッドデザイン賞を受賞している(資料7)。

b 本願商標に係る散光式警光灯は、主に警察における、警ら車、交通取締四輪車、その他の警察車両に用いられる赤色散光式警光灯である(資料10)。

そして、請求人の提出した新聞記事及び年度別出荷台数リストなどの資料によれば、警察における、警ら車、交通取締四輪車、その他の警察車両に用いられる赤色散光式警光灯については、本願商標に係る請求人のブーメラン形状の赤色散光式警光灯が非常に多く採用されており、また、その事実は、警察庁の警察車両の調達台数との関係で、当該赤色散光式警光灯が多数出荷されていることから窺い知ることができるものである(資料10、20、28、33)。

特に、警察庁の警察車両の調達台数との関係では、当該赤色散光式警光灯(AWS型、AXS型)の出荷台数は、2005年ないし2009年では、警ら車で100%、交通取締四輪車で100%であり、これらは、警察車両全体でみれば、およそ12,000台の内の約67%という高い出荷率になる。

また、2004年(平成16年)9月27日付け日刊ゲンダイの新聞記事によれば、「パトカーの赤色灯はなぜブーメラン型になった?」のタイトルのもと、「この赤色灯の商品名は、『エアロブーメラン』。普及率は、都道府県ごとで違うが、東京都では、いまや『パトカーのほぼ全て』(警視庁)に搭載されている。製造元は、パトカーの赤色灯の全国シェアが99%という(株)パトライトだ。」の記載及びパトカーに搭載された当該ブーメラン形状の赤色散光式警光灯の写真が掲載されている(資料13)。

また、請求人は、1996年の発売以来2011年までの間に、一般消費財ではなく、特殊車両用製品である当該商品について、本願商標の立体形状を有する赤色散光式警光灯の写真が掲載されているパンフレットを合計510,500部発行しており、また、1997年から2010年の間の販促費及び広告宣伝費は、合計144,950,000円である(資料11、12)。

c 本願商標に係る散光式警光灯は、たびたび新聞、雑誌にパトカーに搭載されている散光式警光灯を代表するものとして、その写真が紹介されているところである(資料13ないし15)。

(ウ)小括

前記のとおり、本願商標のブーメラン形状が、他に見当たらない特異性を有し、1996年(平成8年)年以降17年以上にわたって本件審決時まで、本願商標と同一の形状からなる商品「散光式警光灯」が一貫して製造、販売され、市場シェアからみて需要者の強い支持を得ていることに照らすならば、本願商標についての「パトライト」、「エアロブーメラン」等の商標の使用及び「AWS型」、「AXS型」等の品名の表示を考慮してもなお、前記(1)アのとおりの立体的形状に係る本願商標は、自他商品識別力を獲得するに至っており、本願の指定商品「警ら車・交通取締四輪車・その他の警察車両に用いられる散光式警光灯」の需要者が、本願商標に接するときは、請求人に係る散光式警光灯であることを認識することができるものというのが相当である。

してみれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するというべきである。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものの、同法第3条第2項により商標登録を受けることができるものであるから、本願商標が登録を受けることができないとした原査定は、取消しを免れない。

その他、本願について拒絶の理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

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