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Trademark Appeal Case

著名人名と品質表示

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2012−425(T2012−425/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「MILES DAVIS」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類、第14類、第16類、第25類及び第41類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務とし、平成21年6月29日アメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同22年1月4日に登録出願されたものである。その後、指定商品及び指定役務については、原審における平成22年12月28日付け及び同23年7月14日付けの手続補正書により、第9類、第14類、第16類、第25類、第28類及び第41類に属する別掲1のとおりの指定商品及び指定役務に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『MILES DAVIS』の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、アメリカ合衆国イリノイ州オールトンに生まれジャズのトランペット奏者『MILES DEWEY DAVIS III』の著名な芸名であり、トランペット奏者名として理解、認識される本願商標をその指定商品中、音楽関連の録音済のコンパクトディスク,その他音楽関連の同種の商品に使用する場合には、これに接する取引者・需要者は、本願商標を前記指定商品の製造、販売元として理解、認識するというよりは、前記指定商品に係る収録曲を演奏する者が『MILES DAVIS』であることを表示したものとして理解、認識するというのが相当であるから、本願商標は、その商品の品質を表示したものと認識されるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、『MILES DAVIS』と何ら関係のない前記指定商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について

ア 本願商標は、前記1のとおり、「MILES DAVIS」の欧文字を標準文字で表してなるところ、別掲2の(1)ないし(4)に示した記述によれば、当該文字及びその表音である「マイルス(マイルズ)・デイヴィス(デイビス)」の片仮名について、以下の事実が認められる。

(ア)「MILES DAVIS」(マイルス(マイルズ)・デイヴィス(デイビス))は、本名を「Miles Dewey Davis III」といい、アメリカ合衆国のジャズ・トランペット奏者であり、最も賞賛された演奏家である。死後の2006年、ロックの殿堂入りを果たした。

(イ)マイルス・デイヴィスが、自らのバンドで1959年に録音し、同年コロムビア・レコードから発表したアルバム「カインド・オブ・ブルー(Kind Of Blue)は、モダン・ジャズの歴史上でも屈指の傑作アルバムとされ、そのコンセプトは以後のジャズ界に大きな影響を与えた。世界的にも広く愛聴されており、発表後半世紀近くを経ながらミリオンセラーを達成、現代までジャズ・アルバムとしては異例のセールス記録を伸ばし続けている。累計売上げ枚数は1000万枚を超える。

(ウ)以上によれば、「MILES DAVIS」は、アメリカ合衆国のジャズ・トランペット奏者名として、我が国を含め世界的に広く知られているといい得るものであるから、「MILES DAVIS」の欧文字からなる本願商標は、これに接する者をして、上記演奏家名を表示したものと容易に認識するものである。

イ ところで、本願の指定商品中の「音楽・音楽家・音楽の演奏についての映画フィルムを内容とする録画済みビデオテープ・録画済みのデジタルビデオディスク・録画済みの光学式ビデオディスク,音楽関連の記録済みのコンパクトディスク,音楽関連の記録済みのオーディオカセットテープ,音楽関連の記録済みのデジタルビデオディスク,音楽関連の録画済みのビデオテープ,音楽関連の記録済みの音声・映像記録媒体」(以下「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」という。)の媒体表面及びジャケット又はケースには、商品の発売元・販売元の名称・ロゴ、演奏者名等が表示されているところ、これら商品の取引者・需要者は、その表示中の発売元・販売元の名称・ロゴから、その商品の出所を認識し、曲名から、当該曲が収録されていることを認識し、そして、歌手名・演奏者名から、その者が歌唱・演奏していること又はその者が出演し、歌唱・演奏している映像又は音声(音楽)が収録されていることを認識するものである。

また、本願の指定商品中の「音楽及び娯楽を内容とするウェブサイトを通じてダウンロード可能な音楽・映像,インターネットを通じてダウンロード可能なMP3形式で圧縮された音楽・音声データ,インターネットを通じてダウンロード可能なMP3形式の音楽,インターネットを通じてダウンロード可能な音楽・音声,インターネットを通じてダウンロード可能な携帯電話機用着信音楽,インターネットを通じてダウンロード可能な映像,ダウンロード可能な音楽データ,ダウンロード可能な音声データ,ダウンロード可能な音楽分野の映像データ」(以下「ダウンロード可能な音楽・映像等」という。)を購入するためのウェブサイトの画面には、これら商品の発売元・販売元の名称・ロゴ、曲名、演奏者名等が表示されているところ、これら商品の取引者・需要者は、その表示中の発売元・販売元の名称・ロゴから、その商品の出所を認識し、曲名から、当該曲が収録されているファイルであることを認識し、そして、歌手名・演奏者名から、その者が歌唱・演奏しているファイルであること又はその者が出演し、歌唱・演奏している映像又は音声(音楽)が収録されているファイルであることを認識するものである。

