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Trademark Appeal Case

スポンサーロゴの商標的使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2012−300548(T2012−300548/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第3166555号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3166555号商標(以下「本件商標」という。)は、「DNA」の欧文字と「ディーエヌエイ」の片仮名とを上下二段に横書きしてなり、平成5年1月19日に登録出願、第25類「洋服,コ―ト,セ―タ―類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽」を指定商品として、同8年6月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

なお、本件審判の請求の登録は、平成24年7月24日にされている。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、本件請求人の調査によれば、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、指定商品について使用された事実がない。

なお、上記商品について専用使用権又は通常使用権の設定が登録された事実もない(甲第1号証)。

2 答弁に対する弁駁

(1)答弁書における被請求人の主張によると、被請求人とフィッシング・プロの桐山孝太郎氏(以下「桐山氏」又は「桐山プロ」という。)との間に、被請求人のサングラスをはじめとする商品の広告と商品サポートに関し、「DNA商品サポート基本契約書」(乙第4号証)及び「DNA商品サポート契約に関する覚書」(乙第5号証)を締結し、それらの契約にいう商品には、乙第6号証の写真に示すジャージー製のジャケットが含まれており、そのジャケットの右胸上部に本件商標と社会通念上同一と認められる商標「DNA」が表示され、被請求人は、乙第6号証のジャケットを桐山氏に年間20枚提供することを約束しており、桐山氏は、提供されたジャケットを自己のファンに原則として1枚ずつ有償で譲り渡しているというものである。

(2)確かに、乙第6号証の写真に示されたジャケットの右胸上部には「DNA」のロゴが表示されている。しかし、そのジャケットには、「DNA」のロゴのほかに、「YAMAHA」、「JACKALL」、「KOTA」、「AD」、「YAMALUBE」、「METAL X」、「POWER−POLE」等の各種複数の標章(ロゴ)が表示されている。そのジャケットに表示されたそれら標章(ロゴ)はバスフィッシングの釣り大会の多数のスポンサー企業を大会出場者や大会関係者、大会の見物人に知らしめるためのものであって、それら標章(それらロゴ)からジャケットの特定の製造元や販売元を特定することはできないものと思われる。そうすると、乙第6号証の写真のジャケットに表示された「DNA」のロゴを含む各種複数の標章(ロゴ)は、商標としての機能を発揮する態様の使用ではなく、大会出場者や大会関係者、大会の見物人は、それら標章(それらロゴ)を単なるジャケットのデザインとして認識し、大会出場者や大会関係者、大会の見物人がそれら標章(それらロゴ)からジャケットの出所(特定の取引者)を知ることはできないものと考える。

したがって、乙第6号証の写真のジャケットの右胸上部に表示された「DNA」のロゴ(ジャケットに表示された他の標章も含む)は、商標としての使用ではなく、ジャケットの右胸上部に「DNA」のロゴが表示されていたとしても、商標法第2条第3項第1号若しくは同法第2号に規定する使用には該当しない。

(3)なお、プロスポーツの大会では、選手が身に付けるスポーツウェアー(着衣)に各種複数のスポンサー企業を示す標章(ロゴ)を表示し、その大会のスポンサー企業の名声を広めることが常套手段のように行われ、そのスポーツウェアーの販売も大会会場やWebページで販売されるが、それらロゴは、大会を記念するデザインの一つであって、特定のスポンサー企業において製造販売されたことを示すものではない。ちなみに、ジャケットの製造元や販売元は通常は襟元のタグや袖口のタグに表示されるものであり、需要者はそれを見てジャケットの製造元や販売元を認識する。

