Trademark Appeal Case
著名商標と非類似商品の混同
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第90856号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4245658号商標(以下「本件商標」という。)は、平成9年10月15日に登録出願され、「オメガブースト」と「Omega Boost」の文字とを併記してなり、第9類「電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,パーソナルコンピューターゲーム用のプログラムを記憶させた磁気ディスク・光ディスク,遊園地用機械器具,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、平成11年3月5日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
昭和25年12月7日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第21類「時計並にその各部及び附属品」を指定商品として、昭和27年3月7日に設定登録されている登録第409365号商標、昭和25年12月7日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第21類「時計並にその各部及び附属品」を指定商品として、昭和27年3月7日に設定登録されている登録第409366号商標、昭和33年2月10日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第21類「懐中時計、腕時計、掛時計、置時計、振子時計、時計用鎖、時計機械及び側その他時計並びにその各部及び附属品」を指定商品として、昭和34年1月31日に設定登録されている登録第532721号商標及び平成1年12月4日に登録出願され、別掲のとおりの構成よりなり、第23類「眼鏡、眼鏡の部品および附属品」を指定商品として、平成4年9月30日に設定登録されている登録第2456617号商標(以下これらを合わせて「引用商標」という。)は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の業務に係る「時計(宝飾時計を含む。)、世界のスポーツ競技大会における各種データの測時・計測・記録及びこれらの表示に係る多様な機器」について使用した結果、取引者、需要者間に広く知られ、申立人の名称の著名な略称及び著名な商標となっているところ、本件商標は、引用商標を含む構成よりなるものであり、その指定商品について使用した場合、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。また、本件商標は、その構成中に「(回路・電池などの)電圧を高める、昇圧する、増幅する」等の意味合いで用いられている「Boost」の語を有するものであるから、その指定商品中の「昇圧機能・増幅機能を有する機器又は内蔵する電気通信機械器具・電子応用機械器具」以外の商品について使用する場合は、その商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第16号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
3 本件商標の取消理由の要旨
申立人提出の証拠によれば、「OMEGA」、「Ω(オメガ)」などの文字よりなる商標(引用商標)は、申立人(オメガ エス アー)が、自己の製造・販売に係る商品「時計(宝飾時計を含む)」について長年使用した結果、本件商標の登録出願前には既に取引者・需要者間に著名な商標として認識されるに至っていたものと認められる。
そして、本件商標は、その構成中の冒頭に、申立人の商標として著名な「オメガ/Omega」の文字を含むものであり、かつ、指定商品も各種機械器具を含むものであることを考慮すると、商標権者が本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、前記した実情よりして、容易に申立人を想起させるものといえるものである。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合、申立人の業務に係る商品、又は、申立人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由通知に対して、商標権者は、要旨つぎのように意見を述べ、証拠として引用商標と類似する商標が他の商品において登録されている事例について提出している。
申立人に係る引用商標が時計とその関連商品について周知かもしれないが、本件商標の指定商品は、時計或いは計測装置とは全く類似関係がない商品である。
また、申立人の引用商標は、ギリシア語のアルファベットの一字を転用したに過ぎず、創造性は皆無で、国によっては識別力さえ否定されかねない商標であり、引用商標と同一又は類似の商標は多くの商品について異なる権利者によって別々に登録されており、多角経営は申立人の意志の如何に関わらず、法的にも制約があるものと思われる。
本件商標は、上段に片仮名で大きく同書同大同間隔に表された「オメガブースト」の文字を日本人としては当然選択的に認識し、「オメガブースト」の一連の称呼を生ずるとするのが自然である。
また、「Omega」と「Boost」の両文字が指定商品との関係において識別力に格段の差があるわけでなく、音の長短においても差が少ないことから、本件商標から「Omega」が分離して認識される必然性はきわめて少ない。
