Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2013−394(T2013−394/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ミュースライダ」の片仮名を標準文字で表してなり、第16類「紙製包装用ファスナー付袋,合成紙,合成樹脂製ファスナー付包装用袋」及び第26類「ファスナー開閉用合成樹脂製スライダ」を指定商品として、平成24年2月14日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、原審における同年6月27日受付の手続補正書及び当審における平成25年1月10日受付の手続補正書により、最終的に第26類「ファスナー開閉用合成樹脂製スライダ」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、次の登録商標と同一又は類似の商標であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。
登録第5072936号商標(以下「引用商標」という。)は、「ミュウ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成18年2月17日に登録出願、第26類「編みレース生地,刺しゅうレース生地,テープ,房類,リボン,ボタン類,針類,メリヤス機械用編針,編み棒,裁縫箱,裁縫用へら,裁縫用指抜き,針刺し,針箱(貴金属製のものを除く。),被服用はとめ,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,腕止め,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品(かんざし,こうがい,丸ぐしを除く。),漁網製作用杼」及び第30類「コーヒー及びココア,茶,調味料,香辛料,菓子及びパン,氷」を指定商品として、平成19年8月24日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「ミュースライダ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、後半に位置する「スライダ」の文字は、その指定商品「ファスナー開閉用合成樹脂製スライダ」との関係において、単に商品の名称を表しているにすぎない部分であって、自他商品の識別力が強いものとはいえないことから、出所識別標識としての称呼、観念が生じないものということができる。
したがって、本願商標は、その構成中「ミュー」の文字が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる。
そうとすれば、本願商標は、その構成中「ミュー」の文字部分を分離、抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきであり、該文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえる。
してみれば、本願商標は、その構成中「ミュー」の文字部分から「ミュー」の称呼及び「ギリシア文字『μ』」の観念を生ずるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「ミュウ」の片仮名を標準文字で表してなるから、その構成文字に相応して、「ミュウ」の称呼及び「ギリシア文字『μ』」の観念を生ずるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標の構成中「ミュー」の文字部分と引用商標とを比較すると、外観においては、両者は、いずれも片仮名3文字からなる構成において、語頭を含めた「ミ」及び「ュ」の2文字を共通にするものであり、また、いずれも標準文字で表した構成からなるものであることから、近似した印象を与えるものである。
次に、本願商標から生ずる「ミュー」の称呼と引用商標から生ずる「ミュウ」の称呼とを比較すると、両称呼は、称呼の識別上重要な位置を占める語頭の「ミュ」の音を共通にし、前者の長音と後者の「ウ」の音に差異を有しているとしても、前者の長音は、その前に位置する「ミュ(myu)」の音の母音(u)を長く引きのばして発する音であるのに対し、後者の「ミュウ」の音が「ミュ(myu)」の母音(u)を重ねて発する音であるから、両称呼の差異は、微差というべきである。その結果、両称呼は、全体的に音調・音感が極めて近似し、それぞれを一連に称呼した場合、聴別することが困難なほど酷似した印象を与えるものである。
さらに、観念においては、両者は「ギリシア文字『μ』」の観念を共通にするものである。
してみれば、本願商標と引用商標との外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合してみれば、「ギリシア文字『μ』」の観念を共通にし、称呼において酷似し、外観において近似した印象を与える両商標は、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。
そして、本願の指定商品「ファスナー開閉用合成樹脂製スライダ」と引用商標の指定商品中「ボタン類」とは、いずれも主として被服、カバン等の一定の箇所を開いたり閉じたりするために取り付けられる商品であるから、両者は用途、需要者の範囲、販売部門を共通にし、原材料、生産部門を共通にすることが多い商品である。
また、引用商標の指定商品中「ボタン類」には、「スライドファスナー」を含むものであり、本願の指定商品「ファスナー開閉用合成樹脂製スライダ」は、「スライドファスナー」の部品と認められるから、引用商標の指定商品中「ボタン類」に含まれる「スライドファスナー」と本願の指定商品「ファスナー開閉用合成樹脂製スライダ」とは、完成品と部品の関係にある商品ということができる。
してみれば、本願の指定商品「ファスナー開閉用合成樹脂製スライダ」と引用商標の指定商品中「ボタン類」とは、類似する商品というのが相当である。
さらに、本願商標と引用商標とが出所の混同を生じないというべき取引の実情は見いだせない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(4)請求人の主張について
ア 請求人は、「引用商標の『ミュウ』は、商標法第3条第1項第3号に相当する。」旨述べている。
しかしながら、引用商標は、「ミュウ」の片仮名を表したものであって、これが商品の産地、販売地、品質等を表示するものと認識されるというべき事情は見いだせないから、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たすものとみるのが相当である。
イ 請求人は、「各引用文献と本願商標との相違点を明確にするため手続補正書を提出することにより指定商品を減縮補正する。」旨述べている。
しかしながら、この「減縮補正」が平成25年1月10日受付の手続補正書のことであれば、前述のとおり判断するのが相当であるが、仮に、更なる補正の用意があるとの主張であるとしても、更なる減縮補正により、本願商標と引用商標とが類似するとの判断が変わるものではないから、指定商品の減縮補正を待つことなく、本件審理を終結することとした。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。