Trademark Appeal Case
称呼類似性と全体観察
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2013−900065(T2013−900065/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5540943号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成24年3月13日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供」を指定役務として、同年11月21日に登録査定、同年12月7日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立ての理由
(1)商標法4条1項11号について
ア 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5162671号商標(以下「引用商標」という。)は、「ふふ」の平仮名を横書きしてなり、平成19年7月13日に登録出願、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,会議・集会のための施設の提供」を指定役務として、同20年8月29日に設定登録されたものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標より生ずる「ウフフ」の称呼と引用商標より生ずる「フフ」の称呼は、きわめて類似するものである。また、本件商標の「うふふ」は、広辞苑等の国語事典によれば、「口をあまり開かないで小さく笑う声」であるのに対し、引用商標の「ふふ」は、「ふふっと笑う」などのように「柔らかい意味合いを持たせた女性のたおやかな笑顔と笑うしぐさ」を表現した語であるから、両者は、女性の控えめな笑いをイメージさせる点において極めて強い共通性を有し、観念においても類似する。
したがって、本件商標は、引用商標と称呼及び観念において類似する商標であって、その指定役務中の「宿泊施設の提供」は、引用商標の指定役務に含まれるものである。
(2)商標法4条1項15号について
申立人は、「熱海ふふ」なる屋号の旅館を平成19年から営業している。当該旅館は、雑誌、テレビ等を通じて広告され、本件商標の登録出願時には、高級旅館としての名声を確立しており、周知性を獲得していた(甲2〜9)。
したがって、上段に「うふふ」と書してなる本件商標をその指定役務中の「宿泊施設の提供」について使用するときは、申立人の営業する旅館「熱海ふふ」と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
(3)むすび
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中「宿泊施設の提供」について、商標法4条1項11号及び同15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法4条1項11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、「うふふ」の平仮名と「ufufu」の欧文字と「雲風々」の漢字を三段に横書きにしてなるところ、上段の「うふふ」の文字から下段の「雲風々」の文字に行くに従い、文字の幅・高さ・太さを増して表し、下段の「雲風々」の文字部分は、他の文字部分に比べ大きく表されているばかりでなく、文字の画数においても、他の文字部分に比べ圧倒的に多いといえるから、下段の文字部分が、本件商標において、外観上最も需要者の注意を強く引く部分であるといえる。
そして、下段の「雲風々」の文字部分は、特定の成語でもなく、馴染まれた文字列でもないことから、当該部分のみからは、その称呼が特定しづらいものであるが、本件商標中の上段の「うふふ」及び中段の「ufufu」の文字部分からの称呼「ウフフ」を併せ考慮すると、上段、中段の平仮名及び欧文字は、下段「雲風々」の読みを特定する部分と解され、下段の「雲風々」の文字部分からは、「ウフフ」の称呼を生ずると理解し得るものである。
してみると、本件商標は、その構成中最も小さく表されている「うふふ」の文字部分のみを分離、抽出して観察すべきものではなく、構成全体をもって、一つの商標を表したと認識されるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体より、「ウフフ」の称呼を生ずるものであって、構成全体として、特定の観念を有しない造語を表したものと認識されるものである。
イ 引用商標
引用商標は、前記2(1)アのとおり、「ふふ」の平仮名を横書きにしてなるものであるから、これより「フフ」の称呼を生ずるものであるところ、当該「ふふ」の文字は、多数の国語辞典の類によっても馴染まれた意味合いを有する語としては、見あたらないことから、造語として認識されるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標は、上記アの認定のとおり、その構成中の「うふふ」の文字部分のみを分離して観察すべきものではなく、構成全体をもって、一つの商標を表したものと認識されるものであることから、本件商標と引用商標は、それぞれの構成態様からして外観上明らかに相違するものである。
また、本件商標より生ずる「ウフフ」の称呼と引用商標より生ずる「フフ」の称呼は、「ウ」の音の有無の差異を有するものであるところ、該差異音は、称呼における識別上最も重要な要素を占める語頭に位置するものであり、これが短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものではなく、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても、称呼全体の語調、語感が相違したものとなり、互いに紛れるおそれはないものである。