(4)次に、被請求人とフィッシング・プロの桐山氏との間に「DNA商品サポート基本契約書」(乙第4号証)及び「DNA商品サポート契約に関する覚書」(乙第5号証)が締結されているが、それら契約は、スポンサー契約であり、被請求人のみならず他のスポンサー企業とも同様の契約を締結するのが通常だと考える。そして、それらサポート契約(スポンサー契約)は、商品の製造契約や販売契約とは異なり、スポンサーの名声を高める見返りとして、プロの選手に活動費等の選手活動に充当する手当を拠出するものである。また、フィッシング・プロの桐山氏がファンの希望者に乙第6号証の写真のジャケットを販売しているとのことであるが、それは、桐山氏が個人的に自己が着用したと同様のジャケットをファンに販売するものであり、桐山氏が被請求人からジャケットを仕入れ、それを不特定多数の需要者に業として販売のするものではなく(桐山氏は、乙第7号証において、バスフィッシングマスターズ等の大会に着用しているウェアをファンより要望があれば、19800円で販売しますとされているが、これは、桐山氏が自己が着用していると同様のジャケットを個人的にファンに販売するといっているだけであり、桐山氏は、フィッシング・プロであって、被請求人との関係において、ジャケットを販売する業者ではない。)、それを証明するたとえば「売買契約書」や「納品書」、「物品受領書」等は存在しない。ところで、通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、黙示の契約によっても可能であり、商標法第50条における通常使用権者による登録商標の使用というためには通常使用権の登録を要するものではないとされているが、被請求人と桐山氏との間のみで(他のスポンサーを排除した状態で)乙第6号証のジャケットの取引を行っている事実(被請求人は、答弁書において乙第6号証のジャケットを桐山氏に年間20枚提供することを約束していると主張しているが、乙第4号証には、DNA製品のイメージアップを図るため、・・・提供するDNA製品は、年間20枚の範囲とするとの文言はあるものの、ジャケットの文言はない。)はなく、桐山氏が被請求人との関係において通常使用権者の立場にあるものとは認められない。

したがって、通常使用権者による本件商標の指定商品における使用の事実がないことは明らかであり、被請求人が主張する本件商標の指定商品における使用はなく、被請求人の主張は、その正当な理由がない。なお付言すると、請求人は、被請求人が本件商標をその指定商品について不使用であると思われることから本審判を請求したのであって、被請求人を害する目的はない。

(5)以上述べたように、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていない。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。

1 被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「DNA」を表示したフィッシング用のジャケットを販促用商品としてサングラスの顧客に無償で譲渡している一方、商標「DNA」を表示したフィッシング用の前記ジャケットについてはフィッシング・プロ(バス)として著名な桐山氏と被請求人との間では「DNA商品サポート基本契約書」を取り交わしている。そして、桐山氏自身もフィッシング大会で表彰を受けた際に着用したのと同じ商標「DNA」を表示したジャケットを桐山氏のファンの求めに応じて有料で販売をしていたのである。ちなみに、請求人は、本件商標に「専用使用権又は通常使用権の設定が登録された事実もない」と主張しているが、商標権についての通常使用権は、商標権者の許諾のみで成立する債権債務の関係であり、商標登録原簿への登録は必要とされない(商標法31条1項、同法35条で準用する特許法98条参照。)。

2 本件審判の請求人に関する疑念

請求人は、「神奈川県横浜市港北区大倉山・・・」に住まいすると記載される自然人「貝塚・・・」いうことであり、実在する人物か否かは不知である。請求人は、Googleマップ(乙第1号証)に表示される記載からみて、マンションの1室で生活をしているものと推認できる。しかして、この乙第1号証からみて、請求人の住所には、被服・下着類の商品やスポーツ類関係の商品を製造する工場や生産施設の存在は表示されておらず、しかも、これらの商品を展示販売している店舗の存在も表示されていない。してみれば、請求人が当該業務を営んでいないものと云える。

さらに、Google検索で請求人の氏名をサーチしてみると、“貝塚さん:「ち」(1)名前占い・姓名判断・名つけ名前占いで自分探し・人...”という項目2件と、“貝塚−スポーツ wiki 選手辞典”という項目が1件が検出されただけであり、後者の“貝塚−スポーツ wiki 選手辞典”の項目には「2012年3月20日 −[商願2012−57605]:http://t.co/oXm・・・/出願人:貝塚・・・/出願日:2012年7月4日/区分:25(洋服など)・・・」といった請求人の商標登録出願の事実が紹介されているのみで、請求人がインターネットを取引手段としてネット販売をする上に不可欠なe−メールのアドレスが全然記載されていない。ネット取引を業としているのなら実際に、どのように全国に散在する不特定多数の需要者と商取引を行うというのであろうか。請求人がネット販売を行うことは事実上不可能といわねばならない(乙第2号証)。

そこで、乙第2号証に請求人と表示された商願2012−57605号の公開商標公報(乙第3号証)には、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として商標登録出願いる事実が記載されている。

しかし、請求人自身は、前示の乙第1号証及び乙第2号証の記載事実からも明らかなとおり、自己の業務に係る商品として前記各指定商品について出願商標「DNA」を使用していないのである。自分自身が当該商標「DNA」を使用する当てもないのに本件商標権を不使用と主張して横取りしようと図るのは、信義誠実の原則にもとり、たとえ、現行商標法50条1項の不使用取消審判が、“何人も”請求する立前上、採用しているとしても、権利の濫用というべきであり、民事訴訟法2条の規定の趣旨に照らして、当該商標登録の取消請求は、許されない。民事訴訟法2条の規定を商標法に読み替え準用して示すならば、「特許庁は、審判手続が公正かつ迅速に行われるように努め、当事者は、信義に従い誠実に審判手続を追行しなければならない。」ということになろう。

