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商標「スレンダー」の品質表示の識別力(第4条第1項第16号・第3条第1項第3号・第4条第1項第15号|審判平成11年異議第90286号)

審判番号
平成11年異議第90286号
審判種別
異議

本文で言及されている区分

事件のポイント・要約

対象商標
本件商標「スレンダー」
争点(論点)
品質表示の識別力
適用条文
第4条第1項第16号・第3条第1項第3号・第4条第1項第15号
指定商品・役務の区分
第25類
最終結論
登録維持(敗訴(請求棄却))

この審決(審判平成11年異議第90286号・異議)は、本件商標「スレンダー」について、商標法第4条第1項第16号・第3条第1項第3号・第4条第1項第15号への該当性が争われた事例です。主な争点は「品質表示の識別力」です。指定商品・役務は第25類に属します。特許庁は「登録第4206488号商標の指定商品中「洋服、コート」についての登録を取り消す」と判断しました(登録維持)。商品の品質や用途を直接表す語は識別力が否定されやすいため、出願前に造語化や図形との組合せを検討することが有効です。

※ 上記は審決公報の本文から自動で整理した要約です。正確な内容は下記の公報原文をご確認ください。

結論テキスト

登録第4206488号商標の指定商品中「洋服、コート」についての登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4206488号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成9年4月21日登録出願、「スレンダー」の片仮名文字と「Slender」の欧文字とを二段に書してなり、商品の区分第25類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成10年10月30日に設定登録されたものである。

2、登録異議申立人(以下、「申立人」という。)の異議理由

(1) 本件商標は、上段にゴシック体の片仮名文字で「スレンダー」と横書きしてなり、下段にゴシック体のローマ文字で「slender」を横書きしてなるものである。この「slender」は、英語の既成語で「細長い、ほっそりした、すらっとした」等を意味する語として、その称呼である「スレンダー」の表記と共にわが国でも親しまれている(甲第2号証の「リーダーズ英和辞典」参照)。そして、この「slender」又は「スレンダー」の語は、今日では、「すらっとしたさま、ほっそりとしたさま」を表す外来語として、わが国に定着している(甲第3号証の「コンサイスカタカナ語辞典」)。また、この「slender」又は「スレンダー」の語は、服の輪郭がほっそりと身体の線に沿ったシルエットを表す「スレンダー・ライン(slenderline)」という語や、ふくらはぎくらいまでのほっそりとしたロング・スカートを表す「スレンダースカート(slender skirt)」という語、ほっそりとした印象を与える「スレンダー・シューズ(slender shoes)」という語の中に用いられており(甲第4号証の「新ファッションビジネス基礎用語辞典」)、服飾関係の分野では、「ほっそりした(服)」等の意味合いで、商品に密接に関連して一般的に用いられている事情がある。したがって、この「slender」又は「スレンダー」の語は、本件商標の指定商品との関係では、単にその用途を表示した、あるいは誇称を表示したに過ぎず、自他商品の識別機能を果たし得ない。

商標「slender」の過去の審査例

ちなみに、「申立人」は、過去に第25類で「SLEnDER/Bra./スレンダーブラ」の文字からなる商標を出願したところ、審査では、自他商品の識別機能を果たし得ないとして、商標法第3条第1項第3号の規定により、拒絶理由通知がなされたものである(甲第5号証、甲第6号証)。この拒絶理由通知では、要約すれば、『その指定商品との関係において、「(特に若い女性の体型について)すらっとした様、ほっそりした様」を意味する「SLEnDER」の文字に「ブラジャー」を指称する「Bra」、そしてその表音文字と認められる「スレンダーブラ」の片仮名文字を書してなるものであるから、これをその指定商品中「ブラジャー」に使用しても「ほっそりしたバストラインを形成するに適したブラジャー」程の意味合いを看取するにすぎず、単に商品の品質(効能)を表したに止まり自他商品を区別する標識としての識別力が具有しない。』と認定されている。なお、この申立人の商標「SLEnDER/Bra./スレンダーブラ」については、その構成態様が特異であること、及びかかる商標について申立人がはじめて採択し、これを大々的に使用したことによって申立人に係る商標として取引者又は需要者に広く認識されるに至っていること等により、自他商品の識別力が認められ、既に商標登録を受けている。

以上から明らかなように、「slender」又は「スレンダー」の語(文字)は、本件商標の指定商品中の「(特に若い)女性用の被服」との関係では、「ほっそりしたラインを形成する(服)」あるいは「ほっそりとした体型にみせるための(服)」等の商品の効能を表示するものとして、一般的に使用されているものである。そして、本件商標はその構成態様も普通に用いられるゴシック体で表したに過ぎない。そうすると、本件商標は、指定商品中の「(特に若い)女性用の被服」、とりわけ、「slender」(スレンダー)の意に相応する「ほっそりしたラインを形成する(服)」あるいは「ほっそりとした体型にみせるための(服)」等の商品については、その効能等の品質を普通に用いられる方法で表示したに過ぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たすことができないものであって、商標法第3条第1項第3号の規定に該当する。

(2)本件商標が商標法第4条第1項第16号に該当することについて

本件商標がその指定商品中の「(特に若い)女性用の被服」、「slender」(スレンダー)の意に相応する「ほっそりしたラインを形成する(服)」あるいは「ほっそりとした体型にみせるための(服)」等の商品については、その効能を示す品質表示語として一般的に使用されていることは上述の通りであるところ、かかる本件商標を上記以外の商品に使用するときは、その商品の品質につき誤認を生じさせるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

(3)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することについて

上述の通り、本件商標は、商標としての自他商品の識別機能を有しないものであるが、そうであっても、商標的使用態様で使用するときは、申立人の所有し商品「ブラジャー」に使用する「SLEnDER/Bra./スレンダーブラ」と商品の出所の混同を生じるおそれがある。

3、当審では、申立人の異議理由に基づき、商標権者に対して、「本件商標は、その指定商品中『被服、コート』については、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に違反して登録されたものであるから取り消す」旨の理由を提示した。

4、商標権者は、上記当審の取り消し理由に対して指定期間内に何ら意見を述べていない。

5、当審の判断

よって判断するに、本件商標を構成する「スレンダー/ slender」の文字は、「ほっそりした、すらっとした」という意味合いで一般に親しまれた語といえるものであり、申立人の提出に係る甲第4号証及び職権により調査したところ、服飾を取り扱う業界において、「細い、ほっそりとした」の意味で「スレンダー・ライン/slender line」、ふくらはぎくらいまでのほっそりとした(スレンダー)ロング・スカートを「スレンダー・スカート」、体にあわせてほっそりとつくられた飾り気のない単純なシルエットのジャケットのことを「スレンダー・ジャケット」等、「スレンダー/ slender 」の語が用いられていることが認められる。そうとすれば、本件商標は、「スレンダー」及び「slender」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中、例えば「ほっそりとした被服、ほっそりとしたコート」に使用した場合、前記した実情から、これに接する取引者・需要者は、その商品の品質、形状を表示するための語であると認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。また、本件商標をその指定商品中の上記に照応する商品以外の「被服、コート」について使用した場合には、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと認められる。

したがって、本件商標は、「被服、コート」に関しては、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、同法第43条の3第2号の規定により、その登録は取り消すべきものとし、また、本件登録異議申し立てに係るその余の商品については取り消すべき理由がないものであるから、同第4項により登録を維持する。

よって、結論のとおり決定する。

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