更に、本件商標からは直ちに特定の観念が生じるものではないが、仮にローマ字部分に着目し、その観念を把握しようとした場合においても、「Omega」は、ギリシア文字アルファベットの最終文字でよく用いられる“アルファからオメガまで”という表現にみられるように、“最終”の意味を有し、「Boost」は“急増”“急上昇”の意味を有することから本件商標は「最終的急上昇」、「最後の盛り上がり」という独特の観念を生じるものである。
したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、取引者・需要者が容易に申立人を想起することはあり得ない。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 当審の判断
本件商標は、平成9年10月15日に登録出願され、「オメガブースト」の文字と「Omega Boost」の文字とを併記してなり、第9類「電気通信機械器具,レコード,電子応用機械器具及びその部品,パーソナルコンピューターゲーム用のプログラムを記憶させた磁気ディスク・光ディスク,遊園地用機械器具,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として設定登録されたものである。
そして、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたとの理由により、その登録を取り消すべきものとした、先の取消理由(上記3)は、妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は、以下の理由により、採用できない。
(1)本件商標は、「オメガブースト」の文字と「Omega Boost」の文字よりなるものであり、該構成文字は、全体として「最終的急上昇、最終の盛り上がり」の意味を有するものとして一般に知られ、親しまれたものとは認められないものであって、本件商標に接する取引者・需要者は、「オメガ」、「Omega」と「ブースト」、「Boost」の2語よりなるものとして容易に把握・認識するものというべきである。
(2)引用商標が「時計」及び「世界のスポーツ競技大会における各種データの計測装置、記録表示装置」等について使用され、本件商標が出願された平成9年10月15日までには、世界的に著名な商標となっていることは顕著なる事実であって、引用商標がギリシア語のアルファベットの一字を転用したものであることをもって著名性を獲得していないものであるとは認められない。
(3)本件商標中の「ブースト」、「Boost」の文字部分は、「急上昇、急増、増幅する、昇圧する」の意味を有し、その指定商品中「電気通信機械器具,電子応用機械器具」との関係では「ブースター/booster(昇圧機、増幅器)」と称する機器が存するところから、本件商標に接する者は、「ブースト」、「Boost」の文字部分より商品の機能的意味合いを把握・認識して、構成中の前半部の「オメガ」、「Omega」の文字部分を自他商品の識別標識として捉え、その文字部分より生ずる「オメガ」の称呼をもって取引にあたる場合が決して少なくないものというべきであるから、本件商標は、常に、構成文字全体をもって把握・認識されるものとすることはできず、また、構成文字が特定の観念を生ずるものとして知られ親しまれたものとはいえないものである。また、観念の点からも、常に、全体として把握・認識されるものということもできないものである。
(4)引用商標に係る指定商品と本件商標の指定商品とは、その取引系統、販売場所などが相違する非類似の商品であるとしても、引用商標が使用されている商品「時計、計測装置、記録表示装置」等は、コンピュータ、映像機器、電光表示装置など本件商標の指定商品とは密接な関係を有するものであるから、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、申立人に係る引用商標が著名商標であること及び本件商標が常に一体となって把握されるという事情にあるわけではないことなどから、その構成中の冒頭部分の「オメガ」、「Omega」の文字部分に着目し、著名な引用商標を容易に想起し、引用商標に係るもの若しくはそのシリーズ関連商品を表示するもの等として把握・認識され、申立人又は申立人と何らかの関係有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
(5)申立人が多角経営化を行っていない場合であっても、商標の使用については、系列関連会社による使用、使用許諾等により著名商標が使用され機能を果たしていることは商取引の実際であるから、申立人の業務に係る商品が「時計、計測装置」であるとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、著名な引用商標を容易に想起し、申立人と何らかの関連を有する者若しくは許諾を得た者による使用であるかのごとく認識するものというべきである。
(6)本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するか否かは、その商標登録出願の時までに引用商標が著名性を獲得していたか否か、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者が申立人の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるか否かについてを判断すべきものであって、他の商品について引用商標と類似する商標が登録されていることを理由として、本件商標に関する前示判断を否定することはできない。
そうすると、本件商標は、申立人に係る商標として著名な引用商標をその構成中の冒頭に含むものであるから、これを本件商標の指定商品について使用した場合、これに接する取引者・需要者は、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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