なお、請求人の商願2012−57605号の商標出願に対しては、被請求人は、商標法3条1項柱書の登録要件を欠如しているとして、別途、「刊行物等提出書」を特許庁長官に提出している(乙第9号証)。

3 被請求人らによる第25類商品の使用事実

被請求人は、フィシング・プロの「桐山氏」との間に、被請求人のサングラスをはじめとする商品(DNA商品という)の広告と商品サポートに関し「DNA商品サポート基本契約書」(乙第4号証)、及び「DNA商品サポート契約に関する覚書」(乙第5号証)を何れも2012年4月1日に締結している。そして、この乙第4号証及び乙第5号証の契約にいうDNA商品には、乙第6号証の写真に示すジャージー製のジャケットが含まれており、同ジャケットの右胸上部には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「DNA」が表示されている。被請求人は、乙第6号証のジャケットを桐山プロに年間20枚提供することを約束しており(乙第4号証の第2条但し書)、桐山プロは、前記提供されたジャケットを自己のファンに原則として各一着ずつ有償で譲り渡している(乙第7号証)。

ちなみに、被請求人と前記フィッシング・プロ「桐山氏」とは、乙第4号証「DNA商品サポート基本契約書」を締結している間柄であるから深い信頼関係が成立しているのであって、被請求人は、桐山プロの名声と収益の向上を願っているので、桐山プロが乙第6号証のジャケットをファンに有償譲渡することに異存はなく、契約書に条文を明記してはないけれども、通常使用権が容認されているのである。

なお、念のため桐山プロについて補足説明をしておくと、[http://www. dnaoptics.com/riders/detaiIs.html・・・]に掲載された“DNA RIDERS”のサイト(乙第8号証)には、「1998年よりバスフィッシングの本場アメリカツアーに参戦し草分け的存在となる。2000年にはバスマスタークラシック4位に入賞(日本人最高順位)、2008年8月にはついに、念願のバスマスターエリート優勝を果した。 2000〜2002年、2008〜2010年とクラシック連続出場の偉業を果たし、名実とも世界の桐山となっている。」と桐山氏本人が大きなバスを片手で持ち上げた写真と共に紹介されている。

4 結論

よって、請求人の主張は、成り立たない。

第4 被請求人に対する審尋

被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成21年7月24日から平成24年7月23日までの期間(以下「要証期間」という。)に、日本国内において、要証期間内の商標権者である三谷オプチカル株式会社若しくはハート光学株式会社、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用(商標法第2条第3項各号に規定する使用のいずれか)をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れない。

1 被請求人提出に係る乙各号証に関する暫定的な見解

被請求人は、要証期間内に日本国内において、その請求に係る指定商品中に含まれる「ジャージー製のジャケット」について、通常使用権者が本件商標を使用している旨主張し、乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。

しかしながら、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間内に日本国内において、該商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用(商標法第2条第3項各号に規定する使用のいずれか)をしていることを、被請求人が証明したものとは認められない。

(1)乙第4号証について

乙第4号証の「DNA商品サポート基本契約書」の1行目から2行目にかけて記載されている「甲が所有するDNAブランド商標商品(以下『DNA商品』という)」には、具体的な商品名の記載がないため、請求に係る指定商品が含まれているかどうか確認できない。

乙第4号証の「DNA商品サポート基本契約書」の第13条(従前の契約)の1行目に記載されている「(三谷オプティカルと乙との契約を含む。)」とは、その意味内容が明らかではない。

(2)乙第5号証について

乙第5号証「DNA商品サポート契約に関する覚書」の5の1行目(左側頁の下から2行目)に記載されている「(三谷オプティカルと乙との契約を含む。)」とは、その意味内容が明らかではない。

(3)乙第6号証について

乙第6号証の写真に写っている「ジャージー製のジャケット」は、いつ、どこで、誰が着用し、商標法第2条第3項各号に規定する本件商標の使用をどのように行ったものか明らかではない。また、乙第6号証の写真は、いつ撮影されたものか明確ではない。