さらに、「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」の取引においては、そのほとんどが、歌手、演奏者等自らがそれら商品を直接制作・販売するのではなく、それらの商品を制作し販売する会社等(以下「レコード会社等」という。)が別に存在するという取引の実情があることは、一般によく知られていることであるから、「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」において、それら商品の出所は、レコード会社等にあることとなる。

そうすると、だれが歌唱・演奏していることを表す「歌手名・演奏者名」が表示された部分は、商品の出所を表示するものというよりは、むしろ、その者が歌唱・演奏している映像又は音声(音楽)が収録されていることを認識するものであるから、単に商品の品質(内容)を表示するにすぎないものというのが相当である。

ウ 以上によれば、アメリカ合衆国のジャズ・トランペット奏者名として広く認識されている「MILES DAVIS」の文字からなる本願商標を、その指定商品中、「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」に使用した場合、これに接する取引者・需要者は、当該商品に係る収録曲を演奏する者、映像に出演し、演奏している者を表示したもの、すなわち、その商品の品質(内容)を表示したものと認識するというのが相当である。

そうすると、本願商標は、その指定商品中、「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」に使用するときは、商品の品質を表示したものと認識されるにすぎないことから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわざるを得ず、また、本願商標を「MILES DAVIS」(マイルス(マイルズ)・デイヴィス(デイビス))と何ら関係のない「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」に使用した場合、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「録音済みコンパクトディスク」を陳列している店舗等において、歌手名・演奏者名がPOP広告として表示され自他商品の識別標識として使用されている事実からも歌手名・演奏者名は、商標としての機能を果たすものとして、取引者、需要者間に認識されているというべきである旨主張している。

しかしながら、歌手名・演奏者名は、需要者が商品を選択する際の目印になることを否定するものではないが、上記(1)のとおり、商品「録音済みコンパクトディスク」の出所は、レコード会社等であり、歌手名や演奏者名は、商品「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」との関係において、その者が歌唱・演奏していること、すなわち、商品の品質(内容)を表示したと認識されるものであることからすれば、請求人の上記主張は、採用することはできない。

イ 請求人は、著作物に係る商標に関する審査基準の商標法第3条第1項第3号において、その商標が題号として使用された場合、直ちに特定の内容を表示するものと認められるときは、品質を表示するものとする、と記載されているところ、一般に著作物に当たる「録音済みコンパクトディスク」等に関し、題号として使用されるのは、歌唱曲名、演奏曲名、収録曲名やアルバム名であって、歌手名や演奏者名は、ただちにその著作物の内容を表すものと認識されないというべきである旨主張している。

しかしながら、セルフタイトルと称して、アルバム名や曲名に歌手名や演奏者名が用いられることも決して少なくなく、著名な歌手名・演奏者名をアルバム名・曲名とする題号の場合には、ただちにその著作物の内容を表すものと認識されるというべきであるから、この事情においては、請求人の上記主張は、採用することはできない。

ウ 請求人は、近時の著名な演奏者・歌手に係る音楽・映像に係る海賊版の氾濫に関し、商標権として、登録を受けられないならば、著名な演奏者・歌手の利益を害することにもなる旨主張している。

しかしながら、本願商標を、その指定商品中、「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」に使用した場合、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであることは、上記(1)のとおりであるから、そうである以上、本願商標は、商標登録を受けることができないものといわざるを得ない。

エ 請求人は、本願と同様に、著名な芸名にあたる多数の商標が著作物(印刷物,録画済みビデオディスク・ビデオテープ・その他の記録媒体,映写フィルム等・録音済みCD・レコード,彫刻等)関連の商品を指定商品(指定役務)とした既登録例を挙げ、本願商標も同様に登録を認められるべきである旨主張する。

しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品とに基づいて、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるところ、本願商標は、その構成文字から容易にアメリカ合衆国のトランペット奏者「MILES DAVIS」(マイルス(マイルズ)・デイヴィス(デイビス))を認識させるものであって、本願の指定商品中の「音楽関連の録画済みDVD・録音済みCD等」及び「ダウンロード可能な音楽・映像等」との関係において、商品の品質を表示したものと認識され、また、本願の指定商品中、上記「MILES DAVIS」(マイルス(マイルズ)・デイヴィス(デイビス))と何ら関係のない商品との関係においては、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあること、上記(1)において認定、判断したとおりであり、これを、商標の構成を異にする既登録例が存することをもって覆すことはできない。

(3)まとめ

以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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