1 本願商標
本願商標は、「美酢」の漢字を標準文字で表してなり、第30類「食酢」を指定商品として、平成24年4月4日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5276600号商標(以下「引用商標」という。)は、「ビス」の片仮名を標準文字で表してなり、平成20年10月27日に登録出願、第30類「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食酢,その他の調味料」及び第35類「食酢・その他の調味料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同21年10月30日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「美酢」の漢字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書類に載録された成語とは認められないものの、「美」の文字が「食べ物の味がよいさま。うまいさま。美味。」の意味を有する語として、また、「酢」の文字が「酢酸を含む、すっぱい液体調味料。」の意味を有する語(各語の意味は、「大辞林第三版」(株式会社三省堂発行)から引用。)として、いずれも一般に慣れ親しまれているものであることからすれば、その構成文字に相応して、「ビス」又は「ミス」の称呼を生ずるものであり、「味のよい酢」程の観念を生ずるものといえる。
(2)引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、「ビス」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「ビス」の称呼を生ずるものであり、また、引用商標の指定商品及び指定役務との関係からすれば、特定の観念を生ずることのない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標との類否について検討するに、両者は、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであって、外観において明らかに相違するものであるから、相紛れるおそれはない。
また、本願商標は「ビス」又は「ミス」の称呼を生ずるのに対し、引用商標は「ビス」の称呼を生ずることから、両称呼は、「ビス」の称呼を生ずる点において共通するものである一方、前者から生ずる「ミス」の称呼と後者から生ずる「ビス」の称呼とを比較するときは、両称呼は、語頭音において、容易に聴別し得る「ミ」と「ビ」の音の差異を有するものであって、該差異音が共に2音という短い音構成からなる両称呼に及ぼす影響は決して少なくないといえるから、互いに聞き誤るおそれのないものである。
さらに、本願商標は「味のよい酢」程の観念を生ずるものであるのに対し、引用商標は特定の観念を生ずることのないものであるから、両者は、観念において相紛れるおそれはない。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観及び観念において相紛れるおそれのないものであって、称呼においても、本願商標から「ビス」の称呼を生ずるとした場合においてのみ、引用商標と称呼を同じくするといえるものであるから、これら両商標における異同を総合勘案すれば、両商標をそれぞれ同一又は類似の商品又は役務に使用しても、その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当であり、ほかにこれを左右する特段の事情も見当たらない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。