Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2012−900373(T2012−900373/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
登録第5526442号商標(以下「本件商標」という。)は、「KyphoBond」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年4月11日に登録出願、第10類「医療用機械器具,骨欠損部充填材,人工骨,人工移植片,人工靭帯,人工腱,人工器官,人工関節・人工骨等を人体に固定するためのセメント」を指定商品として、同年8月24日に登録査定、同年10月5日に設定登録されたものである。
第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 引用商標
申立人が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(4)のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4439134商標(以下「引用商標1」という。)は、「KYPHON」の欧文字を標準文字で表してなり、1999年9月3日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成12年3月2日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同年12月8日に設定登録されたものである。
(2)登録第4586942商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、2000年9月7日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成13年3月7日に登録出願、第10類「医療用機械器具」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定商品及び指定役務として、同14年7月19日に設定登録されたものである。
(3)登録第4814120商標(以下「引用商標3」という。)は、「KYPHOS」の欧文字を標準文字で表してなり、2003年11月26日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成16年5月25日に登録出願、第10類「医療用割れ目補てん用器具,医療用骨補てん用器具,外科手術用機械器具,内科用医療用機械器具,その他の医療用機械器具,内科・外科・整形外科用骨セメント及びリン酸カルシウムセメントその他の骨補てん用材料,その他の補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。)」を指定商品として、同年10月29日に設定登録されたものである。
(4)登録第5113482商標(以下「引用商標4」という。)は、「KYPHON QV−R」の欧文字及び記号を標準文字で表してなり、平成19年1月11日に登録出願、第5類「外科用又は整形外科用骨接合剤,薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」及び第10類「外科用骨セメント,整形外科用骨セメント,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),業務用美容マッサージ器,医療用機械器具,家庭用電気マッサージ器,医療用手袋,しびん,病人用便器,耳かき」を指定商品として、同20年2月22日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていうときは「引用各商標」という。
2 具体的理由
(1)本件商標と引用各商標との対比
本件商標を構成する「Bond」の文字は、取引者・需要者をして直ちに接着剤を想起させて商品の品質を表示すると認識させ、自他商品の識別機能を果たさない部分と認められるから、本件商標は、「Kypho」の文字部分に分離されて認識されるばかりでなく、簡易・迅速を旨とする現今の商取引の実際においては、本件商標の「Kypho」の文字部分のみが独立して自他商品の識別機能を果たすと理解されるところである。
したがって、本件商標「KyphoBond」は、自他商品の識別機能を果たす「Kypho」の文字部分から、「カイフォ」の自然的称呼をもって取引にあたると判断されるものである。
引用商標1「KYPHON」から「カイフォン」の称呼が生じ、引用商標2のロゴ図形化した「KYPHON」から「カイフォン」の称呼が生じ、引用商標3「KYPHOS」から「カイフォス」の称呼が生じ、引用商標4「KYPHON QV−R」から「カイフォンキューブイアール」の称呼を生ずるとともに、実際の取引場裡では「カイフォン」の略称をも生ずると認められる。
そこで、本件商標から生ずる「カイフォ」の自然的称呼と引用商標1及び引用商標2並びに引用商標4から生ずる「カイフォン」の各称呼を比較して見ると、両者の称呼は、「カイフォ」及び「カイフォン」であって語尾における「ン」の音の差異が認められるが、それぞれを一連に称呼したときは、当該差異である「ン」の音は語尾という位置に関連して聴取し難く無音状態になることが経験則から知られているところである。
さらに、引用商標3は、「カイフォス」の称呼が生ずるとしても、当該「ス」の音が全体称呼の末尾に位置している関係上、電話による取引等では微弱化して「カイフォ」と聴取されることが日常生活においてしばしば経験するところである。
したがって、本件商標の称呼「カイフォ」は、引用商標1及び引用商標2並びに引用商標4から生ずる「カイフォ」の各称呼、さらには、引用商標3からも生ずると認められる「カイフォ」の称呼と同一と看倣しうるものと認められる。
(2)本件商標に係る指定商品と引用各商標に係る指定商品に関する類否
引用商標1ないし引用商標3の各指定商品は、第10類「医療用機械器具」を指定するものであり、本件商標の指定商品中の第10類「医療用機械器具」とは同一の指定商品であることが明らかである。
また、引用商標4の指定商品中、第10類「外科用骨セメント,整形外科用骨セメント,おしゃぶり,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キヤットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,(中略)医療用機械器具,(後略)」は、本件商標の指定商品、第10類「医療用機械器具,骨欠損部充填材,人工骨,人工移植片,人工靭帯,人工腱,人工器官,人工関節・人工骨等を人体に固定するためのセメント」と同一又は類似の商品である。
(3)結論
本件商標からは「カイフォ」の称呼が生じ、一方の引用各商標からは、それぞれ「カイフォ」又は「カイフォン」の称呼をも生ずると認められるものであるから、本件商標と引用各商標は、当該称呼において互いに類似するものであって、両者は指定商品も同一又は類似するものであるから、本件商標及び引用各商標をそれぞれの指定商品に使用するときは、取引者、需要者をして相紛れるおそれのある類似の商標と認められるべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。
第3 当審の判断
1 本件商標
本件商標は、「KyphoBond」の欧文字を標準文字で表してなるところ、語頭の「K」及び後半部の「B」の文字が大文字で表示され、また、その構成中の「Bond」の文字が、「接着剤」の意味を有する英語であるとしても、同書、同大、等間隔でまとまりよく表された本件商標は、構成文字全体が不可分一体の一種の造語として取引者、需要者に認識されるとみるのが相当である。
そして、本件商標の構成全体より生じる「カイフォボンド」の称呼も冗長ともいえず、無理なく一連に称呼できるものである。
してみれば、本件商標からは、その構成文字に相応して、一連の「カイフォボンド」のみの称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
2 引用各商標
(1)引用商標1は、「KYPHON」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これよりは、「カイフォン」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(2)引用商標2は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「KYPHON」の文字部分より、「カイフォン」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)引用商標3は、「KYPHOS」の欧文字を標準文字で表してなるところ、これよりは、「カイフォス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(4)引用商標4は、「KYPHON QV−R」の欧文字及び記号を標準文字で表してなるところ、「KYPHON」の欧文字と「QV−R」の欧文字及び記号を結合したものと認識されるものであり、構成全体より生じる「カイフォンキュウブイアール」の称呼は冗長であるから、単に「カイフォン」又は「キュウブイアール」の称呼をも生じ、特定の観念は生じないものである。
3 本件商標と引用各商標との類否
本件商標と引用各商標とは、その構成文字に明らかな差異を有するものであるから、両者は、外観上相紛れるおそれはないものである。
次に、本件商標から生じる「カイフォボンド」の称呼と引用商標1、2及び4から生じる「カイフォン」とを比較すると、その構成音数及び音構成に明らかな差異を有するものであるから、両者は、称呼上相紛れるおそれはないものである。
そして、本件商標から生じる「カイフォボンド」の称呼と引用商標3から生じる「カイフォス」とを比較すると、その構成音数及び音構成に明らかな差異を有するものであるから、両者は、称呼上相紛れるおそれはないものである。
また、本件商標及び引用各商標からは特定の観念は生じないから、観念においては比較することができない。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において類似しない非類似の商標というのが相当である。
4 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、その登録は同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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