乙第6号証の写真は、使用商標が一部不鮮明である。したがって、使用商標が明確に確認できる乙第6号証の写真を提出されたい。

(4)乙第7号証について

乙第7号証には、日付がない。

2 被請求人は、本件商標の使用が商標法第2条第3項第何号の使用であるか明らかにされたい。

(1)本件商標の使用が商標法第2条第3項第1号の使用である場合

乙第6号証に写っている「ジャージー製のジャケット」が、商標法上の商品として取引されていることを明らかにするために、要証期間内における、該「ジャージー製のジャケット」の取引書類(例えば、発注伝票、納品伝票、請求伝票等)等であって、いずれも、使用された年月日、発行者、使用商品及び本件商標等が明確に把握できる資料を提出されたい。

(2)本件商標の使用が商標法第2条第3項第2号の使用である場合

ア 乙第6号証に写っている「ジャージー製のジャケット」が、商標法上の商品として取引されており、かつ、譲渡されたことを明らかにするために、要証期間内における、該「ジャージー製のジャケット」の取引書類(例えば、売買契約書、販売伝票、発注伝票、納品伝票、請求伝票等)等であって、いずれも、使用された年月日、発行者、使用商品及び本件商標等が明確に把握できる資料を提出されたい。

イ 桐山氏が前記アの譲渡をする前の日付に作成された、同氏が通常使用権者であることを証明する書面を提出されたい。

なお、桐山氏が通常使用権者であることを証明する書面は、現在の商標権者であるハート光学株式会社と同氏との契約でなくとも、同氏が前記アの譲渡をする前の日付に作成された書類であれば、例えば、要証期間内の商標権者である三谷オプチカル株式会社と同氏との契約であっても差し支えない。

(3)本件商標の使用が商標法第2条第3項第8号の使用である場合

ア 例えば、桐山氏が、要証期間内に開催された日本国内の大会において、明確に把握することができる本件商標を付した請求に係る指定商品に属する商品を着用して、広告を行っていることを証明する書面を提出されたい。

イ 桐山氏が前記アの広告をする前の日付に作成された、同氏が通常使用権者であることを証明する書面を提出されたい。

なお、桐山氏が通常使用権者であることを証明する書面は、現在の商標権者であるハート光学株式会社と同氏との契約でなくとも、同氏が前記アの広告をする前の日付に作成された書類であれば、例えば、要証期間内の商標権者である三谷オプチカル株式会社と同氏との契約であっても差し支えない。

3 その他、要証期間内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者によって、本件商標をその指定商品について、使用していた事実を立証する証拠(例えば、広告等が掲載された新聞、雑誌等の印刷物、カタログやパンフレット、取引の際使用される販売伝票、発注伝票、納品伝票、請求伝票等の取引書類等であって、いずれも、使用された年月日、発行者、使用商品及び本件商標等が明確に把握できる資料)を提出されたい。

第5 審尋に対する被請求人の回答

合議体は、上記第4の審尋を被請求人に送付し回答を求めたが、被請求人は、指定した期間を経過するも、何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断

1 被請求人提出の乙各号証によれば、次のとおりである。

(1)乙第4号証は、「DNA商品サポート基本契約書」と称する書類であるところ、左側頁の1行目ないし2行目には、「・・・甲が所有するDNAブランド商標商品(以下『DNA商品』という)の広告と商品サポートに関して、次の通り契約を締結する。」の記載がある。また、右側頁には、「2012年4月1日」、「(甲)福井県・・・/ハート光学株式会社/代表取締役社長・・・」、「(乙)千葉県・・・/桐山・・・」の記載があり、甲の代表取締役社長及び乙の押印がある。

(2)乙第5号証は、「DNA商品サポート契約に関する覚書」と称する書類であるところ、左側頁の1行目ないし2行目には、「ESPAバスマスターズクラシック(USA)もしくはFLWチャンピオンシップ(USA)の出場権を獲得したとき、1,000USドルを支払う。」の記載があり、右側頁には、「2012年4月1日」、「(甲)福井県・・・/ハート光学株式会社/代表取締役社長・・・」、「(乙)千葉県・・・/桐山・・・」の記載があり、甲の代表取締役社長及び乙の押印がある。

(3)乙第6号証は、撮影日がない2葉の写真であるところ、上の写真に写された「ジャージー製のジャケット」には、別掲1のとおり、襟元に付されたタグのほかに「YAMAHA」、「DNA」、「SHImAno」、「JACKALL」、「FISHNORTHALABAMA.ORG」等10個以上のいろいろな標章が付されており、また、下の写真の右胸には、別掲2のとおりの標章(以下「本件使用商標」という。)が付されている。

(4)乙第7号証は、書類名及び作成日の記載がない書類であるところ、「・・・ファンより要望があれば下記の価格にて販売しています。/(署名)桐山・・・/記/ジャージ 19800円」の記載がある。

