結論テキスト
本願商標は,登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2012−19955(T2012−19955/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は,「蔵王チーズ」の文字を,ゴシック体により,普通に用いられる方法で横書きしてなり,第29類「チーズ」を指定商品として平成23年4月26日に登録出願されたものである。
原査定は,「本願商標は,ゴシック体で『蔵王チーズ』の文字を横書きしてなるものであるところ,構成中の『蔵王』の文字は,宮城県と山形県にまたがる奥羽山脈の連山及びその周辺地域を認識させるから,全体として『蔵王地域のチーズ』の意味合いを認識させる。そうすると,これをその指定商品中『蔵王周辺地域を産地・販売地とするチーズ』に使用しても,単にその商品の産地・販売地を表示するにすぎない。したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当し,前記商品以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法4条1項16号に該当する。また,出願人は,本願商標が指定商品について使用された結果,取引者・需要者間において周知となっている旨主張するが,本願商標と同一の態様の商標が,その指定商品に使用された結果,本願商標が,その指定商品の分野において取引者・需要者の間で周知となっているとは認め難いから,当該主張について認めることはできない。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
本願商標は,前記第1のとおり,「蔵王チーズ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるところ,その構成中,「蔵王」は,「宮城・山形の県境にある蔵王山を中心とする地名」(「コンサイス日本地名事典<第5版>」株式会社三省堂)とされており,「蔵王」の文字は,飲食料品の分野において,産地を示すものとして使用されている事実があるから,本願商標をその指定商品に使用するとき,これに接する取引者,需要者は,その指定商品が,宮城・山形の県境にある蔵王山を中心とする地域である蔵王で生産されたチーズであることを理解するにとどまるといえる。
したがって,本願商標は,商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから,商標法3条1項3号に該当する。
一方,本願商標「蔵王チーズ」は,チーズの特定の品質を認識させるものとは認められないから,本願商標は,商品の品質の誤認を生じるおそれがある商標ということはできない。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第16号に該当するものではない。
前記1のとおり,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものであるが,請求人が提出した証拠及び職権調査によると,本願商標は,その指定商品について使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っているから,当審は,同法3条2項により,商標登録を受けることができるものと判断する。その理由は以下のとおりである。
請求人が提出した証拠並びに請求書及び回答書の全趣旨によれば,請求人がチーズについて使用する商標「蔵王チーズ」に関連して,以下のことが把握できる。
(1)昭和35年に設立された請求人は,同55年には国産ナチュラルチーズ実験製造工場を建設し,同57年に乳製品・チーズ料理等普及店「チーズシェッド」を開設,同59年には三越仙台店内に「チーズ普及コーナー」を設置,同61年には国内初のチーズフェアを東京三越百貨店で開催するなど,長年にわたってチーズの製造,普及を図っている(甲8)。
(2)請求人は,遅くとも1981年から,商品チーズについて,本願商標と同一視し得る「蔵王チーズ」の商標の使用を開始している(甲66)。
(3)平成20年において,商標「蔵王チーズ」が使用されたクリームチーズの生産量は190tであり,国内のクリームチーズ生産量の約13%のシェアを占める(甲64)。
(4)商標「蔵王チーズ」が使用されたチーズに係るパンフレットが,請求人によって継続的に作成されていることが推認し得る(甲66〜70)。
(5)また,宮城県物産協会,蔵王町物産振興協会やJR東日本といった,請求人以外の者が作成するパンフレットにおいても,商標「蔵王チーズ」が使用されたチーズが紹介されている(甲39,42,73,74及び82)。
(6)商標「蔵王チーズ」が使用されたチーズについて,平成13年から同24年にかけて,「るるぶFREE仙台」や「宮城のうまい店」「monoうまいモノ便」といった雑誌で紹介されている(甲13〜26,75〜77及び83)。
(7)「とんねるずのみなさんのおかげでした」(2001年,甲46),「はなまるマーケット」(2011年,甲47),「めざましテレビ(2011年,甲48)」のテレビ番組で,商標「蔵王チーズ」が使用されたチーズについて紹介されている。
(8)職権調査によれば,商標「蔵王チーズ」が使用されたチーズは,宮城県の支援を受け,「地域の逸品」に選出され現在でも紹介されているほか(http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/oksgsin-e/36kei-tiiikinoippin.html),蔵王町観光協会における紹介(http://www.zao-machi.com/1421),仙台商工会議所における紹介もなされている(甲81)。
(9)職権調査によれば,遅くとも1989年には,商標「蔵王チーズ」が使用されたチーズについて新聞で紹介されており(1989.11.24読売新聞),その後,2013年まで,継続的に記事で紹介されている。
(10)以上の証拠においてチーズに使用されている商標「蔵王チーズ」は,本願商標と同一視し得るものであり,請求人によって使用されていることが確認できる。
(11)他人による「蔵王チーズ」の使用は,確認することができない。
以上によれば,請求人は,商品チーズについて,本願商標と同一視し得る商標(蔵王チーズ)を,1981年から20年以上の長きにわたり使用しており,「蔵王チーズ」(クリームチーズ)の生産量は190tで,国内のクリームチーズ生産量の約13%のシェアを占めるに至っている。
また,本願商標が使用されたチーズは,雑誌,パンフレット,新聞記事において継続的に紹介されているほか,テレビ番組においても紹介されており,宮城県,仙台商工会議所といった公的機関の支援も受け,ホームページ等で紹介されているところである。
こうしたことから,本願商標は,商品「チーズ」に使用をされた結果,需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものといえる。
したがって,本願商標「蔵王チーズ」は,商品「チーズ」について商標登録を受けることができるというのが相当である。
以上のことからすれば,本願商標は,その指定商品「チーズ」について,商標法3条2項により商標登録を受けることができるものであり,同法4条1項16号には該当しないものであるから,原査定は取消しを免れない。
その他,本願について拒絶の理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。