Trademark Appeal Case
象図形商標の類否判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91057号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4274076号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に表示したとおりの構成よりなり、平成9年12月9日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成11年5月21日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号又は同第19号に該当し、その登録は取り消されるべきである。
3 本件商標に対する取消理由の要点
登録異議申立人ハンティング ワールド エルエルシ−(以下、「申立人」という。)の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、別掲の(2)ないし(4)に示すとおりのシルエット風に描かれた「黒塗りの象」の図形と「HUNTING WORLD」及び他の文字との結合よりなる商標(以下、これらを合わせて「引用商標」という。)を「かばん類,被服類」等について使用した結果、引用商標は、本件商標登録出願時には、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
しかして、本件商標は、一般に知られ、親しまれた象をシルエット風に黒塗りにて表してなるものであるから、これに接する者は、シルエット風に表された「黒塗りの象」の図形として把握、認識し、該図形に相応して「クロヌリゾウ」の称呼及び「黒塗り象」の観念を生ずるものと認められる。
他方、申立人に係る引用商標は、「HUNTING WORLD」及びその他の文字とシルエット風に表された「黒塗りの象」とよりなるものであるところ、該構成中の「黒塗りの象」の図形も独立して自他商品の識別機能を果たし、取引者、需要者の間に広く認識されているものであるから、該「黒塗りの象」の図形部分に相応して生ずる「クロヌリゾウ」の称呼及び「黒塗り象」の観念をもって把握、認識されているものと認められる。
そうとすれば、本件商標を構成する「黒塗り象」の図形と引用商標とは、子細に観察すれば、その構成態様を相違するとしても、一般に知られ親しまれた「象の図形」であって「黒塗り象」として把握、認識されるものというを相当とし、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「黒塗り象」について広く認識されている引用商標を連想、想起し、その類型のもの又は新しいシリーズに係るものであるかの如く、誤認、混同し、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見の要点
(1)商標権者は、他分類において、申立人から「象のマーク」(登録第4092165号商標)に対して同種の異議申立てを受けたが、「理由がない」との異議決定がされた。よって、本異議申立ても理由がない。
(2)同様に「象」のマークに「HUNTING SPIRIT」の文字を組み合わせた商標(登録第4095409号商標)に対して、申立人より異議申立てを受けたが、「理由がない」との異議決定がされた。
(3)その他、商標権者の「HUNTING」の関連商標が申立人のものであるとの理由で異議申立てを受けたが、「理由がない」との異議決定がされた例として、HUNTING CLUB/ハンティングクラブ(第18類)登録第3369784号ほか、12件の異議決定例を提出する。
(4)「HUNTING」関連商標について商標権者が登録を得た例として、HUNTING CLUB ハンティングクラブ(09類)登録第3341373号ほか、18件の登録例を提出する。
(5)また、取消理由通知書で「本件商標は黒塗りの象の図形を表してなるところ、引用商標も黒塗りの象の図形と文字よりなるものであるから、容易に引用商標ないしは申立人を想起させる」と指摘するが、そもそも両商標ともに「象」を描いたのであるから、同じ観念を生ずるのは当然である。
しかし、引用商標が申立人の創作した動物であったり、「ミッキーマウス」程の具象化された動物(ねずみ)であれば申立人の主張も理解できるが、ただ単に誰もが知る「象」の絵柄をそれも自然に描いたものに、特定の個人や法人に所有権が発生するとは考えられない。
そうすれば一般にすべての良く知られた動物は何も使用できなくなる。
「象」を含めた一般の各種「動物」の絵柄の登録商標が、多数存在している例を第5号証として提出する。登録の現状を考えると、「動物」を自然に描いたものは「特徴性がない」ものといえる。
よって、本件商標は、取り消されるべきものではない。
5 当審の判断
本件商標は、その指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者をして容易に引用商標を連想、想起させるから、申立人又は申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。したがって、商標法第4条第1項第15号に該当するとの理由により、本件商標の登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見(上記4)は、以下の理由により、採用することができない。
(1)商標権者は、第18類、第14類、第25類などの異議決定例或いは登録例を挙げて、本件商標の登録は維持されるべきである旨主張する。
しかしながら、本件商標は、シルエット風に表された黒塗りの象の図形として把握、認識される点において引用商標と視覚上の共通性を有しているのに対し、商標権者の挙げる異議決定例、登録例の商標は、象の図形であっても引用商標との共通性が希薄であったり、文字のみからなる商標であったりと、本件商標とは商標の構成を異にするものであるから、これらは上記判断を左右するものでないこと明らかである。
(2)商標権者は、本件商標、引用商標ともに「象」を描いたものであり、同じ観念を生ずるのは当然である。「象」を自然に描いたものに、特定の個人や法人に所有権が発生するとは考えられない。そうすれば一般によく知られた動物は使用できなくなる旨主張する。
しかしながら、先に開示した本件商標の取消理由は上記3のとおりであって、本件商標は、黒塗りの象という共通性故に、かばん類、被服類などの商品における引用商標の強い著名性に照らせば出所の混同を生ずるおそれがあるものと認定せざるを得ないのであり、単に「象」を観念することを理由とするものではない。
引用商標の象の図形は独創性が高いものと認められるが、仮に、動物の姿態を自然に描いた商標であっても著名性を獲得し得ることはいうまでもないことである。そして、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標は、動物の姿態を自然に描いた商標であれ独創的に描いた商標であれ登録を受けられないことは商標法上当然であって、この点に関する商標権者の主張も採用の限りでない。
以上のとおりであって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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