(5)乙第8号証は、2012年10月3日付けで印刷された桐山氏の経歴を紹介したウェブサイトであるところ、「DNA OPTICS RIDER」、「DNA RIDERS」、「桐山・・・」及び「1998年よりバスフィッシングの本場アメリカツアーに参戦し草分け的存在となる。・・・」の記載がある。また、釣り人がジャケットを着た写真が掲載されている。そして、このジャケットは、乙第6号証の上の写真に写された「ジャージー製のジャケット」とは異なるデザインであり、本件商標を確認することもできない

2 上記によれば、以下の事実が認められる。

商標権者と桐山氏は、2012年4月1日に「DNA商品サポート基本契約書」(乙第4号証)及び「DNA商品サポート契約に関する覚書」(乙第5号証)により、DNA商品に関する基本契約及びDNA商品サポート契約に関する覚書を結んでいることが認められる。

また、乙第4号証及び乙第5号証に記載された「DNA商品」とは、どのような商品であるのか明らかにされていないため、具体的な商品は不明である。

乙第6号証の下の写真に写っている「ジャージー製のジャケット」の右胸の標章は、別掲2のとおり、本件商標には存在しない図形部分及び「optics」と思しき文字部分を有している本件使用商標が付されており、当該写真の撮影時期は不明である。また、そこに写っている「ジャージー製のジャケット」は、いつ、誰が製作し、どのような経路を経て実際に何枚流通したものかも明らかにされていない。

3 判断

(1)使用時期について

被請求人提出の乙第6号証の写真は、その撮影時期が不明であり、乙第7号証の書類には作成日の記載がない。また、乙第6号証及び乙第7号証以外に被請求人から本件商標を要証期間内に使用した事実を証明する証拠の提出はない。

したがって、本件商標を要証期間内に使用した事実は、何ら証明されていない。

(2)使用商標について

ア 商標としての使用について

本件使用商標は、別掲1のとおり、襟元に付されたタグのほかに「YAMAHA」、「SHImAno」、「JACKALL」等10個以上のいろいろな標章とともに「ジャージー製のジャケット」の右胸に付されている。このように「ジャージー製のジャケット」には、襟元に付されたタグのほかに10個以上の標章が付されており、これらが同時に商品「ジャケット」の出所表示機能を有するということはできない。それぞれの標章が「ジャケット」の製造元や販売元を特定しているということができない以上、本件使用商標は、自他商品の出所を表示する商標として使用されたものとは認められない。

イ 本件商標と本件使用商標の同一性について

本件使用商標は、本件商標には存在しない図形部分及び「optics」と思しき文字部分を有しており、構成全体をもって一体のものとして把握、認識されるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。

以上のとおり、本件使用商標は、自他商品の出所を表示する商標として使用されたものとは認められず、かつ、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。

(3)使用者について

「DNA商品サポート基本契約書」(乙第4号証)によれば、商標権者と桐山氏は、DNA商品に関する基本契約書を結んでおり、同時に「DNA商品サポート契約に関する覚書」(乙第5号証)を締結しているとしても、乙第4号証及び乙第5号証に記載された「DNA商品」とは、どのような商品であるのか明らかではないから、桐山氏を請求に係る指定商品についての通常使用権者と認めることはできない。

加えて、被請求人は、商標権者又は専用使用権者が使用した事実を明らかにしていない。

したがって、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが使用した事実は、証明されていない。

(4)使用商品について

被請求人は、上記第4の審尋に対して、乙第6号証に写っている「ジャージー製のジャケット」が商標法上の商品として実際に取引されたことを明らかにしていない。

したがって、当該ジャケットが商標法上の商品として取引された事実は、証明されていない。

(5)使用場所について

乙第5号証には、「ESPAバスマスターズクラシック(USA)もしくはFLWチャンピオンシップ(USA)の出場権を獲得したとき、1,000USドルを支払う。」の記載があり、乙第6号証の上の写真には、「FISHNORTHALABAMA.ORG」の標章が写っており、また、乙第8号証には、「1998年よりバスフィッシングの本場アメリカツアーに参戦し草分け的存在となる。」の記載があることからすると、乙第6号証の写真に写された「ジャージー製のジャケット」は、米国の大会での着用を前提とするものであり、日本国内での使用を明らかにするものではない。また、被請求人は、他に「ジャージー製のジャケット」を日本国内で使用した事実を明らかにしていない。

したがって、本件商標が「ジャージー製のジャケット」について日本国内で使用された事実は、証明されていない。

4 まとめ

以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成24年7月24日)前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明したものとは認められない。

他に、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定商品について使用されていたものと認めるに足る証拠はない。

また、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があるものとも認められない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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