さらに、両商標における観念上の比較においては、両商標とも特定の観念が生じないものであるから、観念上、類似するところがないものといわざるを得ない。仮に申立人主張の如く引用商標から観念が生じることがあるとしても、本件商標から特定の観念が生じないことから、両商標は観念上類似するところがないものである。
したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
エ 以上によれば、本件商標は、商標法4条第1項第11号に該当するものと認めることはできない。
(2)商標法4条1項15号について
ア 引用商標の著名性
申立人は、その営業に係る旅館「熱海ふふ」は、雑誌、テレビ等を通じて広告され、本件商標の登録出願時には、周知性を獲得していた旨主張し、甲2〜9を提出している。
そこで検討するに、本件商標の登録出願前に発行されたと認め得る雑誌「商店建築」(平成20年4月1日発行:甲4)には、「“LUXURY RYOKAN”」として、申立人の営業に係る旅館「熱海ふふ」が紹介されているが、当該雑誌は、その題名からも明らかなように、様々な商業的建物の構造・様式などを紹介するものであり、旅館「熱海ふふ」も、「有機的なものを際立たせる空間」の見出しのもと、高級感のある旅館としての建築様式等の紹介であって、宿泊施設としての各種サービス等の内容を紹介するものではなく、その読者も限定されているといえる。
また、雑誌「Z(ジー)」(2008年(平成16年)3月号:甲5)にも旅館「熱海ふふ」が、「旅館でありながら、モダンなプライベート空間に満たされた、革新の旅館。」と紹介されているが、当該雑誌がどの程度の部数発行されたのかが明らかではないことから、周知性を認定するには足りないものといわざるを得ない。
さらに、申立人が「旅館部門第3位表彰盾」と称する写真(甲9)の表示内容から、「一休.com」を運営するサイトを通じて申し込みのあった中で、2010年(平成18年)及び2011年(同19年)の両年において、旅館「熱海ふふ」が、東日本エリアにおける旅館部門での販売額ランキングが3位であったことが認められるものの、ここでの調査対象は、そもそも、「一休.com」のサイトを通じて申し込みのあった範囲内にとどまるものであり、さらに、宿泊施設であるホテルやリゾート施設を除く、「旅館」に限られているものであることからすれば、本件商標の出願時において、旅館の名称である「熱海ふふ」の標章が周知性を有していたとは認めることができない。
加えて、申立人がJTBの旅館紹介パンフレットと称する「優雅 華やぎ」(甲6)においては、2〜3枚目(春夏’11.4/1〜9/30発)及び4〜5枚目(秋冬’11.10/1〜’12.3/310発)の2種類のパンフレットのみが本件商標の出願前のものと認め得るが、これらのパンフレットの3枚目及び5枚目の左下にある頁表示(33,37)からすると、他の多くの宿泊施設とともに、その一つとして「熱海ふふ」が掲載されているにすぎないものであり、これをもって「熱海ふふ」が周知性を有しているということはできない。
したがって、上記の甲4〜6及び9を総合考慮しても、本件商標の登録出願時において、「熱海ふふ」の標章が周知性を有していたとは認めることができない。
その他、提出された証拠のうち、「熱海ふふ」のパンフレット(甲2)は、作成日又は発行日が不明であり、本件商標の登録出願時において周知性を有していたかの判断材料とはなり得ないものであり、そのほかの証拠(甲3、甲6の1枚目、6枚目〜9枚目、甲7及び8)は、いずれもその表示内容若しくは日付け表示から本件商標の登録出願後に発行されたものと認められる。
してみると、申立人の提出した証拠をもってしては、「熱海ふふ」の標章が申立人の業務に係る宿泊施設の提供を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることは困難であるといわざるを得ない。
イ 本件商標と「熱海ふふ」の標章の類似性
仮に「熱海ふふ」の標章が申立人の業務に係る宿泊施設の提供を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間にある程度知られていたとしても、本件商標と「熱海ふふ」の標章とは、以下のとおり、非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。
上記(1)ウの認定のとおり、本件商標は、「ふふ」の文字よりなる引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきであるから、引用商標に「熱海」の文字を付加した「熱海ふふ」の標章は、本件商標との類似の程度はさらに低いというべきである。
仮に「熱海ふふ」における「熱海」の文字部分が役務の提供場所を表し、自他役務の識別機能を有しない部分であると理解される場合においても、「熱海」を除いた「ふふ」の文字と本件商標とは、上記(1)ウの認定のとおり、外観、称呼及び観念において類似するものとはいえないことから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであり、この認定を左右する事情は、提出された全証拠によっても見あたらないものである。
ウ 小括
以上によれば、本件商標に接する需要者は、申立人の営業に係る旅館「熱海ふふ」を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、これをその指定役務中の「宿泊施設の提供」について使用しても、該役務が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法4条1項15号に該当するものと認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中の「宿泊施設の提供」について、商標法4条1項11号及び同15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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