結論テキスト
本願商標は、登録すべきものとする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 不服2012−650094(T2012−650094/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本願商標は、「EB66」の欧文字及び数字を横書きしてなり、第1類、第5類及び第42類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2010年12月22日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2011年(平成23年)5月20日に国際商標登録出願されたものであり、その後、本願の指定商品及び指定役務については、原審における平成24年5月7日付け手続補正書及び当審における2012年10月9日付けで国際登録簿に記録された限定の通報があった結果、最終的に、第1類及び第5類に属する別掲に記載のとおりの商品になったものである。
原査定は、「本願商標は、『EB66』の欧文字及び数字を普通に用いられる方法で表してなるところ、本願の指定商品及び指定役務を取り扱う分野においては、関連する商品又は役務を表す記号として普通に用いられている欧文字2字の『EB』と数字『66』の組合せにすぎないものであり、自他商品・役務の識別標識とは認識し得ないものであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
本願商標は、サンセリフ体で表された「EB66」の欧文字及び数字を横書きしてなるところ、これに接する者をして、容易に欧文字「EB」の2字と数字の「66」とを組み合わせてなるものと看取、理解されるものであって、一般に欧文字2字と数字とを組み合わせたものが商品の品番・種別等を表すための記号・符号として広範かつ類型的に使用されていることからすれば、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなるものと認められる。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(1)請求人は、本願商標が、自らが開発したワクチンの開発・製造に供されるアヒルの胚性幹細胞由来の細胞や細胞株の名称として、また、これらを用いた技術の名称として請求人のみが使用しているものであり、ワクチンの開発・製造を行う限られた製薬会社などを取引者、需要者とするものであるから、本願商標は、請求人の商品を表すものとして取引者、需要者に広く認識されているものである旨主張し、証拠方法として甲第4号証及び甲第10号証ないし甲第16号証を提出している。
(2)請求人の提出に係る甲各号証によれば、「EB66」について次の事実が認められる。
ア BioJapan2011のウェブサイト中の請求人の100%子会社である「ビバリス トヤマ ジャパン」の出展内容を紹介するページにおいて、「EB66(R)細胞技術(高濃度培養に安定で、高効率のタンパク質製造技術):当社が開発したアヒルの胚幹細胞(ES)由来のEB66(R)細胞は、通常の細胞培養に比べて100倍効率よくタンパク質を製造することを可能にし、さらに、得られるタンパク質のフコース含量が低いことから、例えば、抗体の場合、通常の方法で得られた抗体タンパク質に比べて、抗体依存性細胞障害活性(ADCC)が100倍強いことが分かっています。これにより当社は、より生物活性の高いワクチンや抗体医薬などを低コストで提供することができます。」の記載がある(甲第4号証)。
イ 「一般財団法人 化学及血清療法研究所」の2012年9月14日付けプレスリリースにおいて、「細胞培養新型インフルエンザワクチンの第3相臨床試験開始について」の見出しの下、「厚生労働省は『新型インフルエンザワクチン開発・生産体制整備事業(以下:本事業)』において、パンデミック発生時に生産期間の短縮が期待出来る体制の構築を主導しています。化血研は本事業に貢献するため、GSKと共同で 1)Vivalis社からライセンスを受けているEB66(R)細胞、2)双方が所有する細胞培養の技術、さらにGSKのアジュバント技術を統合して本剤の国内生産・供給体制の早期構築を目指しています。」及び「今回使用するEB66(R)細胞は、Vivalis社(フランス)の占有技術によって樹立された細胞で、インフルエンザワクチン用にGSKにライセンスされています。この細胞は無血清浮遊培養が可能で、インフルエンザや他のウイルスをベースとした、人体用及び動物用のワクチンの効率的な生産に利用することができます。」の記載がある(甲第14号証)。
ウ 請求人の2011年6月21日のプレスリリースにおいて、「VIVALIS SIGNS A NEW COMMERCIAL LICENSE FOR THE EB66(R) CELL LINE WITH KYOTO BIKEN LABORATORIES(VIVALISは、京都微研(株式会社微生物化学研究所)とEB66について新規の商業的なライセンス契約を結んだ)」の見出しの下、「ナント及びリヨン(フランス)、及び、京都(日本)−2011年6月21日、VIVALIS(バイオ製薬会社)は、本日、京都微研(日本における動物ワクチン製造企業最大手の1つ)と、VIVALISのアヒル胚性幹細胞株であるEB66(R)を使用して家畜ワクチンを製造することについて商業的なライセンス契約締結に入ったことを発表した。」旨の記載がある(甲第15号証)。
(3)当審における職権調査によっては、平成22年9月14日に開催された「ワクチンフォーラム2010」(ワクチン開発研究機関協議会主催、厚生労働省後援)における発表資料「組替えインフルエンザHAワクチン(H5N1)の開発」(http://www.nibio.go.jp/SuperTokku/vaccine/forum/2010/pdf2010/nakata_ppt.pdf)の5頁に、インフルエンザワクチンの製造方法の一つである細胞培養に用いられる細胞の一つとして「EB66細胞」が記載されていることが認められ、他方、本願商標の「EB66」の欧文字及び数字を、本願の指定商品について商標として使用する者は、請求人以外見いだせなかった。
(4)以上からすれば、新型インフルエンザの対策の一環として、ワクチンの生産・供給体制の整備が国際的な課題となっており、請求人がアヒルの胚性幹細胞より独自に開発した培養用の細胞、細胞株である「EB66」は、従来の細胞や細胞株より効率よくインフルエンザ等のワクチンを製造するための抗体タンパク質が得られるものであるため、国内外のインフルエンザ等のワクチンを開発・製造する製薬会社等に注目され、各社とライセンス契約を結び、提供されているものである。
また、ライセンス契約を報じるプレスリリース等において、「EB66」は、請求人が開発し、提供している培養用の細胞、細胞株として記載されており、厚生労働省が後援するワクチンに関するフォーラムの発表資料にもインフルエンザワクチンの製造に用いられる細胞として紹介されていることからすれば、本願の指定商品の取引者、需要者であるワクチンの開発・製造を行う製薬会社等において、「EB66」が請求人が提供する商品を指称するものとして、広く知られていることが認められる。
そうとすると、本願商標は、請求人によって使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものと判断するのが相当である。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を満たすものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものの、同法第3条第2項により商標登録を受けることができるものであるから、原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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